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2023.3.21

遺言能力鑑定

認知症の親に遺言を書かせるのは有効か?|遺言能力鑑定

認知症の親に遺言を書かせるのは有効なのでしょうか?親の認知症が進行すると、遺言能力を喪失する可能性があります。このため、親の認知症が進行する前に、遺言書を作成することが推奨されます。

 

しかし、親の認知症が進行していることに気付いてから、遺言書の必要性に気付くことも珍しくありません。

 

本記事は、認知症の親に遺言を書かせるのは有効なのかを理解するヒントとなるように作成しています。

 

 

最終更新日: 2024/9/18

 

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遺言書を書く際に必要な意思能力と遺言能力

意思能力とは

意思表示を有効に実行するためには、自分の権利、義務、そして結果を判断する能力が必要です。これらの判断能力を意思能力と言います。

 

 

遺言能力とは

日常生活で行う意思表示と比べて、遺言書を書く際には、より高いレベルの判断能力が必要です。

 

意思能力の中でも、遺言書を書くレベルの高い能力は、遺言能力と呼ばれています。

 

 

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認知症の親に遺言を書かせるのは有効か?

ある程度の認知症なら遺言書作成は可能

法律上、遺言書を作成するためには遺言能力が必要です(民法963条)。一方、認知症があるからといって、遺言能力が無いわけではありません。

 

もちろん、親が高度の認知症を患っていて遺言能力の無い場合には、いくら遺言書を作成しても無効です。

 

しかし、認知症にも軽重があり、低下している能力にも大きな個人差があります。遺言能力を欠くほどの認知症でなければ、有効な遺言書を書くことは可能です。

 

 

遺言能力を有しているかの確認が必要

認知症の程度や症状を総合的に検討して、親に遺言能力があるのかを判断します。そして、遺言能力がある場合には、有効な遺言書を書くことが可能です。

 

 

 

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認知症でも公正証書遺言を作成できるのか

公正証書遺言では公証人に遺言を口授する必要がある

公正証書遺言は「遺言者が遺言の趣旨を公証人に口授する」とされています(民法969条)。しかし、公正証書遺言作成の実務では、公証人が遺言内容を書面にして、親などの遺言者に読み聞かせます。

 

 

遺言者が首肯するだけで公正証書遺言の作成が可能

実務では、親などの遺言者は、自分で遺言書を作成する必要がありません。遺言者は首肯するだけで、公証人が公正証書遺言を作成するのです。

 

 

遺言能力が無いのに公正証書遺言が作成される理由

前述のように、実際には遺言者は首肯するだけで、公証人が公正証書遺言を作成するケースが多いです。遺言能力が無いのに、公正証書遺言が作成されるのです。

 

 

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公正証書遺言の無効を主張する方法

遺言者に遺言能力が無かったことを証明する

公正証書遺言は信頼度が高いため、無効とされる可能性は高くないです。しかし、無効とされるケースも全くのゼロではありません。

 

公正証書遺言の無効を主張するためには、遺言者に遺言能力が無かったことを証明する必要があります。

 

 

遺言能力の有無の判断には遺言能力鑑定が必要

客観的に、親などの遺言者に遺言能力が無かったことを証明するのはとても難しいです。そんな中で、遺言能力鑑定は遺言者に遺言能力が無かったことを証明できる数少ない手段です。

 

 

<参考>

 

 

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遺言能力鑑定の必要資料

 

遺言者の没後であっても、下記のような資料があれば遺言能力鑑定は対応可能です。

 

  • 診断書(介護保険の主治医意見書を含む)
  • 診療録(カルテ)
  • 介護保険の認定調査票
  • 画像検査
  • 各種の検査結果
  • 看護記録
  • 介護記録

 

 

すべて揃っていることが望ましいですが、足りない資料があっても遺言能力鑑定できる可能性はあります。

 

これらの資料の受け渡しは、オンラインストレージもしくは郵送となります。安全性や利便性からオンラインストレージの利用を推奨しています。

 

ご依頼いただいた際に、オンラインストレージの使用方法を簡単にご説明させていただきます。

 

 

遺言能力鑑定作成の流れ

事前審査が必須

まず、事前審査(生前:36,000円+税、没後:95,000円+税)を実施した上で、本鑑定に進むか否かを検討していただきます。

 

  1. 弊社による簡易な資料確認結果のご連絡、および事前審査に関する見積書の送付
  2. お見積りにご承諾いただいた段階で、正式に事前審査を開始
  3. 事前審査が完了後、ご請求書の送付
  4. ご入金確認後、事前審査結果のご提出(電子データ)

 

事前審査を必須とする理由は、おおまかな遺言能力の有無を確認したうえで本鑑定に進む方が、クライアントの利益に適うからです。

 

 

本鑑定(遺言能力鑑定)

事前審査の結果を踏まえて遺言能力鑑定(本鑑定)に進む場合には、以下の流れになります。

 

  1. 弊社より見積書を送付
  2. お見積りをご承諾いただいた段階で、正式に遺言能力鑑定を開始
  3. 遺言能力鑑定案完成後、電子データにてご確認いただき、修正点があれば調整
  4. 遺言能力鑑定の最終稿が完成した段階で、ご請求書の送付
  5. ご入金確認後、レターパックにて医師の署名・捺印入り原本の発送

 

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遺言能力鑑定の作成にかかる期間

 

遺言能力鑑定を作成する期間は、お見積りをご了承いただいた時点から初稿提出まで約4週間です。

 

 

遺言能力鑑定の料金

生前鑑定

事前審査:36,000円+税
本鑑定 :400,000円+税

 

 

没後鑑定

事前審査:95,000円+税
本鑑定 :350,000円+税

 

 

  • 本鑑定とは別途で、事前審査(生前:36,000円+税、没後:95,000円+税)が必須です。
  • 本鑑定に進まない場合にも、事前審査費用の返金は致しかねます。

 

 

 

 

【脳神経内科】公正証書遺言作成時の遺言能力を鑑定

事案サマリー

  • 80歳台前半
  • 男性

 

平成29年に公正証書遺言書を作成しました。しかし、当時すでに遺言者はアルツハイマー型認知症が進行しており、神経内科で治療中でした。

 

相続人Cは、公正証書遺言の有効性について提訴して一審勝訴、控訴審係属中に弊社に遺言能力鑑定依頼となりました。

 

 

弊社の取り組み

脳神経内科医師が医証を精査したところ、頭部CTでは著明な脳萎縮を認め、脳血流シンチグラフィーでは左頭頂葉と両側後方帯状回に脳血流低下を認めました。

 

診療録や画像検査から、公正証書遺言の作成時に充分な遺言能力を有していたとは到底言えないことが判明しました。

 

公正証書遺言を作成した事実は、被相続人が遺言能力を有している証拠にはならないことの一例です。

 

 

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【消化器内科】癌末期の肝性昏睡患者の遺言能力を鑑定

事案サマリー

  • 60歳台前半
  • 男性

 

平成27年に下行結腸癌、空腸浸潤に対して左半結腸切除術、空腸合併切除、リンパ節郭清を施行しました。多発性の肝転移を認めたため根治は困難とのことで在宅医療を行っていました。

 

しかし病状は少しずつ増悪して、食事摂取や体動が困難となり、平成28年に緩和治療目的で入院しました。多量の鎮痛剤で癌性疼痛のコントロールを行いましたが、徐々に全身状態は衰弱しました。

 

永眠される3日前に、疎遠だった兄弟に財産を贈与するという内容の自筆証書遺言が作成されました。遺言書の内容を不信に思った内縁の妻側の弁護士から、遺言能力鑑定の依頼を受けました。

 

 

弊社の取り組み

消化器内科医師が診療録や画像検査を精査したところ、遺言書の作成時に充分な遺言能力を有していたとは到底言えないことが判明しました。

 

 

CT

 

 

 

まとめ

 

遺言書を書く際には、意思能力と遺言能力が必要です。法律上、遺言書を作成するためには遺言能力が必要ですが、認知症があるからといって遺言能力が無いわけではありません。

 

認知症の親に遺言を書かせるのは有効か否かは、認知症の程度や症状によります。遺言能力があれば、認知症の親に遺言を書かせることは有効でしょう。

 

遺言能力の有無を客観的に主張するためには、遺言能力鑑定が有効な手段となり得ます。お困りの事案があれば、お問合せフォームからご連絡下さい。

 

 

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