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2025.3.29

遺言能力鑑定

公正証書遺言が無効になる確率は?ケース毎の発生頻度を紹介|遺言能力鑑定

公正証書遺言は、公証人が関与するため形式的な不備が生じにくく、一般的に有効性が高いとされています。しかし、実際には無効と判断されるケースも存在します。

 

特に、遺言者の判断能力が疑われる場合や、証人に不適格者が含まれていた場合などは、裁判で争われる可能性があります。

 

本記事では、公正証書遺言が無効になる確率や主な理由について解説して、無効するためのポイントを紹介しています。

 

 

最終更新日: 2025/3/29

 

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公正証書遺言が無効になる確率は極めて低い

 

公正証書遺言は、公証役場で公証人が関与して、厳格な手続きのもと作成されるため、無効とされるケースは極めて少ないです。特に、形式的な不備はほとんど生じません。

 

ただし、遺言者の判断能力の欠如や、証人の不適格、口授(遺言者本人の意思表示)の不備などが原因で無効とされる可能性があります。ここでは、それぞれのケースについて詳しく解説します。

 

 

遺言能力の欠如は比較的稀

遺言者が遺言を作成する際、法律上「自己の財産を処分する意思を正しく理解できる能力(遺言能力)」が求められます。

 

認知症の進行などで遺言能力が欠如している場合、遺言が無効とされる可能性があります。

 

ただし、公正証書遺言では、公証人が遺言者の遺言能力を確認するため、遺言能力の欠如を理由に無効とされるケースは少ないです。

 

裁判で争われる場合、医療記録や診断書、介護記録などが重要な証拠となります。

 

 

証人の不適格は極めて稀

公正証書遺言には2名以上の証人が必要ですが、民法では証人になれない者(例:未成年者、推定相続人、受遺者、その配偶者)を定めています。

 

証人がこれらの不適格者であった場合、公正証書遺言が無効とされる可能性があります。

 

しかし、公証役場では証人の適格性を事前に確認するため、証人の不適格が原因で無効になるケースはほとんどありません。

 

万が一不適格者が証人になっていた場合、裁判でその適格性が争点となることがあります。

 

 

口授の不備は判例数件

公正証書遺言は、遺言者が「口授(こうじゅ)」といって、公証人に自分の意思を伝えて、それを公証人が筆記することで作成されます。

 

遺言者が自らの意思を明確に述べられない場合や、公証人が口授の手続きを誤った場合、遺言が無効とされる可能性があります。

 

ただし、公証人は職務上、この手続きを厳格に守るため、口授の不備による無効判決は数件しか確認されていません。

 

この点を争うには、遺言作成時の遺言能力有無の証明が重要になります。

 

 

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公正証書遺言が無効になる確率が低い理由

形式的要件の厳格さ

公正証書遺言は、法律で定められた厳格な形式的要件を満たす必要があります。​

 

公証人が遺言者から内容を聞き取り、正確に文書化することで、形式の不備による無効リスクを大幅に低減しています。 ​

 

 

偽造防止機能

公正証書遺言は、公証役場で原本が厳重に保管されるため、第三者による偽造や改ざんのリスクがほとんどありません。​

 

 

遺言能力の事前確認

公証人は、遺言作成時に遺言者の遺言能力(意思能力)の有無を確認します。

 

​事前確認により、認知症などで判断能力が低下している場合でも、無効となるリスクが軽減されます。

 

 

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認知症を理由とした無効請求を成功するポイント

医療記録の精査

遺言作成時の遺言者の遺言能力を確認するため、診療録や医師の診断書を詳細に調査します。

 

​特に認知症の診断や治療歴が記載されている場合、遺言能力の有無を判断する重要な証拠となります。​

 

 

画像検査

脳のMRI検査やCT検査などの画像検査結果を読影して、脳の萎縮状況を確認します。​これらの客観的データは、遺言能力の評価において有力な証拠となり得ます。​

 

 

介護保険の認定調査票

介護保険申請時の認定調査票には、日常生活における認知機能や判断能力が詳細に記録されています。認定調査票を精査することで、遺言者の判断能力を把握できます。​

 

 

介護記録

介護施設や訪問介護サービスの記録から、遺言者の日常的な認知機能を確認します。​これらの情報は、遺言作成時の遺言能力を推測する上で参考になります。​

 

 

遺言能力鑑定という選択肢

遺言者が遺言書作成時に適切な判断能力(遺言能力)を有していたか疑問があるケースでは、認知症専門医による遺言能力鑑定を行うことが考えられます。

 

遺言能力とは、遺言内容を理解して、その結果を認識できる能力です。近年、遺言能力の有無を争点とする訴訟が増加しており、専門的な評価手法の確立が求められています。

 

遺言能力鑑定は、認知症専門医が遺言者の神経心理学的検査、診療録、画像検査などで遺言能力を評価して、遺言書の有効性を鑑定します。

 

<参考>
【遺言能力鑑定】意思能力の有無を専門医が証明|相続争い

 

 

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公正証書遺言の無効確率でよくある質問

公正証書遺言を無効にするのは難しいですか?

公正証書遺言は、公証人が関与して作成されるため、形式的な不備が少なく、無効とするのは一般的に難しいとされています。

 

​しかし、遺言者の遺言能力が欠如していた場合など、特定の状況下では無効と判断される可能性があります。​

 

無効を主張する際には、医療記録や当時の映像記録などの証拠が重要となります。 ​

 

 

公正証書は絶対確実ですか?

公正証書遺言は、公証人が作成して、公証役場で保管されるため、他の遺言形式に比べて無効となるリスクが低いとされています。​

 

しかし、遺言者の遺言能力が欠如していた場合や、法律が定める方式を満たしていない場合など、無効となるケースも存在します。 ​

 

 

遺言書の無効確認は難しいですか?

遺言書無効確認訴訟は、難易度が高いとされます。公正証書遺言は作成時に遺言者の意思が慎重に確認されるため、無効を主張しにくいです。

 

また、自筆証書遺言も「二段の推定」により無効を争うのが難しくなります。さらに、時間が経つと証拠が失われやすく、立証が困難になる点も障壁となります。

 

 

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まとめ

 

公正証書遺言は、公証人が関与し厳格な手続きで作成されるため、無効になる確率は極めて低いです。特に形式の不備はほぼなく、証人の不適格や口授の不備も非常に稀です。

 

しかし、遺言者の判断能力が欠如していた場合など、一部の条件下では無効となる可能性があります。無効を主張するには、医療記録や介護記録などの証拠が必要です。

 

公正証書遺言の信頼性は高いものの、絶対ではありません。遺言者が認知症を患ったために、遺言書の効力が争いになれば、認知症専門医による遺言能力鑑定が有用となる可能性があります。

 

公正証書遺言に関する争いで、お困りの事案があれば、お問合せフォームから気軽にご連絡下さい。

 

 

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