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【医師が解説】鎖骨骨折が後遺症認定されるポイント|交通事故

交通事故で鎖骨骨折を受傷して後遺症が残ったにもかかわらず、後遺障害が認定されない事案をよく見かけます。鎖骨骨折のどのような後遺症が、後遺障害に認定されるのでしょうか。

 

本記事は、鎖骨骨折の後遺症が、自賠責保険で後遺障害に認定されるヒントとなるように作成しています。

 

 

最終更新日:2024/4/19

 

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Table of Contents

鎖骨骨折とは

鎖骨は胴体と腕を橋渡ししている骨

鎖骨は、胴体と腕の間を橋渡ししている骨です。このため、鎖骨を骨折すると、腕を挙げられなくなります。

 

腕を90度挙げても鎖骨は動きませんが、それ以上挙げると鎖骨は回旋しながら動きます。このため、90度以上腕を挙げると、鎖骨の骨折部の痛みが悪化します。

 

 

shoulder

 

 

鎖骨骨折の原因

鎖骨は胸骨と上腕骨とをつなぐ橋渡しの役割を果たす骨です。交通事故では、自転車・バイク乗車中や歩行中など、自分の体が外にある状況で、鎖骨骨折を受傷しやすいです。

 

身体の前から直接ぶつかられたり、肩関節の外側から力が加わったり、手をついたりすると、鎖骨骨折を受傷します。

 

 

鎖骨骨折の種類

鎖骨骨幹部骨折

鎖骨では骨折する場所によって、近位端、骨幹部、遠位端骨折と分類されます。最も多いのは鎖骨骨幹部骨折です。

 

鎖骨の近位側が胸鎖乳突筋に引っ張られて頭側に転位します。骨折による変形も大きいため、体の表面からでも骨折していることが分かるケースが多いです。

 

 

鎖骨遠位端骨折

鎖骨遠位端骨折は、肩甲骨の一部についている靱帯のおかげで、転位が少ないケースが多いです。

 

しかし、後述するクラビクルバンドによる保存療法が無効なので、骨がつかない(偽関節や遷延癒合)可能性があります。

 

このため、鎖骨遠位端骨折では、手術療法が選択される症例が多いです。

 

 

<参考>
【医師が解説】偽関節の後遺症が等級認定されるポイント|交通事故

 

 

鎖骨近位端骨折

鎖骨の近位端についている胸鎖靱帯は強靱なので、鎖骨近位端骨折はそれほど起こりません。

 

 

clavicule fracutre

 

 

鎖骨骨折の症状

 

鎖骨骨折では、以下のような症状を認めるケースが多いです。

 

  • 痛み
  • 腫脹
  •     

  • 皮下出血

 

骨折の転位(ずれ)が大きくなると、鎖骨の骨片が重なり合って短縮するため、肩幅が狭くなるケースもあります。

 

 

鎖骨骨折の痛みのピークは受傷後2~3週間

鎖骨骨折の痛みのピークは受傷後2~3週間程度です。骨折部の痛みは受傷後1ヶ月もすると、かなり軽減します。受傷後2ヶ月ごろにはほとんど痛みを感じない人が多いです。

 

 

鎖骨骨折の診断

レントゲン検査

鎖骨骨折では、レントゲン検査(単純X線像)で診断します。鎖骨骨幹部骨折や鎖骨遠位端骨折の診断は容易ですが、鎖骨近位端骨折では肋骨が邪魔になって診断が難しいケースもあります。

 

 

CT検査

手術を検討する症例や鎖骨近位端骨折では、CT検査をすることもあります。

 

 

鎖骨骨折の治療

鎖骨骨折の保存療法

鎖骨骨幹部骨折(鎖骨の真ん中)では、クラビクルバンドという鎖骨骨折用の装具を使用します。受傷から4週間程度は、クラビクルバンドに加えて三角巾の使用も必要です。

 

一方、鎖骨遠位端骨折ではクラビクルバンドは無効です。ずれ(転位)の少ない症例では三角巾のみで治療するケースがありますが、基本的には手術が必要です。

 

 

鎖骨骨折の手術療法

鎖骨骨幹部骨折は、偽関節になると治療が厄介になる骨折です。このため、大きく転位した骨折や、第3骨片を伴う骨折では、手術治療を選択することも多いです。

 

しかし、鎖骨骨幹部骨折では決定打となる術式がありません。鎖骨骨幹部骨折の手術には、主に下記のような2つの術式があります。

 

一般的には、プレート固定術で鎖骨を強固に固定する手術法を選択することが多いです。

 

 

鋼線(K-wire)を用いた経皮的骨接合術

 

K-wireを用いた経皮的骨接合術は低侵襲ではあるものの、固定性がイマイチなので刺入部からK-wireが抜けてきます。

 

骨癒合が速いか、K-wireが抜けてくるのが速いかの競争になるので、主治医的にはあまり気持ちの良い術式ではありません。

 

 

プレート固定術

 

プレート固定術はチタン製のプレートを用いて鎖骨をがっちり固定するので固定性は良好です。しかし問題点としては創周囲のしびれ、および筋萎縮が挙げられます。

 

創周囲にしびれが残るのは、アプローチの関係で鎖骨上神経という皮神経を必ず損傷するからです。このしびれはなかなか改善しないため、後述するように後遺障害14級9号に認定されることが多いです。

 

 

<参考>
【医師が解説】鎖骨遠位端骨折に続発する肩関節可動域制限

 

 

鎖骨骨折をプレート固定すると痛い?

 

鎖骨骨折の術後にも痛みが続くケースがあります。疼痛が残る要因は2つあります。

 

1つ目は、鎖骨は皮膚の直下にあるので、物理的に皮膚がすれて痛みや違和感が残りやすいことです。術後の腫れがひくと皮膚のすぐ下にプレートを触ることができます。

 

2つ目は、鎖骨遠位端骨折にクラビクルフックプレートを使用した手術を施行した場合です。プレートのフック部分が肩峰に引っかかって、痛みや肩関節の可動域制限の原因になります。

 

このため、鎖骨遠位端骨折のクラビクルフックプレート手術を施行した事案では、14級9号の神経障害や12級6号の肩関節機能障害が認定される事案が多いです。

 

 

鎖骨骨折の手術費用

 

健康保険が3割負担のケースでは、入院にかかる期間と費用の概算は以下のようになります。

 

期間:4~10日
費用:16~20万円

 

上記の期間や金額はあくまでも目安です。個々の症例によって期間や金額が変わるのでご了承ください。

 

 

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鎖骨骨折の過ごし方

鎖骨骨幹部骨折の保存療法では、日中はクラビクルバンドを装着します。就寝時や入浴時には、クラビクルバンドを外しても大丈夫です。

 

鎖骨遠位端骨折の保存療法では、三角巾のみでクラビクルバンドは不要です。しかし、鎖骨遠位端骨折では、転位がほとんど無くても偽関節化するケースが少なくないので注意が必要です。

 

鎖骨骨幹部骨折や鎖骨遠位端骨折で手術を施行した場合には、術後4週程度は肩関節を90度以上挙上するのは控えた方がよいです。

 

 

タバコ(喫煙)は鎖骨骨折の大敵

保存療法、手術療法とも、喫煙者は非常に骨癒合が遅れ、また偽関節化する確率が高いです。他の骨折と比べても、喫煙の及ぼす悪影響は鎖骨骨折で特に顕著です。

 

私の経験でも、喫煙者のレントゲン写真では驚くほど骨のつきが悪いです。鎖骨骨折を受傷した人は、禁煙することを強く推奨します。

 

 

鎖骨骨折に関するQ&A

鎖骨骨折は全治何ヶ月?

ズレ(転位)の程度や骨折形態によって異なりますが、鎖骨骨折ではおおむね3ヵ月で骨癒合するケースが多いです。

 

ただし、骨が十分な強度を獲得するには半年から1年かかるため、激しいコンタクトスポーツは半年から1年は控えた方が無難です。

 

 

鎖骨骨折が「ずれてくっつく」とどうなる?

日常生活で大きく困ることはありません。瘦せ型の人では骨折部が膨らんでいることを確認できますが、痛みを残すケースはそれほどありません。

 

しかし、後述するように後遺障害のうち変形障害に該当する可能性があります。

 

 

clavicule fracutre CT

 

 

鎖骨骨折の運転はいつから?

骨癒合が完了する受傷後3ヵ月がひとつの目安となるでしょう。プレートを用いた手術療法の場合には、もう少し時期が早まるケースが多いです。

 

 

鎖骨骨折の運動はいつから?

結論から申し上げると、骨癒合が完了する受傷後3ヵ月がひとつの目安となるでしょう。ただし、骨が十分な強度を獲得するには、半年から1年かかります。

 

このため、受傷してから半年から1年間は、鎖骨骨折部に衝撃が加わるスポーツを避ける必要があります。

 

一方、ジョギングなどの鎖骨骨折部に負荷のかからないスポーツは、受傷後3ヵ月程度で問題ないケースが多いです。

 

骨癒合の時期は、骨折型によってさまざまです。上記で挙げた期間はあくまでも目安に過ぎません。主治医の指示に従いましょう。

 

 

鎖骨骨折の安静期間は?

鎖骨骨折の安静期間には、年齢によってかなり幅があります。乳幼児では2~3週間、小中学生では4~6週間程度です。

 

高校生以上では、受傷後2~3ヵ月の安静期間が必要です。ただし、骨折型によっても変わるため、あくまでも目安に過ぎません。主治医の指示に従いましょう。

 

 

鎖骨骨折は自然治癒する?

鎖骨骨折でも転位(ずれ)の小さい症例では、自然治癒することもあります。しかし、自然治癒を期待して医療機関を受診しないのは禁物です。鎖骨の異常な痛みや腫れがあれば必ず受診しましょう。

 

 

鎖骨骨折を早く治す方法は?

鎖骨骨折に限らず、骨折部位や年齢によって治る期間はある程度決まっています。このため、鎖骨骨折を早く治す方法は無いと言えます。

 

一方、禁煙や安静指示を守らないと、骨癒合が遅くなる可能性があります。

 

 

<参考>
【医師が解説】偽関節の後遺症が等級認定されるポイント|交通事故

 

 

upper limb

 

 

鎖骨骨折が後遺障害認定されると損害賠償金を請求できる

 

鎖骨骨折で後遺障害に認定されると、後遺障害慰謝料と後遺障害逸失利益を請求できます。

 

 

鎖骨骨折の後遺障害慰謝料とは

交通事故で鎖骨骨折の後遺障害が残ってしまった精神的苦痛に対する補償金です。後遺障害慰謝料は、下の表のように後遺障害等級によって異なります。

 

 

後遺障害等級

後遺障害慰謝料

1級

2800万円

2級

2370万円

3級

1990万円

4級

1670万円

5級

1400万円

6級

1180万円

7級

1000万円

8級

830万円

9級

690万円

10級

550万円

11級

420万円

12級

290万円

13級

180万円

14級

110万円

 

 

鎖骨骨折の後遺障害逸失利益とは

鎖骨骨折で後遺障害が残ると、労働能力が低下してしまいます。労働能力が低下したために失うであろう収入の不足分に対する補償金です。

 

後遺障害逸失利益は、交通事故被害者の年収、年齢をベースにして、後遺障害等級に応じた労働能力喪失率と労働能力喪失期間で決まります。

 

 

後遺障害逸失利益の計算式

鎖骨骨折の後遺障害逸失利益は、以下の計算式で算出されます。

 

基礎収入×労働能力喪失率×労働能力喪失期間に対するライプニッツ係数

 

 

inquiry

 

Traffic accident patient

 

 

鎖骨骨折後遺症の後遺障害

 

鎖骨骨折では、変形障害、機能障害、神経障害の3つの後遺障害に認定される可能性があります。

 

<参考>
【国土交通省】後遺障害等級表

 

 

変形障害

12級5号: 鎖骨に著しい変形を残すもの

 

鎖骨の変形は手術をすれば改善するため、変形そのもので等級認定されるケースは多くありません。一方、手術を施行しても骨折部が十分に癒合しない症例を散見します。

 

全く骨癒合していない状態を偽関節、一部分だけしか骨癒合していない状態を遷延治癒と呼びます。いずれも「鎖骨に著しい変形を残すもの」として12級5号に認定される可能性があります。

 

保存的治療を選択した場合は、手術症例と比較して偽関節や遷延治癒に至る可能性が少し高くなります。このような症例でも「鎖骨に著しい変形を残すもの」として12級5号に認定される可能性があります。

 

また、鎖骨の変形そのものでも「鎖骨に著しい変形を残すもの」として12級5号に認定される可能性があります。

 

この場合の「著しい変形」とは衣服を脱いで裸の状態になったとき、明らかに骨が変形していると分かる状態のことを意味します。

 

 

機能障害(肩関節の可動域制限)

鎖骨骨折における機能障害とは、肩関節の可動域制限です。骨折部が特に遠位(体の中心からより遠く)になればなるほど肩関節の機能障害が出現しやすくなります。

 

しかし、鎖骨骨折は肩関節と直接関係のない部位の骨折です。そのため、交通事故と機能障害との因果関係が問われるケースを多く経験します。

 

肩関節の機能障害が残存した場合、以下のような後遺障害等級が認められる可能性があります。

 

 

8級6号: 1上肢の3大関節中の1関節の用を廃したもの

 

肩関節が強直またはこれに近い状態にあるものです。これに近い状態とは、自動(自分で動かすこと)で健側(ケガをしていない側)の可動域の10%程度以下に制限された状態です。

 

<参考>
【医師が解説】自動運動と他動運動の違いで後遺障害に差も|交通事故
【日本骨折治療学会】関節可動域表示ならびに測定法

 

 

10級10号: 1上肢の3大関節中の1関節の機能に著しい障害を残すもの

 

肩関節の関節運動が、健側の1/2以下の可動域に制限されているものです。

 

 

12級6号: 1上肢の3大関節中の1関節の機能に障害を残すもの

 

肩関節の関節運動が、健側の3/4以下の可動域に制限されているものです。

 

<参考>
【医師が解説】肩関節拘縮(拘縮肩)の原因と画像所見|交通事故
【医師が解説】鎖骨遠位端骨折に続発する肩関節可動域制限

 

 

神経障害(骨折部の痛み)

12級13号:局部に頑固な神経症状を残すもの

 

骨が部分的にしかついていない場合(遷延治癒)では、変形障害(12級5号)ではなく、12級13号が認定されるケースがあります。

 

<参考>
【医師が解説】偽関節の後遺症が等級認定されるポイント|交通事故

 

 

14級9号:局部に神経症状を残すもの

 

鎖骨骨折の手術を受けた場合、必ずといっていいほど出現するのが鎖骨上神経障害です。手術によって鎖骨上神経が切断されるため、手術痕の足側に感覚障害を起こす症例を多く経験します。

 

しかし、患者さん本人が自覚されていない場合があり、見逃されやすい障害です。症状がある場合には、「局所に神経症状を残すもの」として第14級9号が認定されるケースが多いです。

 

 

 

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【弁護士必見】鎖骨骨折後遺症の後遺障害認定ポイント

鎖骨骨折全般の後遺障害認定ポイント

鎖骨骨折後に患者さんが後遺障害認定を受けるためには、定期的な整形外科への通院および画像検査が必要となります。

 

頚椎捻挫や腰椎捻挫ほどの通院頻度は必要ありませんが、通院回数が少な過ぎると後遺障害が非該当になる可能性があります。

 

鎖骨の変形癒合を評価するためには、裸体になったときの肉眼写真が有用です。患者さん自身で撮影して記録しておくことをおすすめ致します。

 

 

鎖骨骨折には3系列の後遺障害がある

鎖骨骨折には、以下の3系統の後遺障害があります。

 

  • 変形障害
  • 機能障害(肩関節の可動域制限)
  • 神経障害(骨折部の痛み)

 

鎖骨骨折では、変形障害と機能障害は併合される可能性があります。一方、神経障害が変形障害や機能障害と一緒に存在する場合には、通常派生する関係にあるとされて併合されません。

 

鎖骨骨折では、肩関節の機能障害は認定されにくい傾向があります。しかし、後遺障害が認定される可能性は、骨折型や治療経過によって異なります。

 

鎖骨骨折で認定された後遺障害で疑問点があれば、自賠責認定基準を熟知した整形外科医師に相談することが望ましいでしょう。

 

 

<参考>
【日経メディカル】癒合で安心しがちな鎖骨骨折、意外な後遺障害が隠れていることも…

 

 

 

nikkei medical

 

 

鎖骨遠位端骨折は後遺障害10級10号や12級6号の可能性がある

鎖骨骨折では、肩関節の可動域制限は残らないケースが多いですが、鎖骨遠位端骨折に関しては例外です。鎖骨骨幹部骨折と比べても、肩関節の可動域制限を残しやすいです。

 

特に鎖骨遠位端骨折の手術療法で、クラビクルフックプレートを使用した場合には、肩関節の可動域制限を残しやすいです。

 

一方、クラビクルフックプレートを使用しているからといって、自賠責保険は肩関節の関節機能障害を容易に認めません。このようなケースでは、肩関節外科医による医師意見書が必要です。

 

 

<参考>

 

 

鎖骨遠位端骨折による肩関節機能障害(可動域制限)

鎖骨遠位端骨折の治療は比較的難しいです。その理由は、鎖骨遠位端骨片が小さいため、強固な内固定を実施することが難しからです。

 

小さな骨片を固定するためにいくつかの手術法や内固定材料がありますが、最もよく選択されるのはクラビクルフックプレートを使用した骨接合術です。

 

clavicle hook plate

 

 

クラビクルフックプレートとは、上図のように遠位のフック部分を肩峰下にひっかけることで鎖骨骨片が上方に転位することを防ぐ内固定材料です。

 

手術手技が簡単なことと確実な固定性を得ることができるため、多くの施設で鎖骨遠位端骨折の手術で選択されています。

 

しかし、クラビクルフックプレートには大きな弱点が主に2つあります。いずれもフック部分に起因するものです。

 

1つ目はフック部分が肩峰を下方から削ってしまうことです。放置すると肩峰骨折を併発することがあるので術後3ヵ月以降で骨癒合を確認した時点で抜釘することが多いです。

 

2つ目は、フック部分が邪魔になって肩関節挙上時に外転制限を併発することです。通常、抜釘すれば速やかに肩関節可動域制限(主に外転制限)は改善します。しかし、中年以降の患者さんでは肩関節可動域制限が残存することも多いです。

 

一見すると肩関節そのものの外傷ではないのですが、クラビクルフックプレートが手術で使用されている場合、肩関節可動域制限を併発して12級6号や10級10号になることもあるので注意が必要です。

 

 

<参考>
【医師が解説】鎖骨遠位端骨折に続発する肩関節可動域制限
【医師が解説】肩鎖関節脱臼の後遺症が等級認定されるコツ|交通事故

 

 

鎖骨骨折のプレート固定術は後遺障害14級9号のしびれが必発

鎖骨骨折のプレート固定術では、創周囲にしびれが必ず残ります。その理由は、アプローチの関係で鎖骨上神経という皮神経を必ず損傷するからです。

 

このしびれはなかなか改善しないため、整形外科医の目線ではいわゆる後遺障害に該当すると考えています。

 

もし、鎖骨骨折に対するプレート固定を施行した事案で非該当になってしまったら、鎖骨上神経損傷によるしびれを主張して14級9号を認定してもえるように異議申し立てするべきです。

 

 

鎖骨骨折の変形障害は労働能力喪失を否定されやすい

鎖骨骨折に限らず変形障害は、保険会社から労働能力喪失を認められないと反論されるケースが多いです。

 

例えば、鎖骨骨折によって肩関節の関節可動域制限10級10号、変形障害12級5号で併合9級と認定された場合、保険会社は関節可動域制限10級相当の労働能力喪失率で考えるべきと反論することが多いです。

 

鎖骨骨折の後遺障害認定や労働能力喪失率で争いになれば、医師意見書画像鑑定報告書で反論することが望ましいでしょう。

 

 

<参考>
【日経メディカル】意見書で交通事故の後遺症が決まるってホント?

 

 

 

nikkei medical

 

 

【12級13号】鎖骨骨折後遺症の後遺障害認定事例

事案サマリー

  • 被害者:48歳
  • 事前認定:14級9号
  • 異議申し立て:神経障害として12級13号が認定

 

 

弊社の取り組み

鎖骨骨幹部骨折に対して、プレート固定術が施行されましたが痛みが残りました。

 

単純X線像(レントゲン検査)では骨癒合しているように見えるため、事前認定では14級9号にとどまりました。

 

弊社でCT検査を追加施行することを提案したところ、骨幹部に遷延癒合を確認できました。

 

術後に痺れが残存した鎖骨上神経障害も加味された可能性もありますが、神経障害として12級13号が認定されました。

 

 

clavicle fracture

 

 

鎖骨骨折後遺症のまとめ

 

鎖骨骨折後の後遺症について解説しました。変形障害、機能障害、神経障害などが認められる可能性があります。特に鎖骨遠位端骨折で、クラビクルフックプレートを使用した手術療法を受けているケースでは、10級10号、12級6号、14級9号に認定される可能性があります。

 

鎖骨骨折で予想していた後遺障害が認定されず、お困りの事案があればこちらからお問い合わせください。

 

 

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