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【医師が解説】むちうち治療と後遺障害認定のヒント|交通事故

交通事故でむちうちを受傷するといろいろ心配ですね。どこで治療を受ける? どのような治療を受ける? どれぐらい通院すればよい? 後遺症が残った時に後遺障害が認定される方法は? 悩みや疑問が尽きません。

 

本記事は、年間1000例の交通事故事案を取り扱っている整形外科医が、お勧めのむちうち治療を説明しています。

 

 

最終更新日: 2024/5/11

 

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むちうちはどこで治療するべきか?

整形外科、整骨院、接骨院、整体院の違い

どこでむちうちの治療をするのかは悩ましい問題ですね。選択肢として、整形外科、整骨院、接骨院、整体院が挙げられます。まず、それぞれの特徴と違いを見てみましょう。

 

 

整形外科とは

 
整形外科(整形外科クリニック)は、医師が診療する医療機関です。整形外科が取り扱うのは、手足と背骨の傷病や関節リウマチのような慢性疾患です。

 

医師になるには、大学の医学部に合格した後に最低でも6年間の厳しい勉強と臨床実習が必要です。医学部に合格するには、東京大学に合格するのと同等以上の学力が必要と言われています。

 

厳しい試験に合格した医師には、すべての医療行為を行うことが法律で許可されています。

 

整形外科では、薬物療法(痛み止めや筋肉のコリをほぐす薬を処方)、リハビリ、注射(トリガーポイント注射)を行います。

 

 

整骨院(接骨院)とは

 

整骨院と接骨院は同じで、柔道整復師が施術を行う施設です。整骨院が取り扱うのは、捻挫・打撲・挫傷(肉離れ)・骨折・脱臼に限られます。

 

柔道整復師になるには、高校卒業後に専門学校で3年間勉強して柔道整復師国家試験に合格する必要があります。

 

整骨院で行う施術の内容は、柔道整復師による施術やマッサージ、温熱療法などが中心になります。整形外科のように薬を処方したり、注射したりできない点が異なります。

 

取り扱う領域が似ているので混同しがちですが、整形外科と整骨院は全く異なります。このため、交通事故診療においても、両者を混同すると思わぬ不利益を被る可能性があるので注意が必要です。

 

 

整体院とは

 

前述のように、整骨院と接骨院は同じで、柔道整復師という国家資格が必要です。

 

一方、整体院を開くのに特別な資格は必要ありません。一応「整体師」という民間資格を取得している人が多いようですが必須ではありません。

 

つまり、接骨院 = 整骨院 ≠ 整体院という関係です。整体院だけ国家資格は不要と覚えておけば良いでしょう。

 

 

結論! むちうちは整形外科で治療するのが正解

治療、診断、後遺障害認定確率のいずれの観点でも、むちうち治療では整形外科への通院一択です。以下にその理由を説明します。

 

 

むちうち治療の観点

 

整形外科での治療がベストである理由は以下のとおりです。
 

  • 薬物療法、理学療法、物理療法などあらゆる治療が可能
  • レントゲン検査、CT検査、MRI検査などで精査できる

 

整形外科では、正確な医学的知識で各種検査を実施して適切な診断をつけます。そしてそれに応じた幅広い治療を行うことが可能です。最善の選択肢であることは論を俟たないでしょう。

 

 

むちうちの診断の観点

 

診断できる能力と資格があるのは、医師だけです。整骨院(接骨院)や整体院は、能力的にも法律的にも診断名をつけることができません。

 

重い症状の原因は、単なる「むちうち」ではないかもしれません。他の外傷が紛れていても、それを正確に診断できるのは整形外科医だけです。手遅れになる前に、正確な診断をつけてもらいましょう。

 

 

後遺障害認定にも整形外科通院がベスト

 

同じ通院回数でも、整形外科と整骨院では後遺障害に認定される確率が全く異なります。

 

このため、近くに整形外科がある場合には、整形外科に通院することが望ましいでしょう。

 

どうしても近くに整形外科が無いケースでは整骨院でも問題ないですが、整形外科の併用は必須です。

 

 

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むちうちの治療はどのようなものか

むちうちの保存療法

むちうちは交通事故直後には、安静と消炎鎮痛剤(お薬、シップ)の処方が一般的です。

 

頚部保護のため、頚椎装具(ソフトカラー)を処方することもあります。

 

交通事故から1〜2週間経過すると、物理療法(温熱、低周波、牽引など)、セラピストによるリハビリテーションなどが行われます。

 

 

<参考>
【医師が解説】むちうちの首コルセットは寝るときも装着?|交通事故

 

 

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むちうちの手術療法

むちうちに対して手術が行われることは一般的にはまれです。しかし、頚椎椎間板ヘルニア、頚椎症、頚椎後縦靭帯骨化症などに由来する症状がある場合は、頚椎の手術が行われることもあります。

 

具体的には上肢の強い痛みやしびれが持続するケース、上肢や下肢に麻痺(まひ)を生じているケースなどが該当します。

 

頸髄という神経本体が損傷を受けると、両手の巧緻性障害(こうちせいしょうがい:細かい作業ができない)、四肢のしびれ、感覚異常などの症状が出てきます。

 

症状が重症化してくると歩行障害(痙性や失調によるもの)や直腸膀胱障害(自力で尿が出せない、失禁するなど)を生じることもあります。

 

交通事故後に頚椎手術が必要とされる病態として、元々神経の通り道(脊柱管)が狭い方が事故後に脊髄や神経根圧迫の症状が出現してしまうケースがあります。

 

脊柱管狭窄(せきちゅうかんきょうさく)の原因として多いのは、発育性脊柱管狭窄と頚椎後縦靭帯骨化症によるものです。

 

日本人の頚椎脊柱管は欧米の方と比較すると、狭い傾向があり、無症状で生活されている方の中にも潜在的な脊柱管狭窄を有する人がいます。

 

また、後縦靭帯骨化症は、アジア人に多いとされており、脊柱管狭窄症の原因となりえます。

 

そのため、脊柱管狭窄がベースにある方が、交通事故の外傷により脊髄や神経根の症状が悪化してしまった場合は、脊髄や神経根の圧迫をとりのぞくための除圧術が行われることもあります。

 

 

<参考>
【医師が解説】後縦靭帯骨化症(OPLL)と後遺症|交通事故

 

 

整骨院の施術には医学的なエビデンスが無い

整骨院へ通う理由は、至る所に存在することや夜遅くまで営業していること以外にも、施術そのものに効果を感じることが挙げられます。

 

しかし残念ながら、整骨院の施術で、むちうち症状を改善させたという医学的エビデンスは存在しません。自然科学では、ランダム化比較試験(Randomised Controlled Trial, RCT)の有意結果が最上位のエビデンスです。

 

一方、医学的な治療法や薬物療法で使用される薬剤は、ランダム化比較試験で効果を確認されたものがほとんどです。やはり科学的に効果が確認されている整形外科の治療を優先させるべきでしょう。

 

 

 

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むちうち治療は週3日通院が正解

 

弊社ではこれまで数千例の交通事故事案に取り組んできましたが、後遺障害認定に毎日の通院は必要ないと判断しています。

 

治療の観点はどうでしょうか? 社内の10名以上の整形外科専門医の実臨床経験からも、毎日通院する必要性は無いと言い切れます。

 

これらを総合的に判断すると、週3日が実臨床と自賠責保険のベストミックスだと考えています。

 

 

むちうちが後遺障害に認定される基準は?

 

むちうちの治療に全力で取り組んだにもかかわらず、症状が残ってしまった場合には後遺障害の申請をすることになります。

 

しかし、自賠責保険で後遺障害に認定される可能性は、約5%と非常に低いです。

 

<参考>
【医師が解説】むちうち後遺障害12級、14級のポイント|交通事故

 

 

むちうちで後遺障害が認定されるためには、たくさんのチェックポイントがあります。そして最初のハードルは通院頻度と通院期間です。

 

 

医療機関のみなら60日以上

病院や整形外科開業医(クリニック)に通院しているケースでは、60日がおおよその目安になります。

 

もちろん、60日以上通院したからと言って、自動的に後遺障害14級9号が認定されるわけではありません。

 

逆に、通院期間60日以上は最低限の条件だと考えましょう。これ以下の通院日数では後遺障害14級9号に認定される可能性は極めて低くなります。

 

 

医療機関+整骨院は80日以上

よくありがちなのは、非常に混雑している整形外科開業医を避けて、整骨院(接骨院)をメインにして施術を受けているパターンです。

 

しかし、自賠責保険は整骨院や接骨院での施術を、医療機関(病院や整形外科開業医)と同等には見ていません。

 

あくまでも、整骨院(接骨院)は医療機関の治療を緊急避難的に補完するものというスタンスです。

 

このため、医療機関のみの60日を大幅に上回る80日程度の通院が必要と思われます。

 

しかも、医療機関への通院が15~20日程度必要です。そして医療機関には月1日程度しか受診しておらず、それ以外は整骨院の施術で済ませているケースは、ほとんど非該当になります。

 

 

<参考>
【医師が解説】整骨院に行かない方がいいのか|交通事故の後遺障害

 

 

通院期間は6ヶ月以上

通院期間としては、医療機関のみの場合にも、整骨院併用の場合でも、6ヶ月以上が必須です。

 

 

<参考>
【日経メディカル】むち打ちの後遺障害が非該当になる理由
【医師が解説】むちうち(頚椎捻挫)後遺症認定のポイント|交通事故

 

 

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【弁護士必見】むちうちの後遺障害認定ポイント

12級13号はハードルが高いが不可能ではない

12級13号の自賠責認定基準は非常に厳しいです。首や腕に強い痛み・しびれが持続しているのはもちろんこと、頚椎MRI検査で神経の圧迫があることが必須です。

 

年間1000事案を取り扱う弊社でさえも、12級13号が認定される事案はそれほど多くありません。実績を検討すると、ほとんどの事案で新鮮外傷を疑う椎間板の高信号変化がありました。

 

さらにその圧迫されている神経と実際の症状(知覚障害の範囲、深部腱反射の異常、スパーリング徴候などの誘発テストが陽性など)の一致が必須条件です。

 

弁護士では、専門的な判断が難しいため、脊椎脊髄外科指導医/専門医や整形外科専門医の評価が必須となります。弊社では等級スクリーニングというサービスを提供しているのでご気軽にお問い合わせください。

 

 

14級9号は定石を知ることが必須

ご存知のように、14級9号は救済等級としての位置付けです。このため、自賠責認定基準の定石を確実に踏むことで、比較的広い範囲の患者さんが認定される可能性があります。

 

具体的には以下のようなことです。
 

  • 通院期間は6ヶ月以上
  • 通院回数は週3回以上
  • 画像所見(レントゲン検査やMRI検査)で異常所見あり
  • 交通事故の規模が大きい

 

 

一番重要なことは、受傷直後から後遺障害診断書作成にいたるまで、症状に一貫性があることと、持続性があることです。

 

異議申し立てでは、症状の一貫性も含めた総合的な主張が必須です。弊社ではすべての対策を網羅した医師意見書サービスを提供しています。

 

 

<参考>
【日経メディカル】意見書で交通事故の後遺症が決まるってホント?

 

 

年間1000事案におよぶ圧倒的な取り扱い事案数に裏打ちされた医師意見書サービスを是非お試しください。事案のご相談はこちらからお願いいたします。

 

 

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まとめ

 

むちうちは整形外科で治療するのが正解です。治療、診断、後遺障害認定確率のいずれの観点でも、整形外科での治療に優位性があります。

 

むちうちの治療は、安静と消炎鎮痛剤(お薬、シップ)の処方などの保存療法が基本です。

 

整形外科への週3日通院が、実臨床と自賠責保険のベストミックスだと考えています。

 

 

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