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交通事故のむちうちが嘘だとバレる?【整形外科医が回答】

交通事故の「むちうち」の症状で、嘘をつくとどうなるのでしょうか? 自賠責保険の慰謝料にも影響を及ぼすので気になる話題ですね。

 

本記事は、現役の整形外科医が、むちうちの症状は嘘だと疑われた時のポイントを説明しています。

 

 

最終更新日:2024/4/19

 

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むちうちは軽い事故でも発症する

 

むちうちの症状は、車体にキズがあるのか分からない程度の軽い追突事故でも発症します。このため、特に軽い事故の場合には、むちうち症状そのものの存在を疑わるケースが後を絶ちません。

 

しかし、実臨床では軽い事故であっても、不意打ちを食らった場合には、後頚部痛などの症状を発症するケースは多いです。
 

 

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むちうち症状は嘘だと疑われやすい?

 

むちうちは、ごく軽い追突事故であっても発症します。しかし、実際に交通事故を経験したことのない人にとっては、少し信じ難いのも事実です。

 

保険会社の社員ように、たくさんの交通事故事案を扱っている人であっても例外ではないです。車体にキズが付いたのか分からないレベルの事故で、むちうち症状を発症するとは信じられないのも不思議ではありません。

 

 

保険会社がむちうち症状を嘘だと疑う3つの理由

 

交通事故被害者がもっとも心を痛めるのは、保険会社の担当者から、むちうち症状は嘘ではないかと勘繰られることでしょう。

 

一方、保険会社がむちうち症状を疑うのには、以下のような3つの理由があります。

 

  1. 軽い追突事故なのにむちうち症状がある
  2. 事故から初診までの時間が長い
  3. 通院頻度が多過ぎる

 

 

軽い追突事故なのにむちうち症状がある

保険会社の担当者がむちうち症状の存在を最も疑うのは、軽い追突事故のケースです。やはり、事故の大きさと症状の重さは比例する傾向にあります。

 

このため、軽い追突事故の場合には、むちうち症状の存在自体が疑われるケースが後を絶ちません。

 

実臨床では、ごく軽度の追突事故であっても、むちうち症状を発症する可能性があるのは周知の事実です。

 

しかし、弁護士や被害者だけで、保険会社に対してむちうち症状の存在を証明するのは容易ではありません。このようなケースでは医師意見書が必要な場合もあります。

 

 

<参考>

 

 

事故から初診までの時間が長い

事故から医療機関を受診するまでの期間が長いと、むちうち症状の存在自体が疑問視されやすいです。

 

実臨床では、事故当日よりも翌日の症状の方が強いケースが多いです。このため、事故翌日の受診には違和感がありません。実務上は、受傷して3日目までなら許容範囲内でしょう。

 

しかし、受傷してから1週間以上も経過していると、むちうち症状の存在自体が疑われます。それだけ長い期間、医療機関を受診しなくてもよい程度の痛みだったとみなされるのです。

 

弊社では年間1000事案の取り扱いがあり、個々の事案を詳細に精査しています。分析結果から、受傷後3日以内の受診がデッドラインだと認識しています。

 

これ以上、事故から初診までの期間が長いと、後遺障害に認定されないのはもちろんのこと、むちうち症状の存在自体が疑われる可能性が高まります。

 

 

通院頻度が多過ぎる

むちうち症状の存在を疑われる理由のひとつが、通院頻度が多過ぎるケースです。特に軽度の事故では保険会社からマークされやすいです。

 

弊社が保険会社から調査依頼を受ける事案では、軽い追突事故にもかかわらず整骨院に毎月20回以上通っているようなケースを散見します。

 

実際には整骨院主体で通院頻度をリードしているケースも多いのでしょうが、保険会社は詐病を疑いやすいです。

 

 

traffic accident

 

 

医師には交通事故のむちうち症状が嘘だと分かる?

 

結論から申し上げると、診察するとある程度分かります。嘘をついている人は独特の反応を示すケースが多いからです。

 

もちろん、客観的な証拠があるわけではありません。しかし、本当に痛みのある人とは、身体所見が異なる傾向にあります。

 

画像検査だけでは痛みがあるのか分からないから、嘘はバレないという説もあります。しかし、画像所見は参考資料に過ぎません。医師が画像検査しか診ていないと思うのは浅慮です。

 

 

むちうち症状が嘘だとバレるNG行動

過剰に症状の存在をアピールする

診察室の空気感を読まずに、過剰に痛みをアピールする人を散見します。医師は患者さんの訴える症状と身体所見のギャップに違和感を抱きやすいです。

 

医師に違和感を抱かせる言動の筆頭は、過剰な症状のアピールです。痛みの存在を訴えたい気持ちは分かります。しかし、大袈裟な言動は逆効果であることを認識するべきでしょう。

 

 

<参考>
【医師が解説】むちうち症状の伝え方3つのポイント|交通事故

 

 

高圧的な態度をとる

症状を大袈裟にアピールするだけであれば、医師も聞き流すだけです。しかし、医師に対して高圧的な態度に出ると、医師は自己防衛せざるを得ません。

 

このため、診療録にはやりとりを含めて詐病の存在を匂わす記載をする確率が上がります。尚、患者さんが診療録の記載内容を見ても、詐病を疑っているか否かを判読することは困難です。

 

 

過剰要求する

医師に対して高圧的な態度をとることにも通じますが、過剰要求もよくありません。過剰要求の具体的例は以下のようなものです。

 

  • 頻回の通院を要求する
  • 受傷直後から物療を強要する
  • 痛み止めやシップなどを過剰に要求する
  • 診断書の記載内容に過度に口出しする

 

 

ネット情報を鵜吞みにしているケースもありそうですが、医師に詐病を疑わせるNG行動は取らない方が望ましいでしょう。

 

 

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むちうちが嘘だと疑われて争いになる具体例

ごく軽度の追突事故

むちうちが嘘だと疑われる最も多いパターンは、ごく軽度の事故です。事故の規模と比べて通院頻度が多過ぎると、争いに発展する確率が劇的に上昇します。

 

ごく軽度の事故でも症状が残りやすいのは、不意打ちの度合いです。助手席で寝ている際に追突されると症状は重くなる傾向にあります。そのような場合には、保険会社の担当者に事情を話しておきましょう。

 

 

サイドミラーの接触事故

サイドミラーが接触しただけの事故で争いになるケースもあります。サイドミラーの接触事故が意外なほど多いのは驚きですね。

 

弊社では交通事故被害者、保険会社の双方の立場で医師意見書を作成した経験があります。しかし、事案毎の固有性が高いため、医師意見書の作成方針でいつも悩んでいます。

 

 

自動運転車の事故

最近、増加しているのが自動運転車の事故です。自動運転車では、車両の損傷状態など客観的な事故の規模は小さいものが多いです。

 

しかし、実際には自動ブレーキによる急激な減速のために、特に加害者側のむちうち症状が重いケースを経験します。

 

しかし現時点(2022年現在)では、自賠責保険は自動運転車の事故を特別視していない印象を受けます。技術の進歩に自賠責保険が追い付いていない一例と言えるでしょう。

 

 

<参考>
【日経メディカル】自動運転で頸椎捻挫絡みの後遺症トラブルも

 

 

 

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むちうち症状が嘘だと疑われない3つの方法

受傷してすぐに医療機関を受診する

むちうち症状が嘘だと疑われない方法の筆頭は、受傷したらすぐに医療機関を受診することでしょう。

 

しかし、祝祭日や大型連休の事故では、医療機関の受診が難しいケースもあります。また、直近のトピックとしては、コロナ禍で受診できなかった事例も多いです。

 

どうしても受傷から3日以内に医療機関を受診できない場合にはどうすればよいのでしょうか。薬局で購入した鎮痛剤のレシートなど、痛みの存在が分かる客観的な資料を残しておきましょう。

 

 

受傷時から症状に一貫性がある

次々と新たな症状を訴えるケースも、むちうち症状が嘘だと疑われる要因になります。

 

よく見かけるのは、当初は頚部痛だけだったのに、受傷後1ヶ月してから腰痛が出てきたケースです。

 

受傷してからしばらくして、交通事故の症状が発症するケースもあると書かれているサイトを散見します。しかし、これらの記載は医学的に誤りです。

 

遅れて発症するのは3日以内がほとんどであり、1週間以上経過してから発症した症状は、事故とは関係の無い私病と考えるべきでしょう。

 

医学的にはもちろんのこと、自賠責保険でも私病と扱われる可能性が高いので注意が必要です。

 

 

通院頻度が適正

通院頻度は、多過ぎても少な過ぎてもよくありません。多過ぎる通院は、慰謝料目的と疑われる原因になります。

 

一方、月に1回などの少な過ぎる通院頻度も、むちうち症状の存在を疑問視されます。

 

 

 

 

むちうち症状が嘘だとバレると詐欺罪になる

 

もし、むちうち症状で嘘をついていた場合にはどうなるのでしょうか。むちうち症状の嘘がバレると、以下の2つが発生することが考えられます。

 

  • 医療費や慰謝料は支払われない
  • 保険金詐欺罪に該当する

 

 

医療費や慰謝料は支払われない

むちうち症状で嘘をついていたとされた場合、整形外科の医療費や整骨院の施術費は支払われません。

 

後遺症が残ったと主張しても、慰謝料が支払われることもありません。

 

 

保険金詐欺罪に該当する

むちうち症状で嘘をついていたことが明るみに出ると、保険金詐欺罪に該当します。保険会社は慎重にむちうち症状で嘘ついていないかを調査します。

 

立件されるか否かは別として、弊社でも債務不存在確認訴訟で使用する医師意見書の作成依頼が多いことを申し添えておきます。

 

 

まとめ

 

むちうちは軽い事故でも発症します。軽い事故では、むちうち症状が嘘だと疑われやすい傾向にあります。

 

保険会社が、むちうち症状を嘘だと疑う理由は以下の3点です。

 

  1. 軽い追突事故なのにむちうち症状がある
  2. 事故から初診までの時間が長い
  3. 通院頻度が多過ぎる

 

むちうち症状が嘘だと疑われないためには、受傷してすぐに医療機関を受診する必要があります。

 

また、通院頻度が適正であることも重要なポイントでしょう。次々に新しい部位の痛みを訴えるのもよくありません。

 

むちうち症状が嘘だと疑われて困っている事案があれば、こちらからお問い合わせください。

 

尚、弊社は交通事故被害者と直接お取引していません。必ず弁護士を通じてお問い合わせください。

 

 

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