腱板損傷の後遺症が非該当になる理由

投稿日:2022年2月19日 更新日:

肩関節の腱板損傷は後遺障害等級が非該当になりやすい傷病です。その理由は、腱板は経年的に変性が起こりやすく、これに起因する無症候性の断裂が多くの中高年に存在するからです。

 

無症候性の腱板損傷が発生する境界線は50歳前後と言われています。50歳よりも上の年代であれば、既往症として比較的高率に腱板損傷が存在すると考えて良いでしょう。無症候性なので、交通事故前の肩関節痛の有無は関係ありません。

 

一方、MRIが普及するまで、腱板損傷を診断するには関節造影等の侵襲的な検査しかありませんでした。このため、腱板損傷の典型的な症状であるdrop arm sign等が無いかぎり、主治医も腱板損傷の診断をつけませんでした。

 

このような状況であれば、腱板損傷も後遺障害等級に認定されやすかったと思います。しかし現在はMRIを容易に撮像できるため、従来であれば発見されなかった無症候性腱板損傷が大量に補足されてしまいます。

 

適正な補償の観点からは、既往症として存在する無症候性腱板損傷まで後遺障害の対象とするのは好ましくありません。このため自賠責保険ではいくつかの認定基準を設けて、これらの無症候性腱板損傷を排除しようとしています。

 

このような理由で、腱板損傷と診断されているにもかかわらず、後遺障害等級が認定されない事案が続出しています。陳旧性の腱板損傷である可能性が高い所見としては、腱板断裂部が鈍になっている、周囲軟部組織に急性期所見に乏しい、腱板筋の脂肪変性など多岐に渡ります。

 

腱板損傷が既往症であるか否かを判断するには、画像所見だけではなく身体所見や臨床経過も検討する必要があるため、それなりの経験が必要です。もし腱板損傷でお困りの事案があれば気軽にご相談ください。

 

文責: メディカルコンサルティング合同会社 代表医師 濱口裕之

 

 

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