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2023.12.17

遺言能力鑑定

【医師が解説】相続で認知症の程度はどこまで有効?|遺言能力鑑定

被相続人(遺言者)が認知症になると、相続時に争いが発生しがちです。被相続人の認知症がどの程度までなら、遺言書は有効なのでしょうか。

 

本記事は、認知症の程度がどこまでなら遺言書が有効なのかを知るヒントとなるように作成しています。

 

 

最終更新日:2024/2/15

 

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認知症とは

 

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認知症は、脳の細胞が損傷され、記憶力や判断力(認知機能)が低下する病気です。症状が進行すると、日常生活に影響を及ぼします。2025年には、65歳以上の5人に1人が認知症になると言われています。

 

 

認知症の原因

認知症の原因として多いのは、アルツハイマー型認知症、血管性認知症、レビー小体型認知症です。

 

 

アルツハイマー型認知症

認知症で最も多いのは、アルツハイマー型認知症です。アルツハイマー型認知症は、アミロイドβという物質が脳にたまって発症します。

 

 

血管性認知症

2番目に多いのは、血管性認知症です。血管性認知症は脳卒中が原因で、半身麻痺を伴うことも珍しくありません。

 

 

レビー小体型認知症

レビー小体型認知症は、レビー小体という物質が脳にたまって発症します。認知症だけではなく、歩き方がぎこちなくなって転倒しやすくなるのが特徴です。

 

 

認知症と物忘れの違い

認知症は「物忘れ」とは異なります。例えば、夕食で何を食べたのかを忘れるのは物忘れですが、夕食を食べたこと自体を忘れるのが認知症です。

 

 

認知症のリスクファクター

メタボリックシンドローム(メタボ)は、肥満をベースにして高脂血症、糖尿病、高血圧となる状態です。メタボの人は、認知症を発症するリスクが3倍以上になります。

 

 

<参考>
【地主と家主】認知症はどんな病気?|遺言能力鑑定

 

 

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認知症になった被相続人(遺言者)の遺言書は有効か?

遺言能力の有無が判断基準

自分の権利、義務、結果を判断して、有効に実行できる能力を意思能力と言います。例えば、携帯電話の料金プランを適切に判断する能力です。

 

一方、遺言の判断をする際には、日常生活での意思能力よりも高いレベルの判断能力が要求されます。

 

意思能力の中でも、遺言を実行できるほど高いレベルの能力は、遺言能力と呼ばれています。

 

認知症になった被相続人(遺言者)の遺言書が有効か否かは、被相続人の遺言能力の有無が判断基準になります。

 

 

遺言の有効性を判断するのは裁判官

もし、認知症になった被相続人(遺言者)が作成した遺言書の有効性が訴訟になれば、裁判官が有効性の有無を判断します。

 

裁判官は、遺言書が作成された時点の状況を精査して、被相続人(遺言者)に十分な遺言能力があったのかを判断します。

 

 

訴訟での遺言能力の判断基準

遺言能力の有無の判断基準には「総合的に見て、遺言の時点で遺言事項を判断する能力があったか否かによって判断すべき(東京地判平成16年7月7日)」という判例があります。

 

具体的には、以下の点で遺言能力の有無を判断しています。
 

  • 精神医学的な評価
  • 遺言内容
  • 被相続人(遺言者)と相続人の人間関係
  • 遺言と同じ内容を記した別資料

 

 

精神医学的な評価

 

被相続人(遺言者)の年齢や健康状態は、遺言能力に大きな影響を及ぼします。被相続人が高齢であるほど、病気を患っているほど、遺言能力は低下します。

 

例えば、被相続人(遺言者)が高齢であるほど認知症を発症する可能性が高まります。また、癌の末期では遺言能力が十分でない可能性が高いです。

 

 

遺言内容

 

遺言の内容に、事実の誤認や矛盾点が無いかなども精査されます。また、前述の精神医学的な評価から、遺言内容が複雑過ぎて理解できない可能性が無いかも考慮されます。

 

 

被相続人(遺言者)と相続人の人間関係

 

例えば、被相続人(遺言者)にとって単なる知人や疎遠な親族に財産を贈与する遺言は、遺言能力が無いことを疑わせます。

 

合理的な判断とみなされない遺言内容のケースでは、遺言能力は無かったと判断される傾向にあります。

 

 

遺言と同じ内容を記した別資料

 

遺言書とは別に、同じ内容の意向が記された資料があれば、遺言能力が無かったことを主張するのは難しくなります。

 

 

 

 

遺言が有効となる認知症の程度は?

長谷川式認知症スケールとは

訴訟では、遺言書の有効性は遺言能力の有無で判断されます。精神医学的な評価の判断基準の1つが、長谷川式認知症スケールという認知機能テストです。

 

長谷川式認知症スケールは簡易に実施できるので、日本中の医療機関や施設で広く実施されています。長谷川式認知症スケール以外にも、FASTやMMSEなどが認知症の重症度判定に用いられます。

 

 

<参考>
【医師が解説】長谷川式認知症スケールの解釈|遺言能力鑑定
【医師が解説】認知症ステージ分類のFASTとは|遺言能力鑑定
【医師が解説】MMSEの認知症でのカットオフ値は?|遺言能力鑑定
【医師が解説】MMSEと長谷川式認知症スケールの違い|遺言能力鑑定

 

 

長谷川式認知症スケール10点が目安

長谷川式認知症スケールが10点以下の方は、やや高度な認知症とみなされます。このため、有効な遺言能力が無いと判断される認知症の程度は、10点が1つの目安となります。

 

もちろん遺言能力は、精神医学的な評価だけで判断されるわけではありません。訴訟での遺言能力の判断基準で説明したように、個々の事案毎にさまざまな角度から判断されます。

 

このため、長谷川式認知症スケールが11点以上なら遺言能力が必ず認められるわけではありません。実臨床では、15点でも認知症の症状が強い人も珍しくないからです。

 

 

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遺言能力の有無を証明する手段

遺言能力を無効にするための資料

被相続人(遺言者)の遺言能力の有無は、遺言時の各種資料から裁判官が推認します。以下のような資料を収集しておくことが望ましいでしょう。
 

  • 診断書
  • 遺言時の頃に遺言者が記載した文書
  • 遺言時の頃に撮影した遺言者の動画
  • 遺言時の頃の遺言者に関する日記

 

これらの資料によって、被相続人(遺言者)の遺言能力の有無を確認できる可能性があります。

 

 

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遺言能力鑑定という選択肢

被相続人(遺言者)の遺言能力の有無を証明する有力な資料の1つに、遺言能力鑑定があります。

 

遺言能力鑑定は、認知症専門医が各種資料を精査して、被相続人(遺言者)の遺言能力の有無を鑑定します。

 

遺言能力鑑定は費用がかかりますが、訴訟の際の有力な資料となります。また、遺言書作成時に取得しておくと、遺言能力の証明になるでしょう。

 

 

<参考>
【弊社ホームページ】遺言能力鑑定 特設サイト

 

 

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遺言能力鑑定

遺言能力鑑定に必要な資料

遺言者の没後であっても、下記のような資料があれば遺言能力鑑定は対応可能です。

 

  • 診断書(介護保険の主治医意見書を含む)
  • 診療録(カルテ)
  • 介護保険の認定調査票
  • 画像検査
  • 各種の検査結果
  • 看護記録
  • 介護記録

 

 

すべて揃っていることが望ましいですが、足りない資料があっても遺言能力鑑定できる可能性はあります。

 

これらの資料の受け渡しは、オンラインストレージもしくは郵送となります。安全性や利便性からオンラインストレージの利用を推奨しています。

 

ご依頼いただいた際に、オンラインストレージの使用方法を簡単にご説明させていただきます。

 

 

遺言能力鑑定を作成する流れ

遺言能力鑑定をご依頼後の大まかな流れは、以下の通りです。尚、没後鑑定では事前審査(95,000円+税)が本鑑定(350,000円+税~)とは別途で必須です。

 

  1. 弊社による簡易な資料確認結果のご連絡、および事前審査に関する見積書の送付
  2. お見積りにご承諾いただいた段階で、正式に事前審査を開始
  3. 事前審査が完了後、ご請求書の送付
  4. ご入金確認後、事前審査結果のご提出(電子データ)

 

 

事前審査の結果を踏まえて遺言能力鑑定(本鑑定)に進む場合には、以下の流れになります。
 

  1. 弊社より見積書を送付
  2. お見積りをご承諾いただいた段階で、正式に遺言能力鑑定を開始
  3. 遺言能力鑑定案完成後、電子データにてご確認いただき、修正点があれば調整
  4. 遺言能力鑑定の最終稿が完成した段階で、ご請求書の送付
  5. ご入金確認後、レターパックにて医師の署名・捺印入り原本の発送

 

 

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遺言能力鑑定の作成にかかる期間

遺言能力鑑定を作成する期間は、お見積りをご了承いただいた時点から初稿提出まで約4週間です。

 

 

遺言能力鑑定の料金

生前鑑定

 

400,000円+税

 

 

没後鑑定

 

事前審査:95,000円+税
本鑑定 :350,000円+税

 

 

  • 没後鑑定では、事前審査が本鑑定とは別途で必須です。
  • 本鑑定に進まない場合にも、事前審査費用の返金は致しかねます。

 

 

 

 

遺言能力鑑定の実例

【脳神経内科】公正証書遺言作成時の遺言能力を鑑定

  • 80歳台前半
  • 男性

 

平成29年に公正証書遺言書を作成しました。しかし、当時すでに遺言者はアルツハイマー型認知症が進行しており、神経内科で治療中でした。

 

相続人Cは、公正証書遺言の有効性について提訴して一審勝訴、控訴審係属中に弊社に遺言能力鑑定依頼となりました。

 

脳神経内科医師が医証を精査したところ、頭部CTでは著明な脳萎縮を認め、脳血流シンチグラフィーでは左頭頂葉と両側後方帯状回に脳血流低下を認めました。

 

診療録や画像検査から、公正証書遺言の作成時に充分な遺言能力を有していたとは到底言えないことが判明しました。

 

公正証書遺言を作成した事実は、被相続人が遺言能力を有している証拠にはならないことの一例です。

 

 

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【消化器内科】癌末期の肝性昏睡患者の遺言能力を鑑定

  • 60歳台前半
  • 男性

 

平成27年に下行結腸癌、空腸浸潤に対して左半結腸切除術、空腸合併切除、リンパ節郭清を施行しました。多発性の肝転移を認めたため根治は困難とのことで在宅医療を行っていました。

 

しかし病状は少しずつ増悪して、食事摂取や体動が困難となり、平成28年に緩和治療目的で入院しました。多量の鎮痛剤で癌性疼痛のコントロールを行いましたが、徐々に全身状態は衰弱しました。

 

永眠される3日前に、疎遠だった兄弟に財産を贈与するという内容の自筆証書遺言が作成されました。遺言書の内容を不信に思った内縁の妻側の弁護士から、遺言能力鑑定の依頼を受けました。

 

消化器内科医師が診療録や画像検査を精査したところ、遺言書の作成時に充分な遺言能力を有していたとは到底言えないことが判明しました。

 

 

CT

 

 

 

まとめ

 

認知症になった被相続人(遺言者)の遺言書の有効性は、遺言能力の有無が判断基準になります。訴訟では、以下の点で遺言能力の有無を判断されます。

 

  • 精神医学的な評価
  • 遺言内容
  • 被相続人(遺言者)と相続人の人間関係
  • 遺言と同じ内容を記した別資料

 

 

精神医学的な評価の判断基準の1つが、長谷川式認知症スケールという認知機能テストです。長谷川式認知症スケールが10点以下の方は、やや高度な認知症とみなされます。

 

このため、有効な遺言能力が無いと判断される認知症の程度は、長谷川式認知症スケール10点が1つの目安となります。

 

遺言能力の有無を客観的に主張するためには、遺言能力鑑定が有効な手段となり得ます。お困りの事案があれば、お問合せフォームからご連絡下さい。

 

 

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