交通事故に遭った直後は、外傷の有無に意識が集中しがちですが、見た目では分かりにくい「脳の症状」こそ、注意が必要です。
事故の衝撃によって脳にダメージを受けると、すぐに症状が現れるとは限らず、数日から数週間経ってから現れるケースも少なくありません。
頭痛やめまい、記憶力の低下、感情のコントロールができなくなるといった変化は、脳の損傷によるサインかもしれません。
本記事では、交通事故後に見られる脳の症状の種類や特徴、そして後遺障害認定に関わるポイントまで詳しく解説します。
自分や大切な人の異変に早く気づくためにも、ぜひ最後までお読みください。
最終更新日: 2025/4/13
Table of Contents
交通事故で発生する脳の症状
頭痛やめまい
頭部への衝撃後、持続的な頭痛やめまいが生じることがあります。これらの症状は脳の損傷や内出血によるもので、放置すると悪化する可能性があります。早期の医療機関受診が重要です。
運動障害と感覚障害
脳の損傷部位によっては、半身の麻痺やしびれ、筋力低下などの運動障害が現れることがあります。また、感覚が鈍くなる、痛みを感じにくくなるといった感覚障害も見られます。
記憶障害
新しい情報を覚えられない前向性健忘や、過去の出来事を思い出せない逆向性健忘が発生することがあります。
注意障害
集中力の低下や、複数の作業を同時に行うことが困難になるなどの注意障害が現れるケースがあります。注意障害により、仕事や学業においてミスが増える可能性があります。
遂行機能障害
計画を立てて物事を実行する能力が損なわれて、段取りを組む、問題解決をする、柔軟に対応するといったことが難しくなります。その結果、日常生活や職場での適応が難しくなる可能性があります。
社会的行動障害
感情のコントロールが難しくなり、衝動的な行動や不適切な言動が増えることがあります。対人関係や社会生活において問題が生じる可能性があります。
言語障害(失語)
言葉が出にくい、理解しづらいといった言語障害が発生することがあります。コミュニケーションが困難になり、日常生活に支障をきたす可能性があります。
行動障害(失行)
道具の使い方がわからなくなる、日常的な動作ができなくなるなどの行動障害が現れることがあり、生活の質が大きく低下する可能性があります。
これらの症状は、事故直後に現れる場合もあれば、時間が経過してから顕在化することもあります。早期発見と適切な対応が、回復への鍵となります。
交通事故で脳に後遺症を残すかもしれない傷病は?
交通事故で脳に後遺症を残す可能性のある傷病には、以下のようなものがあります。
- 脳挫傷
- びまん性軸索損傷
- 急性硬膜下血腫
- 急性硬膜外血腫
- 脳内出血
- クモ膜下出血
- 頭蓋骨骨折(脳組織損傷を伴う場合)
- 脳梗塞(外傷による血管損傷など)
- MTBI(軽度外傷性脳損傷)
各傷病について、詳細に知りたい方は、以下の弊社コラム記事を参照いただければ幸いです。
<参考>
- 脳挫傷の後遺症と後遺障害認定ポイント|交通事故の医療鑑定
- びまん性軸索損傷の後遺症と後遺障害認定ポイント|交通事故の医療鑑定
- 急性硬膜下血腫の後遺障害認定ポイント|交通事故の医療鑑定
- 急性硬膜外血腫の後遺症と後遺障害認定ポイント|交通事故の医療鑑定
- 脳出血の後遺症と後遺障害認定ポイント|交通事故の医療鑑定
- 外傷性くも膜下出血の後遺症と後遺障害認定ポイント|交通事故の医療鑑定
- 頭蓋骨骨折の後遺症と後遺障害認定ポイント|交通事故の医療鑑定
- 外傷性脳梗塞は交通事故との因果関係が問題になる|後遺障害の医療鑑定
- MTBIの後遺症と後遺障害認定ポイント|交通事故の医療鑑定
交通事故による脳症状の後遺障害等級
交通事故で受傷した脳の症状は、自賠責保険から後遺障害に認定される可能性があります。後遺障害等級の詳細は、こちらのコラム記事を参照してください。
脳症状の後遺障害認定ポイント【弁護士必見】
交通事故で受傷した脳症状の後遺障害認定ポイントは、原因となる後遺障害や傷病毎に異なります。以下のそれぞれのコラム記事を参照いただければ幸いです。
交通事故で発症した脳後遺症の後遺障害認定でお困りの事案があれば、こちらからお問い合わせください。
交通事故による脳症状の後遺障害認定で弊社ができること
弁護士の方へ
弊社では、交通事故で受傷した脳症状が、後遺障害に等級認定されるために、さまざまなサービスを提供しております。
等級スクリーニング
現在の状況で、後遺障害に認定されるために足りない要素を、後遺障害認定基準および医学的観点から、レポート形式でご報告するサービスです。
等級スクリーニングは、年間1000事案の圧倒的なデータ量をベースにしています。また、整形外科や脳神経外科以外のマイナー科も実施可能です。
等級スクリーニングの有用性を実感いただくために、初回事務所様は、無料で等級スクリーニングを承っております。こちらからお気軽にご相談下さい。
<参考>
【等級スクリーニング】後遺障害認定と対策を精査|医療鑑定
医師意見書
医師意見書では、診療録、画像検査、各種検査、後遺障害診断書などの事故関連資料をベースにして、総合的に後遺障害の蓋然性を主張します。
医師意見書は、後遺障害認定基準に精通した各科の専門医が作成します。医学意見書を作成する前に検討項目を共有して、クライアントと医学意見書の内容を擦り合わせます。
医学意見書では、必要に応じて医学文献を添付して、論理構成を補強します。弊社では、2名以上の専門医によるダブルチェックを行うことで、医学意見書の質を担保しています。
弊社は1000例を優に超える医師意見書を作成しており、多数の後遺障害認定事例を獲得しています。是非、弊社が作成した医師意見書の品質をお確かめください。
<参考>
交通事故の医師意見書が後遺障害認定で効果的な理由|異議申し立て
画像鑑定報告書
交通事故で残った後遺症が、後遺障害で非該当になったら異議申し立てせざるを得ません。その際に強い味方になるのが画像鑑定報告書です。
画像鑑定報告書では、レントゲン、CT、MRIなどの各種画像検査や資料を精査したうえで、後遺障害診断書に記載されている症状との関連性を報告します。
画像鑑定報告書は、画像所見の有無が後遺障害認定に直結する事案では、大きな効果を発揮します。
弊社では事案の分析から医師意見書の作成、画像鑑定にいたるまで、社内の管理医師が一貫して取り組むことで、クライアント利益の最大化を図っています。
<参考>
【画像鑑定】交通事故の後遺障害認定で効果的な理由|異議申し立て
交通事故による脳症状の後遺障害認定でお悩みの被害者の方へ
弊社サービスのご利用をご希望であれば、現在ご担当いただいている弁護士を通してご依頼いただけますと幸いです。
また、弊社では交通事故業務に精通している全国の弁護士を紹介することができます。
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交通事故後の脳症状が後遺障害認定されると損害賠償金を請求できる
交通事故による脳の症状が、後遺障害に認定されると、後遺障害慰謝料と後遺障害逸失利益を請求できます。
交通事故による脳の症状の後遺障害慰謝料とは
交通事故による脳の後遺症が残った精神的苦痛に対する補償金です。後遺障害慰謝料は、下の表のように後遺障害等級によって異なります。
後遺障害等級 | 後遺障害慰謝料 |
1級 | 2800万円 |
2級 | 2370万円 |
3級 | 1990万円 |
4級 | 1670万円 |
5級 | 1400万円 |
6級 | 1180万円 |
7級 | 1000万円 |
8級 | 830万円 |
9級 | 690万円 |
10級 | 550万円 |
11級 | 420万円 |
12級 | 290万円 |
13級 | 180万円 |
14級 | 110万円 |
交通事故による脳症状の後遺障害慰謝料の相場は?
交通事故による脳の症状の後遺障害慰謝料は、後遺障害等級によって異なります。例えば、9級の場合は約690万円、7級は約1000万円、5級は約1400万円、3級は約1990万円、2級は約2370万円、1級は約2800万円となります。
また、近親者の慰謝料として数百万円程度が加算されることがあります。さらに、1級や2級の場合には将来の介護費として数千万円から1億円を超える額が認められることがあります。
このように、交通事故による脳の症状の後遺障害慰謝料は等級によって大きく異なり、適切な後遺障害等級を獲得することが重要です。
交通事故による脳症状の後遺障害逸失利益とは
交通事故による脳症状が残ると、労働能力が低下してしまいます。労働能力が低下したために失うであろう収入の不足分に対する補償金です。
後遺障害逸失利益は、交通事故被害者の年収、年齢をベースにして、後遺障害等級に応じた労働能力喪失率と労働能力喪失期間で決まります。後遺障害逸失利益は、以下の計算式で算出されます。
基礎収入×労働能力喪失率×労働能力喪失期間に対するライプニッツ係数
後遺障害逸失利益の相場は?
逸失利益は、後遺障害等級によって異なります。一般的に、後遺障害等級が高いほど逸失利益の金額も高くなります。
例えば、1級の後遺障害の場合、逸失利益は約1億円前後となる可能性があります。一方、9級の場合は約1000万円程度のケースが多いです。
後遺障害逸失利益の金額は、被害者の年収や年齢、労働能力喪失率などによっても大きく変動します。
交通事故の脳症状でよくある質問
脳に衝撃を受けた後遺症は?
交通事故によって脳に衝撃を受けると、さまざまな後遺症が生じる可能性があります。
代表的なものに「高次脳機能障害」があり、これは記憶力や注意力の低下、言語障害、感情のコントロールが困難になるなどの症状を引き起こします。
高次脳機能障害は、日常生活や職場での適応に大きな影響を及ぼす可能性があります。
また、運動障害(麻痺や筋力低下)や感覚障害(しびれ、触覚の低下)も頻繁に見られます。
これらの後遺症は、脳のどの部位がどれだけ損傷したかによって症状や程度が異なり、個人差が大きいのが特徴です。
脳のダメージは回復しますか?
脳にダメージを受けた場合、回復する可能性は「損傷の程度と治療状況による」と言えます。
軽度の脳損傷であれば、適切な治療とリハビリテーションを受けることで、かなりの回復が見込まれます。
特に意識不明の状態が6時間以内であった場合は、回復の可能性が比較的高いとされています。
一方、重度の脳損傷や、長期間の意識障害がある場合は、完全な回復が難しく、永続的な後遺症が残ることもあります。
脳損傷は目に見えづらい分、早期に異変を察知し、専門的な診断とリハビリを受けることが、回復への大きな鍵となります。
まとめ
交通事故で頭を強く打つと、頭痛やめまい、手足のしびれ、話すのがむずかしくなるなど、さまざまな脳のトラブルが起こることがあります。
たとえば、記憶がうまくできなかったり、集中が続かなかったり、感情がコントロールできずに怒りっぽくなることもあります。
これらは「高次脳機能障害」とよばれ、見た目ではわかりにくいですが、日常生活やお仕事に大きな影響を与えることがあります。
症状はすぐに出ることも、時間がたってから現れることもあるので、早めに医師に相談することがとても大切です。
交通事故で受傷した脳症状の後遺障害認定でお困りの事案があれば、こちらからお問い合わせください。
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