むちうち(頚椎捻挫)の後遺症に悩む人は多いですが、レントゲン検査では異常所見が無いと言われるケースが多いです。
本記事は、本当にむちうちのレントゲン検査で異常が無いのか、本当に異常が無ければどうすれば良いのか、について作成しています。
最終更新日: 2024/5/11
Table of Contents
むちうちとは
むちうちの特徴
正式な傷病名は外傷性頚部症候群ですが、慣習的に頚椎捻挫や「むちうち」と呼ばれることが多いです。
頚椎のレントゲンやMRI検査で異常所見がないにも関わらず、頚部痛、肩こり、上肢のしびれや痛みなどの症状が持続する症例も多いです。
症状の持続期間は、事故から数日で治癒することもあれば、1年以上持続することもあります。症状の重症度も軽傷なものから、日常生活に支障をきたすような重篤なものまでさまざまです。
むちうちの症状
むちうちの症状は多彩で、下記の症状を自覚するケースがあります。
- 頚部痛
- 肩こり
- 上肢のしびれや痛み
- めまい
- 頭痛
- 嘔気
- 耳鳴り
- 全身倦怠
- 動悸
めまいや頭痛、嘔気、耳鳴、全身倦怠、動悸などの症状に関しては、バレリュー症候群、自律神経失調症と診断されることもあります。
<参考>
【医師が解説】むちうち(頚椎捻挫)後遺症認定のポイント|交通事故
【日経メディカル】あなどれない「むち打ち」の後遺症、首にとどまらない驚きの症状とは
レントゲン検査で分かるむちうちの画像所見
頚椎前弯の消失(ストレートネック)
むちうち患者さんでは、レントゲン検査の側面像で、頚椎の前弯が無くなっている状態がよく見られます。
頚椎の前弯とは、横から見て頚椎が前方凸(体の前の方向に凸)になっている状態です。頚椎の前方凸が無くなった状態を、頚椎前弯の消失と言います。
頚椎の前方凸が無くなった状態は、いわゆるストレートネックと言われています。ストレートネックは、首に痛みのある人に特徴的な画像所見です。
変性所見
むちうちに特有のレントゲン所見とは言えませんが、以下のような加齢による変性所見も、むちうち症状の原因となる可能性があります。
- 椎体の骨棘
- 椎間板腔の狭小化(変形して潰れた椎間板)
日本整形外科学会ホームページから転載
むちうちのレントゲン検査で異常無しは少ない
30歳代以上では多くの人に画像所見がある
弊社では、これまで数千例に及ぶむちうち事案を取り扱ってきました。それらの事案を検証したところ、レントゲン検査で異常なしと診断されやすいのは、20歳代以下の人でした。
逆に言うと、30歳代以上のむちうち患者さんでは、多くの人にレントゲン検査の異常所見を認めます。
20歳代以下でもストレートネックは多い
それでは、20歳代以下ではレントゲン検査で全く異常所見が無いかと言うと、そういう訳ではありません。
20歳代以下であっても、頚椎前弯の消失(ストレートネック)は、むちうち患者さんの多くで認められます。
ただし、頚椎前弯の消失(ストレートネック)は、臨床的には重要な画像所見ではありません。
このため、整形外科医であっても、頚椎前弯の消失を有意な所見とみなさずに、診療録や診断書に記載しないケースが多いです。
むちうちのレントゲン検査で異常無しはどうすればいい?
レントゲン検査で異常所見が無くても、MRI検査で異常所見があるケースは少なくありません。
このため、首の痛みや手のしびれが続いている場合には、主治医に頚椎MRIの撮像をお願いしてみるのも一法です。
<参考>
【弁護士必見】むちうち事案レントゲン検査の注意点
レントゲン検査が「異常無し」になる理由
多くのむちうち事案で、レントゲン検査では何らかの異常所見があります。しかし、診療録や診断書には「異常なし」と記載されているケースが多いです。
その理由は、異常所見とみなす基準が、実臨床と自賠責保険では異なるからです。
実臨床では軽度の骨棘や椎間板腔の狭小化はほとんど意味が無いです。このため、軽い所見であれば異常無しとします。
一方、自賠責保険の後遺障害認定の観点からは、これらの「軽い」所見であっても重要です。少しでも異常所見があるのと、全く正常な場合とでは、後遺障害認定の結果が大きく異なるからです。
ストレートネックだけでは役不足
頚椎の前弯消失(ストレートネック)を有意な異常所見と記載しましたが、自賠責保険ではさほど重要視されていません。
頚椎の前弯消失(ストレートネック)は14級9号の最後のひと押しになる可能性はあるものの、単独では大きな効力は無いと考える必要があります。
まとめ
レントゲン検査で分かるむちうちの画像所見に、頚椎前弯の消失(ストレートネック)があります。
これ以外にも、むちうちに特有とは言えませんが、加齢による椎体の骨棘や椎間板腔の狭小化があります。
むちうちのレントゲン検査で全く異常の無い人は、それほど多くありません。
本当に、むちうちのレントゲン検査で異常なしの場合には、主治医に頚椎MRIの撮像をお願いしてみるのも一法です。
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