認知症にはさまざまな種類があり、中でも「レビー小体型認知症」と「アルツハイマー型認知症」はよく知られています。
しかし、これらが単独で発症するとは限らず、同時に併発するケースもあります。このような状態は「混合型認知症」と呼ばれ、それぞれの認知症が持つ特徴が複雑に絡み合うため、診断や治療が難しくなることがあります。
本記事では、レビー小体型認知症とアルツハイマー型認知症の違いや共通点を整理して、併発した場合にどのような症状が現れるのか、どのように診断されるのかを詳しく解説しています。
最終更新日: 2025/2/21
Table of Contents
レビー小体型とアルツハイマー型認知症は併発する
混合型認知症とは
混合型認知症とは、複数のタイプの認知症が同時に存在する状態です。特に、アルツハイマー型認知症とレビー小体型認知症の病理変化が同時に見られるケースが報告されています。
混合型認知症の症状
混合型認知症の症状は、両方の認知症の特徴を併せ持ちます。例えば、アルツハイマー型認知症に特徴的な記憶障害や見当識障害に加えて、レビー小体型認知症で見られる幻視やパーキンソン症状が同時に現れることがあります。
混合型認知症の診断
混合型認知症の診断には、詳細な臨床評価と画像検査が重要です。MRI検査や脳血流シンチグラフィーなどの画像検査により、各認知症に特徴的な脳の変化を確認します。
混合型認知症の治療
混合型認知症の治療は、各認知症のタイプに応じた薬物療法が中心となります。
認知機能の低下にはアルツハイマー型認知症の治療薬が使用されることがあり、パーキンソン症状には抗パーキンソン病薬が用いられます。
ただし、薬剤の効果や副作用には個人差があるため、慎重な投与と経過観察が必要です。
レビー小体型認知症とアルツハイマー型認知症の違い
症状の違い
アルツハイマー型認知症は、初期段階で記憶障害が顕著に現れて、特に最近の出来事を忘れることが特徴的です。
一方、レビー小体型認知症では、幻視やパーキンソン症状(手足の震えや動作の緩慢さ)、認知機能の変動が見られます。また、睡眠中に大声で寝言を言うなどのレム睡眠行動異常症も特徴的です。
脳内変化の違い
アルツハイマー型認知症では、脳内にアミロイドβやタウといった異常タンパク質が蓄積して、神経細胞が変性・脱落します。
一方、レビー小体型認知症では、レビー小体と呼ばれる異常タンパク質が大脳皮質や脳幹に蓄積して、神経細胞の機能障害を引き起こします。
進行の違い
アルツハイマー型認知症は、記憶障害から始まり、徐々に判断力や理解力の低下、最終的には日常生活の自立が困難になるまで進行します。
レビー小体型認知症は、認知機能の変動が特徴で、良い時と悪い時の差が大きく、幻視やパーキンソン症状が初期から現れることが多いです。
発症年齢の違い
アルツハイマー型認知症は、主に65歳以上の高齢者に多く見られます。レビー小体型認知症も高齢者に多いものの、40~50歳代で発症するケースも報告されています。
また、アルツハイマー型認知症が女性に多いのに対し、レビー小体型認知症は男性に多い傾向があります。
遺言能力鑑定は混合型認知症でも有用
混合型認知症は、複数の認知症が同時に存在する状態であり、特にアルツハイマー型認知症とレビー小体型認知症の併発が報告されています。
このようなケースでは、患者の認知機能や判断力に影響を及ぼす可能性があり、遺言作成時の意思能力(遺言能力)に関する鑑定が重要となります。
混合型認知症では、症状が多様で進行も個別に異なるため、専門的な遺言能力鑑定を通じて、遺言能力を適切に評価することが求められます。
<参考>
【遺言能力鑑定】意思能力の有無を専門医が証明|相続争い
レビー小体型認知症とアルツハイマー型認知症の併発でよくある質問
認知症は2種類併発することがありますか?
認知症は複数の種類が同時に併発することがあります。特に、アルツハイマー型認知症と脳血管性認知症の組み合わせが一般的であり、これを「混合型認知症」と呼びます。
また、アルツハイマー型認知症とレビー小体型認知症が同時に発症するケースも報告されています。
混合型認知症では、各認知症の特徴的な症状が複合的に現れるため、診断や治療が複雑になることがあります。
アルツハイマー型認知症と比べてレビー小体型認知症で特徴的な症状は何か?
アルツハイマー型認知症は、主に記憶障害が初期症状として現れます。一方、レビー小体型認知症では、以下の特徴的な症状が見られます。
認知機能の変動
日によって認知機能が良好な時と低下する時があり、変動が激しいことが特徴です。
幻視
実際には存在しないものが見える幻視が頻繁に起こります。
パーキンソン症状
筋肉のこわばりや手足の震え、動作の遅れなど、パーキンソン病に似た症状が現れます。
レム睡眠行動異常
睡眠中に大声で叫んだり、激しく動いたりする異常行動が見られます。
これらの症状は、アルツハイマー型認知症にはあまり見られないため、鑑別診断の重要なポイントとなります。
まとめ
混合型認知症とは、複数の認知症が同時に起こる状態です。特に、アルツハイマー型認知症とレビー小体型認知症が併発するケースがあります。
症状としては、アルツハイマー型の記憶障害と、レビー小体型の幻視や手足の震えが同時に現れることがあります。
診断にはMRI検査などの画像検査が重要で、治療はそれぞれの認知症に合わせた薬が使われます。
相続争いでは、混合型認知症の人の遺言能力有無の判断は難しいので、専門医による遺言能力鑑定が有用です。お困りの事案があれば、お問合せフォームから気軽にご連絡下さい。
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