整形外科専門医が解説:橈骨遠位端骨折の後遺症で必要な検査

投稿日:2022年3月12日 更新日:

橈骨遠位端骨折は、上肢の外傷で後遺症を残しやすい代表的な傷病です。ここでは橈骨遠位端骨折で施行するべき検査を考えてみましょう。そのためには、橈骨遠位端骨折でどのような障害を残す可能性があるのかを知る必要があります。

 

  • 手関節の機能障害(可動域制限が橈骨遠位端関節面の不整に起因するもの)
  • 手関節の神経障害(手関節の疼痛が橈骨遠位端関節面の不整に起因するもの)
  • 手関節の神経障害(手関節の疼痛がTFCCに起因するもの)
  • 手関節の神経障害もしくは変形障害(手関節の疼痛が尺骨茎状突起の偽関節に起因するもの)

 

障害の原因となる部位は、①橈骨遠位端 ②尺骨茎状突起~TFCC の2つに大別されます。①橈骨遠位端に起因する障害では、関節面不整の有無が障害を客観的に証明できるか否かの分かれ目となります。

 

これを精査するためには、CT(3方向での再構成像)および単純X線像(両側2方向)が必要です。まずCTですが、3方向とは矢状断、前額断、冠状断です。特に矢状断が重要で、関節面の不整像が描出されることが多いです。

 

一方、単純X線像も重要です。CTやMRIの方が重要だと認識している方が多いですが、これは大きな間違いです。単純X線像では、全体を俯瞰して後遺障害の原因となる所見を精査できるからです。

 

私の感覚では、CTよりも単純X線像の方が、外傷性関節症の存在を客観的に証明できる決め手になることが多い印象を抱いています。ちなみに橈骨遠位端に起因する疼痛の原因検索に関しては、MRIはあまり意味がありません。

 

次に尺骨茎状突起~TFCCについてご説明します。両者はほぼ同一の外傷として取り扱ってよいです。尺骨茎状突起骨折ではTFCC損傷をほぼ併発しているからです。尺骨茎状突起骨折に関しても、基本検査は単純X線像です。

 

ここで尺骨茎状突起の偽関節を証明できれば、それ以上の検査は不要です。一方、単純X線像だけでは偽関節か否かが判断できないこともあります。この場合にはCTを撮像する必要があります。

 

TFCC損傷に関しては、MRIが必須です。しかも、事故との因果関係を問われるケースが多いので、急性期所見が消失しない期間での撮像が望ましいです。ただし実臨床では、橈骨遠位端骨折の治療中にTFCC損傷の精査を施行しにくいです。

 

その理由は、橈骨遠位端骨折では、掌側プレートを用いた手術療法を行うことが多いため、MRIを撮像できない(撮像する意味が無い)からです。実質的にはギプス固定等の保存治療を施行した事案のみ、MRIを施行することになります。

 

このように、橈骨遠位端骨折と言ってもたくさんのパターンがあるため、おこなっておくべき検査が何であるのかを適切に判断するのは難しいのが現実です。お困りの事案があれば、気軽にご相談いただければ幸いです。

 

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