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2024.2.29

遺言能力鑑定

【医師が解説】親が軽い認知症でも相続や遺言できる?|遺言能力鑑定

最近、親の様子がおかしいと感じることはないでしょうか。もしかすると、軽い認知症を発症しているのかもしれません。軽いと言っても親が認知症を発症すると、相続や遺言が無効になる可能性があります。

 

認知症は過度に怖がる病気ではありませんが、もし親が軽い認知症を発症しているのであれば、対策する必要があります。本記事は、親が軽い認知症になった時に、やるべきことを知るヒントとなるように作成しています。

 

 

最終更新日:2024/2/29

 

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Table of Contents

認知症とは

 

認知症とは、脳細胞が障害されたために認知機能が低下してしまい、社会生活に支障をきたすようになった状態です。認知症の病状が進行すると、日常生活に影響を及ぼすようになります。

 

 

認知症は主に3種類ある

認知症の原因はさまざまですが、主なものはアルツハイマー型認知症、血管性認知症、レビー小体型認知症の3種類です。

 

 

アルツハイマー型認知症

認知症の中で最も多いのは、アルツハイマー型認知症です。アルツハイマー型認知症は、脳細胞にアミロイドβという物質がたまることで発症します。

 

 

血管性認知症

高齢化社会の進展で、脳梗塞を発症して脳の血管が詰まる人が増加しています。血管性認知症も、脳の血管が詰まって発症します。脳梗塞に合併することが多いため、片麻痺を伴うケースもあります。

 

 

レビー小体型認知症

レビー小体型認知症は、歩き方がぎこちなくなって転倒しやすくなる特徴のある認知症です。アルツハイマー型認知症や血管性認知症ほど多くありませんが、それなりの患者数です。レビー小体型認知症は、レビー小体が脳にたまって発症します。

 

 

認知症を発症しやすい危険因子

認知症を発症する確率を上げる危険因子として、以下があります。

 

  • 高脂血症
  • 糖尿病
  • 高血圧

 

肥満に、高脂血症、糖尿病、高血圧が合併している状態はメタボリックシンドローム(メタボ)として知られています。

 

メタボの人は、さまざまな種類の認知症を発症するリスクが高くなります。メタボは予防可能なので、普段の生活習慣に気を付けましょう。

 

 

<参考>
【地主と家主】認知症はどんな病気?|遺言能力鑑定

 

 

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認知症と物忘れの違い

 

認知症と高齢者の物忘れの違いは何でしょうか。認知症と物忘れの違いは以下のごとくです。

 

  • 認知症は、昼食を食べたこと自体を忘れる
  • 物忘れは、昼食のメニューの内容を忘れる

 

認知症と加齢による物忘れは別物であることが理解できると思います。

 

 

軽い認知症なら相続対策できる?

軽い認知症でも相続や遺言が無効になる可能性がある

親が認知症になったと言っても、軽度であれば相続や遺言はできるのでしょうか。100%できないとは言えませんが、法律上の「判断能力のない者」とされてしまい、相続や遺言が無効になる可能性があります。

 

親が認知症になると、軽度であっても、不動産の管理や売却、預金口座の解約・振込み、生命保険の加入・請求、生前贈与などが制限される可能性があります。このことから、親が認知症になる前に対策することが重要です。

 

 

軽い認知症になった親の遺言書は有効なのか?

最近、親の様子がおかしいと感じた子供が、早めに催促して遺言書を作成してもらうケースは珍しくありません。

 

しかし、軽い認知症だと思っていても、遺言書作成時には既に遺言能力が無かったと判断されれば無効になります。

 

訴訟では、裁判官が遺言書作成時の状況から遺言能力の有無を判断します。医師の診断書や認知症検査、当時の具体的な記録が重視されます。

 

 

<参考>
【医師が解説】認知症の検査とは?種類、価格、評価法|遺言能力鑑定
【医師が解説】認知症の画像所見とは?|遺言能力鑑定

 

 

法定後見制度では相続対策できない

法定後見制度であれば、親が軽い認知症になっても資産管理や契約行為が可能です。しかし、法定後見制度は本人の財産保護が目的なので、機動的な対応ができません。

 

法定後見制度では、遺産分割や相続税対策は実現できないでしょう。重い認知症を親が発症する前に、あらかじめ相続対策を検討しておきましょう。

 

 

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相続対策は親が認知症になる前に!

 

軽いと言っても、親が認知症になってしまうと相続対策は難しくなります。認知症になる前の備えとして「任意後見制度」と「家族信託」があります。

 

 

任意後見制度

親が認知症になる前であれば、任意後見制度を利用できます。任意後見制度は、親(後見人)の意思で被後見人を選出して財産の処分を託す制度です。

 

もし親(後見人)が認知症で判断能力が低下した場合でも、認知症を発症する前に任意後見契約を結んでいれば相続対策が可能です。

 

ただし、親(後見人)の意思能力があるうちに契約する必要があります。認知症になってからでは、制約が大きい法定後見制度しか使えません。

 

 

家族信託

家族信託は、親が認知症になった際の資産凍結リスクを防ぐ手法ですが、最近では相続対策としても注目されています。

 

家族信託では、親が認知症になっても資産に関するトラブルが発生しないように、事前に契約を結びます。注意点は、親が認知症を発症する前に契約する必要があることです。

 

 

任意後見制度と家族信託のどちらが有利?

結論から申し上げますと、家族信託の方が自由度が高くて使い勝手が良いでしょう。任意後見制度と家族信託には以下の4つの違いがあります。

 

  • 任意後見制度は判断能力が不十分になってからだが、家族信託は契約時から開始できる
  • 家族信託には身上監護権(生活、医療、介護などの契約手続きを代行)が無い
  • 任意後見制度は裁判所による監督がある
  • 任意後見制度では積極的な財産管理をできない

 

 

任意後見制度の目的は、本人の財産の保全です。このため現状維持が原則となり、積極的な相続対策は困難です。

 

 

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親が軽い認知症かもしれないと思ったら

医師に診断してもらおう

親が軽い認知症を発症しているかもしれないと感じたら、早めに医師の診察を受けることをお勧めします。認知症の中には、治療によって治る認知症もあるからです。

 

 

軽い認知症でも遺言書が無効になることも

たとえ軽くても、認知症を発症している親が作成した遺言書は、無効とされる可能性があります。遺言書を作成した時点で、親に遺言能力があったのかが争点になります。

 

 

遺言能力の有無が判断基準

遺言能力とは、遺言書の内容を理解できる精神能力です。具体的には、遺言書が執行されると、どのような結果になるのかを理解する能力です。

 

訴訟では、遺言書の有効性は親の遺言能力が判断基準になります。裁判官は、遺言書作成時の状況を精査して、十分な遺言能力があったのかを判断します。

 

 

遺言能力の判断基準

訴訟では「総合的に見て、遺言の時点で遺言事項を判断する能力があったか否かによって判断すべき(東京地判平成16年7月7日)」という判例に従って、遺言能力の有無を判断します。

 

具体的には、裁判官が以下のを考慮して遺言能力の有無を判断しています。

 

  • 精神医学的な評価
  • 遺言書の内容
  • 親と相続人の人間関係
  • 遺言書と同じ内容を記した別資料

 

 

精神医学的な評価

 

遺言者(親)の年齢や健康状態は、遺言能力に大きな影響を及ぼします。高齢であったり病気を患っていると、親の遺言能力は低下します。

 

自験例でも、親が高齢だったり、末期癌に罹患しているケースでは、遺言能力が十分でないことが多いです。

 

 

遺言書の内容

 

遺言書の内容に、事実の誤認や矛盾点が無いかなどが精査されます。また、精神医学的な評価から、遺言書の内容を理解できるのかも考慮されます。

 

 

親と相続人の人間関係

 

一般的に考えて、親の知人や疎遠な親族に財産を贈与する遺言書は、遺言能力が無い可能性が高いです。人間関係が希薄なのに財産を贈与する行為は、合理的とみなされないからです。

 

したがって、このような遺言書は、遺言書作成時に遺言能力は無かったと判断される傾向にあります。弊社が経験してきた事案でも類似例は多いです。

 

 

遺言書と同じ内容を記した別資料

 

遺言書と同じ内容が記された資料が別にあれば、親が軽い認知症を発症していたとしても遺言能力を主張できます。

 

 

 

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軽い認知症の目安とは?

長谷川式認知症スケールで簡易的に判断できる

相続争いが訴訟になった場合、遺言書の有効性は親の遺言能力の有無で判断されます。そして精神医学的な評価の判断基準の1つが、長谷川式認知症スケールという認知機能テストです。

 

日本中の医療機関や施設で最も普及しているのは、簡易に実施できる長谷川式認知症スケールです。これ以外にも、FASTやMMSEなどの各種検査が、認知症の重症度判定に用いられます。

 

 

<参考>

 

 

軽い認知症は長谷川式認知症スケール19点が目安

認知症の疑いが高いとみなされる基準は、長谷川式認知症スケールで20点以下です。一方、中等度の認知症とみなされるのは、長谷川式認知症スケール15点前後、重度の認知症は10点前後です。

 

このため、軽い認知症の目安は、長谷川式認知症スケール19点前後と考えてよいでしょう。ただし、長谷川式認知症スケールの結果はあくまでも目安です。その日の体調次第で変動するからです。

 

認知症になった親の遺言能力は、精神医学的な評価だけで判断されるわけではありません。裁判での遺言能力の判断基準で示したように、それぞれの事案毎に判断されます。

 

 

 

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親が軽い認知症かもしれないと思った時の相続対策

親の遺言能力を判断するための資料

親が軽い認知症かもしれないと思ったら、あらかじめ以下のような資料を収集しておくことが望ましいでしょう。親の遺言能力の有無は、裁判官が遺言時の各種資料を確認して判断するからです。

 

  • 診断書
  • 遺言時の頃に親が記載した文書
  • 遺言時の頃に撮影した親の動画
  • 遺言時の頃の親に関する日記

 

これらの資料によって、親に遺言能力があったことを証明できる可能性があります。

 

 

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遺言能力鑑定は遺言能力の有力な証明手段

軽い認知症を発症した親に、遺言能力があるのかを証明する有力な資料の1つに、遺言能力鑑定があります。

 

遺言能力鑑定は、認知症専門医が各種資料を精査して、認知症になった親の遺言能力の有無を鑑定します。

 

遺言能力鑑定は費用がかかりますが、訴訟の際の有力な資料となります。また、遺言書作成時に取得しておくと、遺言能力の証明になるでしょう。

 

 

<参考>
【弊社ホームページ】遺言能力鑑定 特設サイト
【遺言能力鑑定】意思能力の有無を専門医が証明|相続争い

 

 

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遺言能力鑑定

遺言能力鑑定に必要な資料

認知症になった親の没後であっても、以下のような資料があれば遺言能力鑑定は対応可能です。

 

  • 診断書(介護保険の主治医意見書を含む)
  • 診療録(カルテ)
  • 介護保険の認定調査票
  • 画像検査
  • 各種の検査結果
  • 看護記録
  • 介護記録

 

 

すべて揃っていることが望ましいですが、足りない資料があっても遺言能力鑑定できる可能性はあります。

 

これらの資料の受け渡しは、オンラインストレージもしくは郵送となります。安全性や利便性からオンラインストレージの利用を推奨しています。

 

ご依頼いただいた際に、オンラインストレージの使用方法を簡単にご説明させていただきます。

 

 

遺言能力鑑定を作成する流れ

遺言能力鑑定をご依頼後の大まかな流れは、以下の通りです。尚、没後鑑定では事前審査(95,000円+税)が本鑑定(350,000円+税~)とは別途で必須です。

 

  1. 弊社による簡易な資料確認結果のご連絡、および事前審査に関する見積書の送付
  2. お見積りにご承諾いただいた段階で、正式に事前審査を開始
  3. 事前審査が完了後、ご請求書の送付
  4. ご入金確認後、事前審査結果のご提出(電子データ)

 

 

事前審査の結果を踏まえて遺言能力鑑定(本鑑定)に進む場合には、以下の流れになります。
 

  1. 弊社より見積書を送付
  2. お見積りをご承諾いただいた段階で、正式に遺言能力鑑定を開始
  3. 遺言能力鑑定案完成後、電子データにてご確認いただき、修正点があれば調整
  4. 遺言能力鑑定の最終稿が完成した段階で、ご請求書の送付
  5. ご入金確認後、レターパックにて医師の署名・捺印入り原本の発送

 

 

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遺言能力鑑定の作成にかかる期間

遺言能力鑑定を作成する期間は、お見積りをご了承いただいた時点から初稿提出まで約4週間です。

 

 

遺言能力鑑定の料金

生前鑑定

400,000円+税

 

 

没後鑑定

事前審査:95,000円+税
本鑑定 :350,000円+税

 

 

  • 没後鑑定では、事前審査が本鑑定とは別途で必須です。
  • 本鑑定に進まない場合にも、事前審査費用の返金は致しかねます。

 

 

 

 

遺言能力鑑定の実例

【脳神経内科】公正証書遺言作成時の遺言能力を鑑定

  • 80歳台前半
  • 男性

 

平成29年に公正証書遺言書を作成しました。しかし、当時すでに遺言者はアルツハイマー型認知症が進行しており、神経内科で治療中でした。

 

相続人Cは、公正証書遺言の有効性について提訴して一審勝訴、控訴審係属中に弊社に遺言能力鑑定依頼となりました。

 

脳神経内科医師が医証を精査したところ、頭部CTでは著明な脳萎縮を認め、脳血流シンチグラフィーでは左頭頂葉と両側後方帯状回に脳血流低下を認めました。

 

診療録や画像検査から、公正証書遺言の作成時に充分な遺言能力を有していたとは到底言えないことが判明しました。

 

公正証書遺言を作成した事実は、被相続人が遺言能力を有している証拠にはならないことの一例です。

 

 

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【消化器内科】癌末期の肝性昏睡患者の遺言能力を鑑定

  • 60歳台前半
  • 男性

 

平成27年に下行結腸癌、空腸浸潤に対して左半結腸切除術、空腸合併切除、リンパ節郭清を施行しました。多発性の肝転移を認めたため根治は困難とのことで在宅医療を行っていました。

 

しかし病状は少しずつ増悪して、食事摂取や体動が困難となり、平成28年に緩和治療目的で入院しました。多量の鎮痛剤で癌性疼痛のコントロールを行いましたが、徐々に全身状態は衰弱しました。

 

永眠される3日前に、疎遠だった兄弟に財産を贈与するという内容の自筆証書遺言が作成されました。遺言書の内容を不信に思った内縁の妻側の弁護士から、遺言能力鑑定の依頼を受けました。

 

消化器内科医師が診療録や画像検査を精査したところ、遺言書の作成時に充分な遺言能力を有していたとは到底言えないことが判明しました。

 

 

CT

 

 

 

まとめ

 

軽い認知症であっても、法律上の「判断能力のない者」とされてしまい、相続や遺言が無効になる可能性があります。軽い認知症は、長谷川式認知症スケール19点が1つの目安です。

 

しかし、認知症になった親の遺言能力は、長谷川式認知症スケールなどの精神医学的な評価だけで判断されるわけではありません。裁判では、それぞれの事案毎に遺言能力の有無が判断されます。

 

遺言能力の有無を客観的に主張するためには、遺言能力鑑定が有効な手段となり得ます。お困りの事案があれば、お問合せフォームからご連絡下さい。

 

 

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