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2024.12.25

遺言能力鑑定

意思能力の確認方法は?認知症の親の遺言書では?|遺言能力鑑定

意思能力とは、法律行為を行う際にその行為の意味や結果を理解して、自らの意思で決定を下す能力を指します。

 

意思能力が無いと法律行為が無効になるため、認知症や精神疾患を抱える方では、意思能力の確認を慎重に行う必要があります。

 

本記事では、意思能力の定義や確認方法について詳しく解説します。また、遺言書作成時における意思能力の確認方法にも触れています。

 

 

最終更新日: 2024/12/25

 

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意思能力とは何か?

法律上の意思能力の定義

意思能力は、民法第3条の2において、「意思能力を有しない者の法律行為は、無効とする」と規定されています。行為者が自身の行為の意味や結果を理解できない場合、その行為は無効となることを示しています。

 

 

意思能力が求められる場面

契約の締結や遺言の作成など、法律行為全般において意思能力は必要とされます。例えば、高齢者や認知症の方が遺言を作成する際、その内容を理解し判断できる意思能力が求められます。

 

 

意思無能力となる場合

未成年者や認知症、精神障害、泥酔状態などにより、行為の結果を正しく認識できない場合、意思無能力と判断されることがあります。この場合、その者が行った法律行為は無効となります。

 

 

意思能力と判断能力の相違点

意思能力は、行為の結果を理解し判断する能力であり、法律行為の有効性に直接関係します。一方、判断能力は、一般的な意思決定や日常生活における選択を行う能力を指し、法律行為に限定されない広範な概念です。

 

 

意思能力と事理弁識能力の相違点

意思能力と事理弁識能力は類似した概念ですが、用途が異なります。意思能力は、契約の有効性判断に用いられます。

 

事理弁識能力は、成年後見制度における判断基準として使用されます。両者の違いについては諸説あり、明確な区別が難しい場合もあります。

 

 

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意思能力の確認方法は?

介護保険の主治医意見書

介護保険の主治医意見書は、要介護認定の際に主治医が被保険者の病歴や現在の健康状態、認知症の有無などを詳細に記載する書類です。

 

本来、主治医意見書は介護サービス提供のための診断書ですが、被保険者の意思能力の客観的な指標となります。

 

 

介護保険の認定調査票

介護保険の認定調査票は、要介護認定のための調査員が被保険者の生活状況や身体機能、認知機能などを評価するための書類です。

 

認定調査票は、被保険者の介護度を決定するための書類ですが、主治医意見書と同じように意思能力の客観的な指標となります。

 

 

長谷川式認知症スケール(HDS-R)

長谷川式認知症スケール(HDS-R)は、認知症の診断に用いられる評価ツールで、質問形式で認知機能を評価します。

 

具体的には、記憶力や計算能力、言語能力などを測定し、総合的な認知機能を評価します。

 

<参考>
長谷川式認知症スケールの解釈|遺言能力鑑定

 

 

MMSE(Mini-Mental State Examination)

MMSE(Mini-Mental State Examination)は、認知症のスクリーニングに広く用いられる評価ツールで、認知機能の低下を早期に発見するために使用されます。

 

質問形式で、時間や場所の認識、記憶、計算、言語などの能力を評価します。

 

<参考>
MMSEの認知症でのカットオフ値は?|遺言能力鑑定

 

 

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遺言書作成時の意思能力の確認方法

精神医学的な評価

遺言者の精神状態を医学的に評価する方法です。医師の診断や認知機能検査(長谷川式認知症スケールMMSE)を通じて、遺言者が遺言内容を理解し判断できる能力があるかを確認します。

 

特に高齢者や認知症の疑いがある場合、医師の診断書は遺言能力の有無を判断する重要な資料となります。

 

<参考>

 

 

遺言内容

遺言の内容自体も、遺言能力の判断材料となります。複雑な内容よりも、単純で明確な内容の方が、遺言者がその意図を理解しやすく、意思能力があったと認められやすい傾向があります。

 

例えば、「全財産を特定の人に譲る」という単純な内容は理解しやすく、意思能力があったと判断されやすいです。

 

 

遺言者と相続人との人間関係

遺言者と相続人、受遺者との関係性も考慮されます。遺言の動機や背景を検討し、遺言内容が遺言者の合理的な意思に基づくものかを判断します。

 

例えば、特定の相続人と長年連絡を取っていない場合、その相続人への遺贈がないことは合理的と判断される可能性があります。

 

 

遺言と同じ内容の別資料

遺言と同様の内容が記された他の文書やメモが存在する場合、遺言者の一貫した意思を示す証拠となります。これにより、遺言内容が遺言者の真意であることを裏付けることができます。

 

 

遺言能力鑑定という選択肢

遺言能力鑑定では、診療録、画像検査、各種の神経心理学的検査、介護保険の認定調査票などを認知症専門医が精査して、遺言者の遺言能力を評価します。

 

認知症のため、意思能力に疑問がある場合、遺言能力鑑定を実施して、その結果を基に意思能力の欠如を主張することができます。

 

遺言能力鑑定の報告書は、裁判所での証拠として用いられ、意思能力の有無を判断する重要な材料となります。

 

遺言能力鑑定は費用がかかりますが、訴訟における有力な資料となります。

 

<参考>
【遺言能力鑑定】意思能力の有無を専門医が証明|相続争い

 

 

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意思能力の確認方法でよくある質問

高齢者の意思確認はどのように行うべきですか?

高齢者の意思確認には、以下の方法が有効です。

 

  • 医師の診断書の取得: 契約直前に医師の診断を受け、意思能力があることを確認します。
  • 面談の実施: 本人との対話を通じて、契約内容の理解度や判断力を評価します。
  • 録音や記録の保存: 面談内容を録音し、後日の証拠として残すことが推奨されます。

 

 

意思能力は何歳までですか?

意思能力は年齢によって一律に決まるものではなく、個人の判断力や理解力に依存します。高齢であっても、意思能力が保たれている場合もあれば、若年であっても意思能力が欠如している場合もあります。

 

したがって、年齢だけでなく、個々の精神状態や健康状態を総合的に評価することが重要です。

 

 

認知症の意思能力の確認方法は?

認知症の方の意思能力を確認する際には、以下の方法が用いられます。

 

  • 認知機能検査: 長谷川式スケールやMMSEなどのテストを実施し、認知機能を評価します。
  • 医師の診断: 専門医による診察や診断書を取得し、意思能力の有無を判断します。
  • 遺言能力鑑定: 必要に応じて、専門家による詳細な鑑定を依頼し、意思能力を客観的に評価します。

 

 

これらの手法を組み合わせることで、認知症の方の意思能力を適切に判断することが可能です。

 

 

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まとめ

 

意思能力とは、法律行為の意味や結果を理解し、それに基づいて行動を決める力のことです。この能力がない場合、法律行為は無効になります。

 

重度の認知症や精神疾患などで意思能力を欠く場合があり、確認には介護保険の意見書や認定調査票、認知機能テスト(HDS-RやMMSE)などが使われます。

 

遺言書作成時には、内容の複雑さや相続人との関係も評価のポイントになります。意思能力に疑問がある場合、遺言能力鑑定が有力な証拠となります。

 

認知症の意思能力に起因した遺言トラブルでお困りの事案があれば、遺言能力鑑定が有効になる可能性があります。お問合せフォームから気軽にご連絡下さい。

 

 

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