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【医師が解説】恥骨骨折の後遺症が等級認定されるポイント|交通事故

体幹から股関節にかけての外傷のひとつに恥骨骨折があります。若年者の恥骨骨折は大きな外力によって受傷することが多いです。

 

本記事は、骨盤骨折の後遺症が後遺障害認定されるヒントとなるように作成しています。

 

 

最終更新日:2024/4/19

 

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恥骨骨折とは

 

恥骨骨折は、高齢者に多い骨折です。高齢者がしりもちをつくと、恥骨や坐骨が骨折することがよくあります。

 

一方、若年者から中年の人では、交通事故や転落などの大きな外力が骨盤部に加わって受傷するケースが多いです。

 

 

<参考>
【医師が解説】骨盤骨折の後遺症が等級認定されるポイント|交通事故
【医師が解説】仙骨骨折が後遺症認定されるポイント|交通事故

 

 

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恥骨骨折の後遺症

骨折部の痛み

恥骨骨折では、骨折部に痛みを残すケースがあります。一方、恥骨骨折だけでは、股関節の可動域制限をきたす可能性は低いです。

 

恥骨骨折の近くで発生する寛骨臼骨折は、少しでも関節面に段差を残すと高度の股関節の痛みや可動域制限を残します。しかし、恥骨骨折と寛骨臼骨折は別物と考えてよいでしょう。

 

 

<参考>
【医師が解説】股関節骨折が後遺症認定されるポイント|交通事故
【医師が解説】大腿骨骨折が後遺症認定されるポイント|交通事故

 

 

内臓損傷

恥骨は、泌尿器、生殖器を保護する役割もあります。このため恥骨骨折を受傷すると、排尿困難、血尿といった症状が起こりえます。

 

 

<参考>
【医師が解説】内臓破裂の後遺症が等級認定されるポイント|交通事故

 

 

経腟分娩できない可能性

恥骨骨折で小骨盤腔が変形すると、経腟分娩が不可能になることもあります。交通事故被害者が若年女性の場合には注意が必要でしょう。

 

 

恥骨骨折の診断

 

恥骨骨折は骨盤骨折の一形態なので救命処置を必要とするケースがあります。そのような事案では、レントゲン検査に加えてCT検査が施行されます。

 

MRI検査に関しては、恥骨骨折の診断では有用でないため、ほとんどの事案で実施されることはありません。交通事故外傷=MRI必須と考えている方を散見しますが、恥骨骨折には該当しません。

 

 

恥骨骨折に対する治療

恥骨骨折部の痛みがある間は安静が必要ですが、ギプス固定などは不要です。我慢できる程度の痛みでなら、早期から歩いても問題ありません。

 

 

 

 

恥骨骨折で考えられる後遺障害

神経障害

12級13号:局部に頑固な神経症状を残すもの

 

恥骨骨折の転位が大きく変形癒合したケースでは、12級13号に認定される可能性があります。

 

 

14級9号:局部に神経症状を残すもの

 

画像検査で骨癒合しているものの、治療経過から痛みなどの神経症状の存在が推認される事案が該当します。

 

 

変形障害

12級5号:骨盤骨に著しい変形を残すもの

 

恥骨骨折は変形を残しやすい骨折です。しかし自賠責認定基準で変形障害に該当するためには「裸体になったときに外部から見てその変形が明らかに分かる程度」という条件をクリアする必要があります。

 

 

胸腹部臓器の機能障害

11級10号:胸腹部臓器の機能に障害を残し、労務の遂行に相当な程度の支障があるもの

 

恥骨骨折は変形を残しやすい骨折なので、小骨盤腔が変形すると経腟分娩が不可能になることもあります。交通事故被害者が若年女性の場合には、産婦人科医師の診察も必要でしょう。

 

 

 

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【弁護士必見】恥骨骨折の後遺障害認定ポイント

 

恥骨骨折で発生しうる後遺症は多岐にわたりますが、ほとんどの事案は14級9号もしくは非該当となります。

 

恥骨骨折は変形を残しやすいですが、変形障害12級5号の認定基準は裸になった状態で明らかに変形が分かる状態です。このため、後遺障害に認定されるハードルは極めて高いです。

 

一方、股関節の寛骨臼前壁に及んでいる骨折にもかかわらず、恥骨骨折と診断されている事案を散見します。

 

このようなケースでは、股関節の機能障害や神経障害が残存する可能性があるので、CT検査の精査が必要です。

 

恥骨骨折でお困りの事案があればこちらからお問い合わせください。

 

 

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恥骨骨折の後遺症のまとめ

 

恥骨骨折は、高齢者に多い骨折です。高齢者がしりもちをつくと、恥骨や坐骨が骨折することがよくあります。

 

恥骨骨折では、骨折部に痛みを残すケースがあります。一方、恥骨骨折だけでは、股関節の可動域制限をきたす可能性は低いです。

 

恥骨骨折で発生しうる後遺症は多岐にわたりますが、ほとんどの事案は14級9号もしくは非該当となります。

 

 

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