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【医師が解説】頚椎椎間板ヘルニアの後遺症と後遺障害認定ポイント|医療鑑定

交通事故で問題になる首の外傷のひとつに頚椎椎間板ヘルニアがあります。頚椎椎間板ヘルニアの主な原因は加齢や無理のかかる動作や作業などです。

 

しかし、交通事故を契機に発症するケースも多く、いわゆる追突事故で生じる「むちうち」と呼ばれる状態です。

 

本記事は、頚椎椎間板ヘルニアの後遺症が等級認定されるポイントを分かりやすく解説します。

 

 

最終更新日: 2024/9/8

 

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頚椎椎間板ヘルニアとは

 

脳から手足に向かう神経は、背骨の中の空間(脊柱管)を通って首の骨(頚椎)まで来ます。頚椎は竹の節のように連なっており、頚椎の間から手に向かう神経(神経根)が出てきます。

 

足に向かう神経は首の部分では外に出ず、そのまま脊柱管を通って腰の骨(腰椎)まで行きます。そして、腰椎の間から足に向かう神経(神経根)が出ていきます。

 

頚椎の間には、椎間板という一種のクッションのような働きをする軟部組織があります。正常な椎間板には弾性があるので、首が前後左右に動くことができます。

 

交通事故などによって外部から強い衝撃が頭や首に伝わると、頚椎の間にある椎間板が損傷して脊柱管の中に突出します。首の椎間板が突出した状態を、頚椎椎間板ヘルニアと言います。

 

椎間板が突出すると、その近くを走っている脊髄や神経根を圧迫して、上肢の痛みやしびれが出現します。

 

 

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頚椎椎間板ヘルニアの受傷機序

 

頚椎椎間板ヘルニアの原因として最も多いのは、加齢や無理のかかる動作や作業などです。

 

一方、自動車運転中や停車中に後方や側方から追突されることで、症状が出現することもあります。

 

 

既存症の頚椎椎間板ヘルニアの有症化

もともと無症状の頚椎椎間板ヘルニアを持っていた人に、交通事故をきっかけにして症状が出現するケースがあります。交通事故診療の頚椎椎間板ヘルニアでは最も頻度が高いパターンです。

 

事故の衝撃で頭蓋骨が前後・左右に大きく揺さぶられ、首が鞭(むち)をうつような動きをすることから、むちうち症とも呼ばれます。

 

 

外傷性頚椎椎間板ヘルニア

大きな事故で頭部を激しく打った場合には、外傷性の頚椎椎間板ヘルニアを発症する可能性があります。

 

規模の小さい事故においても、衝突を防御する体勢をとれず、不意に追突されることで発生する場合もあります。

 

受傷後早期に頚椎MRIを撮像すると、椎間板が高信号に変化しているため、外傷性の診断をつけることが可能となります。

 

 

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頚椎椎間板ヘルニアの症状

上肢の症状

頚椎椎間板ヘルニアの症状として最も多いのは上肢(首から手にかけて)の痛みやしびれ、そして脱力感です。上肢の症状に加えて、後頚部痛を引き起こす場合があります。

 

お箸を使いにくくなったり、ボタン掛けや書字が難しくなるケースもあります(巧緻性障害)。

 

 

下肢の症状

頚椎椎間板ヘルニアでは上肢の症状だけではなく、下肢の症状を併発することもあります。下肢の症状が出現すると、歩行がぎこちなくなって転倒しやすくなります。

 

 

膀胱直腸機能障害

膀胱直腸機能では、尿の回数が減ったり尿が出なくなること(尿閉)もあります。また残尿感が出現したり、尿失禁するケースもあります。

 

便が出にくくなったり、肛門に力が入らず便秘になることもあります。便が漏らしてしまう便失禁のケースも散見します。

 

 

頚椎椎間板ヘルニアの診断

 

まず単純X線像(レントゲン検査)が行われます。単純X線像では、椎体の後ろ側に骨棘を形成していたり、椎間板高が減少しているケースが多いです。

 

痛みが長引く場合や神経症状(上肢の痛みやしびれ、運動障害、歩行障害、膀胱直腸障害)を伴う場合は、MRI検査が必須です。

 

頚椎MRIでは下の画像のように椎間板が神経を圧迫しています(矢印)。

 

 

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頚椎椎間板ヘルニアに対する治療

頚椎椎間板ヘルニアの保存療法

交通事故直後の痛みが強い時期には、首の安静と消炎鎮痛剤の服用が一般的です。症状に応じて、頚椎カラー装着や牽引などの物理療法を行うこともあります。

 

 

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頚椎椎間板ヘルニアの手術療法

脊髄や神経根への圧迫が高度で、運動麻痺(筋力低下)や高度の痛みやしびれが続いて軽快しない場合には、頚椎の手術が行われることもあります。

 

手術療法には、前方法と後方法の2種類あります。前方法では神経を圧迫している椎間板を摘出して、空いたスペースに金属や自分の骨を移植します。

 

後方法では椎間板ヘルニアを直接切除するのではなく、背中側の骨を切除することで神経にかかっている圧迫を逃します。

 

 

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頚椎椎間板ヘルニアで考えられる後遺障害

12級13号:局部に頑固な神経症状を残すもの

局部とは、頚椎捻挫においては頚椎(首)をさします。神経症状とは、頚椎捻挫に由来する症状をさします。

 

12級13号認定のためには、まずレントゲン検査での骨棘(頚椎加齢の変化)と椎間板高の減少、MRI検査での椎間板ヘルニアによる神経の圧迫所見があることが必須です。

 

自覚症状だけでは不十分で、客観的な症状が必要とされます。客観的な症状には、筋力低下、筋肉の萎縮(やせて細くなる)、深部腱反射の異常(医師がゴムハンマーを使って行う検査)をさします。

 

 

<参考>
【医師が解説】深部腱反射は12級の後遺症認定のポイント|交通事故

 

 

筋力低下は、医学的には徒手筋力テスト(MMT)で評価され、筋力が正常な5から完全運動麻痺の0までの6段階で記載されます。

 

しびれ(知覚障害)の範囲も、圧迫されている神経の支配領域に一致している必要があります。筋電図や神経伝導検査といった特殊な検査の異常値も客観的な所見に含まれます。

 

 

14級9号:局部に神経症状を残すもの

局部とは、頚椎椎間板ヘルニアでは頚椎(首)をさします。神経症状とは、頚椎捻挫に由来する症状をさします。上肢の痛みやしびれに留まらず、頚部痛も含まれます。

 

将来においても、回復は見込めないと医師が判断した状態であること(症状固定)が前提になります。

 

症状の常時性(時々痛みがあるのではなく、常に痛みがある)が認定要件です。「天気が悪いときに痛い」といったように症状の消失する時間があると認定されません。

 

また、交通事故と本人の感じる後遺症に因果関係が認められることが条件となるため、あまりに車体の損傷が小さい軽微な交通事故は非該当とされることが多いです。

 

 

 

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【弁護士必見】頚椎椎間板ヘルニアの後遺障害認定ポイント

 

頚椎椎間板ヘルニアが後遺障害に等級認定されるポイントは、頚椎捻挫(むちうち)と同じです。

 

下記に頚椎捻挫の等級認定のポイントについてまとめているので、是非参照してください。

 

 

<参考>
【医師が解説】頚椎捻挫(むちうち)の後遺症認定のヒント|交通事故

 

 

頚椎椎間板ヘルニアでお困りの事案があれば、年間1000事案におよぶ圧倒的な取り扱い事案数に裏打ちされた弊社までこちらからご相談ください。

 

 

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【12級13号】頚椎椎間板ヘルニアの後遺障害認定事例

事案サマリー

  • 被害者:46歳
  • 初回申請:非該当
  • 異議申立て:12級13号(局部に頑固な神経症状を残すもの)

 

交通事故後に頚部痛と右頚部から母指にかけて放散する痛みが持続していました。痛みのため、1年以上通院、治療を余儀なくされましたが、症状は改善しませんでした。しかし、初回申請時には非該当と判定されました。

 

 

弊社の取り組み

診療録を詳細に確認すると、受傷直後から頚椎椎間板ヘルニアに特徴的なスパーリングテスト陽性と複数箇所に記載されていました。

 

MRIで、C5/6レベルに椎間板ヘルニア(矢印)を認め、患者さんの上肢痛(右母指にかけての放散痛)は椎間板ヘルニアが圧迫しているC6神経根の知覚領域と完全に一致していました。

 

脊椎脊髄外科指導医が診療録を確認して、初回申請時に見落とされていた身体所見を記載した医師意見書を作成しました。異議申立てを行ったところ12級13号が認定されました。

 

 

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頚椎椎間板ヘルニアの後遺障害認定で弊社ができること

弁護士の方へ

弊社では、交通事故による頚椎椎間板ヘルニアの後遺症が後遺障害に認定されるために、さまざまなサービスを提供しております。

 

 

等級スクリーニング

 

現在の状況で、後遺障害に認定されるために足りない要素を、後遺障害認定基準および医学的観点から、レポート形式でご報告するサービスです。

 

等級スクリーニングは、年間1000事案の圧倒的なデータ量をベースにしています。また、整形外科や脳神経外科以外のマイナー科も実施可能です。

 

等級スクリーニングの有用性を実感いただくために、初回事務所様は、無料で等級スクリーニングを承っております。こちらからお気軽にご相談下さい。

 

 

<参考>
【等級スクリーニング】後遺障害認定と対策を精査|医療鑑定

 

 

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医師意見書

 
医師意見書では、診療録、画像検査、各種検査、後遺障害診断書などの事故関連資料をベースにして、総合的に後遺障害の蓋然性を主張します。

 

医師意見書は、後遺障害認定基準に精通した各科の専門医が作成します。医学意見書を作成する前に検討項目を共有して、クライアントと医学意見書の内容を擦り合わせます。

 

医学意見書では、必要に応じて医学文献を添付して、論理構成を補強します。弊社では、2名以上の専門医によるダブルチェックを行うことで、医学意見書の質を担保しています。

 

弊社は1000例を優に超える医師意見書を作成しており、多数の後遺障害認定事例を獲得しています。是非、弊社が作成した医師意見書の品質をお確かめください。

 

 

<参考>
交通事故の医師意見書が後遺障害認定で効果的な理由|異議申し立て

 

 

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画像鑑定報告書

 

交通事故で残った後遺症が、後遺障害で非該当になったら異議申し立てせざるを得ません。その際に強い味方になるのが画像鑑定報告書です。

 

画像鑑定報告書では、レントゲン、CT、MRIなどの各種画像検査や資料を精査したうえで、後遺障害診断書に記載されている症状との関連性を報告します。

 

画像鑑定報告書は、画像所見の有無が後遺障害認定に直結する事案では、大きな効果を発揮します。

 

弊社では事案の分析から医師意見書の作成、画像鑑定にいたるまで、社内の管理医師が一貫して取り組むことで、クライアント利益の最大化を図っています。

 

 

<参考>
【画像鑑定】交通事故の後遺障害認定で効果的な理由|異議申し立て

 

 

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交通事故による頚椎椎間板ヘルニアの後遺症でお悩みの被害者の方へ

弊社サービスのご利用をご希望であれば、現在ご担当いただいている弁護士を通してご依頼いただけますと幸いです。

 

また、弊社では交通事故業務に精通している全国の弁護士を紹介することができます。

 

もし、後遺障害で弁護士紹介を希望される被害者の方がいらっしゃれば、こちらのリンク先からお問い合わせください。

 

尚、弁護士紹介サービスは、あくまでもボランティアで行っています。このため、電話での弊社への問い合わせは、固くお断りしております。

 

 

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まとめ

 

交通事故で問題になる首の怪我のひとつに頚椎椎間板ヘルニアがあります。頚椎椎間板ヘルニアの主な原因は加齢や無理のかかる動作や作業などですが、交通事故が契機に発症するケースも多いです。

 

頚椎椎間板ヘルニアを発症すると、首の痛みや上肢の痛み・しびれに加えて、歩きにくさや尿失禁を併発するケースもあります。

 

頚椎椎間板ヘルニアはMRI検査ではっきりした所見があることが多いため、等級認定のポイントさえ押さえれば後遺障害等級認定を目指すことができます。

 

 

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