「最近、もの忘れがひどい」
「身内が怒りっぽくなった」
これらの症状は、認知症の始まりかもしれません。認知症かもしれないと思ったら、何科に行って診断してもらえばよいのでしょうか。
本記事は、認知症かもしれないと思ったときに、何科で診断してもらえれば良いのかを知るヒントとなるように作成しています。
最終更新日: 2024/11/4
Table of Contents
認知症はどんな病気なの?
認知症は、脳の機能が低下してしまい、日常生活に支障をきたすようになった状態です。認知症には、中核症状と行動・心理症状の2つがあります。
中核症状
認知症の中核症状は、脳の神経細胞が機能しなくなったために発症します。主な症状は、記憶障害や実行機能障害です。これ以外にも、理解力や判断力が低下します。
行動・心理症状
認知症の行動・心理症状は、もともとの性格、住んでいる環境、人間関係などがベースになって発症します。うつや不安などの症状が現れるケースが多いですが、症状が進行すると徘徊や幻覚などの行動異常をきたすこともあります。
認知症の原因
認知症の原因として、アルツハイマー型認知症、血管性認知症、レビー小体型認知症などが挙げられます。
アルツハイマー型認知症
認知症で最も多いのは、アルツハイマー型認知症です。アルツハイマー型認知症は、アミロイドβという物質が脳にたまって発症します。
血管性認知症
高齢化社会となったため、脳卒中が原因となって発症する血管性認知症も増加しています。血管性認知症では、脳卒中による半身麻痺を伴うことも珍しくありません。
レビー小体型認知症
レビー小体型認知症は、レビー小体という物質が脳にたまって発症します。いわゆる認知症だけではなく、歩き方がぎこちなくなって転倒しやすくなるのが、レビー小体型認知症の特徴です。
認知症の初期症状
認知症になると、以下のような症状で発症しやすいです。
- よく使う物や親しい人の名前を思い出せない
- 日付が分からなくなる
- 最近の出来事を記憶できない
- 言葉がすぐに出てこなくなる
- 同じ質問を繰り返す
- 大事なものを失くしたり置き忘れる
- 料理などの手順が分からなくなったり時間がかかるようになる
- 慣れた道で迷う、目的地を忘れる
- 身だしなみに気を使わなくなる
- 怒りっぽくなるなど性格が変わる
ただし、ここで挙げた症状が全て現れるわけではありません。症状の種類や程度には個人差があるので注意が必要です。
<参考>
【医師が解説】認知症の初期症状について知ろう|遺言能力鑑定
認知症セルフチェック
物忘れが気になり始めて認知症かもしれないと思っても、いきなり医療機関を受診するのはハードルが高いですね。
このような時には、まず自分でできる簡易テストをやってみることをお勧めします。東京都福祉局の「自分でできる認知症の気づきチェックリスト」は無料で実施できます。
このチェックリストは簡便ですぐに実施可能です。認知症かもしれないと心配な方は、今すぐやってみましょう。
認知症を疑ったら何科で診断してもらう?
かかりつけ医を受診する
もの忘れがひどくなったり、怒りっぽくなるのは、認知症の症状かもしれません。認知症かもしれないと思った時には、かかりつけ医に相談しましょう。
かかりつけ医は内科であるケースが多いですが、認知症の診断をするのに全く問題ありません。かかりつけ医が診察や検査をしたうえで、必要であれば以下に挙げる認知症の専門医に紹介します。
認知症を診断する科
認知症を診断したり専門的に治療する科は、以下のとおりです。かかりつけ医が居ない場合には受診してもよいでしょう。
- 脳神経内科
- 脳神経外科
- 精神科
- 心療内科
- 老年科
- もの忘れ外来
これらの科は、開業医として単独で存在するものもあれば、総合病院の診療科の1つの場合もあります。いずれの場合でも、認知症の専門医であれば問題ありません。
また、各都道府県には、認知症疾患医療センターという認知症の医療相談や診察を専門的に行う医療機関が設置されています。
認知症疾患医療センターが近くにある場合には、紹介してもらえるかを、かかりつけ医に相談してもよいかもしれません。
<参考>
認知症疾患医療センター(厚生労働省)
認知症の診断について
認知症の程度を調べる検査
認知症の程度を調べる検査として、身体検査と神経心理学検査があります。以下に弊社の生前遺言能力鑑定で行っているルーチンメニューをご紹介いたします。
身体検査
パーキンソン症状の評価(筋固縮などを実際に触知して診察する)
神経心理学的検査
- 長谷川式認知症スケール(HDS-R)
- MMSE(ミニメンタルステート検査)
- M.I.N.I(精神疾患簡易構造化面接法) → 精神疾患の除外
<参考>
認知症の原因を調べる検査(画像検査)
認知症を診断するには各種テストが必要ですが、画像検査も補助的な役割を果たしています。
認知症では、脳の病変の有無や形態異常を調べるために、以下のような画像検査が行われます。
- CT検査
- MRI検査(VSRAD)
- SPECT検査
- PET検査
一方、認知症のMRIやCTで異常なしと言われることも珍しくありません。むしろ、初期の認知症ではMRIやCTで認知症の原因が分かるケースは少ないです。
認知症の診断で行う各種の画像検査については、以下の弊社コラムで詳述しています。ご興味のある方は参照してください。
<参考>
【医師が解説】認知症の画像所見とは?|遺言能力鑑定
【医師が解説】認知症のMRIやCTで異常なしはある?|遺言能力鑑定
認知症の治療
薬物療法
認知症の治療の1つに薬物療法があります。抗認知症薬は、「抗コリンエステラーゼ阻害薬」と「NMDA受容体拮抗薬」の2種類に分類されます。
「抗コリンエステラーゼ阻害薬」は、神経伝達物質の分解を抑えて情報伝達を助けます。「NMDA受容体拮抗薬」は、情報伝達を整えます。
これらの薬剤以外にも、認知症の行動や心理症状には、抗精神病薬、抗うつ薬、抗てんかん薬、睡眠薬などが使われることがあります。
薬物療法は継続的に服用することが重要です。症状が改善しても自分の判断で中断せず、必ず医師の指示に従いましょう。
リハビリテーションや心理療法
認知症治療では、リハビリテーションや心理療法も重要です。これらの治療は、適度な運動や脳への刺激、心の満足感を通じて効果をを発揮します。
リハビリテーションには、歩行、寝返り、階段昇降などの運動で平衡感覚や筋力を強化する運動リハビリ、手や指先の機能を訓練する作業リハビリ、認知機能の改善を目指す認知リハビリなどがあります。
心理療法では、過去の楽しい記憶を引き出して心の安定を図る回想法などが用いられます。残された機能を維持して脳を活性化させ、心の安定を図ることを目的としています。
認知症になると相続で問題になる可能性がある
認知症を発症すると、相続する時に問題が発生するケースがあります。認知症では、遺言能力が低下するからです。
特に遺言者(財産を遺す人)が認知症を発症した場合には、遺言者に充分な遺言能力があるのかが争点になりがちです。
<参考>
まとめ
「最近、もの忘れがひどい」「身内が怒りっぽくなった」などの症状が気になり出したら、まずはかかりつけ医に相談しましょう。
かかりつけ医が居ない場合には、以下の科の認知症専門医を受診すればよいでしょう。
- 脳神経内科
- 脳神経外科
- 精神科
- 心療内科
- 老年科
- もの忘れ外来
尚、各都道府県には、認知症疾患医療センターという認知症の医療相談や診察を専門的に行う医療機関が設置されています。
認知症疾患医療センターが近くにある場合には、かかりつけ医に、紹介してもらえるかを相談してもよいかもしれません。
認知症と診断されると、遺言能力が問題になるケースがあります。遺言能力の欠如を客観的に主張するためには、遺言能力鑑定が有効な手段となり得ます。お困りの事案があれば、お問合せフォームからご連絡下さい。
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