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公正証書遺言でもめる原因と対処法|認知症の遺言能力鑑定

「公正証書遺言を作成したから安心」と思っていても、遺産分配を巡って家族や親族がもめるケースは決して珍しくありません。

 

本来、公正証書遺言は公証人が関与するため、他の遺言形式に比べてトラブルになりにくいとされています。

 

しかし、遺言者の判断能力の有無や遺留分の侵害、不公平な遺産分割などの理由で、相続人同士の争いが生じることがあります。

 

本記事では、公正証書遺言にまつわるトラブルの原因や法的効力、不備への対応策について詳しく解説して、遺産相続でもめないためのポイントをお伝えします。

 

 

最終更新日: 2025/3/2

 

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公正証書遺言とは?

 

公正証書遺言とは、公証人が遺言者の意思を確認し、公正証書として作成する遺言の形式です。

 

遺言者が公証役場で口述した内容を公証人が文書化し、遺言者と証人2名が署名・押印することで成立します。

 

この方式は、遺言内容の明確化と法的効力の確保に優れており、相続トラブルの予防に効果的とされています。

 

 

公正証書遺言がもめにくい理由

公正証書遺言は、公証人という法律の専門家が作成に関与するため、形式的な不備や内容の不明確さが排除されます。

 

また、遺言書の原本は公証役場に保管され、偽造や紛失のリスクが低減します。

 

さらに、遺言者の意思確認が公証人によって行われるため、遺言能力に関する争いも起こりにくく、結果として相続人間のもめ事を防ぐ効果が高いとされています。

 

 

公正証書遺言の特徴と他の遺言形式との違い

公正証書遺言は、公証人が作成して、公証役場に保管されるため、信頼性と安全性が高い点が特徴です。

 

一方、自筆証書遺言は遺言者が自ら全文を手書きする必要があり、形式不備や紛失のリスクがあります。

 

また、自筆証書遺言は家庭裁判所での検認手続きが必要ですが、公正証書遺言にはその手続きが不要です。

 

これらの違いから、公正証書遺言は他の遺言形式に比べて法的安定性が高く、相続トラブルの防止に有効とされています。

 

 

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公正証書遺言がもめる原因とは?

 

公正証書遺言は、公証人が関与して作成されるため、他の遺言形式に比べて信頼性が高いとされています。

 

しかし、それでもなお、遺産相続において争いが生じる場合があります。以下に、公正証書遺言でもめる主な原因を解説します。

 

 

遺言能力がない

遺言者が遺言を作成した時点で、認知症などにより判断能力が欠如していた場合、その遺言は無効とされる可能性があります。

 

公証人が関与していても、遺言者の意思能力が十分でなかったと後に証明されれば、遺言の有効性が疑われて、相続人間で争いが生じるケースがあります。

 

 

遺留分を侵害している

遺留分とは、法律で定められた相続人が最低限受け取ることが保障されている遺産の割合です。

 

公正証書遺言の内容が特定の相続人の遺留分を侵害している場合、侵害された相続人は遺留分侵害額請求を行うことができます。

 

 

遺産の分け方

遺言の内容が不明確であったり、特定の相続人に偏った遺産分配が指示されていると、他の相続人が不満を抱き、争いが生じることがあります。

 

 

遺産を使い込んだ

遺言執行者や特定の相続人が、遺産を不正に使用したり、隠匿したりすることで、他の相続人との間で紛争が生じることがあります。

 

このような不正行為は、相続手続き全体の信頼性を損ない、深刻な対立を引き起こす原因となります。

 

 

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公正証書遺言でもめた時の対処法は?

 

公正証書遺言は、公証人が関与して作成されるため、他の遺言形式と比べて信頼性が高いとされています。

 

しかし、それでもなお、遺産相続において争いが生じることがあります。以下に、公正証書遺言でもめた場合の対処法を解説します。

 

 

遺言能力がないケース

遺言者が遺言作成時に認知症などで判断能力を欠いていると、その遺言は無効とされる可能性があります。このような場合、以下の手段が考えられます。

 

 

1. 話し合い

まず、相続人間で話し合いを行い、円満な解決を目指します。感情的な対立を避け、冷静に事実関係を確認することが重要です。

 

 

2. 遺言無効確認調停

話し合いで解決しない場合、家庭裁判所に遺言無効確認の調停を申し立てます。調停委員が仲介し、合意を目指します。

 

 

3. 遺言無効確認訴訟

調停でも解決しない場合、遺言無効確認の訴訟を提起します。裁判所が遺言の有効性を判断します。

 

 

4. 遺産分割協議

遺言が無効と判断された場合、相続人全員で遺産分割協議を行い、遺産の分配方法を決定します。

 

 

5. 遺産分割調停

協議で合意に至らない場合、家庭裁判所に遺産分割調停を申し立て、調停委員の仲介で合意を目指します。

 

 

6. 遺産分割審判

調停でも解決しない場合、裁判所が遺産分割の方法を決定する審判手続きに移行します。

 

 

7. 遺言能力鑑定を検討する

遺言者の判断能力に疑義があれば、認知症専門医による遺言能力鑑定で、遺言能力を適切に評価することも検討する必要があります。

 

遺言能力鑑定によって、公正証書遺言は無効であるという証拠を得る可能性もあります。

 

<参考>
【遺言能力鑑定】意思能力の有無を専門医が証明|相続争い

 

 

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遺留分を侵害しているケース

遺言内容が法定相続人の遺留分を侵害している場合、以下の手段が考えられます。

 

 

1. 遺留分侵害額請求権の行使

遺留分を侵害された相続人は、他の相続人に対して遺留分侵害額請求を行い、侵害された分の金銭の支払いを求めることができます。

 

 

2. 話し合い

まず、相続人間で話し合いを行い、遺留分に関する問題を解決することが望ましいです。

 

 

3. 遺留分侵害額請求調停

話し合いで解決しない場合、家庭裁判所に遺留分侵害額請求の調停を申し立て、調停委員の仲介で合意を目指します。

 

 

4. 遺留分侵害額請求訴訟

調停でも解決しない場合、遺留分侵害額請求の訴訟を提起し、裁判所の判断を仰ぎます。

 

 

遺産の分け方でもめるケース

遺産の分割方法に関して相続人間で意見が対立する場合、以下の手段が考えられます。

 

 

1. 話し合い

まず、相続人間で話し合いを行い、合意に達するよう努めます。

 

 

2. 遺産分割協議

相続人全員で遺産分割協議を行い、遺産の分配方法を決定します。

 

 

3. 遺産分割調停

協議で合意に至らない場合、家庭裁判所に遺産分割調停を申し立て、調停委員の仲介で合意を目指します。

 

 

4. 遺産分割審判

調停でも解決しない場合、裁判所が遺産分割の方法を決定する審判手続きに移行します。

 

 

上のように、公正証書遺言でもめた場合には、適切な手続きを踏むことが重要です。専門家の助言を得ながら、冷静に対処することを心がけましょう。

 

 

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公正証書遺言でもめない方法

公正証書遺言は、公証人が作成するため、他の遺言形式と比べて信頼性が高いとされています。

 

しかし、作成時の状況や内容によっては、相続時に争いが生じる可能性もあります。以下に、公正証書遺言でもめないための方法を解説します。

 

 

認知症では遺言書作成時の診断書を取得しておく

遺言者が認知症を患っている場合でも、遺言作成時に判断能力(遺言能力)があれば、遺言は有効と認められます。

 

しかし、後々の争いを避けるためには、遺言作成時に医師の診断書を取得して、遺言能力があったことを証明しておくことが重要です。

 

この診断書は、相続開始後に遺言の有効性を巡るトラブルを防ぐための重要な証拠となります。

 

 

生前遺言能力鑑定という選択肢

遺言能力を証明する手段として、生前遺言能力鑑定が効果的です。遺言能力鑑定は、認知症に詳しい専門医が、遺言者の遺言能力を詳しく評価するものです。

 

生前に遺言能力鑑定を受けることで、遺言書の法的有効性を確保して、後々のトラブルや相続に関する争いを未然に防ぐことが可能となります。

 

<参考>
【生前遺言能力鑑定】認知症になる前に遺言するメリットとポイント

 

 

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遺留分を満たした遺言書の作成

遺留分とは、法律で定められた相続人が最低限受け取ることができる遺産の割合のことです。遺言によって特定の相続人に多くの財産を配分すると、他の相続人の遺留分を侵害する可能性があります。

 

遺留分を侵害すると、相続人間で争いが生じる原因となるため、遺言書作成時には遺留分に配慮し、相続人全員が納得できる内容とすることが大切です。

 

 

公正証書遺言でもめるケースでよくある質問

公正証書遺言に従わないとどうなる?

公正証書遺言は強力な証拠力を持ち、遺言執行者や相続人はその内容に従う義務があります。もし遺言内容に従わない場合、遺言執行者や他の相続人から履行を求められる可能性があります。

 

さらに、金銭の支払いを目的とする遺言で、強制執行受諾文言が含まれている場合、裁判手続きを経ずに強制執行が可能となります。

 

 

公正証書遺言で遺留分は奪われますか?

公正証書遺言によっても、法定相続人の遺留分を侵害することはできません。

 

遺留分とは、法律で保証された最低限の相続分で、これを侵害する遺言内容があった場合、侵害された相続人は遺留分侵害額請求を行うことができます。

 

したがって、公正証書遺言で特定の相続人に多くの財産を遺贈する場合でも、他の相続人の遺留分を奪うことはできません。

 

 

公正証書は何年有効ですか?

公正証書自体には有効期限はありません。一度作成された公正証書は、その内容が適法である限り、半永久的に効力を持ち続けます。

 

ただし、公正証書の原本の保存期間は法律で定められており、一般的には20年とされています。

 

しかし、公正証書遺言の場合、遺言者の死亡後50年、証書作成後140年、または遺言者の生後170年のいずれか長い期間保存されます。

 

 

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まとめ

 

公正証書遺言は、公証人が作成して、公証役場に保管するため、法的に強い効力を持ちます。形式不備や偽造のリスクが低く、相続トラブルの防止に有効です。

 

ただし、遺言者の判断能力が不十分だと無効になる可能性があり、遺留分を侵害すると相続人間の争いにつながることもあります。

 

作成時には医師の診断書取得や遺留分の考慮が重要です。適切に作成すれば、安全で確実な遺産分配が可能となり、家族の負担を減らせます。

 

公正証書遺言でもめた際には、認知症専門医による遺言能力鑑定が有用である可能性があります。お困りの事案があれば、お問合せフォームから気軽にご連絡下さい。

 

 

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