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2024.1.27

遺言能力鑑定

【医師が解説】認知症の画像所見とは?|遺言能力鑑定

認知症は、中高年者の5人に1人が発症すると予測されているほど数の多い病気です。誰もが認知症を発症する可能性があると言えるでしょう。

 

認知症を診断するには各種テストが必要ですが、画像検査も補助的な役割を果たしています。

 

本記事は、認知症の画像検査や画像所見を知るヒントとなるように作成しています。

 

 

最終更新日:2024/4/19

 

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認知症の診断はどうするの?

 

認知症は、身体検査、神経心理学検査、画像検査などで診断します。いずれも重要な検査ですが、画像検査は最も客観的な検査と言えるでしょう。

 

 

<参考>
【医師が解説】認知症の検査とは?種類、価格、評価法|遺言能力鑑定

 

 

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認知症の画像検査とは

画像検査の種類

認知症では、脳の病変の有無や形態異常を調べるために、以下のような画像検査が行われます。

 

  • CT検査
  • MRI検査(VSRAD)
  • SPECT検査
  • PET検査

 

 

画像検査の目的

認知症で行われる各画像検査は、以下の評価を目的として行われます。

 

  • 脳の形態: CT、MRI(VSRAD)
  • 脳の血流: SPECT、MRI、PET
  • 脳の代謝: PET

 

 

画像検査の認知症所見

CT検査

認知症では、形態学的変化が現れやすいです。最もよく認められる画像所見は、前頭葉、側頭葉、頭頂葉の脳萎縮です。

 

脳萎縮を反映して、脳室やシルビウス裂の拡大が特徴的です。以下のCT検査では、両側のシルビウス裂が拡大しています(赤矢印)。

 

 

cerebral atrophy

 

 

MRI検査

MRI検査はCT検査ほど鋭敏ではないですが、脳萎縮などの形態異常を検出できます。認知症では、海馬を含む側頭葉内側の脳萎縮と、脳萎縮を反映した側脳室の拡大が特徴的です。

 

一方、後頭葉と小脳には脳萎縮がないことが多いです。MRI検査では、血管性認知症の原因となる陳旧性脳梗塞なども検出できます。以下のMRI検査では、側脳室の拡大を認めます。

 

 

cerebral atrophy

 

 

早期アルツハイマー型痴呆診断支援システム(VSRAD)

早期アルツハイマー型痴呆診断支援システム(VSRAD、ブイエスラド)は、MRI画像を使って脳の萎縮度を客観的に評価する検査です。

 

海馬傍回(かいばぼうかい) 、海馬、扁桃などの記憶に関わる部位の萎縮度を評価して、認知症を発症している可能性を数値化します。

 

 

<参考>
ブイエスラド | 製品情報 | エーザイ

 

 

VSRAD

 

 

SPECT検査

SPECT検査とは、脳の血流を計測することで脳機能を評価するための検査です。具体的には、微量の放射性同位元素を静脈内注射して、放射性同位元素から放出される微量の放射線を計測します。

 

初期の認知症では、側頭葉と頭頂葉の集積が低下します。認知症が進行すると、前頭葉の血流低下が進むため、同部位の集積が低下します。

 

 

SPECT

 

 

PET検査

PETはSPECTと似た検査で、脳機能を評価する検査です。SPECTは脳血流を測定できるのに対して、PETは脳血流だけではなく、糖代謝の測定や、アミロイド蓄積の有無も評価できます。

 

初期の認知症では、糖代謝の低下を反映して側頭葉と頭頂葉の集積が低下するケースが多いです。

 

 

PET

 

 

認知症を発症する疾患

 

認知症の原因として多いのは、アルツハイマー型認知症、血管性認知症、そしてレビー小体型認知症です。

 

<参考>
【地主と家主】認知症はどんな病気?|遺言能力鑑定

 

 

一方、アルツハイマー型認知症、血管性認知症、レビー小体型認知症以外にも、認知症の症状をきたす疾患があります。以下に例を挙げます。

 

  • 特発性正常圧水頭症
  • 慢性硬膜下血腫
  • 脳腫瘍
  • 大脳皮質基底核変性症
  • 進行性核上性麻痺
  • クロイツフェルト・ヤコブ病

 

 

アルツハイマー型認知症、血管性認知症、レビー小体型認知症では、身体検査や神経心理学検査が重視されます。

 

しかし、上記の疾患では、画像検査で診断して、アルツハイマー型認知症などの疾患とは異なる治療方針を決定する必要があります。

 

 

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認知症で遺言能力が争いになると?

 

認知症になると遺言能力を喪失するケースが多いです。このため、相続時に親族間での争いに発展することもあります。

 

裁判所が遺言能力の有無を判定する場合、裁判官は以下の資料で遺言能力の有無を判断します。

 

  • 診断書
  • 遺言時の頃に親が記載した文書
  • 遺言時の頃に撮影した親の動画
  • 遺言時の頃の親に関する日記
  • 遺言能力鑑定書

 

 

これらの資料の中でも、認知症専門医が作成する遺言能力鑑定書は信用力が高いため、裁判官の判断に大きな影響力を及ぼします。

 

<参考>
【医師が解説】相続で認知症の程度はどこまで有効?|遺言能力鑑定
【医師が解説】認知症の親の遺言書は有効か?|遺言能力鑑定

 

 

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遺言能力鑑定

遺言能力鑑定に必要な資料

認知症になった親の没後であっても、以下のような資料があれば遺言能力鑑定は対応可能です。

 

  • 診断書(介護保険の主治医意見書を含む)
  • 診療録(カルテ)
  • 介護保険の認定調査票
  • 画像検査
  • 各種の検査結果
  • 看護記録
  • 介護記録

 

 

すべて揃っていることが望ましいですが、足りない資料があっても遺言能力鑑定できる可能性はあります。

 

これらの資料の受け渡しは、オンラインストレージもしくは郵送となります。安全性や利便性からオンラインストレージの利用を推奨しています。

 

ご依頼いただいた際に、オンラインストレージの使用方法を簡単にご説明させていただきます。

 

 

遺言能力鑑定を作成する流れ

遺言能力鑑定をご依頼後の大まかな流れは、以下の通りです。尚、没後鑑定では事前審査(95,000円+税)が本鑑定(350,000円+税~)とは別途で必須です。

 

  1. 弊社による簡易な資料確認結果のご連絡、および事前審査に関する見積書の送付
  2. お見積りにご承諾いただいた段階で、正式に事前審査を開始
  3. 事前審査が完了後、ご請求書の送付
  4. ご入金確認後、事前審査結果のご提出(電子データ)

 

 

事前審査の結果を踏まえて遺言能力鑑定(本鑑定)に進む場合には、以下の流れになります。

  1. 弊社より見積書を送付
  2. お見積りをご承諾いただいた段階で、正式に遺言能力鑑定を開始
  3. 遺言能力鑑定案完成後、電子データにてご確認いただき、修正点があれば調整
  4. 遺言能力鑑定の最終稿が完成した段階で、ご請求書の送付
  5. ご入金確認後、レターパックにて医師の署名・捺印入り原本の発送

 

 

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遺言能力鑑定の作成にかかる期間

遺言能力鑑定を作成する期間は、お見積りをご了承いただいた時点から初稿提出まで約4週間です。

 

 

遺言能力鑑定の料金

生前鑑定

400,000円+税

 

 

没後鑑定

事前審査:95,000円+税
本鑑定 :350,000円+税

 

 

  • 没後鑑定では、事前審査が本鑑定とは別途で必須です。
  • 本鑑定に進まない場合にも、事前審査費用の返金は致しかねます。

 

 

 

 

遺言能力鑑定の実例

【脳神経内科】公正証書遺言作成時の遺言能力を鑑定

  • 80歳台前半
  • 男性

 

平成29年に公正証書遺言書を作成しました。しかし、当時すでに遺言者はアルツハイマー型認知症が進行しており、神経内科で治療中でした。

 

相続人Cは、公正証書遺言の有効性について提訴して一審勝訴、控訴審係属中に弊社に遺言能力鑑定依頼となりました。

 

脳神経内科医師が医証を精査したところ、頭部CTでは著明な脳萎縮を認め、脳血流シンチグラフィーでは左頭頂葉と両側後方帯状回に脳血流低下を認めました。

 

診療録や画像検査から、公正証書遺言の作成時に充分な遺言能力を有していたとは到底言えないことが判明しました。

 

公正証書遺言を作成した事実は、被相続人が遺言能力を有している証拠にはならないことの一例です。

 

 

SPECT

 

 

【消化器内科】癌末期の肝性昏睡患者の遺言能力を鑑定

  • 60歳台前半
  • 男性

 

平成27年に下行結腸癌、空腸浸潤に対して左半結腸切除術、空腸合併切除、リンパ節郭清を施行しました。多発性の肝転移を認めたため根治は困難とのことで在宅医療を行っていました。

 

しかし病状は少しずつ増悪して、食事摂取や体動が困難となり、平成28年に緩和治療目的で入院しました。多量の鎮痛剤で癌性疼痛のコントロールを行いましたが、徐々に全身状態は衰弱しました。

 

永眠される3日前に、疎遠だった兄弟に財産を贈与するという内容の自筆証書遺言が作成されました。遺言書の内容を不信に思った内縁の妻側の弁護士から、遺言能力鑑定の依頼を受けました。

 

消化器内科医師が診療録や画像検査を精査したところ、遺言書の作成時に充分な遺言能力を有していたとは到底言えないことが判明しました。

 

 

CT

 

 

 

まとめ

 

認知症を診断するには各種テストが必要ですが、画像検査も補助的な役割を果たしています。

 

認知症では、脳の病変の有無や形態異常を調べるために、以下のような画像検査が行われます。

 

  • CT検査
  • MRI検査
  • SPECT検査
  • PET検査

 

認知症の画像所見で特徴的なものはCT検査やMRI検査で認められる脳萎縮ですが、それ以外にもSPECT検査やPET検査で脳血流や脳代謝を評価することも可能です。

 

遺言能力の有無を客観的に主張するためには、遺言能力鑑定が有効な手段となり得ます。お困りの事案があれば、お問合せフォームからご連絡下さい。

 

 

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