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【医師が解説】鎖骨骨折の後遺症ー交通事故ー

交通事故で鎖骨骨折を起こし、後遺障害等級が認定されずにお困りの事例相談をよく経験します。鎖骨骨折後にどのような障害が残存すれば、適切な後遺障害等級が認定されるのでしょうか。
 
本記事は、鎖骨骨折の後遺症が等級認定されるヒントとなるように作っています。
 

鎖骨骨折-交通事故の後遺症-

shoulder
 
鎖骨は胸骨と上腕骨とをつなぐ橋渡しの役割を果たす骨です。鎖骨骨折はバイクや自転車、歩行者など自分の体が外にある状態の場合によく経験します。前から直接ぶつけたり、肩関節の外側から力が加わったり、手をついたりすると鎖骨骨折が起こることがあります。
 

鎖骨骨折とは

upper limb
 
鎖骨は体幹と上肢との間で橋渡しになっている骨ですので、骨折すると上肢を挙上する際に痛みが出ます。90度までの挙上では鎖骨は動きませんが、それ以上挙上すると、鎖骨は回旋しながら動きます。そのため、90度以上上肢を挙上すると、痛みが出ます。
 
骨折する場所によって、近位端、骨幹部、遠位端骨折と分類されます。しかし、鎖骨近位端についている胸鎖靱帯は強靱なので、近位端骨折はそれほど起こりません。最も多いのは骨幹部骨折で、近位側が胸鎖乳突筋に引っ張られ、頭側に転位します。遠位端骨折は肩甲骨の一部についている靱帯のおかげで転位が少ないケースが多いです。
 

鎖骨骨折で考えられる後遺症には何があるの?

鎖骨骨折で後遺障害に認定されうる後遺症では、変形障害、機能障害、神経障害の3つが考えられます。
 

変形障害

鎖骨の変形は手術をすれば改善するため、変形そのもので等級認定されるケースは多くありません。一方、手術を施行しても骨折部が十分に癒合しない症例を散見します。全く骨癒合していない状態を偽関節、一部分だけしか骨癒合していない状態を遷延治癒と呼びます。いずれも「鎖骨に著しい変形を残すもの」として12級5号に認定される可能性があります。
 
保存的治療を選択した場合は、手術症例と比較して偽関節や遷延治癒に至る可能性が少し高くなります。このような症例でも「鎖骨に著しい変形を残すもの」として12級5号に認定される可能性があります。
 
また、鎖骨の変形そのものでも「鎖骨に著しい変形を残すもの」として12級5号に認定される可能性があります。この場合の「著しい変形」とは衣服を脱いで裸の状態になったとき、明らかに骨が変形していると分かる状態のことを意味します。
 

機能障害

鎖骨骨折における機能障害とは、肩関節の可動域制限です。骨折部が特に遠位(体の中心からより遠く)になればなるほど肩関節の機能障害が出現しやすくなります。
 
しかし、鎖骨骨折は肩関節と直接関係のない部位の骨折です。そのため、交通事故と機能障害との因果関係が問われるケースを多く経験します。肩関節の機能障害が残存した場合、以下のような後遺障害等級が認められる可能性があります。
 

  • 第8級6号:一上肢の三大関節の一関節の用を廃したもの
  • 第10級10号:一上肢の三大関節の一関節の機能に著しい障害を残すもの
  • 第12級6号:一上肢の三大関節の一関節の機能に障害を残すもの

 

神経障害

鎖骨骨折の手術を受けた場合、必ずといっていいほど出現するのが鎖骨上神経障害です。手術によって鎖骨上神経が切断されるため、手術痕の足側に感覚障害を起こす症例を多く経験します。
 
しかし、患者さん本人が自覚されていない場合があり、見逃されやすい障害です。症状がある場合には、「局所に神経症状を残すもの」として第14級9号が認定されるケースが多いです。さらには、骨がついていない場合、12級13号の場合もあります。
 

鎖骨骨折と後遺障害等級認定のポイント

鎖骨骨折後に患者さんが後遺障害等級認定を受けるためには、定期的な整形外科への通院および画像検査が必要となります。整形外科への通院頻度が少ないと、通院慰謝料が少なく算定される可能性があります。
 
画像検査ではレントゲンやCTを行いますが、鎖骨の変形癒合を評価するためには裸体になったときの肉眼写真も有用です。患者さん自身で撮影・記録を残しておくことをおすすめ致します。
 

後遺障害等級の認定事例(12級13号が認定されました)

  • 被害者:48歳
  • 後遺障害の等級:神経障害として12級13号が認定
  • コメント:鎖骨骨幹部骨折術後に痺れが残存し、肩甲上神経障害が出現しました。
    CTでは骨幹部に遷延癒合があり、それを加味された可能性もありますが、神経障害として14級9号→12級13号が認定されました。

 
clavicle fracture
 

鎖骨による後遺症で争いになりやすいポイント

鎖骨骨折では、特に手術を受けた患者さんにおいて後遺症で争いになりやすいです。手術がうまくいくと鎖骨は元通りに整復され、転位(=骨折部のずれ)も少ないため、癒合状態も良好と判断されます。
 
適切な治療を受けたばかりに、変形障害には当たらず、肩関節とは直接の関係が無いという理由で機能障害も認定されません。その場合は、前述の神経障害について確認しましょう。主治医へ後遺障害診断書に記載して頂くことで等級認定される可能性があります。
 

まとめ

鎖骨骨折後の後遺症について解説しました。変形障害、機能障害、神経障害などが認められる可能性があります。鎖骨骨折後にこのような症状でお困りの事案がございましたら、弊社へご相談下さい。
 

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