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2022.11.26

遺言能力鑑定

【遺言能力鑑定】公正証書遺言に納得いかない|遺言の無効を主張

公正証書遺言に納得いかなくても、相続人が取れる手段は限られています。公正証書遺言の無効を主張することは、数少ない手段のひとつです。

 

本記事は、公正証書遺言に納得いかない時の対応策を知るヒントとなるように作成しています。

 

 

最終更新日: 2024/9/18

 

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公正証書遺言に納得いかない時の3つの対応法

 

公正証書遺言に納得いかない時の3つの対応法には、以下の3つの対応法があります。

 

  1. 公正証書遺言の無効を主張
  2. 相続人と受遺者全員の同意を得て遺産分割協議を行う
  3. 遺留分侵害額請求を行う

 

成功した時の効果が最も高いのは、①公正証書遺言の無効を主張することです。しかし、公正証書遺言は信頼度が高いため、無効判決を得るのは容易ではありません。

 

公正証書遺言の無効判決を得ることが、本コラムの要旨です。詳細な方法論を後述します。

 

相続人間の関係が良好な場合には、②相続人と受遺者全員の同意を得て遺産分割協議を行うことが有効でしょう。

 

しかし現実問題として、相続争いが表面化するケースでは、全員の同意を得ることは難しいです。

 

一方、③遺留分侵害額請求は、不公平な遺言では遺留分が侵害されている可能性は高いです。

 

しかし、遺留分のみでは、相続人に納得感が無いでしょう。遺留分侵害額請求だけでは根本的な解決にはならないのが難点です。

 

 

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公正証書遺言の無効を主張する方法

遺言者に遺言能力が無かったことを証明

公正証書遺言の無効を主張するためには、遺言者に遺言能力が無かったことを証明する必要があります。しかし、客観的に遺言者に遺言能力が無かったことを証明するのは難しいです。

 

遺言能力鑑定は、客観的に遺言者に遺言能力が無かったことを証明する数少ない手段のひとつです。

 

 

遺言者が遺言内容を口頭で伝えていなかったことを証明

民法969条の規定で、公正証書遺言は「遺言者が遺言の趣旨を公証人に口授する」とされています。

 

一方、実務では、公証人があらかじめ遺言内容を書面化して、遺言者に読み聞かせます。その結果、遺言者が首肯するだけで公正証書遺言を作成できます。

 

この方法を用いて、遺言能力の無い遺言者であるにもかかわらず、公正証書遺言が作成される例を散見します。

 

遺言能力鑑定は、遺言者が遺言内容を口頭で伝える能力が無かったことを証明する手段のひとつです。

 

 

<参考>
【遺言能力鑑定】意思能力の有無を専門医が証明|相続争い
【地主と家主】認知症はどんな病気?|遺言能力鑑定

 

 

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遺言能力が無いことの判断基準

 
遺言能力の判断基準は、それぞれの事案によって異なります。

 

裁判では「総合的に見て、遺言の時点で遺言事項を判断する能力があったか否かによって判断すべき(東京地判平成16年7月7日)」という判例があります。

 

総合的に判断すると言われても、漠然として分かりにくいですね。過去の裁判例では、下記のような点で遺言能力の有無を判断しています。
 

  • 精神医学的な評価
  • 遺言内容
  • 遺言者と相続人の人間関係
  • 遺言と同じ内容を記した別資料

 
そろぞれの項目について、詳しく見ていきましょう。

 

 

精神医学的な評価

遺言能力(意思能力)には、遺言時における遺言者の年齢や健康状態が大きな影響を及ぼします。

 

一般的には認知症の進行が問題になりますが、それ以外にも癌の末期などでも、正常な遺言能力が無い可能性があります。

 

 

遺言内容

遺言の内容に、事実の誤認や矛盾点が無いかなども精査されます。また、遺言者の精神医学的な状態に照らし合わせて、遺言内容が複雑過ぎないかなども考慮されます。

 

 

遺言者と相続人の人間関係

遺言能力が無いことを疑わせる例として、単なる知人や疎遠な親族に財産を贈与する遺言が挙げられます。

 

常識的に考えて、合理的な判断とみなされない遺言内容では、遺言能力は無かったと判断される傾向にあります。

 

 

遺言と同じ内容を記した別資料

遺言者の意向が遺言とは別の資料にもあれば、遺言能力は認められやすいです。

 

 

 

 

遺言能力を無効にするための資料

 

遺言能力の有無は、遺言時の各種資料から裁判官が推認します。下記のような資料を収集しておくことが望ましいでしょう。
 

  • 診断書
  • 遺言時の頃に遺言者が記載した文書
  • 遺言時の頃に撮影した遺言者の動画
  • 遺言時の頃の遺言者に関する日記

 
これらの資料によって、遺言者の遺言能力の有無を確認できる可能性があります。

 

 

遺言能力鑑定という選択肢

 

遺言時に遺言能力が無かったことを証明する資料を収集することで、公正証書遺言の無効を主張できます。

 

しかし、最も客観的と思われる精神医学的な評価に関しては、片手落ちと言わざるを得ません。弊社に相談された事案の中にも、公正証書遺言の客観性に疑問符の付くケースが多数存在します。

 

このような事案では、公正証書遺言作成時に遺言能力が無かったことを、遺言能力鑑定で主張可能なケースも少なくありません。

 

 

<参考>
【弊社ホームページ】遺言能力鑑定 特設サイト

 

 

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遺言能力鑑定に必要な資料

 

遺言者の没後であっても、下記のような資料があれば遺言能力鑑定は対応可能です。

 

  • 診断書(介護保険の主治医意見書を含む)
  • 診療録(カルテ)
  • 介護保険の認定調査票
  • 画像検査
  • 各種の検査結果
  • 看護記録
  • 介護記録

 

 

すべて揃っていることが望ましいですが、足りない資料があっても遺言能力鑑定できる可能性はあります。

 

これらの資料の受け渡しは、オンラインストレージもしくは郵送となります。安全性や利便性からオンラインストレージの利用を推奨しています。

 

ご依頼いただいた際に、オンラインストレージの使用方法を簡単にご説明させていただきます。

 

お困りの事案があれば、お問合せフォームからご連絡下さい。

 

 

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遺言能力鑑定作成の流れ

事前審査が必須

まず、事前審査(生前:36,000円+税、没後:95,000円+税)を実施した上で、本鑑定に進むか否かを検討していただきます。

 

  1. 弊社による簡易な資料確認結果のご連絡、および事前審査に関する見積書の送付
  2. お見積りにご承諾いただいた段階で、正式に事前審査を開始
  3. 事前審査が完了後、ご請求書の送付
  4. ご入金確認後、事前審査結果のご提出(電子データ)

 

事前審査を必須とする理由は、おおまかな遺言能力の有無を確認したうえで本鑑定に進む方が、クライアントの利益に適うからです。

 

 

本鑑定(遺言能力鑑定)

事前審査の結果を踏まえて遺言能力鑑定(本鑑定)に進む場合には、以下の流れになります。

 

  1. 弊社より見積書を送付
  2. お見積りをご承諾いただいた段階で、正式に遺言能力鑑定を開始
  3. 遺言能力鑑定案完成後、電子データにてご確認いただき、修正点があれば調整
  4. 遺言能力鑑定の最終稿が完成した段階で、ご請求書の送付
  5. ご入金確認後、レターパックにて医師の署名・捺印入り原本の発送

 

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遺言能力鑑定の作成にかかる期間

 

遺言能力鑑定を作成する期間は、お見積りをご了承いただいた時点から初稿提出まで約4週間です。

 

 

遺言能力鑑定の料金

生前鑑定

事前審査:36,000円+税
本鑑定 :400,000円+税

 

 

没後鑑定

事前審査:95,000円+税
本鑑定 :350,000円+税

 

 

  • 本鑑定とは別途で、事前審査(生前:36,000円+税、没後:95,000円+税)が必須です。
  • 本鑑定に進まない場合にも、事前審査費用の返金は致しかねます。

 

 

 

 

遺言能力鑑定の実例

【脳神経内科】公正証書遺言作成時の遺言能力を鑑定

  • 80歳台前半
  • 男性

 
平成29年に公正証書遺言書を作成しました。しかし、当時すでに遺言者はアルツハイマー型認知症が進行しており、神経内科で治療中でした。

 

相続人Cは、公正証書遺言の有効性について提訴して一審勝訴、控訴審係属中に弊社に遺言能力鑑定依頼となりました。

 

脳神経内科医師が医証を精査したところ、頭部CTでは著明な脳萎縮を認め、脳血流シンチグラフィーでは左頭頂葉と両側後方帯状回に脳血流低下を認めました。

 

診療録や画像検査から、公正証書遺言の作成時に充分な遺言能力を有していたとは到底言えないことが判明しました。

 

公正証書遺言を作成した事実は、被相続人が遺言能力を有している証拠にはならないことの一例です。

 

 

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【消化器内科】癌末期の肝性昏睡患者の遺言能力を鑑定

  • 60歳台前半
  • 男性

 
平成27年に下行結腸癌、空腸浸潤に対して左半結腸切除術、空腸合併切除、リンパ節郭清を施行しました。多発性の肝転移を認めたため根治は困難とのことで在宅医療を行っていました。

 

しかし病状は少しずつ増悪して、食事摂取や体動が困難となり、平成28年に緩和治療目的で入院しました。多量の鎮痛剤で癌性疼痛のコントロールを行いましたが、徐々に全身状態は衰弱しました。

 

永眠される3日前に、疎遠だった兄弟に財産を贈与するという内容の自筆証書遺言が作成されました。遺言書の内容を不信に思った内縁の妻側の弁護士から、遺言能力鑑定の依頼を受けました。

 

消化器内科医師が診療録や画像検査を精査したところ、遺言書の作成時に充分な遺言能力を有していたとは到底言えないことが判明しました。

 

 

CT

 

 

 

まとめ

 

公正証書遺言は信頼度が高いため、遺言内容に納得いかなくても、相続人が取れる手段は限られています。公正証書遺言の無効を主張することは、数少ない対抗手段のひとつです。

 

公正証書遺言の無効を主張するためには、遺言者に遺言能力が無かったことを証明する必要があります。

 

遺言能力の欠如を客観的に主張するためには、遺言能力鑑定が有効な手段となり得ます。お困りの事案があれば、お問合せフォームからご連絡下さい。

 

 

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