交通事故で高次脳機能障害を負ったにもかかわらず、後遺障害に認定されなかったら諦めるしかないのでしょうか。
高次脳機能障害が後遺障害に認定されるには、どうすれば良いのかを知りたい人は少なくないでしょう。
また、交通事故後に体や心の変化を感じて、高次脳機能障害かもしれないと考えている被害者の御家族もいらっしゃると思います。
本記事は、高次脳機能障害が後遺障害に認定される条件や、認定されなかった場合の対処法について詳しく説明しています。
最終更新日: 2026/2/13
Table of Contents
高次脳機能障害の後遺障害認定基準とは
高次脳機能障害が後遺障害に認定される基準は、以下のように大きく分けて5つあります。それぞれの概要を順番に説明していきます。
画像検査の異常所見
CTやMRI検査で、脳実質の異常所見が無ければ、高次脳機能障害に認定されません。脳挫傷では、急性期から有意な画像所見が認められます。
一方、びまん性軸索損傷では症状が重いのに急性期の所見に乏しく、慢性期になって初めて、脳萎縮を指摘できるケースも珍しくありません。
くも膜下出血は、急性期には派手な所見がありますが、慢性期には異常所見が消失するケースが多いです。
<参考>
- 脳挫傷の後遺症と後遺障害認定ポイント|交通事故の医療鑑定
- 急性硬膜下血腫の後遺症と後遺障害認定ポイント|交通事故の医療鑑定
- 脳出血の後遺症と後遺障害認定ポイント|交通事故の医療鑑定
- びまん性軸索損傷の後遺症と後遺障害認定ポイント|交通事故の医療鑑定
頭部外傷後の意識障害についての所見
高次脳機能障害を負うほどの重度の頭部外傷では、受傷時に意識障害を起こすと考えられています。
このため、自賠責保険で高次脳機能障害に認定されるためには、受傷時の意識障害が極めて重要です。
受傷時の意識障害の程度と持続期間は、主治医が作成する「頭部外傷後の意識障害についての所見」という医証で判断されます。
<参考>
頭部外傷後の意識障害についての所見|高次脳機能障害の後遺障害
頭部外傷の傷病名
高次脳機能障害に認定されるためには、脳挫傷、びまん性軸索損傷、急性硬膜下血腫などの頭部外傷の傷病名が必須です。

4. 神経心理学的検査
前述の3つの項目をすべて満たしていると、12級以上の高次脳機能障害に認定されます。
高次脳機能障害に認定されたら、次のステップは、どの後遺障害等級に該当するのかの審査に移ります。
高次脳機能障害の等級は、主に神経心理学的検査、神経系統の障害に関する医学的意見、日常生活状況報告書の3つの資料で審査されます。
神経心理学的検査とは、高次脳機能障害の症状である、認知障害、注意障害、人格変化、遂行機能障害を客観的に評価するための検査です。
<参考>
神経心理学的検査は高次脳機能障害の等級認定ポイント|後遺障害
神経系統の障害に関する医学的意見
「神経系統の障害に関する医学的意見」は、高次脳機能障害を正しく評価するために、医師が作成する特別な診断書です。
これは、後遺障害の認定に必要な医証です。通常の後遺障害診断書とは違い、この医証は高次脳機能障害に特化しています。
<参考>
神経系統の障害に関する医学的意見|高次脳機能障害の後遺障害
日常生活状況報告書
「日常生活状況報告書」は、交通事故で高次脳機能障害が残った方が、普段どのような生活をしているかを自賠責保険に伝えるための書類です。
高次脳機能障害を持つ方は、自分の症状を理解しにくいため、家族や親しい人が代わりに報告書を作成する必要があります。
自賠責保険の後遺障害審査は書類で判断されるため、被害者の障害について詳しく書くことが大切です。
後遺障害等級を左右する書類なので、経験豊富な弁護士や、後遺障害認定基準を熟知した脳神経科専門医のサポートを推奨します。
<参考>
日常生活状況報告の書き方とポイント|高次脳機能障害の後遺障害
高次脳機能障害の認定が難しい理由
高次脳機能障害は、症状が周囲に認識されにくいことや、原因と症状の関連性がはっきりしないことがあり、診断が難しいケースがあります。
また、自賠責保険の後遺障害認定は書類審査なので、いろいろな症状がある高次脳機能障害では、正確な等級判定が難しいです。
<参考>
【日経メディカル】交通事故後の高次脳機能障害を見逃すな!把握しにくい2つの理由
高次脳機能障害が認定されない原因
症状固定時期の画像検査で異常所見がない
外傷性クモ膜下出血、急性硬膜下血腫などは、急性期に派手な画像所見を認めますが、症状固定期に異常所見が消失している可能性があります。
また、びまん性軸索損傷は、急性期から画像所見に乏しく、症状固定期になってはじめて脳萎縮などの異常所見が出現するケースがあります。
受傷時の意識障害が無いもしくは短い
高次脳機能障害は、頭部に強い外力が加わって脳組織が損傷して発症します。意識障害は、脳組織に大きなダメージが加わった客観的所見です。
このため、受傷時に意識障害が無い、もしくは意識障害の時間が短いと、脳組織に大きな損傷が加わったとみなされにくくなります。
最近では、意識障害の程度が軽い事案でも、他の条件がそろっていれば高次脳機能障害に認定されるケースを散見します。
しかし、原則的には、受傷時の意識障害が重くないと、高次脳機能障害に認定されにくいです。
<参考>
高次脳機能障害の後遺症と後遺障害認定ポイント|交通事故の医療鑑定
高次脳機能障害が認定されるポイント【弁護士必見】
後遺障害認定通知書の確認
高次脳機能障害が後遺障害に認定されなかった場合には、後遺障害認定通知書に記載されている非該当理由を精査する必要があります。
高次脳機能障害の後遺障害認定通知書では、定型的な文章が多いため、審査側の意図を理解するには経験と知識が必要です。
しかし、非該当理由を知らずに異議申し立てしても、結果が覆る可能性は極めて低いのが現実です。
診断書の内容が不十分
高次脳機能障害があっても、以下の医証や書類がきちんと作成されていないと、適正な後遺障害等級に認定されないことがあります。
- 頭部外傷後の意識障害についての所見
- 神経系統の障害に関する医学的意見
- 日常生活状況報告書
後遺障害認定では、画像検査、診断書などを審査します。これらの内容が不十分だと後遺障害に認定されないケースがあります。
また、高次脳機能障害では日常生活状況報告書が重視されます。報告書を提出する前に、弁護士と協議して記載内容を確認することが重要です。
<参考>
高次脳機能障害の後遺症と後遺障害認定ポイント|交通事故の医療鑑定
必要な追加資料の収集法
後遺障害認定通知書で非該当理由が判明すれば、不足している資料を収集する必要があります。
画像所見が無い場合には、症状固定期の脳萎縮の存在を証明しなければなりません。また、画像鑑定報告書が有効となる可能性もあります。
「頭部外傷後の意識障害についての所見」が問題であれば、診療録や看護記録を取り寄せて、意識障害について精査する必要があります。
神経心理学的検査に問題があれば、他の検査を検討する必要があるかもしれません。
後遺障害診断書や「神経系統の障害に関する医学的意見」の記載内容に問題があれば、追記依頼や、追加の診断書を依頼するケースもあります。
<参考>
【画像鑑定】交通事故の後遺障害認定で効果的な理由|異議申し立て
成功事例を参考にする
高次脳機能障害は、他の傷病と比べてやや特殊な領域です。このため、高次脳機能障害に認定された事例を精査することが非常に重要です。
弊社では、全国各地から膨大な数の高次脳機能障害事案の相談を受けています。認定事案も数多く含まれているため、成功事例に事欠きません。
高次脳機能障害が認定されなくてお困りなら、こちらからお問い合わせください。初回の法律事務所様は無料で等級スクリーニング®を承ります。
高次脳機能障害の異議申立てで弊社ができること
弁護士の方へ
弊社では、高次脳機能障害の異議申立てを成功させるために、さまざまなサービスを提供しております。
等級スクリーニング®
現在の状況で、後遺障害に認定されるために足りない要素を、後遺障害認定基準および医学的観点から、レポート形式でご報告するサービスです。
等級スクリーニング®は、年間1000事案の圧倒的データ量をベースにしています。整形外科や脳神経外科以外のマイナー科も実施可能です。
等級スクリーニング®の有用性を実感いただくため、初回事務所様は無料で承っております。こちらからお気軽にご相談下さい。
<参考>
【等級スクリーニング®】後遺障害認定と対策を精査|医療鑑定

医師意見書
医師意見書では、診療録、画像検査、各種検査、後遺障害診断書などの事故関連資料をベースにして、総合的に後遺障害の蓋然性を主張します。
医師意見書は、後遺障害認定基準に精通した専門医が作成します。作成前に検討項目を共有して、クライアントと意見書の内容を擦り合わせます。
必要に応じて医学文献を添付して、論理構成を補強します。弊社では、2名以上の専門医によるダブルチェックで、意見書の質を担保しています。
弊社は、数千におよぶ医師意見書を作成しており、多数の後遺障害認定事例があります。是非、弊社の医師意見書の品質をお確かめください。
<参考>
交通事故の医師意見書が後遺障害認定で効果的な理由|異議申し立て
画像鑑定報告書
事故で残った後遺症が、後遺障害で非該当になったら異議申し立てせざるを得ません。その際に強い味方になるのが画像鑑定報告書です。
画像鑑定報告書では、レントゲン、CT、MRIなどの画像検査や資料を精査して、後遺障害診断書に記載されている症状との関連性を報告します。
画像鑑定報告書は、画像所見の有無が後遺障害認定に直結する事案では、大きな効果を発揮します。
弊社では、事案の分析から画像鑑定にいたるまで、社内の管理医師が一貫して取り組むことで、クライアント利益の最大化を図っています。
<参考>
【画像鑑定】交通事故の後遺障害認定で効果的な理由|異議申し立て
高次脳機能障害が認定されなくてお悩みの被害者の方へ
弊社サービスのご利用をご希望であれば、現在ご担当いただいている弁護士を通してご依頼いただけますと幸いです。
また、弊社では交通事故業務に精通している全国の弁護士を紹介することができます。
もし、後遺障害認定で弁護士紹介を希望される被害者の方がいらっしゃれば、こちらのリンク先からお問い合わせください。
尚、弁護士紹介サービスは、あくまでもボランティアで行っています。このため、電話での弊社への問い合わせは、固くお断りしております。
弊社は、電話代行サービスを利用しているため、お電話いただいても弁護士紹介サービスをご提供できません。ご理解のほどお願いいたします。

高次脳機能障害に認定されないでよくある質問
画像所見がないと認定されませんか?
はい、MRIやCT検査で脳挫傷・びまん性軸索損傷などの客観的所見がないと、認定は厳しくなります。
一方、画像異常が乏しくても、受傷状況・意識障害有無・神経心理学検査結果が整合すれば認定余地はあります。医証の総合評価が重要です。
意識障害がなかったら認定は難しい?
原則として受傷直後の意識障害は重要な判断要素です。JCSやGCSの記録がない、軽微である場合は非該当になりやすいです。
ただし、カルテ記載や救急搬送記録などから意識混濁が推認できれば補強材料になります。
神経心理学検査で異常が軽いと否定されますか?
WAISやWMSなどで有意な低下が示されないと、9級以上の後遺障害認定は困難になりやすいです。
日常生活が送れていると認定されませんか?
就労継続や自立生活が可能な場合、「著しい障害」とは評価されにくい傾向があります。
ただし職場でのミス増加や対人トラブルなど具体的支障があれば、等級判断に影響します。生活実態の詳細な立証が鍵です。
事故との因果関係が否定されるのはなぜ?
軽微事故、低衝撃、外傷所見が乏しい場合、脳損傷発生の医学的合理性が疑問視されます。
受傷機転の具体性、頭部打撲の有無、搬送経緯などを整理して、医学的説明を補強する必要があります。
うつ病など精神疾患と区別されるのですか?
注意力低下や意欲低下が心因性と判断されることがあります。器質性障害を示す画像・検査所見が不十分だと精神障害と混同されやすいです。
医師が診断書を書いていても否定されますか?
医師の診断書があっても、後遺障害認定基準に沿った具体的記載でなければ、適正な後遺障害等級は認定されません。
事故から時間が経って受診すると不利ですか?
初診が遅れると、事故直後から症状があったか疑問視されます。連続した診療記録がない場合も不利です。
家族の証言だけでは認定されませんか?
家族陳述は補助資料として重要ですが、医学的客観資料に比べ証明力は限定的です。検査結果と組み合わせることで説得力が増します。
異議申し立てで覆る可能性はありますか?
追加の画像検査や診断書、医師意見書、画像鑑定、日常生活状況報告書を提出できれば、等級変更される可能性はあります。
ただし、単なる再主張では困難です。後遺障害認定基準を満たすための新たな医学的証拠の補強が不可欠です。
まとめ
交通事故で高次脳機能障害を負ったでも、適正な後遺障害に認定されないケースがあります。
その原因は、後遺障害の認定基準を満たしていない場合や、診断書や日常生活状況報告書の内容が不十分なことが多いです。
高次脳機能障害の後遺障害認定には、画像所見、意識障害の有無、神経心理学的検査の結果などが重要です。
また、経験豊富な弁護士への依頼、追加資料の収集、成功事例を参考にすることも有効です。
高次脳機能障害が認定されなくてお困りなら、こちらからお問い合わせください。初回の法律事務所様は無料で等級スクリーニング®を承ります。
関連ページ
資料・サンプルを無料ダウンロード
以下のフォームに入力完了後、資料ダウンロード用ページに移動します。






