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2024.6.21

遺言能力鑑定

【生前遺言能力鑑定】認知症になる前に遺言するメリットとポイント

認知症になると、相続対策や遺言が無効になってしまう可能性があります。人は誰しも老いていきますが、高齢になるほど認知症を発症するリスクが高まります。

 

認知症になる前に遺言を作成する重要性などを解説しています。遺言は早めに作成して大切な財産や思いを伝えましょう。

 

本記事は、認知症になる前に遺言するメリットと、相続対策のポイントを知るヒントとなるように作成しています。

 

 

最終更新日: 2024/6/30

 

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認知症を知ろう

 

認知症とは、いろいろな脳の病気によって脳組織の機能が低下した状態です。具体的には、記憶力や判断力などの認知機能が低下して、社会生活に支障をきたします。

 

 

認知症の原因は主に3種類

認知症をきたす病気はたくさんありますが、最も一般的なものはアルツハイマー型認知症、血管性認知症、レビー小体型認知症の3種類です。

 

 

アルツハイマー型認知症

認知症の患者さんの中で最も多いのは、アルツハイマー型認知症です。脳細胞にアミロイドβという物質がたまることで、アルツハイマー型認知症が発症します。

 

 

血管性認知症

年齢が高くなると動脈硬化が進行します。動脈硬化のために脳の血管が詰まると、血管性認知症を発症します。血管性認知症は脳梗塞に合併することが多いため、片麻痺を伴うケースも珍しくありません。

 

 

レビー小体型認知症

認知症の中でも、レビー小体型認知症は、歩き方がぎこちなくなって転倒しやすくなるという特徴があります。レビー小体という物質が脳にたまって、レビー小体型認知症を発症します。

 

 

認知症の危険因子

認知症を発症しやすくなる危険因子として、以下の3つがあります。

 

  • 糖尿病
  • 高脂血症
  • 高血圧

 

 

肥満の人は、糖尿病、高脂血症、高血圧を3つとも合併している人が多く、この状態をメタボリックシンドローム(メタボ)と呼びます。

 

メタボの人は、認知症だけではなく、さまざまな病気を発症しやすいです。メタボは予防可能なので、生活習慣に気を付けて規則正しい生活を送りましょう。

 

 

<参考>
【地主と家主】認知症はどんな病気?|遺言能力鑑定

 

 

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物忘れと認知症の違い

物忘れがひどくなってくると、自分は認知症ではないかと不安になってしまいますね。しかし、物忘れと認知症は違います。物忘れと認知症の違いは以下のごとくです。

 

  • 物忘れは、朝食のメニューを忘れる
  • 認知症は、朝食を食べたこと自体を忘れる

 

 

物忘れと認知症は別物であることが理解できると思います。もの忘れを自覚している時点で、認知症である可能性は低いと言えます。

 

 

認知症かもしれない人が作成した遺言

認知症かもしれない人が遺言するメリットとデメリット

物忘れが目立つようになると、スムーズな遺産分割ができなくなるかもしれません。本格的に認知症になる前に遺言しておきたいと思う方も少なくないでしょう。

 

認知症かもしれない人が遺言するメリットは、面倒な手続きをしなくても良い点です。もし認知症だったら、制約が大きい法定後見制度を使わざるをえなくなるからです。

 

しかし、軽度であっても認知症と診断されれば、法律上の「判断能力のない者」とされてしまい、相続や遺言が無効になる可能性があります。

 

認知症かもしれない人が遺言する行為は、認知症でないことに賭ける博打のようなものです。もし認知症だったら全て無効になるという大きなデメリットがあります。

 

 

認知症かもしれない人が作成した遺言の注意点

親の物忘れがひどくなってきたと感じた子供が、親を促して遺言書を作成させるケースは少なくありません。

 

しかし、もし親が認知症だったら大変なことになります。遺言書作成時に遺言能力が無かったと判断されると、遺言が無効になるからです。

 

相続争いになって訴訟になると、当時の状況に加えて、診断書や認知症検査結果なども加味して、遺言能力の有無が判断されます。

 

このため、認知症かもしれない人が作成した遺言は、無効にされるかもしれないリスクがあることに注意が必要です。

 

 

<参考>
【医師が解説】認知症の検査とは?種類、価格、評価法|遺言能力鑑定
【医師が解説】認知症の画像所見とは?|遺言能力鑑定

 

 

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認知症になる前に対策するメリット

 

認知症になる前に遺言するメリットは、相続対策に制限がない点です。親が認知症になると、たとえ軽度であっても相続対策が難しくなります。

 

また、遺言などの本格的な相続対策を、今すぐにするつもりがなくても、認知症になる前の備えとして「任意後見制度」と「家族信託」を利用できます。

 

 

任意後見制度

認知症になる前なら、任意後見制度を利用できます。任意後見制度とは、親(被後見人)が子供などを後見人に選出して、自分の財産を託す制度です。

 

もし親が認知症を発症して意思能力(遺言能力)をなくしても、認知症発症前に任意後見契約を結んでいれば、相続対策は可能です。

 

注意点は、親に意思能力があるうちに任意後見契約を結ぶ必要があることです。親が認知症になってしまうと任意後見契約を選べず、制約がとても大きな法定後見制度しか使えなくなります。

 

 

家族信託

家族信託とは、老後の生活資金などの特定の目的のために、信頼できる家族に、不動産や預貯金の管理と処分を任せる仕組みです。

 

家族信託は、親が認知症になった際の資産凍結リスクを防ぐ手法で、家族による家族のための財産信託です。最近では相続対策としても注目されています。

 

注意点は、任意後見契約と同様に、家族信託も親が認知症を発症する前に契約する必要があることです。

 

 

任意後見制度と家族信託の違い

任意後見制度と家族信託は似たような目的で使用できますが、両者には以下の4つの違いがあります。

 

  • 任意後見制度は判断能力が不十分になってからだが、家族信託は契約時から開始できる
  • 家族信託には身上監護権(生活、医療、介護などの契約手続きを代行)が無い
  • 任意後見制度は裁判所による監督がある
  • 任意後見制度では積極的な財産管理ができない

 

 

任意後見制度の目的は財産保全です。現状維持が原則で、積極的な相続対策は難しいです。このため、家族信託の方が自由度が高くて使い勝手が良いでしょう。

 

 

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認知症になる前に遺言できなかったら?

認知症発症後は法定後見制度

認知症を発症すると、法定後見制度を選ばざるを得ません。法定後見制度とは、認知症などで判断能力が不十分な人の権利を、法律的に支援・保護する制度です。

 

判断能力に応じて、後見、保佐、補助の3つの類型があり、裁判所が成年後見人、保佐人、補助人を選任して本人を支援します。

 

 

法定後見制度では遺言できない

法定後見制度は、親が認知症になっても資産管理や契約行為が可能です。しかし、法定後見制度は、本人の財産保護が目的です。

 

このため、法定後見制度では、遺産分割や相続税対策は実現できません。親が認知症を発症する前に、あらかじめ相続対策を検討しておきましょう。

 

 

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認知症になる前に遺言するポイント

できるだけ早く医療機関を受診しよう

もし親の様子が少しでもおかしいと感じたら、できるだけ早めに医師の診察を受けることをお勧めします。認知症でなければ、家族で相続について話し合うきっかけになるかもしれません。

 

もし認知症だったとしても、認知症の中には治療によって治る認知症もあります。また早期から治療することで、進行を抑えられる可能性もあります。

 

 

認知症でなくても早目の相続対策が望ましい

たとえ認知症と診断されなくても、歳を重ねる毎に認知症を発症するリスクは高まります。そして、もし認知症を発症すると、遺言が無効とされる可能性があります。

 

 

 

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認知症になる前の相続対策

親の遺言能力を証明するための資料

親が健康なうちに、あらかじめ以下の資料を収集しておくことが望ましいでしょう。万が一にも相続争いになった時には、親の遺言能力の有無は、裁判官が遺言時の各種資料を確認して判断するからです。

 

  • 診断書
  • 遺言時の頃に親が記載した文書
  • 遺言時の頃に撮影した親の動画
  • 遺言時の頃の親の日記

 

 

これらの資料によって、親に遺言能力があったことを証明できる可能性があります。

 

 

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生前遺言能力鑑定は遺言能力の有力な証明手段

認知症と診断されなかったものの、もの忘れがひどくなってきた親に遺言能力があることを証明する有力な資料の1つに、生前に行う遺言能力鑑定があります。

 

遺言能力鑑定は、認知症専門医が各種資料を精査して、認知症になった親の遺言能力の有無を鑑定します。

 

遺言能力鑑定は費用がかかりますが、争族を未然に防ぐ有力な資料となります。遺言書作成時に取得しておくと、遺言能力の証明になるでしょう。

 

 

<参考>
【弊社ホームページ】遺言能力鑑定 特設サイト
【遺言能力鑑定】意思能力の有無を専門医が証明|相続争い

 

 

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遺言能力鑑定(生前・没後)

遺言能力鑑定に必要な資料

生前ではなく、認知症になった親の没後であっても、以下のような資料があれば遺言能力鑑定は対応可能です。

 

  • 診断書(介護保険の主治医意見書を含む)
  • 診療録(カルテ)
  • 介護保険の認定調査票
  • 画像検査
  • 各種の検査結果
  • 看護記録
  • 介護記録

 

 

すべて揃っていることが望ましいですが、足りない資料があっても遺言能力鑑定できる可能性はあります。

 

これらの資料の受け渡しは、オンラインストレージもしくは郵送となります。安全性や利便性からオンラインストレージの利用を推奨しています。

 

ご依頼いただいた際に、オンラインストレージの使用方法を簡単にご説明させていただきます。

 

 

遺言能力鑑定を作成する流れ

遺言能力鑑定をご依頼後の大まかな流れは、以下の通りです。尚、没後鑑定では事前審査(95,000円+税)が本鑑定(350,000円+税~)とは別途で必須です。

 

  1. 弊社による簡易な資料確認結果のご連絡、および事前審査に関する見積書の送付
  2. お見積りにご承諾いただいた段階で、正式に事前審査を開始
  3. 事前審査が完了後、ご請求書の送付
  4. ご入金確認後、事前審査結果のご提出(電子データ)

 

 

事前審査の結果を踏まえて遺言能力鑑定(本鑑定)に進む場合には、以下の流れになります。
 

  1. 弊社より見積書を送付
  2. お見積りをご承諾いただいた段階で、正式に遺言能力鑑定を開始
  3. 遺言能力鑑定案完成後、電子データにてご確認いただき、修正点があれば調整
  4. 遺言能力鑑定の最終稿が完成した段階で、ご請求書の送付
  5. ご入金確認後、レターパックにて医師の署名・捺印入り原本の発送

 

 

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遺言能力鑑定の作成にかかる期間

遺言能力鑑定を作成する期間は、お見積りをご了承いただいた時点から初稿提出まで約4週間です。

 

 

遺言能力鑑定の料金

生前鑑定

400,000円+税

 

 

没後鑑定

事前審査:95,000円+税
本鑑定 :350,000円+税

 

 

  • 没後鑑定では、事前審査が本鑑定とは別途で必須です。
  • 本鑑定に進まない場合にも、事前審査費用の返金は致しかねます。

 

 

 

 

遺言能力鑑定の実例

【脳神経内科】公正証書遺言作成時の遺言能力を鑑定

  • 80歳台前半
  • 男性

 

平成29年に公正証書遺言書を作成しました。しかし、当時すでに遺言者はアルツハイマー型認知症が進行しており、神経内科で治療中でした。

 

相続人Cは、公正証書遺言の有効性について提訴して一審勝訴、控訴審係属中に弊社に遺言能力鑑定依頼となりました。

 

脳神経内科医師が医証を精査したところ、頭部CTでは著明な脳萎縮を認め、脳血流シンチグラフィーでは左頭頂葉と両側後方帯状回に脳血流低下を認めました。

 

診療録や画像検査から、公正証書遺言の作成時に充分な遺言能力を有していたとは到底言えないことが判明しました。

 

公正証書遺言を作成した事実は、被相続人が遺言能力を有している証拠にはならないことの一例です。

 

 

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【消化器内科】癌末期の肝性昏睡患者の遺言能力を鑑定

  • 60歳台前半
  • 男性

 

平成27年に下行結腸癌、空腸浸潤に対して左半結腸切除術、空腸合併切除、リンパ節郭清を施行しました。多発性の肝転移を認めたため根治は困難とのことで在宅医療を行っていました。

 

しかし病状は少しずつ増悪して、食事摂取や体動が困難となり、平成28年に緩和治療目的で入院しました。多量の鎮痛剤で癌性疼痛のコントロールを行いましたが、徐々に全身状態は衰弱しました。

 

永眠される3日前に、疎遠だった兄弟に財産を贈与するという内容の自筆証書遺言が作成されました。遺言書の内容を不信に思った内縁の妻側の弁護士から、遺言能力鑑定の依頼を受けました。

 

消化器内科医師が診療録や画像検査を精査したところ、遺言書の作成時に充分な遺言能力を有していたとは到底言えないことが判明しました。

 

 

CT

 

 

 

まとめ

 

認知症になる前に遺言するメリットは、相続対策に制限がない点です。今すぐ遺言などの本格的な相続対策をするつもりがなくても、認知症になる前の備えとして「任意後見制度」と「家族信託」を利用できます。

 

認知症になる前に遺言できなかったら、法定後見制度を選ばざるを得ません。しかし、法定後見制度は、本人の財産保護が目的なので、遺産分割や相続税対策は実現できません。

 

親が健康なうちに、親の遺言能力を証明するための資料を収集しておきましょう。これらに加えて、遺言能力鑑定が遺言能力の証明に有効な手段となり得ます。ご興味があれば、お問合せフォームからご連絡下さい。

 

 

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