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【医師が解説】腱反射亢進する原因、後遺障害への影響は?|交通事故

深部腱反射亢進は、一般的には異常な身体所見とみなされています。しかし、深部腱反射が亢進する原因はさまざまです。そして交通事故の自賠責保険では、深部腱反射亢進は後遺障害認定に大きな影響を及ぼします。

 

本記事は、深部腱反射が亢進する原因を理解することで、後遺障害が認定されるヒントとなるように作成しています。

 

 

最終更新日: 2024/5/13

 

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深部腱反射とは

 

深部腱反射とは、ゴムハンマー等で腱を叩いた刺激に反応して起こる不随意かつ瞬間的な筋肉の収縮です。深部腱反射は刺激に対して反射弓を通じて起こる自動的な筋収縮なので、筋肉を動かそうとする自発的な意志は不要です。

 

深部腱反射の検査結果は、正常(+)、軽度亢進(2+)、亢進(3+)、低下(±),消失(-)などの記号で記載されます。

 

 

<参考>
【医師が解説】深部腱反射は12級の後遺症認定のポイント|交通事故

 

 

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深部腱反射亢進の原因は上位運動ニューロン障害

 

深部腱反射亢進は、脳や脊髄などの中枢神経の障害で発現します。深部腱反射亢進の原因は、上位運動ニューロン(脊髄の前角細胞より中枢側のすべての部位)の障害です。

 

 

深部腱反射亢進はなぜ起こる?

 

深部腱反射は、通常の状態では上位運動系(大脳~脊髄)によって、過剰に反応しないように制御されています。しかし、上位運動系に障害が発生すると、抑制が効かなくなるため、深部が反射が亢進(過剰に反応)します。

 

 

深部腱反射が亢進する疾患

 

深部腱反射が亢進する疾患は多岐にわたりますが、主には脳神経と脊髄の障害に分けられます。

 

 

脳神経の障害

高次脳機能障害
遷延性意識障害
脳挫傷
脳出血
外傷性くも膜下出血
びまん性軸索損傷
急性硬膜下血腫
脳梗塞
筋萎縮性側索硬化症(ALS)
多発性硬化症

 

 

脊髄神経の障害

脊髄損傷
中心性脊髄損傷
後縦靭帯骨化症
頚椎骨折
頚椎椎間板ヘルニア
脊髄空洞症
圧迫骨折

 

 

深部腱反射の病的反射

 

以下の異常反射の出現は、上位運動系(大脳~脊髄)の抑制が消失した際に出現します。

 

 

バビンスキー反射

バビンスキー反射は、足底の外縁を踵から母趾の付け根にかけて、打腱器の反対側などで強くこすると、母趾の伸展と他の足趾が開く現象です。

 

 

チャドック反射

チャドック反射は、外くるぶしから第5足趾まで足の外側をこすると、母趾の伸展と他の足趾が開く現象です。

 

 

ホフマン反射

中指または環指の爪を上から下に軽くはじくと、母指と示指のDIP関節が屈曲する現象です。

 

 

トレムナー反射

中指または環指の爪を下から上に軽くはじくと、母指と示指のDIP関節が屈曲する現象です。

 

 

クローヌス

素早く足関節を背屈させると、急速で律動的な筋収縮と筋弛緩が交互に生じる現象です。

 

 

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【弁護士必見】深部腱反射亢進のポイント

深部腱反射の問題点

自賠責実務において、深部腱反射が重要視されていることは周知の事実です。その理由は、深部腱反射は被害者の恣意性を排することができるからと言われています。たしかにそういう意味では、深部腱反射は客観性を担保できています。

 

しかし、深部腱反射が本当に客観的な検査なのかというと、残念ながら客観的検査とは言い難いのが実情です。次のような理由で実際には客観的ではありません。

 

  • 検者(医師)の主観に依存する
  • 深部腱反射の強さには大きな個人差がある

 

 

検者(医師)の主観に依存する

 

深部腱反射の強さには客観的な基準がありません。さすがに(-)は一致しますが、(±)(+)(2+)は検者によって感じ方がバラバラです。

 

同一の患者さんの四肢腱反射を10名の医師が診察すれば、10通りの判断が出てもおかしくありません。深部腱反射を定量化することは不可能なのです。

 

 

深部腱反射の強さには大きな個人差がある

 

深部腱反射の強さにはかなりの個人差があるため、正常=(+)ではありません。正常=(2+)や正常=(-)もあります。

 

つまり深部腱反射が亢進しているのか消失しているのかは、経時的に観察しなければ正確には判断できないです。

 

しかも、深部腱反射は初診時には診断の判断材料になりますが、それ以降のフォロー期間では臨床的な意味合いは少なくなるので、深部腱反射の推移を経時的に正確に診察するケースはほぼ皆無です。

 

このような臨床の実状を無視して深部腱反射の結果や推移に目くじらを立てるのは、臨床医の立場では滑稽と言わざるを得ません。

 

旧態依然な後遺障害認定基準をいつまでも温存するのではなく、医学的により正確な方向へ改善するべきなのではないかと感じています。

 

 

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深部腱反射亢進は脊髄損傷の後遺障害認定に必須

脊髄損傷の深部腱反射は、以下の内容が自賠責認定基準になっています。

 

  • 脊髄損傷レベル以上: 深部腱反射正常
  • 脊髄損傷レベル以下: 深部腱反射亢進

 

 

自賠責保険レベルでは、深部腱反射が上記の状況でない場合には、後遺障害に認定される可能性が低いと言わざるを得ません。

 

一方、訴訟ではより実際の麻痺の程度が重視されるため、深部腱反射が更新していなくても脊髄損傷の後遺障害が認定されるケースがあります。

 

 

<参考>

 

 

脊髄損傷などの深部腱反射亢進でお困りの事案があれば、こちらからお問い合わせください。

 

 

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まとめ

 

深部腱反射亢進は、脳や脊髄などの中枢神経(上位運動ニューロン)の障害です。

 

深部腱反射亢進が起こる理由は、上位運動系に障害が発生すると、反射の抑制が効かなくなるためです。

 

脊髄損傷が後遺障害等級認定されるためには、脊髄損傷レベル以下での深部腱反射亢進が必須です。

 

 

 

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