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2024.12.16

遺言能力鑑定

認知症の親に意思能力はある?評価法や証明法を解説|遺言能力鑑定

認知症の親が、どの程度のことであれば、意思決定を行えるかを理解することは、家族にとって非常に重要です。

 

認知症が進行すると、意思能力が低下する場合がありますが、各個人の能力には大きな差があります。

 

本記事では、認知症の親の意思能力を評価する具体的な方法や、その評価基準について詳しく解説しています。

 

 

最終更新日: 2024/12/16

 

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意思能力とは

意思能力の概要

意思能力とは、法律行為を行う際に、その行為の結果を理解し判断する能力を指します。意思能力が欠如していると、その法律行為は無効とされます。

 

意思能力は、精神的な判断能力であり、自己の行為がどのような法的効果をもたらすかを認識できることが求められます。

 

 

認知症になると意思能力は認められない?

認知症になると、意思能力が低下することがありますが、必ずしも全ての認知症患者が意思能力を失うわけではありません。

 

意思能力の有無は、個々のケースごとに判断され、具体的な状況や行為の内容によって異なります。

 

 

意思能力と判断能力の違い

意思能力は、法律行為の結果を理解し判断する能力を指しますが、判断能力は、日常生活における意思決定や問題解決の能力を指します。

 

意思能力は法律行為に特化した概念であり、判断能力はより広範な日常生活全般に関わる能力です。

 

 

意思能力と事理弁識能力の違い

意思能力は、法律行為の結果を理解し判断する能力を指しますが、事理弁識能力は、行為の意味や結果を理解する能力を指します。

 

事理弁識能力は、意思能力の一部として位置づけられ、より具体的な行為の理解に焦点を当てています。

 

 

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認知症と意思能力の基礎知識

認知症の症状と意思決定への影響

認知症は、記憶力や認知機能の低下を引き起こし、意思決定能力に大きな影響を与えます。具体的には、日常生活の中での判断力や問題解決能力が低下して、複雑な意思決定が困難になります。

 

このため、認知症患者は、重要な法律行為や財産管理において、適切な判断を下すことが難しくなるケースがあります。

 

 

法律における意思能力の定義

法律における意思能力の定義は、個人が法律行為を行う際に、その行為の意味や結果を理解し、適切に判断できる能力を指します。

 

意思能力は、契約や遺言などの重要な法律行為において特に重要視されます。意思能力が欠如していると、法律行為は無効とされます。

 

 

 

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認知症患者の意思能力を評価する方法

標準的な評価ツールとその種類

認知症患者の意思能力を評価するためには、いくつかの標準的な評価ツールが用いられます。これらのツールは、患者の認知機能や意思決定能力を客観的に評価するために設計されています。

 

代表的な評価ツールとして、長谷川式認知症スケールMini-Mental State Examination(MMSE)、Clinical Dementia Rating (CDR)などがあります。

 

<参考>
遺言能力の判断基準4つのポイント|認知症の遺言能力鑑定

 

 

長谷川式認知症スケール(HDS-R)

長谷川式認知症スケール(HDS-R)は、日本で広く使用されている認知症のスクリーニングテストです。30点満点中20点以下の場合、認知症の疑いがあるとされます。

 

HDS-Rは、年齢、見当識、記憶、計算、逆唱、語想起などの評価項目から構成されており、短時間で実施できるのが特徴です。

 

<参考>
長谷川式認知症スケールの解釈|遺言能力鑑定

 

 

Mini-Mental State Examination (MMSE)

Mini-Mental State Examination (MMSE)は、世界的に広く使用されている認知症のスクリーニングテストです。30点満点中21点以下の場合、認知症の疑いがあるとされます。

 

MMSEは、時間や場所の見当識、記憶、注意、計算、言語、図形的能力などを評価する11項目から構成されています。

 

<参考>
MMSEの認知症でのカットオフ値は?|遺言能力鑑定

 

 

Clinical Dementia Rating (CDR)

Clinical Dementia Rating (CDR)は、認知症の重症度を評価するためのスケールです。CDRは、患者の生活状況や家族からの情報を基に評価されます。

 

CDRは、記憶、見当識、判断力、社会適応、家庭状況、介護状況の6つの項目について評価し、0から3までの5段階で重症度を判定します。

 

 

意思能力がないことを証明する方法

意思能力がないことを証明するためには、認知症の評価ツールの結果や医師の診断書、介護記録などが用いられます。

 

特に、長谷川式認知症スケールMini-Mental State Examination(MMSE)、の結果が重要な証拠となります。

 

また、裁判では、本人の状況、遺言内容の複雑性、遺言者との人間関係、取引金額なども考慮されます。

 

 

遺言能力鑑定という選択肢

遺言能力鑑定では、診療録、画像検査、各種の神経心理学的検査、介護保険の認定調査票などを認知症専門医が精査して、遺言者の遺言能力を評価します。

 

認知症のため、意思能力に疑問がある場合、遺言能力鑑定を実施して、その結果を基に意思能力の欠如を主張することができます。

 

遺言能力鑑定の報告書は、裁判所での証拠として用いられ、意思能力の有無を判断する重要な材料となります。

 

遺言能力鑑定は費用がかかりますが、訴訟における有力な資料となります。

 

<参考>
【遺言能力鑑定】意思能力の有無を専門医が証明|相続争い

 

 

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認知症で意思能力がないとできないことは?

預貯金の引き出し、解約

認知症の進行により意思能力が低下すると、預貯金の引き出しや解約が困難になることがあります。

 

特に、金融機関の窓口での手続きが必要な場合、本人が意思能力を欠いていると判断されると、手続きが拒否されることがあります。

 

キャッシュカードを用いたATMでの引き出しは可能な場合もありますが、窓口での対応は金融機関によって異なります。

 

 

不動産の売却

不動産の売却は、重大な法律行為であり、高度な意思能力が求められます。認知症の進行により意思能力が低下すると、不動産の売却が困難になることがあります。

 

特に、自宅の売却など重要な財産の処分は、意思能力が欠如していると判断されると、法定後見人の介入が必要となる場合があります。

 

 

大規模修繕や建替え、リフォーム

大規模修繕や建替え、やリフォームも、高度な意思能力が求められる法律行為です。

 

本人の生活に直接関わる修繕やリフォームであっても、意思能力が欠如していると判断されると、法定後見人の介入が必要となる場合があります。

 

 

有効な遺言書の作成

認知症の進行により意思能力が低下すると、有効な遺言書の作成が困難になることがあります。

 

遺言書は、遺言者がその内容を理解し、自らの意思で作成する必要があります。意思能力が欠如していると判断されると、遺言書は無効とされる可能性があります。

 

 

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認知症になって意思能力がなくなる前にやるべき対策は?

遺言書

親が認知症になったら、意思能力があるうちに公正証書遺言を作成することが重要です。

 

遺言書は、遺産分割の方法を明確にするための法的文書であり、意思能力があるうちに作成することで、後の相続争いを防ぐことができます。

 

 

任意後見制度

任意後見制度は、将来認知症などで意思能力が低下した場合に備えて、あらかじめ信頼できる人を後見人として選任しておく制度です。

 

任意後見契約を結ぶことで、本人の意思に基づいた支援が受けられるようになります。

 

 

家族信託

家族信託は、財産管理や相続対策として有効な手段です。信頼できる家族に財産を託し、管理や運用を任せることで、認知症になった場合でも財産が適切に管理されます。

 

家族信託は、柔軟な運用が可能であり、遺産分割のトラブルを防ぐ効果もあります。

 

 

財産管理契約

財産管理契約は、認知症などで意思能力が低下した場合に備えて、財産の管理を第三者に委任する契約です。

 

財産管理契約によって、本人の財産が適切に管理され、生活費や医療費の支払いが確保されます。

 

 

死後事務委任契約

死後事務委任契約は、本人が亡くなった後の事務手続きを第三者に委任する契約です。

 

葬儀の手配や遺品整理、役所への届け出など、死後の手続きをスムーズに進めるために有効です。

 

 

保佐・補助などの法定後見制度

法定後見制度は、認知症などで意思能力が低下した場合に、家庭裁判所が後見人を選任し、本人の生活や財産を保護する制度です。

 

法定後見制度には、保佐や補助といった種類があります。法定後見制度を利用することで、本人の権利が守られます。

 

 

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生前遺言能力鑑定の勧め

意思能力を証明するためには、生前遺言能力鑑定が有効です。生前遺言能力鑑定は、認知症専門医によって行われ、遺言者の意思能力を評価します。

 

生前遺言能力鑑定を実施することで、遺言書の効力を担保して、将来的な紛争を防ぐことができます。

 

<参考>
【生前遺言能力鑑定】認知症になる前に遺言するメリットとポイント

 

 

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認知症の意思能力でよくある質問

認知症は責任無能力者ですか?

認知症の方は、精神上の障害により自己の行為の責任を弁識する能力を欠く状態にある場合、責任無能力者とみなされます。

 

民法713条に基づき、認知症の方が他人に損害を与えた場合、その賠償責任を負わないとされています。

 

ただし、監督義務者がその義務を怠った場合や、故意または過失によって一時的にその状態を招いた場合は、この限りではありません。

 

 

意思能力を欠く常況とは?

意思能力を欠く常況とは、個人が常にまたはほぼ常に自己の行為の結果を理解し判断する能力を欠いている状態を指します。

 

これは、認知症などの精神的な障害によって引き起こされることが多いです。意思能力を欠く状態で行われた法律行為は無効とされ、法律上の効果を持ちません。

 

 

認知症の人が結んだ契約は無効ですか?

認知症の方が結んだ契約は、意思能力が欠如している場合、無効とされる可能性があります。民法第3条の2に基づき、意思能力を有しない状態で行われた法律行為は無効とされます。

 

具体的には、認知症の進行により契約内容を理解し判断する能力が欠如している場合、その契約は無効とされることがあります。

 

 

認知症の親族の責任は?

認知症の方の親族には、監督義務者としての責任が生じることがあります。民法714条に基づき、認知症の方が他人に損害を与えた場合、その監督義務者が賠償責任を負うことがあります。

 

また、扶養義務者として、認知症の方の生活を支援して、適切なケアを提供する責任もあります。認知症の方が適切な生活を送れるようにすることが求められます。

 

 

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まとめ

 

認知症の評価ツールには、長谷川式認知症スケール(HDS-R)、MMSE、CDRがあります。HDS-Rは日本、MMSEは世界的に使われ、認知症の疑いを判定します。

 

意思能力を証明するため、評価結果や診断書、遺言能力鑑定が重要です。

 

認知症になる前に、遺言書作成や任意後見制度、家族信託を活用することが対策として有効です。これにより、意思能力低下後も財産管理や相続争いを防ぐことができます。

 

認知症の意思能力に起因した、遺言トラブルでお困りの事案があれば、遺言能力鑑定が有効になる可能性があります。お問合せフォームから気軽にご連絡下さい。

 

 

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