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認知症でも公正証書遺言は効力があるのか?|遺言能力鑑定の有用性

「認知症でも公正証書遺言は有効なのか?」家族や関係者が遺言を確認する際、この疑問を抱えることは少なくありません。

 

特に、遺言作成時に認知症と診断されていたら、公正証書遺言の法的効力はどう判断されるのでしょうか。

 

公正証書遺言は、公証人が関与するため形式的な不備が少ないです。一方、認知症が遺言の効力に影響を与えるかが争点となるケースもあります。

 

本記事では、公正証書遺言と認知症の関係や、遺言の有効性を確認するための具体的な方法について解説しています。

 

 

最終更新日: 2025/1/2

 

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認知症でも公正証書遺言の効力が認められやすい理由

公正証書遺言の法律的な位置づけ

公正証書遺言は、遺言書の形式として、最も信頼性が高いものとされています。その理由は、公証人が法律に基づき内容を確認して作成するためです。

 

家庭裁判所の検認手続が不要で、遺言執行者がスムーズに業務を進められる点も特徴です。

 

形式の不備による無効リスクが低く、内容が明確であるため、遺産分割におけるトラブルを防ぐ重要な手段となります。

 

特に認知症のような意思能力に疑義が生じる場合でも、公証人の関与が法的効力を支える重要な要素となります。

 

 

公正証書遺言では公証人が遺言者と会うため認知症を見逃しにくい

公正証書遺言では、公証人と遺言者と直接面談を行います。この過程で、公証人が遺言者の意思能力をある程度確認できます。

 

遺言者が認知症の診断を受けている場合でも、意思能力が十分であれば遺言は有効とされます。

 

直接対話の仕組みは、遺言の効力が争われるリスクを軽減して、公正証書遺言の信頼性を高める役割を果たしています。

 

 

公正証書遺言は形式面での不備が無い

公正証書遺言は、公証人が法律に基づいて厳密な形式を遵守しながら作成します。そのため、遺言書の形式に不備が生じることがほぼありません。

 

また、遺言者の意思確認を徹底するため、適切な証人の立ち合いや署名捺印が確実に行われます。

 

この形式的な整合性により、後で遺言の無効が主張されるリスクを最小限に抑えることができます。

 

 

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公正証書遺言の効力を否定する方法

遺言書作成時のカルテを取り寄せる

遺言者の意思能力を確認するため、遺言作成時の医療記録(カルテ)を取得することが有効です。医療記録によって、遺言者が認知症で意思能力を欠いていたかどうかを判断できます。

 

 

遺言書を作成時の介護保険関係書類を取り寄せる

遺言者が介護サービスを利用していた場合、介護保険の主治医意見書、認定調査票、サービス利用記録を取得することで、当時の認知機能や生活状況を把握できます。

 

 

認知症の人の遺言能力を判断する基準とは?

1. 長谷川式認知症スケール(HDS-R)

 

HDS-R(長谷川式認知症スケール)は、認知症の診断に利用される簡易的な検査で、30点満点で評価されます。

 

一般的には20点以下で認知症の可能性が高いとされますが、点数のみで遺言能力の有無を決定するのではなく、他の要因も踏まえて総合的に判断されます。

 

<参考>
長谷川式認知症スケールの解釈|遺言能力鑑定

 

 

2. MMSE

 

MMSE(Mini-Mental State Examination)は、認知機能を測る検査で、同じく30点満点で点数化されます。

 

点数が低いほど認知機能の低下が疑われますが、遺言能力の評価には総合的な観点を組み合わせる必要があります。

 

<参考>
MMSEの認知症でのカットオフ値は?|遺言能力鑑定

 

 

3. 遺言書の内容が複雑か

 

遺言書の構成や内容が複雑である場合、遺言者がその内容を理解し、合理的に判断できる能力があったかどうかが問題になります。遺言書の内容が複雑であれば、有効性が疑問視されることがあります。

 

 

4. 遺言書の内容に合理性があるか

 

遺言書の内容が家族構成や財産状況と一致せず、不自然なものであれば、遺言者の意思能力が欠如していた可能性があります。

 

 

認知症なら 遺言無効確認調停や遺言無効確認訴訟を

認知症のため、遺言者の遺言能力が疑わしいケースでは、遺言無効確認の調停や訴訟を提起できます。調停は話し合いによる解決を目指し、訴訟は裁判所の判断を仰ぐ手続きです。

 

 

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遺言能力鑑定という選択肢

遺言能力鑑定では、診療録、画像検査、各種の神経心理学的検査、介護保険の認定調査票などを認知症専門医が精査して、遺言者の遺言能力を評価します。

 

認知症のため、意思能力に疑問がある場合、遺言能力鑑定を実施して、その結果を基に意思能力の欠如を主張することができます。

 

遺言能力鑑定の報告書は、裁判所での証拠として用いられ、意思能力の有無を判断する重要な材料となります。

 

遺言能力鑑定は費用がかかりますが、訴訟における有力な資料となります。

 

<参考>
【遺言能力鑑定】意思能力の有無を専門医が証明|相続争い

 

 

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認知症の公正証書遺言に効力があった時の対応策

遺留分侵害額請求を検討する

遺留分とは、法律で保証された相続人の最低限の取り分です。遺言内容が、特定の相続人に偏っている場合、遺留分を侵害される可能性があります。

 

この場合、遺留分を侵害された相続人は、他の受遺者や相続人に対して、侵害された遺留分相当の金銭を請求することができます。

 

ただし、遺留分侵害額請求権は、相続の開始および遺留分の侵害を知った時から1年以内に行使しなければなりません。

 

 

特別受益の持ち戻しを主張する

特別受益とは、被相続人から生前に特定の相続人が受けた贈与や利益です。例えば、生前に住宅購入資金の援助を受けた場合などが該当します。

 

遺産分割の際、特別受益を考慮しないと不公平が生じるため、これらの贈与分を遺産に持ち戻して計算することができます。特別受益の持ち戻しによって、各相続人の正当な取り分を再評価できます。

 

 

介護の寄与分を主張する

遺言者の生前に、特定の相続人が長期間にわたり無償で介護や看護を行っていた場合、その貢献度に応じて遺産分割で寄与分を主張できます。

 

寄与分とは、遺言者の財産の維持や増加に特別の貢献をした相続人に対して、その貢献度を評価して、相続分に上乗せする制度です。

 

介護の寄与分によって、介護や看護に尽力した相続人の努力が、正当に評価されます。

 

 

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認知症の公正証書遺言の効力でよくある質問

公正証書遺言は認知症で無効になるのは稀ですか?

公正証書遺言は、公証人が遺言者の意思能力を確認した上で作成されるため、無効とされるケースは少ないです。

 

しかし、遺言者の認知症のために遺言能力が著しく低下しているケースでは、無効と判断される可能性があります。

 

<参考>
公正証書遺言は認知症でも無効は稀なのか?|遺言能力鑑定

 

 

公正証書遺言が無効になるケースは?

公正証書遺言が無効とされる主なケースとして、以下が挙げられます。

 

1. 遺言能力の欠如

遺言者が遺言作成時に認知症などで判断能力を欠いていた。

 

2. 法律的要件の不備

遺言の内容や形式が法律で定められた要件を満たしていない

 

3. 強迫や詐欺

遺言者が第三者からの強迫や詐欺によって遺言を作成させられた

 

 

これらの状況が認められると、公正証書遺言であっても無効と判断される可能性があります。

 

 

公正証書遺言を作るのに認知症の診断書は必要ですか?

遺言者が認知症と診断されている場合、公証人は遺言能力の有無を慎重に判断する必要があります。このため、医師の診断書の提出を求められる可能性があります。

 

 

意思無能力無効とはどういう意味ですか?

意思無能力無効とは、行為者が意思能力を欠いている場合、その者が行った法律行為が初めから無効であることを指します。

 

意思無能力無効は、行為の結果を理解・判断する能力がない者の保護を目的としています。

 

 

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まとめ

 

公正証書遺言は、公証人が法に基づき作成するため信頼性が高く、認知症があっても意思能力があれば効力があります。

 

公正証書遺言の無効を主張するには、遺言時のカルテや介護記録を確認して、意思能力の欠如を立証する必要があります。

 

公正証書遺言の無効が認められない場合は、遺留分侵害額請求や特別受益の持ち戻し、介護の寄与分を主張することで、不公平な相続への対応が可能です。

 

認知症の公正証書遺言の効力でお困りの事案があれば、遺言能力鑑定が有用になる可能性があります。お問合せフォームから気軽にご連絡下さい。

 

 

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