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【遺言能力鑑定】認知症の親の遺言書は有効か?

認知症の親が作成した遺言書は有効なのでしょうか?親が高齢の人にとっては、とても気になる点ですね。遺言書の有効性をめぐって兄弟間で争いが起こると目も当てられません。

 

本記事は、認知症の親が作成した遺言書は有効なのかを知るヒントとなるように作成しています。

 

 

最終更新日: 2024/9/28

 

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認知症とは

 

認知症とは、脳細胞の障害によって記憶や判断力などの認知機能が低下して、社会生活に支障をきたした状態です。認知症が進行すると、日常生活に影響を及ぼします。

 

 

認知症の原因

認知症の主な原因として、アルツハイマー型認知症、血管性認知症、レビー小体型認知症が挙げられます。

 

 

アルツハイマー型認知症

アルツハイマー型認知症は、最も一般的な認知症のタイプです。アルツハイマー型認知症は、脳内にアミロイドβと呼ばれる物質が蓄積することで発症します。

 

 

血管性認知症

血管性認知症は、認知症の中で2番目に多いタイプです。血管性認知症は脳梗塞などで発症します。このため、半身麻痺を伴うことも珍しくありません。

 

 

レビー小体型認知症

レビー小体型認知症は、脳内にレビー小体と呼ばれる物質が蓄積することで発症します。レビー小体型認知症は、認知機能の低下だけではなく、歩き方がぎこちなくなって転倒しやすくなるのが特徴です。

 

 

認知症と物忘れの違い

認知症は、高齢者によく見られる「物忘れ」とは異なります。例えば、朝食で何を食べたのかを忘れるのは物忘れですが、朝食を食べたこと自体を忘れるのが認知症です。

 

 

認知症のリスクファクター

肥満に伴う高脂血症、糖尿病、高血圧などの状態が合併した状態は、メタボリックシンドローム(メタボ)として知られています。メタボの人は、さまざまな種類の認知症を発症するリスクが高まります。

 

 

<参考>
【地主と家主】認知症はどんな病気?|遺言能力鑑定

 

 

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認知症の親の遺言書は有効か?

遺言能力の有無が判断基準

遺言能力とは、遺言書の内容を理解できる精神能力です。具体的には、遺言書が執行されると、どのような結果になるのかを理解する能力です。

 

認知症になった親の遺言書が有効かは、親の遺言能力の有無が判断基準になります。

 

もし、認知症の親が作成した遺言書の有効性が裁判になれば、裁判官が遺言書の有効性を判断します。

 

裁判官は、遺言書が作成された時点の状況を精査して、親に十分な遺言能力があったのかを判断します。

 

 

裁判での遺言能力の判断基準

遺言能力の有無の判断基準には「総合的に見て、遺言の時点で遺言事項を判断する能力があったか否かによって判断すべき(東京地判平成16年7月7日)」という判例があります。

 

具体的には、以下の点で遺言能力の有無を判断しています。

 

  • 精神医学的な評価
  • 遺言書の内容
  • 親と相続人の人間関係
  • 遺言書と同じ内容を記した別資料

 

 

精神医学的な評価

 

親の年齢や健康状態は、遺言能力に大きな影響を及ぼします。親が高齢であるほど、病気を患っているほど、遺言能力は低下します。

 

一般的に、親が高齢であるほど認知症を発症する可能性が高まります。また、仮に親が癌に罹患していると、末期では遺言能力が十分でない可能性が高いです。

 

 

遺言書の内容

 

親が作成した遺言書の内容に、事実の誤認や矛盾点が無いかなども精査されます。また、前述の精神医学的な評価から、遺言書が複雑過ぎて理解できない可能性なども考慮されます。

 

 

親と相続人の人間関係

 

例えば、親にとって単なる知人や疎遠な親族に財産を贈与する遺言書は、遺言能力が無いことを疑わせるでしょう。弊社に持ち込まれる事案でも、このような例は多いです。

 

人間関係が希薄な場合には、合理的な判断とみなされません。このような遺言書は、遺言書作成時に遺言能力は無かったと判断される傾向にあります。

 

 

遺言書と同じ内容を記した別資料

 

遺言書と同じ内容の意向が記された資料があれば、親が認知症を発症していたとしても遺言能力が無かったと主張するのは難しくなります。

 

 

 

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遺言書の有効性を判断する認知症の目安

長谷川式認知症スケールとは

仮に相続争いが裁判になった場合、遺言書の有効性は遺言能力の有無で判断されます。精神医学的な評価の判断基準の1つが、長谷川式認知症スケールという認知機能テストです。

 

日本中の医療機関や施設で最も普及しているのは、簡易に実施できる長谷川式認知症スケールです。これ以外にも、FASTやMMSEなどの各種検査が、認知症の重症度判定に用いられます。

 

 

<参考>

 

 

長谷川式認知症スケール10点が目安

やや高度な認知症とみなされるのは、長谷川式認知症スケールで10点以下です。このため、長谷川式認知症スケール10点が、有効な遺言能力が無いと判断される1つの目安となります。

 

一方、長谷川式認知症スケールが11点以上なら、必ず遺言能力が認められるわけではありません。長谷川式認知症スケールは絶対的な検査ではなく、その日の体調次第で変動するからです。

 

精神医学的な評価だけで親の遺言能力が判断されるわけではなく、裁判での遺言能力の判断基準で示したように、それぞれの事案毎に判断されます。

 

 

 

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認知症の親が作成した遺言書の有効性

認知症の親の遺言能力を判断するための資料

親が認知症を発症していそうな時には、あらかじめ以下のような資料を収集しておくことが望ましいでしょう。遺言能力の有無は、裁判官が遺言時の各種資料を確認して判断するからです。

 

  • 診断書
  • 遺言時の頃に親が記載した文書
  • 遺言時の頃に撮影した親の動画
  • 遺言時の頃の親に関する日記

 

 

これらの資料によって、認知症を発症した親の遺言能力の有無を確認できる可能性があります。

 

 

遺言能力鑑定の勧め

認知症になった親の遺言能力の有無を証明する有力な資料の1つに、遺言能力鑑定があります。

 

遺言能力鑑定は、認知症専門医が各種資料を精査して、認知症になった親の遺言能力の有無を鑑定します。

 

遺言能力鑑定は費用がかかりますが、訴訟の際の有力な資料となります。また、遺言書作成時に取得しておくと、遺言能力の証明になるでしょう。

 

弊社では、脳神経内科や脳神経外科の認知症専門医が遺言能力鑑定を実施しており、常時10例近い事案が同時進行しています。

 

業界屈指の事案数に裏付けられた遺言能力鑑定の品質を、是非ご確認ください。

 

 

<参考>

 

 

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まとめ

 

認知症の親が作成した遺言書の有効性は、遺言書作成時の遺言能力の有無が判断基準になります。訴訟では、以下の資料で遺言能力の有無を判断されます。

 

  • 精神医学的な評価
  • 遺言書の内容
  • 親と相続人の人間関係
  • 遺言書と同じ内容を記した別資料

 

 

精神医学的な評価の判断基準の1つが、長谷川式認知症スケールという認知機能テストです。長谷川式認知症スケールが10点以下の方は、やや高度な認知症とみなされます。

 

このため、有効な遺言能力が無いと判断される認知症の程度は、長谷川式認知症スケール10点が1つの目安となります。

 

遺言能力の有無を客観的に主張するためには、遺言能力鑑定が有効な手段となり得ます。お困りの事案があれば、お問合せフォームからご連絡下さい。

 

 

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