医師が解説:交通事故の後遺症認定において医師意見書が果たす役割

投稿日:2022年5月6日 更新日:

交通事故の後遺症認定で用いられる医師意見書

交通事故で後遺障害が認定される過程においては様々な立場からの医師意見書が作成され、それぞれ異なる目的を持っています。

本稿では各種意見書が作成される背景の違いやその目的、作成方法について解説を行うとともに、関連する弊社サービスを紹介します。

また、実際に意見書を用いて等級獲得に至った事例の概要を提示します。

主治医意見書

交通事故における主治医意見書とは

被害者の治療に携わる主治医が作成する意見書であり、後遺障害審査前段階や、後遺障害を争う異議申し立て〜訴訟にて作成されます。

主治医は診療録や画像記録をもととした事実を記載するとともに、医学的整合性に基づき将来的な見込みの推定事実を記載します。

主治医意見書の目的と記載内容

後遺障害審査前前段階では、治療費を負担する保険会社側が被害者状況調査を目的として作成を依頼するケースがほとんどです。

記載内容は一般的に下記のような質問回答形式となります。

  • 傷病に関する意見(事故との因果関係や影響を与える既往症)
  • 症状に関する意見(現在の症状やその経過)
  • 検査に関する意見(検査結果および今後の検査予定)
  • 制限に関する意見(日常生活動作や就労可否)
  • 治療に関する意見(今後の治療方針と治療期間見込み)
  • 病態に関する意見(今後の症状変化や症状固定時期)
  • 予後に関する意見(後遺障害見込み)

一方、異議申し立てや訴訟に至ったケースでは、被害者や被害者弁護士からの依頼により主治医意見書が作成されるケースがあります。

等級認定可能性を高めることを目的として主治医へ症状照会を行い、その結果を意見書として提出する形となります。
この場合には、

  • 事故による受傷と症状発症の因果関係
  • 各種他覚的検査所見と遺残症状の医学的整合性
  • 治療経過に対する医学的解説(症状遷延の理由)

のように、より具体的な質問に対する回答が記載されます。

主治医意見書に関する弊社サポート

交通事故被害者に対しては主治医意見書記載内容と各種医証、自賠責審査基準を照合し、等級獲得可能性に関する分析を提供します。

主治医意見書の作成を依頼する場合は、質問内容に関するアドバイスを行うことが可能です。
(アドバイスに関しては主治医の意見を被害者に資する方向に誘導するものではなく、等級獲得の要点を示す内容となります)

保険会社(加害者側)に対するサービスとしては、医学的知見と主治医意見書記載内容の整合性に関する分析が中心となります。

因果関係や治療方針および治療期間、症状固定見込み時期、予想される後遺障害等級、などに関する情報提供が可能です。

上記サポートについては医療相談サービスまたはスクリーニングサービスにて対応を行いますので、詳細はリンク先をご覧下さいませ。

また、弁護士特約なしの場合には価格面での調整を検討させていただきますので、その際は遠慮なくお申し付けください。

医師意見書

交通事故における医師意見書とは

実際に診療に携わっていない第三者である医師が、各種医証や交通事故資料をもとにそれぞれの立場に資する主張を行う書面です。

被害者側は被害者請求や異議申し立て〜訴訟などの様々な場面で、保険会社側は訴訟事案に至った場合に作成される事が多いです。

医師意見書では各種資料の分析結果と自賠責後遺障害診断基準を照合し、医学的整合性と客観性に基づく主張を行います。

被害者側/保険会社側の立場の違いはあるものの、その記載内容としては、

  • 受傷から症状固定(終診時)にいたる経過の提示
  • 争点となる傷病に関する一般的な解説
  • 事故との因果関係(受傷機転や事故規模の分析)
  • 後遺症状の蓋然性(理学所見や画像所見の分析)
  • 後遺症状の一貫性(診療録や各種医証の分析)
  • 後遺障害の相当性
  • 後遺障害の永続性

に関する主張が中心となり、論理構築の核となる部分には医学文献や教科書等のエビデンスを引用して補強を行います。

上記に加えて、被害者の異議申し立てでは自賠責審査結果に対する反論、訴訟事案では相手方主張に対する反論を付記するとともに、その理由に言及します。

自賠責認定基準や医学的知見の範疇において、可能な限り依頼者に資する記載となることが、主治医意見書との大きな違いです。

医師意見書に関する弊社サポート

同一事案で利益相反が起きない限り、交通事故被害者/加害者(保険会社)いずれの立場に対しても医師意見書の作成を承ります。

とはいえ、事案ごとにその背景や経過は大きく異なることから、意見書において主張可能な内容は決して一律とはなりません。

依頼者に資する内容を追求するあまりに、医学的整合性や論理構築の問題があると、意見書自体の価値が大きく毀損されてしまいます。

そこで、弊社では医師意見書作成前段階においても医療相談サービスまたはスクリーニングサービスの利用を強く推奨しております。

各種医証や事故/自賠責関連書類をご提出頂くことで、等級該当可能性の確認や主張内容に関する調整を行うことが可能となります。

上記サービスと医師意見書作成代金の合計が一般的な弁特サービス範囲内に収まるよう設定を行っていますので、ぜひご利用下さい。

また、高度な専門性を有する医師が揃うという弊社の特徴は、異議申し立て事案や訴訟事案で威力を発揮するものと自負しております。

整形外科領域では外傷の内容に応じて各領域の専門医(脊椎、手、肘、肩、股、膝、足)が意見書作成を担当いたします。

整形外科以外でも20以上の診療科にわたり100名を超える専門医が在籍しておりますので、専門的な事案への対応も可能です。

交通事故事案に限らず、労災事案、医療訴訟、医学的要素を含む民事賠償事案にも対応が可能ですので、お気軽にご相談下さい。

弊社意見書サービスが等級認定に有益であった事例

初回審査非該当→医師意見書を用いた異議申し立てにより、14級9号を獲得

事案サマリー(60代男性 頚椎捻挫)

事案背景:初回自賠責審査非該当の結果を受け、医療相談を依頼

受傷機序:信号待ちにて後方より追突された事故により受傷

自覚症状:右側頚部および背部痛

神経学的所見:四肢腱反射異常所見なし、筋力低下なし

画像所見:頚椎椎間板の変性所見およびC5/6椎間板の後方膨隆

医師意見書の効果

「画像上変性所見を認めるが器質的損傷や神経圧迫所見を認めず、自覚症状を裏付ける客観的所見に乏しい」という自賠責審査機構の見解に対し、被害者後遺症状が医学的に説明可能である旨を医師意見書にて主張しました。

医学的整合性に基づいた主張内容とその根拠(引用論文、画像読影)が評価され、14級9号の後遺障害が認定されました。

初回審査結果14級9号→追加検査指示と医師意見書作成の結果、12級13号を獲得

事案サマリー(30代男性 脛骨高原骨折)

事案背景:初回審査にて14級9号の認定を受けるも、症状との乖離があるため医療相談を依頼

受傷機序:高所からの転落により受傷

自覚症状:右膝安静時痛および動作時痛、小走り時の跛行

画像所見:脛骨骨折部に陥凹変形を疑う所見あり(自賠責審査は「良好な整復癒合」と評価)

弊社の調査において骨折部にわずかな変形が残存している可能性を見出し、被害者に追加CT撮像を受けていただいたところ脛骨外側関節面の変形が残存する画像所見が得られました(赤丸)。

医師意見書の効果

審査結果に対する反論および後遺障害の蓋然性を主張する医師意見書を作成し、異議申し立てを行いました。

初回審査では「骨折や半月板損傷は認められるものの、鏡視下観血的整復術が施行され、良好な整復癒合が認められる」として14級9号の認定にとどまっていたところ、12級13号が認定されました。

まとめ

自賠責審査にて後遺障害が否定/過小評価された事案でも、後遺障害の蓋然性を有するケースは少なくありません。

入念な各種医証調査に基づいて作成した医師意見書は等級獲得に有用な手段となり得ます。

お悩みの事例がございましたら、ぜひお気軽にご相談下さい。

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