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2024.1.25

遺言能力鑑定

【医師が解説】親が認知症になった時の相続対策|遺言能力鑑定

親が認知症になると相続が難しくなります。2025年には5人に1人が認知症になると予測されており、状況は年々厳しくなっています。

 

親が認知症になると、本人だけでなく家族もさまざまな課題に直面します。この問題に対処するためには、親が重度の認知症になる前に相続対策を考えることが重要です

 

本記事は、親が認知症になった時の相続対策を知るヒントとなるように作成しています。

 

 

最終更新日:2024/2/15

 

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認知症の説明

 

認知症とは、脳細胞の障害により認知機能が低下して、社会生活に支障をきたす状態です。進行すると日常生活に影響を及ぼします。

 

 

認知症のタイプ

認知症の主なタイプとして、アルツハイマー型認知症、血管性認知症、レビー小体型認知症が挙げられます。

 

 

アルツハイマー型認知症

アルツハイマー型認知症は、認知症の中で最も多いタイプです。アミロイドβが脳にたまることで発症します。

 

 

血管性認知症

血管性認知症は、脳梗塞など脳の血管が詰まることが原因で発症します。脳梗塞の症状として、片麻痺を伴うこともあります。

 

 

レビー小体型認知症

レビー小体型認知症は、レビー小体が脳にたまることで発症します。認知機能の低下だけではなく、歩き方がぎこちなくなって転倒しやすくなるのが特徴です。

 

 

認知症は「物忘れ」とは異なる

認知症は、高齢者にありがちな「物忘れ」とは異なります。「物忘れ」との違いとして、認知症は朝食を食べたこと自体を忘れる状態であり、一方の物忘れは朝食の内容を忘れることを指します。

 

 

認知症の危険因子

認知症の危険因子として、以下のようなものがあります。

 

  • 高脂血症
  • 糖尿病
  • 高血圧

 

肥満に、高脂血症、糖尿病、高血圧が合併している状態はメタボリックシンドローム(メタボ)として知られています。

 

メタボの人は、さまざまな種類の認知症を発症するリスクが高くなります。

 

 

<参考>
【地主と家主】認知症はどんな病気?|遺言能力鑑定

 

 

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親が認知症になると相続対策できない?

認知症になると法律行為が無効になる可能性がある

親が認知症になると、法律上「判断能力のない者」とされて、法律行為や相続対策が無効になる可能性があります。

 

具体的には、不動産の管理や売却、預金口座の解約・振込み、生命保険の加入・請求、生前贈与などが該当します。親が認知症になる前に対策を立てることが重要です。

 

 

認知症の親が遺した遺言書は有効なのか?

認知症の親が遺した遺言書は、遺言書を作成した時期に、親に判断能力が無かった場合には無効とされます。

 

訴訟になった場合、裁判官が遺言作成時の状況から遺言能力の有無を判断します。裁判では、医師の診断書だけではなく、他の具体的な証拠も必要です。

 

 

法定後見制度では相続対策できない

親が認知症になっても、法定後見制度を利用すれば資産管理や契約行為が可能です。

 

しかし、法定後見制度は本人の財産保護が主眼であり、積極的な資産運用や相続対策はあまり望めません。

 

遺産分割や相続税対策は法定後見制度では実現できないという前提で、親が重い認知症を発症する前に相続対策を検討しましょう。

 

 

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親が認知症になる前にできる相続対策

 

親が認知症になる前にできる相続対策の手段として「任意後見制度」と「家族信託」があります。

 

 

任意後見制度

任意後見制度は法定後見制度とは異なり、親(後見人)の意思で被後見人を選出して財産の処分を託す制度です。

 

もし親(後見人)が認知症で判断能力が低下した場合でも、事前に任意後見契約を結んでいると相続対策が可能です。

 

ただし、親(後見人)の意思能力があるうちに契約する必要があります。認知症になってからでは、法定後見制度しか使えません。

 

 

家族信託

家族信託は、親が認知症になった際の資産凍結リスクを防ぐ手法で、相続対策としても注目されています。

 

親が認知症になっても資産に関するトラブルが発生しないように、事前に契約を結びます。家族信託を結ぶことで、認知症になる前から相続の生前対策を進めることができます。

 

 

任意後見制度と家族信託の違い

任意後見制度と家族信託はどちらも同じように見えますが、実際には以下の4つの違いがあります。

 

  • 任意後見制度は判断能力が不十分になってからだが、家族信託は契約時から開始できる
  • 家族信託には身上監護権(生活、医療、介護などの契約手続きを代行)が無い
  • 任意後見制度は裁判所による監督がある
  • 任意後見制度では積極的な財産管理をできない

 

 

任意後見制度の目的は、本人の財産の保全です。このため現状維持が原則となり、積極的な相続対策は困難です。

 

 

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親が認知症かもしれないと思ったら

急いで遺言書を作成しても無効になる可能性がある

認知症の親が作成した遺言書は、遺言書を作成した時点で親に遺言能力が無かった場合には無効とされます。

 

 

遺言能力の有無が判断基準

遺言能力とは、遺言書の内容を理解できる精神能力です。具体的には、遺言書が執行されると、どのような結果になるのかを理解する能力です。

 

親が認知症になった場合、遺言書の有効性は親の遺言能力が判断基準になります。裁判官は、遺言書作成時の状況を精査して、親に十分な遺言能力があったのかを判断します。

 

 

裁判での遺言能力の判断基準

遺言能力の有無の判断基準には「総合的に見て、遺言の時点で遺言事項を判断する能力があったか否かによって判断すべき(東京地判平成16年7月7日)」という判例があります。

 

具体的には、以下の点で遺言能力の有無を判断しています。

 

  • 精神医学的な評価
  • 遺言書の内容
  • 親と相続人の人間関係
  • 遺言書と同じ内容を記した別資料

 

 

精神医学的な評価

 

親の年齢や健康状態は、遺言能力に大きな影響を及ぼします。親が高齢であるほど、病気を患っているほど、遺言能力は低下します。

 

一般的に、親が高齢であるほど認知症を発症する可能性が高まります。また、仮に親が癌に罹患していると、末期では遺言能力が十分でない可能性が高いです。

 

 

遺言書の内容

 

親が作成した遺言書の内容に、事実の誤認や矛盾点が無いかなども精査されます。また、前述の精神医学的な評価から、遺言書が複雑過ぎて理解できない可能性なども考慮されます。

 

 

親と相続人の人間関係

 

例えば、親にとって単なる知人や疎遠な親族に財産を贈与する遺言書は、遺言能力が無いことを疑わせるでしょう。弊社に持ち込まれる事案でも、このような例は多いです。

 

人間関係が希薄な場合には、合理的な判断とみなされません。このような遺言書は、遺言書作成時に遺言能力は無かったと判断される傾向にあります。

 

 

遺言書と同じ内容を記した別資料

 

遺言書と同じ内容の意向が記された資料があれば、親が認知症を発症していたとしても遺言能力が無かったと主張するのは難しくなります。

 

 

 

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親が認知症になった際の遺言能力の目安

長谷川式認知症スケールとは

仮に相続争いが裁判になった場合、遺言書の有効性は親の遺言能力の有無で判断されます。精神医学的な評価の判断基準の1つが、長谷川式認知症スケールという認知機能テストです。

 

日本中の医療機関や施設で最も普及しているのは、簡易に実施できる長谷川式認知症スケールです。これ以外にも、FASTやMMSEなどの各種検査が、認知症の重症度判定に用いられます。

 

 

<参考>

 

 

長谷川式認知症スケール10点が目安

やや高度な認知症とみなされるのは、長谷川式認知症スケールで10点以下です。このため、長谷川式認知症スケール10点が、有効な遺言能力が無いと判断される1つの目安となります。

 

一方、長谷川式認知症スケールが11点以上なら、必ず遺言能力が認められるわけではありません。長谷川式認知症スケールは絶対的な検査ではなく、その日の体調次第で変動するからです。

 

認知症になった親の遺言能力は、精神医学的な評価だけで判断されるわけではありません。裁判での遺言能力の判断基準で示したように、それぞれの事案毎に判断されます。

 

 

 

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親が認知症かもしれないと思った時の相続対策

親の遺言能力を判断するための資料

親が認知症かもしれないと思った時には、あらかじめ以下のような資料を収集しておくことが望ましいでしょう。親の遺言能力の有無は、裁判官が遺言時の各種資料を確認して判断するからです。

 

  • 診断書
  • 遺言時の頃に親が記載した文書
  • 遺言時の頃に撮影した親の動画
  • 遺言時の頃の親に関する日記

 

これらの資料によって、親の遺言能力の有無を確認できる可能性があります。

 

 

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遺言能力鑑定は遺言能力の有力な証明手段

親の遺言能力の有無を証明する有力な資料の1つに、遺言能力鑑定があります。

 

遺言能力鑑定は、認知症専門医が各種資料を精査して、認知症になった親の遺言能力の有無を鑑定します。

 

遺言能力鑑定は費用がかかりますが、訴訟の際の有力な資料となります。また、遺言書作成時に取得しておくと、遺言能力の証明になるでしょう。

 

 

<参考>
【弊社ホームページ】遺言能力鑑定 特設サイト
【遺言能力鑑定】意思能力の有無を専門医が証明|相続争い

 

 

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遺言能力鑑定

遺言能力鑑定に必要な資料

認知症になった親の没後であっても、以下のような資料があれば遺言能力鑑定は対応可能です。

 

  • 診断書(介護保険の主治医意見書を含む)
  • 診療録(カルテ)
  • 介護保険の認定調査票
  • 画像検査
  • 各種の検査結果
  • 看護記録
  • 介護記録

 

 

すべて揃っていることが望ましいですが、足りない資料があっても遺言能力鑑定できる可能性はあります。

 

これらの資料の受け渡しは、オンラインストレージもしくは郵送となります。安全性や利便性からオンラインストレージの利用を推奨しています。

 

ご依頼いただいた際に、オンラインストレージの使用方法を簡単にご説明させていただきます。

 

 

遺言能力鑑定を作成する流れ

遺言能力鑑定をご依頼後の大まかな流れは、以下の通りです。尚、没後鑑定では事前審査(95,000円+税)が本鑑定(350,000円+税~)とは別途で必須です。

 

  1. 弊社による簡易な資料確認結果のご連絡、および事前審査に関する見積書の送付
  2. お見積りにご承諾いただいた段階で、正式に事前審査を開始
  3. 事前審査が完了後、ご請求書の送付
  4. ご入金確認後、事前審査結果のご提出(電子データ)

 

 

事前審査の結果を踏まえて遺言能力鑑定(本鑑定)に進む場合には、以下の流れになります。
 

  1. 弊社より見積書を送付
  2. お見積りをご承諾いただいた段階で、正式に遺言能力鑑定を開始
  3. 遺言能力鑑定案完成後、電子データにてご確認いただき、修正点があれば調整
  4. 遺言能力鑑定の最終稿が完成した段階で、ご請求書の送付
  5. ご入金確認後、レターパックにて医師の署名・捺印入り原本の発送

 

 

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遺言能力鑑定の作成にかかる期間

遺言能力鑑定を作成する期間は、お見積りをご了承いただいた時点から初稿提出まで約4週間です。

 

 

遺言能力鑑定の料金

生前鑑定

400,000円+税

 

 

没後鑑定

事前審査:95,000円+税
本鑑定 :350,000円+税

 

 

  • 没後鑑定では、事前審査が本鑑定とは別途で必須です。
  • 本鑑定に進まない場合にも、事前審査費用の返金は致しかねます。

 

 

 

 

遺言能力鑑定の実例

【脳神経内科】公正証書遺言作成時の遺言能力を鑑定

  • 80歳台前半
  • 男性

 

平成29年に公正証書遺言書を作成しました。しかし、当時すでに遺言者はアルツハイマー型認知症が進行しており、神経内科で治療中でした。

 

相続人Cは、公正証書遺言の有効性について提訴して一審勝訴、控訴審係属中に弊社に遺言能力鑑定依頼となりました。

 

脳神経内科医師が医証を精査したところ、頭部CTでは著明な脳萎縮を認め、脳血流シンチグラフィーでは左頭頂葉と両側後方帯状回に脳血流低下を認めました。

 

診療録や画像検査から、公正証書遺言の作成時に充分な遺言能力を有していたとは到底言えないことが判明しました。

 

公正証書遺言を作成した事実は、被相続人が遺言能力を有している証拠にはならないことの一例です。

 

 

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【消化器内科】癌末期の肝性昏睡患者の遺言能力を鑑定

  • 60歳台前半
  • 男性

 

平成27年に下行結腸癌、空腸浸潤に対して左半結腸切除術、空腸合併切除、リンパ節郭清を施行しました。多発性の肝転移を認めたため根治は困難とのことで在宅医療を行っていました。

 

しかし病状は少しずつ増悪して、食事摂取や体動が困難となり、平成28年に緩和治療目的で入院しました。多量の鎮痛剤で癌性疼痛のコントロールを行いましたが、徐々に全身状態は衰弱しました。

 

永眠される3日前に、疎遠だった兄弟に財産を贈与するという内容の自筆証書遺言が作成されました。遺言書の内容を不信に思った内縁の妻側の弁護士から、遺言能力鑑定の依頼を受けました。

 

消化器内科医師が診療録や画像検査を精査したところ、遺言書の作成時に充分な遺言能力を有していたとは到底言えないことが判明しました。

 

 

CT

 

 

 

まとめ

 

親が認知症を発症すると相続対策が難しくなります。親が認知症になる前に、家族信託を利用して相続対策を進めることが理想でしょう。

 

もし、認知症になった親が作成した遺言書の有効性が争いになれば、遺言書作成時の遺言能力の有無が判断基準になります。訴訟では、以下の資料で遺言能力の有無を判断されます。

 

  • 精神医学的な評価
  • 遺言書の内容
  • 親と相続人の人間関係
  • 遺言書と同じ内容を記した別資料

 

 

精神医学的な評価の判断基準の1つが、長谷川式認知症スケールという認知機能テストです。長谷川式認知症スケールが10点以下の方は、やや高度な認知症とみなされます。

 

このため、有効な遺言能力が無いと判断される認知症の程度は、長谷川式認知症スケール10点が1つの目安となります。

 

遺言能力の有無を客観的に主張するためには、遺言能力鑑定が有効な手段となり得ます。お困りの事案があれば、お問合せフォームからご連絡下さい。

 

 

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