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公正証書遺言に不満で無効にしたい場合の対応法|遺言能力鑑定

「公正証書遺言に不満がある」「公正証書遺言を無効にしたい」と思っている方は少なくないかもしれません。

 

しかし、公正証書遺言は信頼度が高いため、公正証書遺言を無効にするのは難しそうですね。しかし実際には、公正証書遺言でも無効になるケースは存在します。

 

本記事は、公正証書遺言に不満があって無効にしたい場合の対応法を知るヒントとなるように作成しています。

 

 

最終更新日: 2024/6/30

 

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公正証書遺言が無効になりにくい理由

 

公正証書遺言は、遺言者と証人2名が公証役場へ行って、公証人が遺言者の本人を確認したうえで、意思確認を行います。

 

そして、遺言者、証人2名、公証人がそれぞれ署名捺印するという厳格な作成手順を踏みます。

 

このため、公正証書遺言は信頼度が高く、自筆証書遺言よりも無効になりにくいと言われています。

 

 

 

 

公正証書遺言が無効になるケースもある!

公正証書遺言は公証人が作成するため、形式的なミスはほとんど存在しません。一方、以下の3つのケースでは、公正証書遺言が無効になる可能性があります。

 

  1. 遺言者に遺言能力が無かった
  2. 遺言者の口授が無かった
  3. 証人が不適格事由に該当する

 

 

1. 遺言者に遺言能力が無い

弊社の経験では、これらのケースで最も多いのは遺言者に遺言能力が無いケースです。遺言能力が有無が争点になっている事案は、本当に多いと感じています。

 

公正証書遺言の無効を主張するためには遺言者に遺言能力が無かったことを証明する必要があります。

 

訴訟では、以下の項目で遺言能力の有無を判断しています(東京地判平成16年7月7日)。

 

  • 精神医学的な評価
  • 遺言内容
  • 遺言者と相続人の人間関係
  • 遺言と同じ内容を記した別資料

 

 

精神医学的な評価

遺言能力には、遺言者の年齢や健康状態が大きな影響を及ぼします。高齢であるほど、病気を患っているほど、遺言能力は低下する傾向にあります。

 

例えば、高齢になると認知症を発症する可能性が高まります。健康状態では、癌の末期などでは正常な遺言能力が無い可能性が高いです。

 

 

遺言内容

遺言の内容に、事実の誤認や矛盾点が無いかなども精査されます。また、前述の精神医学的な状態から、遺言内容が複雑過ぎて理解できない可能性が無いかなども考慮されます。

 

 

遺言者と相続人の人間関係

例えば、単なる知人や疎遠な親族に財産を贈与する遺言などでは、遺言能力が無いことを疑わせます。

 

合理的な判断とみなされない遺言内容のケースでは、遺言能力は無かったと判断される傾向にあります。

 

 

遺言と同じ内容を記した別資料

公正証書遺言とは別に、同じ内容の意向が記された資料があれば、遺言能力が無かったことを主張するのは難しくなります。

 

 

<参考>
【地主と家主】認知症はどんな病気?|遺言能力鑑定

 

 

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2. 遺言者の口授が無かった

遺言者に遺言能力が無いにもかかわらず公正証書遺言が存在するケースでは、遺言者の口授が無かった可能性があります。

 

遺言能力が無いにもかかわらず公正証書遺言が作成される理由は、公正証書遺言の実務では遺言者は首肯するだけだからです。

 

民法969条の規定で、公正証書遺言は「遺言者が遺言の趣旨を公証人に口授する」とされています。

 

しかし、公正証書遺言作成の実務では、公証人があらかじめ遺言内容を書面化して、遺言者に読み聞かせます。

 

このため、極論すると遺言者が首肯するだけで公正証書遺言を作成できます。

 

これを悪用して、遺言能力が無いにもかかわらず、公正証書遺言が作成される例を散見します。

 

 

3. 証人が不適格事由に該当する

公正証書遺言を作成する場合、少なくとも2名の証人が必要です。ただし、次のような人は、証人になれません。

 

  • 未成年者
  • 相続人やその家族
  • 財産を譲り受ける人や家族
  • 公証人の4親等以内の親族
  • 公証役場の職員

 

 

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公正証書遺言を無効にしたい場合の対処法

遺言能力を無効にする資料を集める

遺言能力の有無は、遺言時の各種資料から裁判官が推認します。以下のような資料を収集しておくことが望ましいでしょう。

 

  • 診断書
  • 遺言時の頃に遺言者が記載した文書
  • 遺言時の頃に撮影した遺言者の動画
  • 遺言時の頃の遺言者に関する日記

 

これらの資料によって、遺言者の遺言能力の有無を主張できる可能性があります。

 

 

遺言能力鑑定で公正証書遺言の無効を主張

遺言時に遺言能力が無かったことを証明する資料を収集することで、公正証書遺言の無効を主張できます。

 

しかし、訴訟で公正証書遺言の無効が認められるためには遺言者に遺言能力が無かったことを証明する必要があります。

 

実際には、客観的に遺言者に遺言能力が無かったことを証明するのは極めて難しいです。

 

客観的に遺言者に遺言能力が無かったことを証明する数少ない手段のひとつに、遺言能力鑑定があります。

 

遺言能力鑑定では、認知症専門医が各種資料を精査して、遺言書を書いた人の遺言能力の有無を鑑定します。

 

遺言能力鑑定は費用がかかるデメリットがありますが、訴訟の際には遺言能力が無かったことを証明する有力な資料となります。

 

弊社では、脳神経内科や脳神経外科の認知症専門医が遺言能力鑑定を実施しており、常時10例近い事案が同時進行しています。

 

業界屈指の豊富な事案数に裏付けられた弊社の遺言能力鑑定の品質をご確認ください。

 

 

<参考>

 

 

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まとめ

 

公正証書遺言は、厳格な作成手順を踏むため信頼度が高く、自筆証書遺言よりも無効になりにくいです。

 

しかし、以下の3つのケースでは、公正証書遺言が無効になる可能性があります。

 

  1. 遺言者に遺言能力が無かった
  2. 遺言者の口授が無かった
  3. 証人が不適格事由に該当する

 

特に、1.遺言者に遺言能力が無いケースが多く、訴訟では公正証書遺言作成時に遺言能力が有ったのかが争点になりやすいです。

 

遺言能力の欠如を客観的に主張するためには、遺言能力鑑定が有効な手段となり得ます。お困りの事案があれば、お問合せフォームからご連絡下さい。

 

 

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