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【医師が解説】MMSEの認知症でのカットオフ値は?|遺言能力鑑定

MMSEは、国際的に用いられている神経心理検査のひとつです。認知症や高次脳機能障害が疑われるときに行われるケースが多いです。

 

本記事は、認知症や高次脳機能障害の評価で重要な役割を果たすMMSEを理解するヒントとなるように作成しています。

 

 

最終更新日:2023/12/17

 

MMSEとは

MMSEの概要

MMSE(Mini-Mental State Examination)は、認知機能低下を評価する国際的な神経心理検査のひとつです。

 

実臨床では、認知症や高次脳機能障害が疑われるときに、認知機能を評価する目的でMMSEが実施されます。

 

 

長谷川式認知症スケールとの比較

日本では、長谷川式認知症スケール(HDS-R)がよく使われています。MMSEと長谷川式認知症スケールの比較は、以下のごとくです。

 

  • 所要時間は両方とも10分程度
  • MMSEは、記憶力、言語能力、視空間認知能力を評価できる
  • 長谷川式認知症スケールは、記憶力に重点を置いている

 

 

MMSEは世界各国で活用されていますが、長谷川式認知症スケールは日本でのみ使用されています。

 

 

<参考>
【医師が解説】長谷川式認知症スケールの解釈|遺言能力鑑定

 

 

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MMSEの特徴

 

  • 所要時間は約10分
  • 認知機能の低下程度を客観的に確認できる
  • 記憶力、言語能力、視空間認知能力の項目で構成されている
  • 30点満点中23点以下で認知症の疑いがある
  • 筆記用具、時計または鍵が必要

 

 

MMSEの評価項目

 

MMSE

 

 

【項目1】日時の見当識

【質問】今日は何年ですか?
【評価】年を答えられたら正解(1点)
 
【質問】今の季節は何ですか?
【評価】季節を答えられたら正解(1点)
 
【質問】今日は何曜日ですか?
【評価】曜日を答えられたら正解(1点)
 
【質問】今日は何月ですか?
【評価】月を答えられたら正解(1点)
 
【質問】今日は何日ですか?
【評価】日にちを答えられたら正解(1点)

 

注意点

  • 年は、西暦と年号のどちらでも正解とみなす
  • 季節は、梅雨や初冬でも正解とする
  • カレンダーの無い場所で質問する

 

 

【項目2】場所の見当識

【質問】ここは何県ですか?
【評価】県名を答えられたら正解(1点)
 
【質問】ここは何市ですか?
【評価】市の名称を答えられたら正解(1点)
 
【質問】ここは何病院ですか?
【評価】病院名を答えられたら正解(1点)
 
【質問】ここは何階ですか?
【評価】階を答えられたら正解(1点)
 
【質問】ここは何地方ですか?(例: 関東地方)
【評価】地方名を答えられたら正解(1点)

 

注意点

  • 正しい病院名を言えなくても場所さえ分かれば正解とする

 

 

【項目3】聴覚言語記銘

【質問】これから言う3つの言葉(桜、猫、電車など)を言ってみてください。あとでまた聞きますのでよく覚えておいてください。
【評価】「桜」と答えたら正解(1点)
    「猫」と答えたら正解(1点)
    「電車」と答えたら正解(1点)
 

注意点

  • 後で3つの言葉を必ず聞くことを伝える
  • 3つの言葉は無関係のものを使用する
  • 3つの言葉すべてを言えるまで最大6回まで繰り返す

 

 

【項目4】計算

【質問1】100から7を順番に引いてください(引き算を5回まで行う)。
【質問2】「フジノヤマ」を逆唱させる。
【評価】計算を1回正解するたびに1点で、合計5点
    逆唱は正解文字数1つにつき1点で、合計5点
 

注意点

  • 最初の93で失敗したら、その時点で終了
  • 93から7を引くと、などのヒントは不可

 

 

【項目5】遅延再生

【質問】先ほどで覚えてもらった言葉をもう一度言ってみてください(項目3の桜、猫、電車)
【評価】「桜」と答えたら正解(1点)
    「猫」と答えたら正解(1点)
    「電車」と答えたら正解(1点)
 

注意点

  • 植物、動物、乗り物などのヒントを与えても良い
  • すぐ全ての項目のヒントを与えない

 

 

【項目6】物の呼称

【質問】これから2つの品物(時計、ペンなど)を見せます。それが何か言ってください
【評価】「時計」と答えたら正解(1点)
    「ペン」と答えたら正解(1点)
 

注意点

  • 物品の正式名称ではなく通称でも正解とする

 

 

【項目7】復唱

【質問】私がこれから言う文章を繰り返してください。「みんなで、力を合わせて綱を引きます」
【評価】「みんなで、力を合わせて綱を引きます」と答えたら正解(1点)
 

注意点

  • 二度言いは禁止です
  • 評価は一度限りです

 

 

【項目8】3段階命令

以下のように、3つの指示を出して実行できるかどうかを判断します。
【質問】「右手にこの紙を持ってください」
    「それを半分に折りたたんでください」
    「机の上に置いてください」
【評価】指示毎に作業できれば1点ずつ加算する(3点)

 

 

【項目9】読字

【質問】次の文章を読んでその指示に従ってください。
    「眼を閉じなさい」
【評価】実行できたら加算する(1点)

 

 

【項目10】書字

【質問】何か文章を書いてください。
【評価】どのような文章でも書けたら加算する(1点)

 

 

【項目11】図形の描画

【質問】次の図形を書いてください。
【評価】重なり合う五角形の図形を正確に書き写せたら加算する(1点)

 

 

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MMSEのカットオフ値

28~30点: 異常なし

28点以上あれば、認知機能に問題はない状態と評価されます。

 

 

24~27点: 軽度認知障害(MCI)の疑い

認知機能に軽度の障害がある可能性があります。専門医を受診した方がよいかもしれません。

 

 

23点以下: 認知症疑い

認知機能に障害がある可能性があります。早期に専門医を受診する必要があります。

 

 

<参考>
【医師が解説】相続で認知症の程度はどこまで有効?|遺言能力鑑定

 

 

MMSEと長谷川式認知症スケールの違い

 

認知症の評価で世界的に有名なのは MMSE(Mini Mental State Examination)です。MMSEと長谷川式認知症スケールとの違いを知ることは重要です。

 

まず実施する前提の違いですが、MMSEを実施するには自力で字を書ける必要があります。一方、長谷川式認知症スケールは口頭だけで実施可能です。

 

MMSEは、言語機能や空間認知機能を必要とする項目があります。これらの認知機能の低下は、主に脳血管性認知症などで現れやすいです。

 

一方、長谷川式認知症スケールは、記憶力を中心とした質問形式で構成されています。そのため、長谷川式認知症スケールの点数が低い場合は、アルツハイマー型認知症の可能性を疑います。

 

 

高次脳機能障害の評価バッテリー

高次脳機能障害の神経心理学的検査

高次脳機能障害の神経心理学的検査には、全般的認知機能をみる検査と、記憶や前頭葉機能といった個別の認知機能を評価する検査に分けられます。

 

 

全般的認知機能を評価する検査

 

知能検査

 

記憶検査

 

 

個別の認知機能を評価する検査

 

言語機能検査

 

注意力検査

 

遂行(前頭葉)機能検査

 

 

推奨されている高次脳機能障害の評価バッテリー

高次脳機能障害の評価では、一般的に以下のような神経心理学的検査の組み合わせ(評価バッテリー)が推奨されています。

 

 

全般的認知機能検査

ウェクスラー成人知能検査 (WAIS-Ⅳ)

 

記憶機能検査

ウェクスラー記憶検査(WMS-R)
リバーミード行動記憶検査 (RBMT)

 

注意機能検査

TMT (trail making test) 線引きテスト

 

遂行機能検査

遂行機能の行動評価法 (BADS)
ウィスコンシンカードソーティングテスト(WCST)

 

社会的行動検査

認知-行動障害尺度(TBI-31)

 

 

 

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【弁護士必見】遺言能力が無いのは何点以下?

 

ここまでMMSEを解説してきましたが、端的に言ってどの程度の点数であれば遺言能力が無いと言えるのかを知りたい弁護士が多いことでしょう。

 

遺言の内容によって異なりますが、概ねMMSEが1桁であれば、遺言能力は無いと言って良いと思います。

 

一方、認知症疑いのカットオフ値は23点ですが、20点程度あれば簡単な遺言なら実用に耐えうると判断できます。

 

このあたりの議論は、実際の事案資料を精査しないと評価できないというのが正直なところです。

 

長谷川式認知症スケールが問題になっている遺言能力鑑定でお困りの事案があれば、こちらからお問い合わせください。

 

 

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認知症有無を証明する遺言能力鑑定という選択肢

 

遺言時に、認知症のために意思能力(遺言能力)が無かったことを証明する資料を収集することで、公正証書遺言の無効を主張できます。

 

しかし、最も客観的と思われる精神医学的な評価に関しては、片手落ちと言わざるを得ません。弊社に相談された事案の中にも、公正証書遺言の客観性に疑問符の付くケースが多数存在します。

 

このような事案では、公正証書遺言作成時に意思能力が無かったことを、遺言能力鑑定で主張可能なケースも少なくありません。

 

 

<参考>
【弊社ホームページ】遺言能力鑑定 特設サイト

 

 

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遺言能力鑑定に必要な資料

遺言者の没後であっても、下記のような資料があれば遺言能力鑑定は対応可能です。

 

  • 診断書(介護保険の主治医意見書を含む)
  • 診療録(カルテ)
  • 介護保険の認定調査票
  • 画像検査
  • 各種の検査結果
  • 看護記録
  • 介護記録

 

 

すべて揃っていることが望ましいですが、足りない資料があっても遺言能力鑑定できる可能性はあります。

 

これらの資料の受け渡しは、オンラインストレージもしくは郵送となります。安全性や利便性からオンラインストレージの利用を推奨しています。

 

ご依頼いただいた際に、オンラインストレージの使用方法を簡単にご説明させていただきます。

 

お困りの事案があれば、お問合せフォームからご連絡下さい。

 

 

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遺言能力鑑定を作成する流れ

遺言能力鑑定をご依頼後の大まかな流れは、以下の通りです。尚、没後鑑定では事前審査(95,000円+税)が本鑑定(350,000円+税~)とは別途で必須です。

 

  1. 弊社による簡易な資料確認結果のご連絡、および事前審査に関する見積書の送付
  2. お見積りにご承諾いただいた段階で、正式に事前審査を開始
  3. 事前審査が完了後、ご請求書の送付
  4. ご入金確認後、事前審査結果のご提出(電子データ)

 

 

事前審査の結果を踏まえて遺言能力鑑定(本鑑定)に進む場合には、以下の流れになります。
 

  1. 弊社より見積書を送付
  2. お見積りをご承諾いただいた段階で、正式に遺言能力鑑定を開始
  3. 遺言能力鑑定案完成後、電子データにてご確認いただき、修正点があれば調整
  4. 遺言能力鑑定の最終稿が完成した段階で、ご請求書の送付
  5. ご入金確認後、レターパックにて医師の署名・捺印入り原本の発送

 

 

遺言能力鑑定の作成にかかる期間

遺言能力鑑定を作成する期間は、お見積りをご了承いただいた時点から初稿提出まで約4週間です。

 

 

遺言能力鑑定の料金

生前鑑定

 

400,000円+税

 

 

没後鑑定

 

事前審査:95,000円+税
本鑑定 :350,000円+税

 

 

  • 没後鑑定では、事前審査(95,000円+税)が本鑑定(350,000円+税~)とは別途で必須です。
  • 本鑑定に進まない場合にも、事前審査費用の返金は致しかねます。
  • 上記料金は目安となるものであり、資料の分量・難易度によって変動する場合があります。まずはお気軽にご相談ください。

 

 

 

 

まとめ

 

MMSEとは、認知症や高次脳機能障害が疑われるときに、認知能力を評価するスクリーニングテストです。

 

MMSEの所要時間は約10分で、記憶力・言語能力・視空間認知能力を評価できます。

 

30点満点中の何点かで、認知障害の程度を判定します。23点以下では認知障害が存在する可能性ありと判断されます。

 

 

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