交通事故コラム詳細

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【医師が解説】交通事故後に認知症を発症するのは珍しくない!

認知症の発症は、一般的に交通事故とは無関係という印象があります。たしかに認知症の多くは加齢や脳血管障害によって発症します。

 

しかし、高齢者が交通事故で大きなケガをすると、認知症を発症したり悪化する危険性があります。そして、交通事故をきっかけにして認知症を発症したケースでは、交通事故との因果関係が争われやすいです。

 

本記事は、交通事故と認知症の因果関係を理解するヒントとなるように作成しています。

 

 

最終更新日:2024/4/19

 

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認知症とは

 

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認知症とは、加齢や脳血管障害などが原因となって脳の機能が低下して、日常生活に支障をきたす状態です。

 

 

認知症の症状

認知症の主な症状は、記憶障害、理解力や判断力の低下などです。これらの中核症状に加えて、もともとの性格や住環境などがベースになって、うつや不安を発症するケースもあります。

 

 

認知症の原因

一般的な認知症の原因として、アルツハイマー型認知症、血管性認知症、レビー小体型認知症などが挙げられます。いずれも加齢とともに発症率が高まります。

 

 

アルツハイマー型認知症

認知症で最も多いのは、アルツハイマー型認知症です。アルツハイマー型認知症は、アミロイドβという物質が脳にたまって発症します。

 

 

血管性認知症

高齢化社会となったため、脳卒中が原因となって発症する血管性認知症も増加しています。血管性認知症では、脳卒中による半身麻痺を伴うことも珍しくありません。

 

 

レビー小体型認知症

レビー小体型認知症は、レビー小体という物質が脳にたまって発症します。いわゆる認知症だけではなく、歩き方がぎこちなくなって転倒しやすくなるのが、レビー小体型認知症の特徴です。

 

 

<参考>
【地主と家主】認知症はどんな病気?|遺言能力鑑定

 

 

yanujinu

 

 

交通事故と認知症の因果関係

 

ここまで見てきたように、認知症の一般的な原因は、加齢や脳血管障害です。一方、特に高齢者では、交通事故後に認知症を発症するケースが珍しくありません。

 

交通事故後に認知症が発症するケースとして、以下のパターンが挙げられます。

 

 

  • 交通事故による廃用症候群で認知症を合併
  • 交通事故による高次脳機能障害に認知症を合併

 

 

交通事故による廃用症候群で認知症を合併

交通事故で多発外傷を受傷すると、寝たきりの期間が長くなります。また、体力も奪われるため、特に高齢者では認知症を発症しやすいです。

 

 

<参考>
【医師が解説】廃用症候群とは?原因、症状は?|交通事故の後遺障害

 

 

交通事故による高次脳機能障害に認知症を合併

交通事故で頭部外傷を受傷すると、高次脳機能障害をきたす可能性があります。高次脳機能障害の症状は認知症と似ているため見分けがつかないケースもあります。

 

また、高齢者が頭部外傷で高次脳機能障害を発症すると、認知症を発症したり悪化したりすることも珍しくありません。

 

 

<参考>
【日経メディカル】交通事故における曖昧な高次脳機能障害の定義
【日経メディカル】交通事故後の高次脳機能障害を見逃すな!把握しにくい2つの理由
【医師が解説】高次脳機能障害が後遺症認定されるポイント|交通事故

 

 

 

nikkei medical

 

 

【弁護士必見】交通事故と認知症の因果関係のポイント

交通事故後に発症した認知症は因果関係が争点になりやすい

認知症は、交通事故による多発外傷や頭部外傷が原因となって発症することも、決して珍しくありません。

 

しかし、特に高齢者では認知症は私病とみなされて交通事故との因果関係を否定され、後遺障害に認定されない事案は多いです。

 

認知症発症と交通事故との因果関係が否定された場合には、加齢や既往症の影響よりも、交通事故の影響の方が強い大きいことを主張する必要があります。

 

交通事故後に認知症を併発しやすいのは、圧倒的に高齢者です。このため、認知症と交通事故との因果関係の証明には、医師による臨床経過や画像所見の精査が必要です。

 

 

認知症の後遺障害等級は神経系統の機能障害に準ずる

下肢の骨折などで廃用症候群や認知症を併発した事案では、関節機能障害で後遺障害等級が決定されるケースが多いです。

 

しかし、いわゆる寝たきりなどの状態になった場合には、「常に介護を要する」「随時介護を要する」などの神経系統の機能障害に準じた後遺障害等級となります。

 

また、頭部外傷後の高次脳機能障害でも、神経系統の機能障害に準じた後遺障害等級となります。

 

 

認知症の加重障害と素因減額

認知症は高齢者に多いため、既往症が問題になるケースが多いです。交通事故で増悪した認知症においても、後遺障害等級は受傷前の状態と症状固定時の状態を比較して、加重障害に該当するかを判断します。

 

一方、訴訟で既往症による素因減額が争いになっている事案では、若杉方式による外因の関与程度判定基準を用いて主張することも有効です。

 

認知症発症と交通事故との因果関係や、素因減額でお困りの事案があれば、こちらからお問い合わせください。

 

 

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まとめ

 

認知症の一般的な原因は、加齢や脳血管障害です。一方、特に高齢者では、交通事故後に認知症を発症するケースが珍しくありません。

 

交通事故後に認知症が発症するケースとして、以下のパターンが挙げられます。

 

 

  • 交通事故による廃用症候群で認知症を合併
  • 交通事故による高次脳機能障害に認知症を合併

 

 

交通事故後に発症したり増悪した認知症では、因果関係や加重障害が争点になりやすいです。

 

 

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