2024.11.2

遺産分割調停中にやってはいけないことは？有利にするポイントも紹介

遺産分割調停は、相続人同士の意見の相違を解消して、公正な遺産分割を目指すための重要な手続きです。しかし、調停中に誤った行動を取ると、調停が不利になる可能性があります。

本記事では、遺産分割調停中に避けるべき行動と、調停を有利に進めるためのポイントを詳しく解説しています。

最終更新日： 2024/11/5

Table of Contents

1 遺産分割調停の基礎知識
2 遺産分割調停中にやってはいけない行動
3 遺産分割調停を有利に進めるためのポイント
4 遺産分割調停後の手続きと注意点
5 相続争いが審判から裁判に移行したら
- 5.1 遺言者の遺言能力が争点になるケースが多い
- 5.2 遺言能力鑑定という選択肢
6 まとめ
7 関連ページ
8 資料・サンプルを無料ダウンロード

遺産分割調停の基礎知識

調停の流れと重要性

遺産分割調停は、家庭裁判所で行われる手続きで、相続人同士の話し合いによって遺産の分割方法を決定します。

調停委員が中立の立場で双方の意見を聞きながら解決策を提案します。調停は、裁判に比べて費用や時間が少なく、感情的な対立を避けるための重要な手段です。

調停の目的と法律的な位置づけ

遺産分割調停の目的は、相続人同士の紛争を話し合いで解決することです。調停は家庭裁判所が提供する制度で、裁判官と調停委員が関与します。

調停は、裁判とは異なり、当事者同士の合意を目指す手続きであり、法律的には裁判の前段階として位置づけられます。

＜参考＞
【遺言能力鑑定】遺産相続の裁判で負ける理由と勝つための対策

関係者の役割

遺産分割調停には、裁判官、調停委員、申立人、相手方が関与します。裁判官と調停委員は中立の立場で当事者の意見を聞き、解決策を提案します。

申立人と相手方は、自分の主張を述べ、調停委員の助言を受けながら合意を目指します。調停委員は、弁護士や司法書士などの専門家が務めることが多いです。

法律用語の理解が必要な理由

遺産分割調停では、法律用語の理解が重要です。法律用語を正しく理解することで、自分の権利や義務を正確に把握し、適切な主張を行うことができます。

また、調停委員や裁判官の説明を理解するためにも、基本的な法律用語の知識が必要といえます。

調停と裁判の違い

調停と裁判の主な違いは、解決方法と最終決定権です。調停は、当事者同士の話し合いによる合意を目指す手続きであり、最終決定は相続人に委ねられます。

一方、裁判は、裁判官が最終的な判断を下す手続きなので、当事者の意見が一致しなくても裁判官の決定に従う必要があります。

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遺産分割調停中にやってはいけない行動

調停を無断で欠席する

遺産分割調停中に無断で欠席すると、調停委員や裁判官の心証を悪くします。また、自分の主張や立場を伝える機会を失うため、不利な結果になる可能性が高まります。

感情的な発言や対立行動

調停中に感情的な発言や対立行動は避けるべきです。感情的な振る舞いは調停委員の心証を悪くして、調停が不成立になる可能性があります。

冷静かつ客観的な言動で、自分の立場を説明することが求められます。

嘘をつくなど調停者との信頼関係を損なう行為

調停中に嘘をついたり事実を誇張したりすることは、調停委員からの信頼を失う原因となります。

一度嘘が発覚すると、他の主張まで疑われてしまい、自分の立場を弱めてしまいます。

無断で遺産を処分する行動

調停中に無断で遺産を処分することは、信頼関係を損なう行為です。無断で遺産を処分すると、調停の進行を妨げる原因となります。

一切譲らない

一切譲らない姿勢では、調停の成立を困難にします。調停は、お互い譲れる部分を譲り合いながら、柔軟な解決を目指すものです。譲歩によって、より良い解決につながる可能性が高まります。

遺産分割調停を有利に進めるためのポイント

誠実なコミュニケーションの重要性

遺産分割調停を有利に進めるためには、誠実なコミュニケーションが不可欠です。調停は相続人同士の話し合いの場であり、調停委員や相手方との信頼関係を築くことが重要です。

調停委員に対して正直に情報を提供して、誠実な対応を心掛けることで、調停がスムーズに進行する可能性が高まります。

調停委員の共感を得る

調停委員は、中立的な立場で調停を進めますが、調停委員の共感を得ると、調停を有利に進めることが可能になります。

誠実な態度や冷静な説明を心掛け、調停委員が共感しやすいように配慮しましょう。

計画的な交渉と戦略の構築

遺産分割調停を有利に進めるためには、計画的な交渉と戦略の構築が欠かせません。自分の主張や証拠を整理して、交渉の進め方を計画しておくことが重要です。

また、相手方の主張や立場を予測して、対応策を考えておくことも大切です。譲歩する点と譲れない点を明確にすることで、有利な条件を引き出しましょう。

お互いの優先順位を把握する

調停を有利に進めるためには、相手方の優先順位を把握することが重要です。相手が何を重視しているのかを理解しておくと、交渉で有利な条件を引き出せます。

また、自身の優先順位も明確にして、譲れる部分は譲ることで、調停がスムーズに進行する可能性が高まります。双方の優先順位を把握しておくことが重要です。

当方が有利になる証拠や書類の準備

調停を有利に進めるためには、当方が有利になる証拠や書類を事前に準備しておくことが重要です。

調停では、主張を裏付ける証拠が求められることが多いです。必要な書類や証拠をあらかじめ用意しておくと調停委員や相手方に説得力のある主張ができます。

譲れる部分は譲る

調停を有利に進めるためには、譲れる点は譲って、譲れない部分に集中することが重要です。すべての要求を通そうとすると、調停が長引く可能性があります。

譲れる部分は柔軟に対応して、譲れない部分はしっかりと主張することで、調停委員や相手方に対して誠実な姿勢を示しましょう。

また、譲歩することで相手方からも譲歩を引き出しやすくなり、調停が円滑に進む可能性が高まります。

冷静かつ客観的な視点の保持

調停を有利に進めるためには、冷静かつ客観的な視点が重要です。感情的にならず冷静に自分の意見を伝えて、調停委員や相手方からの信頼を得ましょう。

また、客観的な視点を持つことで、相手方の主張や立場を理解しやすくなり、調停がスムーズに進行する可能性が高まります。

遺産分割調停後の手続きと注意点

合意内容の公正証書化の重要性

遺産分割調停が成立した後、合意内容を公正証書にすることは非常に重要です。公正証書は法的効力が強く、後々のトラブルを防ぐための有力な証拠となります。

公正証書化によって合意内容が明確に記録されて、相続人同士の誤解や争いを避けることができます。また、公正証書は裁判所の判決と同等の効力を持つため、強制執行が容易になります。

調停後の円滑な執行に向けた手続き

調停が成立した後は、合意内容を円滑に執行するための手続きが必要です。まず、調停調書を基に相続登記を行い、不動産の名義変更を行います。

また、銀行口座の名義変更や保険金の受け取り手続きも必要です。これらの手続きを迅速に行うことで、相続人の間のトラブルを未然に防ぐことができます

不服がある場合の次のステップ

調停の結果に不服がある場合は、家庭裁判所に対して審判を申し立てることができます。審判では、裁判官が遺産分割の方法を決定します。

また、調停が不成立となった場合、自動的に審判手続きに移行します。審判手続きでは、調停で提出された資料や主張が考慮されるため、調停中にしっかりと準備をしておくことが重要です。

相続争いが審判から裁判に移行したら

遺言者の遺言能力が争点になるケースが多い

審判手続きの中で、特定の争点について裁判での解決が必要だと判断された場合、その争点に関しては裁判手続きに移行することがあります。

裁判に移行する争点は、相続人の資格、遺産の範囲、遺言の有効性などです。これらの中では、遺言者の遺言能力が争点になるケースが多いです。

遺言能力鑑定という選択肢

遺言者が認知症で、遺言能力が争点になっている場合は、障害された脳機能と障害された脳部位の整合性が問題になるケースが珍しくありません。

遺言能力の有無を主張するために、各種の神経心理学検査、画像検査、介護保険の認定調査票などの資料を詳細に検討する必要があります。

しかし現実的には、認知症専門医ではない弁護士や司法書士が、これらの資料を読み込んで正確に評価することは困難です。

この問題を解決するツールとして、遺言能力鑑定があります。遺言能力鑑定は、認知症専門医が各種資料を精査して、被相続人の遺言能力の有無を鑑定します。

遺言能力鑑定は費用がかかりますが、訴訟における有力な資料となります。また、遺言書作成時に取得しておくと、遺言能力の証明になるでしょう。

＜参考＞

まとめ

遺産分割調停は家庭裁判所で行われ、相続人が話し合いで遺産の分け方を決める手続きです。調停委員が中立的に介入し、解決策を提案します。

調停は裁判よりも費用や時間が少なく済み、感情的な対立を避けやすいです。調停の目的は相続人間の話し合いで解決を図ることです。

法律用語を理解することも必要で、調停と裁判は決定方法が異なります。遺産分割調停中に無断で欠席や感情的な発言は避けましょう。

誠実なコミュニケーションが重要で、調停委員の共感を得ることが大切です。調停後は合意内容を公正証書化することが重要です。

審判から裁判に移行する事案では、遺言者の遺言能力が争点になるケースが多いです。遺言能力の評価には、専門医による遺言能力鑑定が有力な資料となります。

遺言能力でお困りの事案があれば、お問合せフォームからご連絡下さい。

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この記事を書いた人

濱口裕之
HIROYUKI HAMAGUCHI

メディカルコンサルティング合同会社
代表医師

1996年　京都府立医科大学医学部卒業

・医学博士
・日本整形外科学会専門医
・日本整形外科学会脊椎脊髄病医
・日本リウマチ学会専門医
・日本リハビリテーション医学会認定臨床医
・日本股関節学会会員

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