交通事故コラム詳細

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2022.10.26

自賠責実務

【医師が解説】交通事故の後遺障害|認定確率を上げるポイント

交通事故でケガを負うと後遺症を残すことがあります。後遺障害に認定されると賠償金などの補償を得ることができますが、すべての後遺症が自動的に後遺障害に認定されるわけではありません。

 

後遺障害の認定率は約5.5%しかなく、補償を受けることは難しいと言わざるを得ません。しかも交通事故外傷にはたくさんの種類があるため、それぞれの傷病で知っておくべきポイントがあります。

 

本記事は、交通事故の後遺障害を知ることで、後遺障害が認定されるヒントとなるように作成しています。

 

 

最終更新日:2024/4/19

 

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交通事故の後遺症と後遺障害には違いがある

後遺症とは、治療したのに残った症状

後遺症とは、ケガの治療したにもかかわらず残ってしまった痛み、関節の動きの悪さなどの症状です。

 

顔面や手足に残ったキズや、手足の切断や耳たぶの欠損した場合も後遺症になります。

 

 

後遺障害とは、認定を受けた後遺症

後遺障害とは、後遺症の中でも法律(※)によって定められた障害です。つまり、交通事故の後遺障害とは、後遺障害等級の認定を受けた後遺症を指します。

 

後遺症が後遺障害等級に認定されると補償の対象となり、後遺障害慰謝料や逸失利益などの損害賠償金を請求できます。

 

 

(※)自動車損害賠償保障法施行令第2条第2項

 

 

たった5.5%! 後遺障害の認定率

 

損害保険料率算出機構は、自動車保険の概況という統計資料を公表しています。

 

Compulsory automobile liability insurance 2020

 

損害保険料率算出機構「2021年度 自動車保険の概況」

 

 

自賠責保険が2021年度版(2020年度統計)で賠償金を支払った件数は89万8407件です。このうち後遺障害等級に認定された件数は4万9267件で全体の約5.5%でした。

 

後遺症が残った交通事故被害者の中でも、たった5.5%しかない後遺障害に認定されないのです。ほとんどの後遺症は、交通事故の賠償の対象になりません。

 

このため、後遺障害に認定されるためには、自賠責認定基準を考慮した対策を行う必要があります。

 

 

wheelchair

 

 

後遺障害等級と認定基準

 

後遺障害では、最も重症度の高い遷延性意識障害の1級から、むちうち等の14級まで、14段階の等級に分けられています。

 

後遺障害等級の認定基準は下記の表にまとめています。認定基準にあてはまる症状が他覚的に証明されると、その等級の後遺障害が認定されます。

 

 

等級 認定基準
第1級 1. 両眼が失明したもの
2. 咀嚼及び言語の機能を廃したもの
3. 両上肢をひじ関節以上で失つたもの
4. 両上肢の用を全廃したもの
5. 両下肢をひざ関節以上で失つたもの
6. 両下肢の用を全廃したもの
第2級 1. 一眼が失明し、他眼の視力が〇・〇二以下になつたもの
2. 両眼の視力が〇・〇二以下になつたもの
3. 両上肢を手関節以上で失つたもの
4. 両下肢を足関節以上で失つたもの
第3級 1. 一眼が失明し、他眼の視力が〇・〇六以下になつたもの
2. 咀嚼又は言語の機能を廃したもの
3. 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの
4. 胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの
5. 両手の手指の全部を失つたもの
第4級 1. 両眼の視力が〇・〇六以下になつたもの
2. 咀嚼及び言語の機能に著しい障害を残すもの
3. 両耳の聴力を全く失つたもの
4. 一上肢をひじ関節以上で失つたもの
5. 一下肢をひざ関節以上で失つたもの
6. 両手の手指の全部の用を廃したもの
7. 両足をリスフラン関節以上で失つたもの
第5級 1. 一眼が失明し、他眼の視力が〇・一以下になつたもの
2. 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの
3. 胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの
4. 一上肢を手関節以上で失つたもの
5. 一下肢を足関節以上で失つたもの
6. 一上肢の用を全廃したもの
7. 一下肢の用を全廃したもの
8. 両足の足指の全部を失つたもの
第6級 1. 両眼の視力が〇・一以下になつたもの
2. 咀嚼又は言語の機能に著しい障害を残すもの
3. 両耳の聴力が耳に接しなければ大声を解することができない程度になつたもの
4. 一耳の聴力を全く失い、他耳の聴力が四十センチメートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になつたもの
5. 脊柱に著しい変形又は運動障害を残すもの
6. 一上肢の三大関節中の二関節の用を廃したもの
7. 一下肢の三大関節中の二関節の用を廃したもの
8. 一手の五の手指又はおや指を含み四の手指を失つたもの
第7級 1. 一眼が失明し、他眼の視力が〇・六以下になつたもの
2. 両耳の聴力が四十センチメートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になつたもの
3. 一耳の聴力を全く失い、他耳の聴力が一メートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になつたもの
4. 神経系統の機能又は精神に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの
5. 胸腹部臓器の機能に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの
6. 一手のおや指を含み三の手指を失つたもの又はおや指以外の四の手指を失つたもの
7. 一手の五の手指又はおや指を含み四の手指の用を廃したもの
8. 一足をリスフラン関節以上で失つたもの
9. 一上肢に偽関節を残し、著しい運動障害を残すもの
10. 一下肢に偽関節を残し、著しい運動障害を残すもの
11. 両足の足指の全部の用を廃したもの
12. 外貌に著しい醜状を残すもの
13. 両側の睾丸を失つたもの
第8級 1. 一眼が失明し、又は一眼の視力が〇・〇二以下になつたもの
2. 脊柱に運動障害を残すもの
3. 一手のおや指を含み二の手指を失つたもの又はおや指以外の三の手指を失つたもの
4. 一手のおや指を含み三の手指の用を廃したもの又はおや指以外の四の手指の用を廃したもの
5. 一下肢を五センチメートル以上短縮したもの
6. 一上肢の三大関節中の一関節の用を廃したもの
7. 一下肢の三大関節中の一関節の用を廃したもの
8. 一上肢に偽関節を残すもの
9. 一下肢に偽関節を残すもの
10. 一足の足指の全部を失つたもの
第9級 1. 両眼の視力が〇・六以下になつたもの
2. 一眼の視力が〇・〇六以下になつたもの
3. 両眼に半盲症、視野狭窄又は視野変状を残すもの
4. 両眼のまぶたに著しい欠損を残すもの
5. 鼻を欠損し、その機能に著しい障害を残すもの
6. 咀嚼及び言語の機能に障害を残すもの
7. 両耳の聴力が一メートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になつたもの
8. 一耳の聴力が耳に接しなければ大声を解することができない程度になり、他耳の聴力が一メートル以上の距離では普通の話声を解することが困難である程度になつたもの
9. 一耳の聴力を全く失つたもの
10. 神経系統の機能又は精神に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの
11. 胸腹部臓器の機能に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの
12. 一手のおや指又はおや指以外の二の手指を失つたもの
13. 一手のおや指を含み二の手指の用を廃したもの又はおや指以外の三の手指の用を廃したもの
14. 一足の第一の足指を含み二以上の足指を失つたもの
15. 一足の足指の全部の用を廃したもの
16. 外貌に相当程度の醜状を残すもの
17. 生殖器に著しい障害を残すもの
第10級 1. 一眼の視力が〇・一以下になつたもの
2. 正面を見た場合に複視の症状を残すもの
3. 咀嚼又は言語の機能に障害を残すもの
4. 十四歯以上に対し歯科補綴を加えたもの
5. 両耳の聴力が一メートル以上の距離では普通の話声を解することが困難である程度になつたもの
6. 一耳の聴力が耳に接しなければ大声を解することができない程度になつたもの
7. 一手のおや指又はおや指以外の二の手指の用を廃したもの
8. 一下肢を三センチメートル以上短縮したもの
9. 一足の第一の足指又は他の四の足指を失つたもの
10. 一上肢の三大関節中の一関節の機能に著しい障害を残すもの
11. 一下肢の三大関節中の一関節の機能に著しい障害を残すもの
第11級 1. 両眼の眼球に著しい調節機能障害又は運動障害を残すもの
2. 両眼のまぶたに著しい運動障害を残すもの
3. 一眼のまぶたに著しい欠損を残すもの
4. 十歯以上に対し歯科補綴を加えたもの
5. 両耳の聴力が一メートル以上の距離では小声を解することができない程度になつたもの
6. 一耳の聴力が四十センチメートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になつたもの
7. 脊柱に変形を残すもの
8. 一手のひとさし指、なか指又はくすり指を失つたもの
9. 一足の第一の足指を含み二以上の足指の用を廃したもの
10. 胸腹部臓器の機能に障害を残し、労務の遂行に相当な程度の支障があるもの
第12級 1. 一眼の眼球に著しい調節機能障害又は運動障害を残すもの
2. 一眼のまぶたに著しい運動障害を残すもの
3. 七歯以上に対し歯科補綴を加えたもの
4. 一耳の耳殻の大部分を欠損したもの
5. 鎖骨、胸骨、ろく骨、けんこう骨又は骨盤骨に著しい変形を残すもの
6. 一上肢の三大関節中の一関節の機能に障害を残すもの
7. 一下肢の三大関節中の一関節の機能に障害を残すもの
8. 長管骨に変形を残すもの
9. 一手のこ指を失つたもの
10. 一手のひとさし指、なか指又はくすり指の用を廃したもの
11. 一足の第二の足指を失つたもの、第二の足指を含み二の足指を失つたもの又は第三の足指以下の三の足指を失つたもの
12. 一足の第一の足指又は他の四の足指の用を廃したもの
13. 局部に頑固な神経症状を残すもの
14. 外貌に醜状を残すもの
第13級 1. 一眼の視力が〇・六以下になつたもの
2. 正面以外を見た場合に複視の症状を残すもの
3. 一眼に半盲症、視野狭窄又は視野変状を残すもの
4. 両眼のまぶたの一部に欠損を残し又はまつげはげを残すもの
5. 五歯以上に対し歯科補綴を加えたもの
6. 一手のこ指の用を廃したもの
7. 一手のおや指の指骨の一部を失つたもの
8. 一下肢を一センチメートル以上短縮したもの
9. 一足の第三の足指以下の一又は二の足指を失つたもの
10. 一足の第二の足指の用を廃したもの、第二の足指を含み二の足指の用を廃したもの又は第三の足指以下の三の足指の用を廃したもの
11. 胸腹部臓器の機能に障害を残すもの
第14級 1. 一眼のまぶたの一部に欠損を残し又はまつげはげを残すもの
2. 三歯以上に対し歯科補綴を加えたもの
3. 一耳の聴力が一メートル以上の距離では小声を解することができない程度になつたもの
4. 上肢の露出面にてのひらの大きさの醜いあとを残すもの
5. 下肢の露出面にてのひらの大きさの醜いあとを残すもの
6. 一手のおや指以外の手指の指骨の一部を失つたもの
7. 一手のおや指以外の手指の遠位指節間関節を屈伸することができなくなつたもの
8. 一足の第三の足指以下の一又は二の足指の用を廃したもの
9. 局部に神経症状を残すもの

 

 

後遺障害に認定されると損害賠償金を請求できる

 

後遺障害に認定されると、後遺障害慰謝料と後遺障害逸失利益を請求できます。

 

 

後遺障害慰謝料とは

交通事故で後遺障害が残ってしまった精神的苦痛に対する補償金です。後遺障害慰謝料は、下の表のように後遺障害等級によって異なります。

 

 

後遺障害等級

後遺障害慰謝料

1級

2800万円

2級

2370万円

3級

1990万円

4級

1670万円

5級

1400万円

6級

1180万円

7級

1000万円

8級

830万円

9級

690万円

10級

550万円

11級

420万円

12級

290万円

13級

180万円

14級

110万円

 

 

後遺障害逸失利益とは

後遺障害が残ると、労働能力が低下してしまいます。労働能力が低下したために失うであろう収入の不足分に対する補償金です。

 

後遺障害逸失利益は、交通事故被害者の年収、年齢をベースにして、後遺障害等級に応じた労働能力喪失率と労働能力喪失期間で決まります。

 

 

後遺障害逸失利益の計算式

 

基礎収入×労働能力喪失率×労働能力喪失期間に対するライプニッツ係数

 

 

交通事故の後遺障害に認定される3つの条件

交通事故と症状に因果関係がある

自賠責保険の後遺障害は、交通事故によって生じた後遺症が対象です。このため、交通事故と症状に因果関係が無ければ後遺障害に認定されません。

 

受傷後3日以内の医療機関受診が望ましい

 

交通事故と症状の因果関係を証明するためには、受傷当日に医療機関を受診することが重要です。遅くとも3日以内には受診することが望ましいでしょう。

 

 

受傷後1週間以降では、事故と症状の因果関係証明が難しい

 

自賠責保険では、受傷後1週間以上経ってから医療機関を受診した事案は、後遺障害に認定される可能性が極めて低くなります。

 

弊社が取り組んだ事案でも、極めて特殊な事情のあったケースを除いて、後遺障害に認定されたものは存在しません。

 

 

接骨院や整骨院は医療機関ではない

 

接骨院や整骨院は医療機関ではありません。このため、受傷後3日以内に接骨院や整骨院に行っても、1週間以内に医療機関を受診していないければ、後遺障害に認定される可能性はありません。

 

 

症状が一貫して続いている

交通事故に遭ってから症状固定までの間に、同じ症状が続いていないケースでは、私病(交通事故とは関係の無い病気)と疑われる可能性があります。

 

たとえば、受傷してから1ヵ月ほどしてから肩の痛みが出現したケースでは、症状の一貫性が無いと判断されます。

 

また、雨が降った日だけ痛いなどの症状も、症状に一貫性が無いと判断されて後遺障害に認定されない可能性が高いです。

 

 

症状を医学的に証明できる

いくら交通事故直後から痛みなどの症状が一貫して続いていたとしても、レントゲン検査やMRI検査などの画像検査で、痛みの原因となる所見が無いケースは、後遺障害に認定されにくいです。

 

一方、画像所見だけでは片手落ちです。痛みの存在が客観的に分かる神経学的テスト(スパークリングテストやジャクソンテスト)が陰性のケースでは、後遺障害に認定されにくいです。

 

 

<参考>

 

 

自賠責保険への後遺障害の申請手続きは2種類ある

 

保険会社への後遺障害等級認定の手続きには、事前認定と被害者請求の2つのパターンがあります。初回申請だけではなく、異議申し立てにおいても、2つの方法を選択することができます。

 

 

事前認定

交通事故被害者が申請書などの必要書類を作成して、加害者側の任意保険会社に提出します。任意保険会社が加害者側の自賠責保険への申請を代行してくれます。

 

被害者にとって申請の手間がかからないことがメリットですが、機械的に申請されるため後遺障害に認定される可能性が低くなる傾向にあります。

 

 

被害者請求

被害者請求のメリット

 

交通事故被害者が必要書類を集めて、加害者側の自賠責保険へ直接申請します。通常は弁護士が代行します。

 

自賠責保険の実務に通じている弁護士が担当すれば、事前認定と比較して後遺障害に認定される確率がアップします。

 

弊社と提携している交通事故弁護士に相談したい方は、こちらからお問い合わせください。2営業日以内に返信いたします。

 

尚、交通事故弁護士の紹介は、ボランティアで行っています。電話での問い合わせは、弊社業務の妨げになるため固くお断りしています。

 

 

被害者請求で必要な書類

 

被害者請求では下記のような書類が必要です。

 

  • 損害賠償額支払請求書
  • 事故発生状況報告書
  • 診断書・診療報酬明細書
  • 後遺障害診断書
  • 画像検査などの検査結果
  • 交通事故証明書
  • 請求者の印鑑証明書

 

 

後遺障害の審査にかかる期間

 

後遺障害審査を申請してから結果が通知されるまでの期間は、おおむね30日以内のケースが多いです。

 

70%程度のケースは30日以内に結果が出ていますが、高次脳機能障害などでは数ヵ月かかるケースもあります。

 

 

<参考>
損害保険料率算出機構「2021年度 自動車保険の概況」

 

 

kneepain

 

 

【頻出傷病リスト】交通事故コラムへのリンク集

 

交通事故ではさまざまな部位の外傷が発生する可能性があります。その中でも後遺障害認定の対象となる代表的な傷病を抽出して、弊社の各傷病コラム記事へのリンクを張っています。

 

弊社が取り組んできた数千例に及ぶ事案から選んでいるので、自賠責保険の実務で登場する傷病のほぼ全てを網羅しています。

 

 

傷病の総論

開放骨折
関節内骨折
偽関節、遷延癒合
骨挫傷
打撲
筋挫傷
CRPS

 

 

部位別の頻出傷病

頭部外傷

 

高次脳機能障害
高次脳機能障害の4大症状
遷延性意識障害
脳挫傷
脳出血
外傷性くも膜下出血
びまん性軸索損傷
急性硬膜下血腫
慢性硬膜下血腫
外傷性てんかん
MTBI
脳震盪
頭蓋骨骨折
脳梗塞
外傷性脳梗塞

 

 

神経心理学的検査

 

神経心理学的検査
高次脳機能障害の検査一覧と評価バッテリー
MMSE
長谷川式認知症スケール
MMSEと長谷川式認知症スケールの違い
WAISとWMS-R
レーブン色彩マトリックス検査RCPM
リバーミード行動記憶検査RBMT
SLTA標準失語症検査
TMT(trail making test)
BADS遂行機能障害症候群の行動評価
WCSTウィスコンシンカードソーティングテスト

 

 

顔面、眼、鼻、口の外傷

 

眼窩底骨折(眼窩吹き抜け骨折)
頬骨骨折
顎骨折
複視
外傷性散瞳
耳鳴り・難聴
めまい
鼻骨骨折
嗅覚障害
歯牙欠損
醜状
外貌醜状
顔面神経麻痺

 

 

頚椎の外傷

 

むちうち(頚椎捻挫)
むちうち(必要な検査)
むちうち(12級、14級)
むちうち(首の痛みだけで後遺障害に認定されるのか)
むちうち(MRI)
むちうち(めまい)
むちうち(症状の伝え方3つのポイント)
むちうち(嘘だとバレる?)
むちうち(症状が出るまでの期間)
むちうち(レントゲンでわかる?)
むちうち(軽くても病院受診するべき理由)
むちうち(治療)
むちうち(眠くなる)
バレリュー症候群
脊髄損傷
中心性脊髄損傷
非骨傷性頚髄損傷
頚椎症性脊髄症の交通事故による増悪
後縦靭帯骨化症
頚椎骨折
頚椎椎間板ヘルニア
脳脊髄液減少症(低髄液圧症候群)
脊髄空洞症

 

 

腰椎の外傷

 

腰椎捻挫
圧迫骨折
圧迫骨折(やってはいけないこと)
圧迫骨折(コルセットは寝るときに必要?)
圧迫骨折(痛みが取れない)
第12胸椎圧迫骨折
胸椎圧迫骨折 8級の画像
腰椎横突起骨折
腰椎椎間板ヘルニア

 

 

肩関節の外傷

 

腱板断裂
SLAP損傷(関節唇損傷)
鎖骨骨折
肩鎖関節脱臼
上腕骨近位端骨折
肩甲骨骨折

 

 

上腕の外傷

 

橈骨神経麻痺

 

 

肘関節の外傷

 

肘頭骨折
肘関節骨折
肘関節脱臼
肘部管症候群

 

 

手の外傷

 

腕神経叢損傷
橈骨神経麻痺
尺骨神経麻痺
胸郭出口症候群
手根管症候群
橈骨遠位端骨折
バートン骨折とショーファー骨折
尺骨骨折
TFCC損傷
手や指の骨折(指節骨骨折、中手骨骨折、手根骨骨折)
中手骨骨折
舟状骨骨折
stener lesion(ステナー損傷)
マレットフィンガー
伸筋腱断裂
指切断

 

 

体幹の外傷

 

肋骨骨折
胸骨骨折
肺挫傷

 

 

骨盤・股関節の外傷

 

骨盤骨折
恥骨骨折
仙骨骨折
股関節脱臼骨折
股関節骨折
大腿骨骨頭骨折、大腿骨頚部骨折、大腿骨転子部骨折、大腿骨転子下骨折
関節唇損傷(股関節)

 

 

大腿部の外傷

 

大腿骨骨幹部骨折

 

 

膝関節の外傷

 

大腿骨顆上骨折、大腿骨顆部骨折
脛骨高原骨折
膝蓋骨骨折
半月板損傷
前十字靭帯損傷(ACL損傷)
後十字靭帯損傷(PCL損傷)
膝内側側副靭帯損傷(MCL損傷)

 

 

下腿の外傷

 

脛骨骨折
腓骨骨折
腓骨神経麻痺
コンパートメント症候群

 

 

足の外傷

 

脛骨遠位端骨折
足関節脱臼骨折
足関節靱帯損傷
距骨骨折
踵骨骨折
中足骨骨折
リスフラン関節脱臼骨折
足趾骨折(足指骨折)
足指の伸筋腱断裂

 

 

内臓の外傷

 

内臓破裂(内臓損傷)
小腸切除

 

 

精神疾患

デグロービング損傷
線維筋痛症
非器質性精神障害
PTSD

 

 

inquiry

 

Traffic accident patient

 

 

【弁護士必見】後遺障害認定のポイント

主治医選びのヒント

交通事故の後遺障害で等級認定される可能性をアップさせる工夫を考えてみたいと思います。まず最初に考えるべきことは主治医です。協力的な主治医は等級認定に欠かせない存在です。

 

もちろん主治医ですべてが決まる訳ではありませんが、非協力的な主治医だと後遺症が残っても等級認定される確率が下がります。後遺症認定のためには、主治医選びが重要なのです。

 

このため、できるだけ協力的な医師に治療を受ける努力をする必要があります。

 

 

開業医(クリニック)

 

街の開業医(クリニック)が望ましい理由は、患者さんの通院に対しておおむね好意的だからです。

 

これとは反対に、病院の勤務医は交通事故の患者さんの通院に好意的とは言い難いです。その理由は、外来患者さんが増えると業務負担が増加するだけだからです。

 

 

若手の医師

 

若手の医師は後遺症認定を受けやすくなる要素のひとつです。高齢医師の一部には横柄な態度の人が存在するからです。

 

また、高齢医師には昔ながらの治療にこだわる人も散見します。標準的治療を逸脱していると、後遺障害が非該当になりやすいです。

 

 

物理療法を併設している医療機関

 

物理療法を併設している医療機関には通院しやすいメリットがあります。頻回に主治医と顔を合わすのは気まずいですが、物理療法なら通院のハードルが下がります。

 

しかし、最近は物理療法の保険点数が下がってきたため、新設クリニックを中心に物理療法を併設していない施設が増加しています。

 

 

 

 

非該当となる傷病名

骨挫傷

 

自賠責保険では、高確率で非該当になる傷病名があります。その代表は骨挫傷です。骨挫傷とは、外部から大きな衝撃が加わった結果、骨の内部に浮腫や出血を併発している病態と言われています。

 

骨挫傷はMRIが広く普及したことによって生まれた概念で、私が医師に成り立ての頃は一般的とは言い難い傷病名でした。骨挫傷を簡単に言うと、骨の中に発生した内出血です。皮膚で言うと青あざのようなものです。

 

MRIでは、地図状のT1 強調画像・低信号領域、T2強調画像・高信号領域として描出されます。文献的にはMRIでの異常信号像は約6週間~12週間で消退するとされています。

 

骨挫傷の病態や定義には、ややあいまい点があります。このため、単純X線像で骨折をみとめない不全骨折の症例が、骨挫傷として扱われているケースさえあります。

 

一方、交通事故の実務では、後遺障害診断書に「骨挫傷」という傷病名が付いている場合には注意が必要です。なにしろ審査側は骨挫傷というフレーズに忌避感を抱いているのかと思うほど、非該当率が上昇するからです。

 

自賠責保険の後遺障害認定では、骨挫傷=非該当という等式が成り立っています。骨挫傷は永続する後遺障害の原因とはみなされていないのです。

 

骨挫傷そのものは、MRIの経時的なフォローで消失する症例が多いです。このため骨挫傷では後遺障害は残存しないという単純な結論に至るのでしょう。

 

もちろん実臨床にはいろいろなパターンがあります。骨挫傷と言えども、疼痛が残存する症例が一部に存在するのも事実です。

 

このような症例では、打撲や捻挫といった骨挫傷以外の傷病名の付与が必要です。骨挫傷単独では等級認定可能性はゼロだからです。自賠責保険の実情は、弁護士サイドでしっかり把握しておく必要があるでしょう。

 

 

<参考>
【医師が解説】骨挫傷の後遺症で等級認定されるポイント|交通事故
【日経メディカル】骨挫傷は交通事故診療では禁忌ワード!

 

 

bone bruise

 

 

脳脊髄液減少症(低髄液圧症候群)

 

脳脊髄液減少症は、脳脊髄液が脳脊髄液腔から漏出することで減少してしまい、頭痛・めまい・耳鳴り・倦怠感などのさまざまな症状を呈する疾患です。2002年に、平塚共済病院・脳神経外科部長であった篠永医師によって提唱されました。

 

しばらく注目を集めることは無かったのですが、2005年に交通事故で脳脊髄液減少症を発症したとされる患者と損害保険会社との間で訴訟が提起されました。

 

そして2006年には、脳脊髄液減少症を事故の後遺障害として認める司法判断が下されました。むち打ち症=脳脊髄液減少症という報道がなされた結果、世間の関心が一気に高まりました。

 

しかし、脳脊髄液減少症は国際疾病分類には記載されておらず、現状では保険病名でさえもありません。つまり、脳脊髄液減少症と言われている患者は、日本にしか存在しないのです。統一的な診断基準が存在せず、混乱に拍車がかかっています。

 

脳脊髄液減少症は、特発性と外傷性に分類されます。臨床的には脳脊髄を収納している硬膜は、比較的強靱な組織です。このため、追突事故等の軽微な外力で硬膜が破綻することは少し考えにくいです。

 

また、多くの脳脊髄液減少症といわれている症例で、客観的な画像所見が無いことも、疾患の存在を疑問視する一因となっています。実際、大きな外力が加わるスポーツ外傷後において、脳脊髄液減少症と診断されることはほとんどありません。

 

なぜか、交通事故や労災事故でしか発生しないことも問題を複雑にしています。このようなことが背景にあるため、多くの脳神経外科医は、外傷性の脳脊髄液減少症に対しては、その存在自体を疑問視しています。

 

このため、脳脊髄液減少症が主病名となっている場合には、客観的な画像所見を認めず医学的なエビデンスに乏しいことも多いため、対応が難しくなると言わざるを得ないのが実情です。

 

 

<参考>
【医師が解説】脳脊髄液減少症(低髄液圧症候群)の後遺症|交通事故

 

 

線維筋痛症

 

線維筋痛症は全身の疼痛や重度の倦怠感などの重い後遺症を残しやすい傷病ですが、自賠責保険では後遺障害に認定されることがほとんどありません。

 

その理由は、線維筋痛症の原因はよくわかっていないため、後遺障害の等級認定に必須である「交通事故との因果関係」を証明できないからです。

 

診断書や後遺障害診断書に線維筋痛症という傷病名が記載されている事案は、非該当になるリスクが上昇するので注意が必要です。

 

 

<参考>
【医師が解説】線維筋痛症の後遺症が等級認定されるヒント|交通事故

 

 

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Traffic accident patient

 

 

後遺障害認定のための医療鑑定の考え方

交通事故の異議申し立てでは新たな医証が必要

交通事故の異議申し立てでは、新たな医証の添付が無いと実質的には門前払いになると言われています。

 

このため等級認定を目指すためには、何らかの新たな医証を入手して異議申立てすることになります。

 

では、どのようにして新たな医証を入手すれば良いのでしょうか。新たな医証は、主治医が作成する診断書を取り付けるのが一般的です。

 

しかし、主治医は自賠責認定基準を全く理解していないので、単に取り付けるだけでは要領を得ない医証となってしまいがちです。

 

つまり、主治医から新たな医証を取得するだけで、自動的に等級認定されるわけではないのです。ここで登場するのが、主治医以外の医師が作成する意見書です。

 

交通事故の異議申し立てでは、医師意見書や画像鑑定などの医療鑑定を受けることで、後遺障害等級が認定される可能性が高まると言われています。

 

意見書や画像鑑定報告書は、医師が作成する文書なので、広義の医証に該当します。しかも、専門医が作成する医証なので効果がありそうに見えます。

 

しかし実際には、医師意見書や画像鑑定報告書といっても、後遺障害が認定される可能性が高まるのは、ごく一部の意見書や画像鑑定報告書に過ぎません。

 

 

medical comment

 

 

医師意見書や画像鑑定の効用

どのような意見書や画像鑑定報告書であれば、後遺障害認定の可能性を高めることができるかについて説明したいと思います。

 

一般的には被害者を直接診察していない医師が作成する意見書や画像鑑定報告書は、主治医が作成した診断書よりも信用力で劣ります。

 

画像所見や診療録を精査して意見書を作成するだけなので、実際に被害者を診察している主治医との情報格差は一目瞭然です。やはり主治医が作成する診断書もしくは医師意見書が最も説得力があるのです。

 

それでも、主治医以外の医師が作成した意見書が効力を発揮する場合があります。それは、自賠責認定基準に基づいて論理的に被害者の病態を説明している医師意見書です。

 

理詰めで後遺障害の存在を論じられると、審査側も認めざるを得ない状況に追い込まれます。自賠責認定基準に準拠した医学意見書や画像鑑定報告書は、異議申し立てにおいて効果を発揮するのです。

 

しかし、もし医師意見書や画像鑑定報告書を作成する医師が自賠責認定基準を理解していないとどうなるのでしょうか? 当然のごとく主治医の診断書を上回る効果を得ることはできません。

 

もともと主治医ほどには信用力の無い医師が作成する医師意見書や画像鑑定報告書は、自賠責認定基準に準拠して後遺障害の存在を論ずることでしか、主治医の診断書を上回ることができないからです。

 

つまり、交通事故の異議申し立てで医師の医師意見書や画像鑑定報告書が効果的なのは、作成する医師が自賠責認定基準を熟知している場合だけです。

 

弊社では数千例の事案に取り組んできました。その中には主治医の診断書や第三者の医師が作成した医師意見書や画像鑑定報告書を添付して、異議申し立てが行なわれた事案を数多く見かけました。

 

しかし、残念ながらその多くは、自賠責認定基準を満たした内容とは言い難いです。このため当然のごとく結果は伴いません。単に傷病の内容を論ずるだけでは、交通事故の異議申し立てで後遺障害等級は認定されないのです。

 

逆に言うと、自賠責認定基準に沿ったロジックで作成した医師意見書や画像鑑定報告書は、交通事故の異議申し立てで極めて効果的です。

 

 

CS-MRI C5-6

 

 

意見書や画像鑑定では自賠責認定基準の理解が必須

ここまで見てきたとおり、意見書や画像鑑定報告書を作成する医師が自賠責認定基準を熟知しているか否かが、後遺障害等級が認定されるうえで極めて重要なポイントです。

 

しかし、意見書や画像鑑定報告書を作成する医師が自賠責認定基準を熟知しているかは、外部からは伺い知ることはできません。

 

残念ながら、ある程度の数の医師意見書や画像鑑定報告書を作成したことのある医師と言えども、自賠責認定基準はほとんど知らないです。

 

その理由は、自賠責認定基準はブラックボックスだからです。相当数の交通事故事案を精査しないと自賠責認定基準は理解できません。

 

おそらく、数百程度の事案を分析するだけでは、自賠責認定基準を把握することは困難です。このため、世の中の医師のほとんどは自賠責認定基準を知らないと言っても過言ではないでしょう。

 

交通事故の異議申立てで、医師意見書や画像鑑定報告書を添付したいと考えているのであれば、意見書を作成する医師の質も考慮することを強くお勧めします。

 

お困りの事案があればこちらからお問い合わせください。

 

 

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Traffic accident patient

 

 

後遺障害の認定事例

高次脳機能障害で併合6級が認定されました

  • 被害者:41歳
  • 傷病名:高次脳機能障害、右動眼神経麻痺、右外斜視
  • 初回申請:7級
  • 異議申立て:併合6級

 

コメント
高次脳機能障害で後遺障害等級7級となった患者さんです。目に複視症状があるとして眼科専門医による意見書を添付して異議申立てしたところ、複視症状についても後遺障害が認められて併合6級の認定を受けました。

 

 

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頚椎捻挫で12級13号が認定されました

  • 被害者:42歳
  • 傷病名:頸椎捻挫
  • 初回申請:14級9号
  • 異議申立て:12級13号

 

コメント
自動車運転中のトラックによる追突事故です。被害者の自動車は全損でした。初回申請で14級9号が認定された段階で、弊社が相談を受けました。

 

頚椎MRIではC5/6で右後外側に巨大な椎間板ヘルニアを認めます。右上肢橈側から母指領域の疼痛と知覚障害が存在したため、意見書を作成して異議申立てしたところ12級13号が認定されました。

 

 

12-13

 

 

まとめ

 

交通事故で後遺障害に認定されると賠償金などの補償を得ることができます。しかし、すべての後遺症が自動的に後遺障害に認定されるわけではなく、後遺障害の認定率は約5.5%しかありません。

 

交通事故の後遺障害に認定されるためには、下記の3つの条件を満たす必要があります。

 

  • 交通事故と症状に因果関係がある
  • 症状が一貫して続いている
  • 症状を医学的に証明できる

 

 

これらの3条件を同時に満たすとともに、交通事故で発生するさまざまな外傷に応じた後遺障害認定のポイントを知っておく必要があります。

 

交通事故で負った後遺症が、後遺障害に認定されて補償を得るためには、戦略的な対策が必要なのです。

 

 

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