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遺言能力のトラブルでよくある事例は?対処法も解説|遺言能力鑑定

遺言書は、残された家族間のトラブルを防ぐために大切な手段ですが、その有効性をめぐって争いが起こるケースも少なくありません。

 

特に「遺言能力」が問題になるケースでは、本人が本当に判断能力を持って遺言書を作成したのか、家族間で対立が生じやすいのが実情です。

 

高齢化社会の進展に伴い、認知症と遺言能力の関係が注目されることも増えてきました。実際に、認知症の親が作成した遺言や、他の家族の影響を疑わせる遺言書の有効性を争う事例が後を絶ちません。

 

本記事では、遺言能力の法律上の基準や、よくあるトラブル事例、遺言書の有効性を争うための手続きについて、分かりやすく解説しています。

 

 

最終更新日: 2025/9/2

 

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遺言能力とは何か

遺言能力の法律上の定義

遺言能力とは、遺言を作成する時点で遺言者が有していなければならない法律上の能力です。

 

自分の財産の状況を理解して、相続人との関係や遺言の内容、その効果を適切に判断できる精神状態が必要とされます。

 

満15歳以上なら未成年者でも遺言でき、成年被後見人や被保佐人でも遺言能力があれば遺言可能です。遺言能力がなければ遺言は無効となります。

 

 

認知症と遺言能力の関係

認知症の人が作成した遺言書が有効かどうかは、その時点で遺言能力があったかによって決まります。

 

認知症であっても、内容や結果を理解できる能力が残っていれば、有効な遺言が可能です。

 

ただし、認知症の程度や作成時の具体的状況、遺言内容・作成経緯などを総合的に検討して、裁判で効力が争われる事例が多いです。

 

重度の認知症のケースでは、訴訟において遺言能力の存在が否定されやすくなります。

 

 

<参考>
遺言能力の判断基準4つのポイント|認知症の遺言能力鑑定

 

 

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遺言能力のトラブル事例

認知症の親が遺言書を作成した

認知症の親が作成した遺言書は、作成当時の遺言能力が重要です。認知症が進行して判断能力が低下していれば、その遺言書は無効となる可能性があります。

 

実際のトラブル事例として、認知症診断後に一部の相続人へ全財産を相続させる遺言書が突然現れて、他の相続人が無効を主張して裁判となるケースが挙げられます。

 

 

他の家族による誘導が疑われる

家族が認知症の親を誘導して、特定の内容の遺言書を作成させる事例も多く報告されています。

 

例えば、親を公証役場に無理やり連れて行って遺言書を作成させたり、同居する子が他の家族に親と面会させずに全財産を独占する内容の遺言書を作成させるケースです。

 

 

遺言書の内容がおかしい

遺言書の内容が常識的に考えて不自然、あるいは曖昧な場合にも争いが発生します。

 

例えば、長男に全財産を相続させるという一点だけの記載や、弟を責めるような内容など、事実と大きく異なる場合です。

 

こうした内容は、故人の意思が適切に反映されているか疑問視されて、相続人の間で争いが発生する原因となります。

 

 

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遺言書の有効性を争う手順

遺産分割協議

遺言書の内容に疑問があれば、まず相続人同士で遺産分割協議を行います。相続人全員が合意すれば遺言書と異なる分割も可能です。

 

 

遺言無効確認請求調停

遺産分割協議で解決しなければ、家庭裁判所で遺言無効確認請求調停を申し立てます。

 

調停では、調停委員が仲介して、遺言の有効性に関する合意を目指して話し合いを進めます。全員が合意すれば遺言は無効となります。

 

 

審判

家庭裁判所での調停で当事者が合意できず不成立になれば、審判に移行することがあります。

 

しかし、遺言書の有効性自体は家庭裁判所では判断できないため、この段階では遺産の分割方法のみが審理されます。遺言の有効性を争う場合は訴訟が必要です。

 

 

遺言無効確認請求訴訟

調停が不成立で解決が困難であれば、地方裁判所に遺言無効確認請求訴訟を提起します。

 

必要な証拠書類を揃えて訴訟手続きを行い、判決が確定すれば遺言の有効性が最終的に決定されます。

 

遺言無効確認請求訴訟の期間は、数ヶ月から1~2年かかるケースが多いです。

 

 

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遺言書の有効性を争うポイント

遺言書の無効を主張するために必要な証拠

遺言書の無効を裁判で主張するには、遺言者の意思能力が無かったことを客観的に証明する証拠が不可欠です。

 

主な証拠として、遺言者の診療記録や介護認定資料、医師の診断書、証人の証言、遺言書の筆跡鑑定などがあります。

 

特に医療記録は、遺言者の認知症の程度を明確にする重要な手段です。また、遺言内容が不自然なら、その合理性についても証拠を集める必要があります。

 

 

遺言能力鑑定という選択肢

認知症などで遺言者の判断能力に疑問があれば、遺言書作成時の健康状態や意思能力を医学的に評価する遺言能力鑑定を依頼することができます。

 

遺言能力鑑定では、認知症専門医が診療記録、認知機能検査、画像検査等をもとに、遺言作成時の遺言能力を医学的に評価します。調停や訴訟で証拠資料として用いられるケースもあります。

 

弊社には、全国各地から遺言能力鑑定のご相談やご依頼をいただいております。遺言者の遺言能力有無で、お困りの事案があれば、お問合せフォームから気軽にご連絡下さい。

 

 

<参考>
【遺言能力鑑定】意思能力の有無を専門医が証明|相続争い

 

 

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遺言能力に関するトラブルを未然に防ぐ方法

認知症専門医の診察を受ける

遺言能力に不安があれば、脳神経科や精神科の認知症専門医による診察を受けて、遺言能力を医学的に評価してもらうことが推奨されます。

 

医師の診断書や認知機能検査の結果を遺言書作成時に添付することで、将来のトラブル防止や遺言の有効性を補強できます。

 

 

公正証書遺言を活用するメリット

公正証書遺言は、公証人が遺言者の意思や判断能力を確認しながら作成するため、方式違反や内容の不備で無効となるリスクがほぼありません。

 

原本も公証役場で安全に保管されるため、偽造や改ざんのおそれがなく、家庭裁判所の検認も不要です。早期の遺言執行と高い証明力を誇る点が大きなメリットです。

 

 

生前遺言能力鑑定を検討する

遺言者の判断能力に疑問があれば、医師の診断書を取得しておくことが望ましいでしょう。

 

ただし、医師の診断書は簡素なものが多いため、本格的な争いになると十分な効力を見込めない可能性があります。

 

医師の診断書を補う医証として、生前遺言能力鑑定が有効です。生前遺言能力鑑定は、認知症専門医によって行われ、遺言者の遺言能力を評価します。

 

生前遺言能力鑑定で遺言書の効力を担保することによって、将来的な紛争を防げる可能性が高まります。

 

 

<参考>
【生前遺言能力鑑定】認知症になる前に遺言するメリットとポイント

 

 

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遺言能力のトラブルでよくある質問

認知症の親が書いた遺言は有効ですか?

認知症の親が書いた遺言書も、有効と判断される場合があります。重要なのは遺言作成時に遺言能力があったかどうかです。

 

軽度の認知症で遺言能力があれば遺言は有効ですが、重度の認知症で遺言の内容や意味が理解できない場合は無効となる可能性が高いです。

 

 

遺言能力がなかったと主張するにはどうすればよいですか?

遺言能力がなかったと主張するには、家庭裁判所への調停申立や遺言無効確認訴訟の提起が考えられます。

 

医師の診断書や介護記録、関係者の証言、遺言書作成時の状況証拠などを収集することが重要です。

 

 

公正証書遺言なら遺言能力の問題は生じませんか?

公正証書遺言でも、遺言能力が問われて効力が争われた裁判例が複数存在します。

 

公証人が関与していても、遺言者の遺言能力が不足と判断されれば無効となる可能性があります。

 

医師の診断書や認知機能検査、関係者の証言など証拠資料の添付が、争いの予防に有効です。

 

 

遺言作成当時の医師の診断書がなくても争えますか?

医師の診断書がなくても、遺言書作成当時の様子を示す介護記録や関係者の証言、写真・動画など様々な証拠で遺言能力の有無を争うことができます。

 

診断書は重要な証拠ですが、他の資料を組み合わせて裁判所に主張することが可能です。

 

 

遺言能力をめぐる争いはどのくらいの期間や費用がかかりますか?

遺言能力を巡る争いは、調停だけでも数ヶ月から1年、訴訟に発展した場合は1~2年以上かかるケースが多いです。

 

費用は数万円から数十万円、弁護士に依頼する場合はさらに増額する可能性があるので、事前の見積りが必要です。

 

 

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まとめ

 

遺言能力とは、遺言を作成する時点で財産状況や相続人との関係、内容や効果を理解し判断できる能力です。

 

15歳以上なら未成年や成年被後見人でも認められます。認知症でも理解力が残っていれば有効ですが、無効とされるケースも多く、裁判で争われやすいです。

 

実際には、家族による誘導や不自然な内容の遺言でトラブルが発生して、調停や訴訟に発展する例もあります。

 

証拠には診療記録や医師の診断書が重要で、遺言能力鑑定も活用されます。公正証書遺言や診断書添付などで、将来の争いを予防することも可能です。

 

遺言能力のトラブルで、お困りの事案があれば、お問合せフォームから気軽にご連絡下さい。

 

 

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