相続が絡むと、普段は穏やかな人でも態度が一変して、「この人、本当に頭がおかしいのでは」と感じるほど理不尽な主張をされることがあります。
冷静に話し合おうとしても感情的になられたり、常識では考えられない要求を突きつけられたりすると、精神的なダメージは計り知れません。
「家族なのに、なぜこんなことに…」という戸惑いとともに、自分の権利が侵害されているという焦りや不安を抱える方も多いでしょう。
本記事では、相続問題で精神的に追い詰められている方に向けて、非常識な親族への冷静な対処法や、理不尽な要求に対抗するための実務的・法的な手段を解説します。
公平な相続を実現するために、まずは正しい知識と冷静な対応力を身につけましょう。
最終更新日: 2025/8/14
Table of Contents
「この人は頭がおかしいのでは?」と思う理不尽な主張
現場でよくある“ありえない要求”の具体例
相続協議では、「遺産は全て自分のものにすべきだ」「これまでの介護の分も金銭で評価すべきだ」「〇〇〇万円を一括でもらえないなら縁を切る」など、極端で非現実的な要求が出ることがあります。
実家の譲渡や不動産を独占的に主張するケースも多く、「法律無視」の発言に周囲が困惑する状況に陥りがちです。
相手の感情や利害が優先されて、合理的な合意形成が難しくなるケースが頻発しています。
理不尽な主張がなぜ起きるのか
理不尽な主張が起きる背景には、相続に対する強い感情が関係しています。長年の家族関係のわだかまりや過去の恩讐、被相続人への特別な思い入れなどが絡み、冷静な話し合いができなくなるケースが多いです。
また、情報不足や誤解、第三者からの入れ知恵が過度な主張を助長することもあります。金銭や不動産への強い執着や価値観の違いが、理性的な協議を妨げる要因となっています。
非常識な要求をする親族への対処法
感情的にならないポイント
理不尽な要求を受けると感情的になりがちですが、冷静に対応することが最も大切です。相手の発言にすぐ反論せず、一度深呼吸して気持ちを整えましょう。
感情で返すと話し合いが泥沼化しやすく、問題解決を遠ざけてしまいます。自分の主張は論理的かつ端的に伝えるよう心がけることで、協議が前進しやすくなります。
記録を残すことの重要性
相続協議では、口頭のやりとりだけで進めると後から「言った・言わない」の争いになりがちです。そのため、話し合いの内容はメモや録音で必ず残しましょう。
メールやLINEなどの文章記録も有効です。記録があれば、後日トラブルが深刻化した際の証拠となり、自分を守る手段になります。
話し合いは複数人で進める
話し合いを一対一で行うと、言い争いや誤解が生じやすくなります。なるべく同席者を増やして、複数人で協議することで、内容の客観性が保たれやすく、不当な主張や暴言の抑止にもつながります。
他の親族や家族会議の形を取り入れることで、公平性と冷静さを持ちやすくなります。
第三者の弁護士や専門家を活用する
話し合いが平行線をたどる場合や、相手の要求があまりに非常識な場合は、早めに弁護士などの第三者専門家に相談しましょう。
法律の専門家が入ることで、客観的なアドバイスや法的な解決策を示してくれます。また、相手も冷静になりやすく、スムーズな解決の糸口になるケースが多いです。
理不尽な主張に対抗するための法的・実務的な対策
財産調査・遺言書の確認
理不尽な主張に惑わされないため、まずは被相続人の全財産を正確に調査して、目録を作成します。加えて、遺言書の有無と内容を必ず確認しましょう。
遺言書は公正証書や自筆証書など形式によって、検認の有無や証明力に違いがあります。見落としのないよう、登記所や自宅の金庫などを丁寧に確認しましょう。
遺産分割協議書作成のポイント
遺産分割協議書は、相続人全員の合意内容を明記して、署名・押印することが重要です。
不動産や預貯金の正式な名義変更手続きにも必要な法的書面なので、曖昧な表現や抜け漏れに注意しましょう。
また、協議書の作成時には利害が複雑な場合も多いため、公平かつ分かりやすい記載を心掛けるとともに、専門家のチェックを受けることも有効です。
話し合いで解決しない場合の手段
遺産分割協議だけでは解決しない時は、速やかに家庭裁判所へ「遺産分割調停」を申し立てるのが有効です。
調停委員を交えた第三者的な立場から、各相続人の意見を調整しながら合意成立を目指します。
そのほか、財産仮分割や管理権の整理など、法的なサポートを受けて冷静に進める姿勢が重要です。
調停や審判の流れと注意点
調停でも合意に至らない場合は、最終的に審判手続きへ移行します。審判では裁判所が法律に基づいて相続財産の分割方法を決定します。
訴訟とは異なる非訟手続ですが、法的な判断が下されるため、事前に資料や証拠を整えて臨むことが重要です。
調停や審判を通じて主張を裏付ける資料や証拠をしっかり用意して、手続きの遅延や不利益を防ぐためにも、弁護士など専門家のサポートを活用することが推奨されます。
遺言無効確認請求訴訟
特定の遺言が「無効」であると争う場合、遺言無効確認訴訟を提起することが可能です。主に遺言書作成時の被相続人の判断能力や、強要・詐欺の有無などが争点となります。
訴訟では医学的資料・証人・専門的な証拠が求められるため、弁護士に依頼し、万全な体制で臨むことが重要です。
争点が遺言能力なら遺言能力鑑定が有用
遺言書の有効性を争う際に「認知症で判断力が無かった」と主張するのであれば、当時の精神状態を医学的に検証する手段として、遺言能力鑑定を活用できます。
認知症専門医が、カルテ、診療履歴、画像検査、介護保険調査票などをもとに、遺言作成時の遺言能力を鑑定します。裁判所が判断するための重要な証拠として扱われるケースもあります。
弊社では、全国からたくさんの遺言能力鑑定依頼があります。遺言者の遺言能力有無で、お困りの事案があれば、お問合せフォームから気軽にご連絡下さい。
<参考>
【遺言能力鑑定】意思能力の有無を専門医が証明|相続争い
相続の理不尽な要求でよくある質問
他の相続人が味方にならないときは?
協議で孤立してしまったら、まずは自分の主張や進め方が法的・常識的に正しいかを見直しましょう。
第三者の冷静な視点が有効なため、司法書士や弁護士など専門家へ相談して、調停など公的な場で主張を整理して伝えるのが有効です。
証拠や記録を積み上げ、感情に流されず粘り強く対応しましょう。
精神的ダメージへの対処法は?
相続トラブルは想像以上にストレスがかかります。無理せず、信頼できる人や専門家に気持ちを打ち明けましょう。
心療内科の受診やカウンセリング、家族・友人への相談も有効です。一人で抱え込まず、休息やリラックスする時間を意識的に作ることが大切です。
金銭面・手続きにかかる費用は?
相続協議や調停には、書類作成・財産調査・専門家依頼の費用がかかります。協議だけなら大きな費用は発生しませんが、弁護士に依頼すると数十万円規模となることもあります。
家庭裁判所の調停申立費用は収入印紙(通常1,200円)と郵便切手代程度と比較的低額です。
ただし、弁護士等に依頼する場合は別途費用がかかるため、早めに見積もりや無料相談を活用するのが安心です。
まとめ
相続の話し合いでは、「遺産は全部自分のもの」など非常識な要求をする親族が現れることがあります。
背景には長年の家族関係のわだかまりや誤解があり、感情的になりやすいのが特徴です。
冷静な対応や記録の保存、第三者の同席がトラブル防止に役立ちます。
話し合いで解決しない場合は、家庭裁判所での調停や審判を通じて、法的・実務的に自分の権利を守ることが大切です。
遺言の有効性で、お困りの事案があれば、お問合せフォームから気軽にご連絡下さい。
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