認知症の診断書は、どうして必要なのでしょうか。また、どこで認知症の診断書を取得すればよいのでしょうか。
本記事は、認知症の診断書が必要な理由と取得方法を知るヒントとなるように作成しています。
最終更新日: 2024/7/14
Table of Contents
認知症の診断書の主な用途
認知症の診断書が作成される目的は、主に以下に挙げる3つの用途です。
- 運転免許の更新
- 介護保険サービスの利用
- 成年後見制度の利用
運転免許の更新
75歳以上の人は、運転免許更新の際に認知機能検査が実施されます。認知機能検査で認知症の疑いが強いと判断されると、診断書の提出を求められます。
介護保険サービスの利用
認知症対応型共同生活介護(グループホーム)などの介護保険サービスを利用する際には、診断書が必要となるケースがあります。
また、診断書に記載された情報は、医療従事者や介護専門職が適切なケアを提供するための重要な情報源となります。
成年後見制度の利用
成年後見人の申立の際に、本人の意思能力の程度を家庭裁判所に示すのための資料として、医師による診断書が必要です。
成年後見の診断書を作成する医師は、精神科や脳神経内科専門医が望ましいですが、必須ではありません。通常は、かかりつけ医(主治医)が作成するケースが多いです。
診断書に記載される内容
認知症の診断書の種類によって多少異なりますが、診断名、現病歴、現症、重症度、現在の状態などの医学的所見が記載されます。
認知症の診断書の取得法
認知症の診断書は、かかりつけ医が作成するケースが多いですが、専門医療機関の認知症医師が作成することもあります。
認知症の診断には、医師による診察に加えて、神経心理学検査、脳の画像検査などが用いられます。
<参考>
【医師が解説】認知症の画像所見とは?|遺言能力鑑定
【医師が解説】認知症の診断は何科を受診する?|遺言能力鑑定
認知症の診断書が相続に与える影響
診断書は認知症を類推する有力な証拠
診断名に「認知症」と記載されている診断書は、その時点で認知症があったことを類推する有力な証拠になります。
認知症にも程度があるため、診断書に認知症と記載されているからといって、意思能力や遺言能力が無いとは言えません。
しかし、相続争いが訴訟になった時に、認知症の診断書は、遺言の無効を主張できる重要な証拠となる可能性が高いです。
遺言能力は認知症の診断書だけでは判断できない
一般的に、認知症の診断書は、遺言能力の有無を明らかにする目的で作成されたものではありません。
認知症の診断書は、訴訟における有力な証拠の1つですが、これだけで遺言の有効性が決まるわけではありません。
遺言の有効性は、遺言時における被相続人(遺言者)の遺言能力の有無で決まります。遺言能力の有無は、以下の基準で判断されます。
- 精神医学的な評価
- 遺言内容
- 被相続人(遺言者)と相続人の人間関係
- 遺言と同じ内容を記した別資料
<参考>
【医師が解説】相続で認知症の程度はどこまで有効?|遺言能力鑑定
遺言能力鑑定という選択肢
被相続人の遺言能力の有無を証明する有力な資料に遺言能力鑑定があります。遺言能力鑑定は、認知症専門医が各種資料を精査して、被相続人の遺言能力の有無を鑑定します。
遺言能力鑑定は費用がかかりますが、訴訟における有力な資料となります。また、遺言書作成時に取得しておくと、遺言能力の証明になるでしょう。
<参考>
まとめ
認知症の診断書は、主に以下の3つの目的で作成されます。
- 運転免許の更新
- 介護保険サービスの利用
- 成年後見制度の利用
認知症の診断書は、かかりつけ医が作成するケースが多いですが、専門医療機関の認知症専門医が作成することもあります。
診断書は認知症の存在を類推する強力な証拠ですが、遺言能力の有無は、認知症の診断書だけでは分かりません。
遺言能力の有無を客観的に主張するためには、遺言能力鑑定が有効な手段となり得ます。お困りの事案があれば、お問合せフォームからご連絡下さい。
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