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【遺言能力鑑定】意思能力の有無を専門医が証明|相続争い

相続争いで最も大きな問題になるのは、遺言を作成した時に、遺言者の判断能力が本当に保たれていたのかという点です。

 

本記事は、遺言時の判断能力の有無を証明する方法が分かるポイントを分かりやすく解説しています。

 

 

最終更新日:2026/2/20

 

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Table of Contents

認知症とは

 

認知症は、脳細胞の障害で記憶や判断力などの認知機能が低下して、日常生活に支障をきたした状態です。

 

 

認知症の原因

認知症の主な原因として、アルツハイマー型認知症、血管性認知症、レビー小体型認知症などが挙げられます。

 

 

アルツハイマー型認知症

 

アルツハイマー型認知症は、最も一般的な認知症です。このタイプの認知症は、脳内にアミロイドβと呼ばれる物質が蓄積して発症します。

 

 

血管性認知症

 

血管性認知症は、2番目に多いタイプです。脳梗塞などの血管障害によって引き起こされるため、半身麻痺などの症状がしばしば見られます。

 

 

レビー小体型認知症

 

レビー小体型認知症は、脳内にレビー小体と呼ばれる物質が蓄積することで発症します。

 

このタイプの特徴は、認知機能の低下だけでなく、歩行が不安定になり転倒しやすくなります。

 

 

認知症と物忘れの違い

認知症は、一般的な「物忘れ」と異なります。例えば、物忘れは朝食で何を食べたかを忘れますが、認知症は朝食を食べたこと自体を忘れます。

 

 

認知症のリスクファクター

肥満に伴う高脂血症、糖尿病、高血圧などの状態が合併した状態は、メタボリックシンドローム(メタボ)として知られています。

 

ボリックシンドロームの人は、さまざまな種類の認知症を発症するリスクが高まります。

 

 

<参考>
【地主と家主】認知症はどんな病気?|遺言能力鑑定

 

 

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意思能力と遺言能力の違い

 
意思能力とは、法律行為を行ったときに、自分の権利、義務、結果を判断できる精神能力です。つまり、意思表示を有効に実行できる能力です。

 

一方、日常生活での意思表示と比較して、遺言を行う際には一段高いレベルの精神能力が要求されます。

 

意思能力の中でも、遺言を実行できるレベルの能力は遺言能力と呼ばれています。つまり遺言能力は、意思能力の中でも高度な判断能力です。

 

 

遺言では遺言能力(意思能力)が必須

 

具体的に言うと、遺言能力(意思能力)とは遺言の内容や法律的な効果を理解して適切に判断できる能力です。

 

そして、遺言を作成するためには遺言能力が必要です。遺言能力が無いと、遺言は無効になります。

 

 

 

 

遺言能力(意思能力)の判断基準

 

遺言能力の判断基準は、それぞれの事案によって異なります。裁判でには以下の判例があります。

 

「総合的に見て、遺言の時点で遺言事項を判断する能力があったか否かによって判断すべき(東京地判平成16年7月7日)」

 

総合的に判断すると言われても、漠然として分かりにくいですね。過去の裁判例では、下記の点で遺言能力の有無を判断しています。

 

 

精神医学的な評価

遺言能力(意思能力)には、遺言時における遺言者の年齢や健康状態が大きな影響を及ぼします。

 

一般的には認知症の進行が問題になりますが、それ以外にも癌の末期などでも、正常な遺言能力が無い可能性があります。

 

 

<参考>

 

 

遺言内容

遺言に、事実の誤認や矛盾点が無いかが精査されます。また、遺言者の精神医学的状態を評価して、遺言が複雑過ぎないかなども考慮されます。

 

 

遺言者と相続人の人間関係

遺言能力が無いことを疑わせる例として、単なる知人や疎遠な親族に財産を贈与する遺言が挙げられます。

 

常識的に考えて、合理的な判断とみなされない遺言内容では、遺言能力は無かったと判断される傾向にあります。

 

 

遺言と同じ内容を記した別資料

遺言者の意向が、遺言とは別の資料にもあれば、遺言能力は認められやすいです。

 

 

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遺言を無効にされないためのポイント

公正証書遺言を作成

公正証書遺言とは、公証役場で公証人が遺言の内容を遺言者から聞き取って作成する遺言書です。

 

公証人は法律の専門家なので形式不備による無効リスクは低く、遺言書の紛失や偽造を防止できます。

 

一般的には公正証書遺言を作成すれば完璧と思われがちですが、実際には公正証書遺言が無効になるケースを散見します。

 

実際に弊社でも、公正証書遺言作成時の遺言能力の有無が争点となって、遺言者の没後に遺言能力鑑定を実施する事案があります。

 

公正証書遺言をもってしても、完全に相続争いを回避するできるわけではないのです。

 

 

遺言能力(意思能力)を証明する資料を保管しておく

遺言能力(意思能力)の有無は、遺言時の各種資料から裁判官が推認します。下記のような資料を残しておくことが望ましいでしょう。

 

  • 診断書
  • 遺言時の頃に遺言者が記載した文書
  • 遺言時の頃に撮影した遺言者の動画
  • 遺言時の頃の遺言者に関する日記

 

これらの資料によって、遺言者の遺言能力の有無を確認できる可能性があります。

 

 

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遺言能力鑑定という選択肢

公正証書遺言を作成して、遺言時の遺言能力(意思能力)を証明する資料を保管しておくと、相続争いをある程度回避できます。

 

しかし、最も客観的と思われる精神医学的な評価に関しては、片手落ちと言わざるを得ません。

 

弊社に相談された事案の中にも、公正証書遺言の客観性に疑問符の付くケースが多数存在します。

 

このような事案でも、公正証書遺言時に遺言能力を医学的に証明できる遺言能力鑑定を実施していれば、相続争いを回避できた事例があります。

 

転ばぬ先の杖として、遺言能力鑑定を公正証書遺言とセットで実施しておくことが望ましいでしょう。

 

 

<参考>
【弊社ホームページ】遺言能力鑑定 特設サイト

 

 

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遺言能力鑑定に必要な資料

 
遺言能力鑑定は、遺言者の生前に実施しておくことが望ましいです。しかし実際に弊社への依頼の多くは没後の遺言能力鑑定です。

 

すでに遺言者の没後であっても、下記のような資料があれば遺言能力鑑定は対応可能です。

 

  • 診断書(介護保険の主治医意見書を含む)
  • 診療録(カルテ)
  • 介護保険の認定調査票
  • 画像検査
  • 各種の検査結果
  • 看護記録
  • 介護記録

 

 

すべて揃っていることが望ましいですが、足りない資料があっても遺言能力鑑定できる可能性はあります。

 

資料の受け渡しは、オンラインストレージもしくは郵送となります。安全性や利便性からオンラインストレージの利用を推奨しています。

 

ご依頼の際に、オンラインストレージの使用方法を説明します。お困りの事案があれば、お問合せフォームからご連絡下さい。

 

 

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遺言能力鑑定を作成する流れ

事前審査が必須

 

まず、事前審査を実施した上で、遺言能力の本鑑定に進むか否かを検討していただきます。

 

  1. 弊社による簡易な資料確認結果のご連絡、および事前審査に関する見積書の送付
  2. お見積りにご承諾いただいた段階で、正式に事前審査を開始
  3. 事前審査が完了後、ご請求書の送付
  4. ご入金確認後、事前審査結果のご提出(電子データ)

 

事前審査を必須とする理由は、おおまかな遺言能力の有無を確認したうえで本鑑定に進む方が、クライアントの利益に適うからです。

 

 

本鑑定(遺言能力鑑定)

 

事前審査の結果を踏まえて遺言能力鑑定(本鑑定)に進む場合には、以下の流れになります。

 

  1. 弊社より見積書を送付
  2. お見積りをご承諾いただいた段階で、正式に遺言能力鑑定を開始
  3. 遺言能力鑑定案完成後、電子データにてご確認いただき、修正点があれば調整
  4. 遺言能力鑑定の最終稿が完成した段階で、ご請求書の送付
  5. ご入金確認後、レターパックにて医師の署名・捺印入り原本の発送

 

 

遺言能力鑑定の作成にかかる期間

遺言能力鑑定を作成する期間は、お見積りをご了承いただいた時点から初稿提出まで約4週間です。

 

 

遺言能力鑑定の料金

生前鑑定

 

概要

価格

事前審査

39,000円

本鑑定

400,000円

 

 

没後鑑定

 

概要

価格

事前審査

128,000円

本鑑定

350,000円

 

 

  • 本鑑定とは別途で、事前審査が必須です。
  • 本鑑定に進まない場合にも、事前審査費用の返金は致しかねます。
  • 上記料金は目安であり、資料の分量・難易度によって変動する場合があります。
  • 本鑑定では、誤字修正や表現の微修正等を除く加筆修正については1回目無料、2回目以降は+5万円/回を頂戴します。

 

 

 

 

遺言能力鑑定の実例

【脳神経内科】公正証書遺言作成時の遺言能力を鑑定

  • 80歳台前半
  • 男性

 
平成29年に公正証書遺言書を作成しました。しかし、当時すでに遺言者はアルツハイマー型認知症が進行しており、神経内科で治療中でした。

 

相続人Cは、公正証書遺言の有効性について提訴して一審勝訴、控訴審係属中に弊社に遺言能力鑑定依頼となりました。

 

医証を精査したところ、頭部CTでは著明な脳萎縮を認め、脳血流シンチグラフィーでは左頭頂葉と両側後方帯状回に脳血流低下を認めました。

 

診療録や画像検査から、公正証書遺言の作成時に充分な遺言能力を有していたとは到底言えないことが判明しました。

 

公正証書遺言を作成した事実は、被相続人が遺言能力を有している証拠にはならないことの一例です。

 

 

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【消化器内科】癌末期の肝性昏睡患者の遺言能力を鑑定

  • 60歳台前半
  • 男性

 
平成27年に下行結腸癌、空腸浸潤に対して左半結腸切除術、空腸合併切除、リンパ節郭清を施行しました。

 

多発性の肝転移を認めたため、癌の根治は困難とのことで在宅医療を行っていました。

 

しかし病状は少しずつ増悪して、食事摂取や体動が困難となり、平成28年に緩和治療目的で入院しました。

 

多量の鎮痛剤で癌性疼痛のコントロールを行いましたが、徐々に全身状態は衰弱しました。

 

永眠される3日前に、疎遠だった兄弟に財産を贈与するという内容の自筆証書遺言が作成されました。

 

遺言書の内容を不信に思った内縁の妻側の弁護士から、遺言能力鑑定の依頼を受けました。

 

消化器内科医師が診療録や画像検査を精査したところ、遺言書の作成時に充分な遺言能力を有していたとは到底言えないことが判明しました。

 

 

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遺言能力鑑定でよくある質問

遺言能力とは何ですか?

遺言能力とは、遺言書作成時に自分の財産内容や相続人の範囲を理解し、その処分結果を判断できる能力をいいます。

 

認知症と診断されているかどうかではなく、遺言時に判断能力があったかが問題になります。医学的所見と法律的判断の両面から評価されます。

 

 

認知症だと遺言は無効になりますか?

認知症の診断があるだけで直ちに無効にはなりません。重要なのは、遺言作成時の意思能力です。

 

軽度認知症でも、内容を理解して合理的判断ができていれば、遺言は有効となる可能性があります。

 

逆に、認知症の診断がなくても、判断力が著しく低下していれば、遺言は無効と判断されることがあります。

 

 

どの時点の能力が問題になりますか?

問題となるのは、遺言書を作成した「その時点」の意思能力です。遺言書作成後に認知症になっても、遺言は有効です。

 

 

遺言能力鑑定では何を資料にしますか?

主にカルテ、認知機能検査結果、介護記録、家族の陳述書、公証人の記録などを総合的に検討します。

 

医学的資料だけでなく、日常生活での判断力や会話内容も重要です。客観資料の量と質が鑑定結果に大きく影響します。

 

 

MMSEの点数だけで判断されますか?

MMSEなどの認知機能検査は参考指標に過ぎません。点数が低くても、内容理解が可能な場合もあります。

 

逆に、点数が高くても、具体的な財産処分の理解が不十分な場合があります。鑑定では検査結果と具体的判断能力を分けて評価します。

 

 

公正証書遺言なら安心ですか?

公証人が関与するため、遺言の有効性は高い傾向にありますが、絶対ではありません。

 

公証人が形式確認をしても、実質的な意思能力が欠けていれば無効と判断されます。ただし、実務上は有効とされる可能性は高いです。

 

 

医師の診断書があれば有効になりますか?

診断書は重要資料ですが、それだけで決まるわけではありません。作成時点と近接した診断で、具体的に判断能力を評価しているかが重要です。

 

 

鑑定にはどれくらい時間がかかりますか?

資料収集の状況にもよりますが、通常は4週間程度かかります。裁判手続内で行われる場合はさらに長期化することもあります。

 

遺言能力の鑑定人は、大量の医療記録や証言を精査して、医学的根拠に基づき意見書を作成します。

 

 

生前の言動はどれくらい重視されますか?

日常会話や金銭管理状況、社会的行動は重要な判断材料です。特に遺言内容と関連する発言や財産管理の実態は重視されます。

 

ただし、主観的証言だけでは足りず、医療記録など客観資料との整合性が求められます。

 

 

家族の関与があると無効になりますか?

家族が関与しても直ちに無効にはなりません。ただし特定相続人が主導して、本人の理解が不十分なまま作成された場合は慎重に検討されます。

 

 

一般的な遺言能力鑑定の費用はいくらですか?

遺言能力鑑定の費用は、依頼先や鑑定内容によって異なりますが、一般的な相場は30万円〜40万円程度が多いです。

 

事前審査も合わせると、総額で40~50万円になります。なお、交通費や追加資料の費用が発生することもあるため、事前に見積りしましょう。

 

 

遺言能力を診断してもらうには?

遺言能力の診断には、主治医による診断書や認知機能検査(長谷川式認知症スケールやMMSEなど)が活用されます。

 

特に遺言作成時の判断能力が争点となる場合、医師の診断やカルテ、介護記録などの客観的資料が重要です。

 

遺言書作成時に医師の立会いや診断を受けておくと、後々のトラブル防止に役立ちます。また、生前遺言能力鑑定も有効です。

 

 

<参考>
【生前遺言能力鑑定】認知症になる前に遺言するメリットとポイント

 

 

遺言はなぜ「ゆいごん」と読むのですか?

「遺言」は本来、法律用語としては「いごん」と読むのが正式ですが、一般には「ゆいごん」という読み方が広く浸透しています。

 

これは日本語の歴史的な音の変化や、日常会話での親しみやすさから「ゆいごん」が定着したためです。

 

法律実務や条文では「いごん」と読む場面もありますが、実務や相談の現場では「ゆいごん」と呼ばれることが多いです。

 

 

要介護3の人は遺言能力はありますか?

要介護3でも、身体機能の低下だけなら遺言能力は否定されません。重要なのは、遺言を理解して自分の意思で判断できる意思能力の有無です。

 

認知症でも、遺言作成時に十分な判断能力があれば遺言は有効です。逆に認知機能が著しく低下していれば、無効になる可能性があります。

 

 

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まとめ

 

相続争いで最も大きな問題は、遺言時の遺言者の遺言能力(意思能力)が本当に保たれていたのかという点です。

 

そして、本格的に遺言能力の有無が争点になると、公正証書遺言だけでは不充分です。

 

生前・没後とも、遺言能力の有無を客観的に判断するためには、遺言能力鑑定が必要となります。

 

 

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