まだら認知症をご存じでしょうか。まだら認知症とは、文字通り、認知症の症状が「まだら」な認知症です。
まだら認知症は血管性認知症の一種で、脳梗塞や脳出血に合併しやすいです。このため、決して珍しい認知症ではありません。
まだら認知症は、全般的に脳機能が低下するわけではないので周囲に気付かれにくく、また相続の際にトラブルになりやすいです。
本記事は、まだら認知症の特徴と、相続時にトラブルになりやすい理由を知るヒントとなるように作成しています。
最終更新日: 2024/9/28
Table of Contents
まだら認知症とは
まだら認知症の基本知識
まだら認知症は、1日のうちで症状に波があったり、できることとできないことの差が大きいことを特徴とする認知症です。
具体的には、午前中はできるのに夜になるとできない、専門分野の話はできるが朝食を食べたことを忘れているなどです。
まだら認知症は脳血管性認知症の一種で、血管障害が起きた部位の脳機能が選択的に低下するため、症状にムラが生じます。
アルツハイマー型認知症のように全般的ではなく、まだらに脳の機能が低下するため、周囲から認知症と気付かれにくい特徴があります。
まだら認知症の原因
まだら認知症は、脳組織に血液が届かなくなったために脳機能が低下して発症するケースが多いです。脳組織に血液が届かなくなる原因として、小さな脳梗塞や脳出血が原因となります。
まだら認知症の症状
まだら認知症では、文字通り認知症の症状がまだらに現れます。脳血管性認知症で見られやすい症状で、具体的には以下のような特徴があります。
- 物忘れが激しいのに理解力はある
- タイミングによって同じことができる時とできない時がある
まだら認知症の診断方法
まだら認知症は、血管性認知症の一種なので、CT検査やMRI検査などの画像検査が診断に有用です。画像検査で、脳梗塞や脳出血が見つかって「まだら認知症」と診断されることが多いです。
まだら認知症とアルツハイマー型認知症の違い
まだら認知症の特徴は、物忘れなどの記銘力(新しいことを覚えられない)低下が目立ちますが、判断力や専門知識はしっかりしています。
一方、アルツハイマー型認知症では、記銘力、判断力、理解力など、すべての脳機能が低下します。
まだら認知症では、記銘力(物忘れ)の程度がアルツハイマー型よりも軽く、忘れたことへの自覚があります。
まだら認知症の予防方法
まだら認知症を予防する生活習慣
まだら認知症を予防するには、脳梗塞や脳出血を発症させないことが重要です。脳梗塞や脳出血の危険因子は高血圧です。
肥満の人は高血圧になりやすいので、塩分を控えたバランスの良い食生活やストレスをためないことが有効です。
まだら認知症を予防する食事
炭水化物、たんぱく質、脂質、ビタミン、ミネラルをバランスよく摂ることが推奨されています。具体的には、魚、野菜、大豆製品、海藻を使う和食がよいでしょう。
また、魚、野菜、ナッツ類、オリーブオイル、赤ワインを含む地中海風の食事も、まだら認知症の予防に有効だと言われています。
まだら認知症の治療法
残念ながら、まだら認知症に根治療法はありません。しかし、脳血管疾患の予防が、まだら認知症の進行を遅らせます。
特に脳梗塞のリスクである高血圧を抑えることが重要です。高血圧を抑えるには、塩分を控えたバランスの良い食事が有効です。
まだら認知症は相続争いの原因になりやすい
まだら認知症になった人の遺言能力有無は判断が難しい
まだら認知症の特徴は、日時・タイミングによって症状にムラがあることや、判断力・理解力が比較的保たれることです。
また、障害された脳組織の部位によって、症状がまちまちです。このため、まだら認知症になった被相続人(遺言者)に、遺言能力があるのかの判断は難しいです。
遺言能力鑑定という選択肢
まだら認知症では、障害された脳機能と障害された脳部位の整合性が問題になるケースが珍しくありません。
遺言能力の有無を主張するために、各種の神経心理学検査、画像検査、介護保険の認定調査票などの資料を詳細に検討する必要があります。
しかし現実的には、認知症専門医ではない弁護士や司法書士が、これらの資料を読み込んで正確に評価することは困難です。
この問題を解決するツールとして、遺言能力鑑定があります。遺言能力鑑定は、認知症専門医が各種資料を精査して、被相続人の遺言能力の有無を鑑定します。
遺言能力鑑定は費用がかかりますが、訴訟における有力な資料となります。また、遺言書作成時に取得しておくと、遺言能力の証明になるでしょう。
<参考>
まとめ
まだら認知症は、脳血管性認知症の一種です。1日のうちで症状に波があったり、できることとできないことの差が大きいです。
全般的に脳機能が低下するアルツハイマー型認知症と異なり、まだらに脳の機能が低下するため、周囲から認知症と気付かれにくいです。
まだら認知症は、症状にムラがあったり、判断力・理解力が比較的保たれているため、遺言能力があるのかの判断が難しいです。
まだら認知症の被相続人の遺言能力有無を主張する際には、遺言能力鑑定が有効な資料となり得ます。お困りの事案があれば、お問合せフォームからご連絡下さい。
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