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【医師が解説】骨挫傷の後遺症で等級認定されるポイント|交通事故

交通事故で発生する外傷のひとつに骨挫傷があります。骨挫傷は、自賠責保険の後遺障害等級で争いになりやすい外傷です。

 

本記事は、骨挫傷の後遺症が等級認定されるヒントとなるように作成しています。

 

骨挫傷とは

骨挫傷の病態

骨挫傷とは、外部から大きな衝撃が加わった結果、骨の内部に浮腫や出血を併発している病態と言われています。骨挫傷はMRIが広く普及したことによって生まれた概念で、私が医師に成り立ての頃は一般的とは言い難い傷病名でした。

 

骨挫傷は膝関節で大腿骨と脛骨が衝突する場合など、関節において骨が互いに衝突する場合や、骨に直接外力が加わったときに生じます。

 

単純X線像で所見の無い症例であっても、疼痛が続く場合にMRIを施行すると、骨髄内に浮腫ないし出血の信号(T1WI像・低信号+T2WI像・高信号)を呈していることがあります。

 

この信号変化は、不顕性骨折(occult fracture)や骨挫傷(bone contusion またはbone bruise)と呼ばれる病態で、MRIによる画像診断から生まれた概念です。

 

骨挫傷の病態や定義にはあいまい点があります。このため、単純X線像で骨折をみとめない不全骨折の症例が、骨挫傷として扱われているケースさえあります。

 

骨挫傷は、病理学的には微小な骨梁骨折と、それに伴う骨髄内の出血や浮腫を反映しているとされています。

 

 

bone bruise

 

 

骨挫傷の予後

骨髄の浮腫のみでやがて消退する単純な骨挫傷は、文献的にはMRIの異常信号像は約6週間~12週間で消退するとされています。

 

一般的には受傷後1 ヵ月以降で骨挫傷は消退する傾向が明らかになり、2~3 ヵ月後にはほとんど検出されなくなります。これに伴い、臨床症状も消失することが多いです。

 

 

骨挫傷の画像所見

一般的には、T1 強調画像において、線上あるいは帯状の低信号領域を示すものを不顕性骨折、地図状の低信号領域を示すものを骨挫傷と称しています。

 

MRIでは、地図状のT1 強調画像・低信号領域、T2強調画像・高信号領域として描出されます。

 

この画像所見は、骨同志が直接ぶつかり合うことによる圧迫力が加わった場合に著明であり、靱帯や腱の剥離のような伸延力による傷害では軽度であることが知られています。

 

 

骨挫傷と不顕性骨折の違い

骨挫傷と似た病態として、不顕性骨折があります。

 

不顕性骨折と骨挫傷との間に明瞭な区別はできていません。一般的には、T1 強調画像において、線上あるいは帯状の低信号領域を示すものを不顕性骨折、地図状の低信号領域を示すものを骨挫傷と称しています。

 

受傷後3ヵ月以上経過しても検出される異常信号像は、骨挫傷ではなく不顕性骨折である可能性があります。初期の画像では骨挫傷であっても、結局は不顕性骨折であったということがあるので注意が必要です。

 

後述のように、自賠責保険では骨挫傷は後遺障害を残さない傷病ですが、骨折は後遺障害の対象となります。このため、骨挫傷と不顕性骨折の鑑別診断はきっちり行う必要があります。

 

 

骨挫傷は等級認定されない?!

骨挫傷が非該当になる理由

骨挫傷は、自賠責保険の後遺障害認定では忌避される傷病名かもしれません。その理由は、骨挫傷=非該当という等式が成り立っているからです。骨挫傷は永続する後遺障害の原因とはみなされていないのです。

 

たしかに骨挫傷は後遺症を残さない症例が多いため、実臨床では大きな問題になることはあまりないです。

 

骨挫傷そのものは、MRIの経時的なフォローで消失する症例が多いです。このため骨挫傷では後遺障害は残存しないという単純な結論に至るのでしょう。

 

 

<参考>
日経メディカル|骨挫傷は交通事故診療では禁忌ワード!

 

 

骨挫傷の病名がついた画像鑑定は害悪でしかない

「骨挫傷を認める」という所見がつけられた画像鑑定報告書を添付して異議申し立てされる事案が多いですが、ほとんどの事案は非該当になることは周知のごとくです。

 

MRIでの画像所見が比較的派手なので、自賠責認定基準を知らないと「こんなすごい所見があれば、間違いなく後遺障害に該当するだろう」と考えがちです。

 

画像鑑定報告書を作成する側も自賠責認定基準を知らない人が多いので、骨挫傷を前面に押し出した鑑定書を作成してしまいます。しかしこれでは藪蛇です。むしろ等級認定可能性を遠ざけているとさえ言えます。

 

骨挫傷の事案では、画像鑑定報告書を使うべきではないのです。
 

 

 

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骨挫傷が等級認定されるためのポイント

他の傷病名を主力に据える

骨挫傷は後遺症を残さない症例が多いです。しかし実臨床ではいろいろなパターンが存在します。

 

骨挫傷と言えども、一部の症例では痛みが残存します。このような症例では、打撲や捻挫といった骨挫傷以外の傷病名がポイントになります。骨挫傷単独では等級認定可能性はゼロだからです。

 

被害者請求や異議申立てでは骨挫傷そのものにフォーカスするのではなく、打撲や捻挫といった骨挫傷以外の傷病名を中心に据えて主張しましょう。

 

あくまでも骨挫傷は、局所にそれだけの外力が加わった客観的な証拠として提示するに留めることをお勧めします。

 

ただし、現実的には弁護士意見書だけでは説得力がない事案が多いです。このようなケースでは専門医による医学意見書の添付も検討するべきでしょう。

 

 

<参考>
日経メディカル|意見書で交通事故の後遺症が決まるってホント?

 

 

骨挫傷でなく不顕性骨折である可能性を確認しよう

自賠責保険において、骨挫傷は後遺障害を残さない一過性の病態とされています。このこと自体におおむね異論ありませんが、骨挫傷のようにみえても実際は不顕性骨折であったということがあります。

 

特に荷重関節では、当初骨挫傷と思われていても実際には転位の無い骨折であり、最終的に転位したということはときどき見かけます。

 

単なる骨髄内の出血なのか、転位の無い骨折なのかの判断は画像所見だけでは難しいのが実情です。

 

骨挫傷の症例を診た場合には、そのまま放置するのではなく、単純X線像を何度か撮影して経過観察を行います。もし骨挫傷ではなく骨折であった場合には、転位すると後遺症を残してしまうからです。

 

よく非該当通知書で「骨挫傷なので云々」という内容の記載を見かけますが、画像を精査すると骨挫傷ではなく実は骨折だったということがあります。

 

自賠責保険が「骨挫傷なので後遺障害は残さず一過性の病態である」と主張していても、主治医はしっかり診ているので骨挫傷ではなく「骨折」という診断名をつけていることも多いです。

 

このようなケースでは、受傷後1ヵ月程度経過してから単純X線像で骨折部に化骨形成を認めることが多いです。

 

もし骨挫傷のために非該当となった事案では、単純X線像を確認して化骨形成がみとめられるのかを確認するべきだと思います。

 

 

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