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【高次脳機能障害】神経系統の障害に関する医学的意見|交通事故

高次脳機能障害の後遺障害認定では、3つの書類と画像検査で審査されます。3つの書類の中でも最も重要なのは「神経系統の障害に関する医学的意見」という診断書です。

 

本記事は「神経系統の障害に関する医学的意見」を理解することで、高次脳機能障害が後遺障害に認定されるヒントとなるように作成しています。

 

 

最終更新日:2024/4/21

 

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高次脳機能障害の審査で必須の3つの書類

 

高次脳機能障害の後遺障害認定では以下の3つの書類が使われます。

 

  • 頭部外傷後の意識障害についての所見
  • 神経系統の障害に関する医学的意見
  • 日常生活状況報告

 

 

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これらの書類で高次脳機能障害の状況を把握して、後遺障害に該当するか否かが審査されます。

 

3つの書類の中でも「神経系統の障害に関する医学的意見」は、医師の視点から記載されているため最重視されています。

 

 

<参考>
【高次脳機能障害】日常生活状況報告の書き方とポイント|交通事故

 

 

「神経系統の障害に関する医学的意見」とは

 

「神経系統の障害に関する医学的意見」は、高次脳機能障害の病状を客観的に評価するために、医師が作成する診断書の一種です。高次脳機能障害の後遺障害認定で必須の書類です。

 

通常の後遺障害診断書とは異なり、「神経系統の障害に関する医学的意見」は高次脳機能障害に特化しています。

 

 

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「神経系統の障害に関する医学的意見」に記載される8項目

 

「神経系統の障害に関する医学的意見」は以下の8項目に分かれています。

 

 

1.画像(脳MRI、脳CTなど)および脳波

頭部MRI、頭部CT、脳波検査などで認められる脳外傷による異常所見を記載します。

 

受傷時の画像所見はもちろんですが、受傷後3~6ヵ月以降の慢性期の画像所見も重要です。慢性期の画像検査では、脳挫傷痕や脳萎縮を確認します。

 

<参考>
【医師が解説】脳挫傷の後遺症が後遺障害認定されるヒント|交通事故
【日経メディカル】脳挫傷による多様な後遺症を適正に評価するには

 

 

 

nikkei medical

 

 

2.神経心理学検査

課題に対する被験者の反応を得点化する心理検査のうち、高次脳機能障害や認知症の診断と評価に用いられるものを神経心理学的検査といいます。

 

知能、記憶、言語機能、注意力、遂行(前頭葉)機能などの検査結果を、別紙に記載します。

 

<参考>
【医師が解説】神経心理学的検査は高次脳機能障害の等級認定ポイント

 

 

3.運動機能

脳外傷によって発生した麻痺の程度を4段階で評価します。筋力については、各関節のMMTで評価します。

 

脳外傷では、高次脳機能障害だけではなく身体性機能障害(四肢の運動障害)も併せて、総合的に評価されます。

 

<参考>
【医師が解説】徒手筋力検査は後遺症12級認定のポイント|交通事故

 

 

4.身の回り動作能力

日常生活に必要な10項目の動作を、「1.自立」「2.ときどき介助・見守り・声かけ」「3.ほとんどできない/大部分介助」「4.全面的に介助」の4段階で評価します。

 

 

5.てんかん発作の有無

てんかん発作の頻度やタイプ、抗てんかん薬処方の有無を記載します。

 

<参考>
【医師が解説】外傷性てんかんの後遺障害認定ポイント|交通事故

 

 

6.認知・情緒・行動障害

記憶、言語、社会的行動の障害で想定される具体的な21項目について、「1.なし」「2.軽度/稀に」「3.中等度/ときどき」「4.重度/頻回」の4段階で評価します。

 

 

7.上記6.の症状が社会生活・日常生活に与える影響

前述の「6.認知・情緒・行動障害」で、「2.軽度/稀に」以上で評価した項目について、具体的な支障や制約を記載します。

 

 

8.全般的活動および適応状況

被害者の職場での就労状況、家庭や地域社会(学校)などでの適応状況などについて、具体的に記載します。

 

 

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【弁護士必見】神経系統の障害に関する医学的意見についてのポイント

医師へのアプローチが鍵を握る

高次脳機能障害では「神経系統の障害に関する医学的意見について」の各項目を評価して、被害者がどの程度の日常生活や就労が可能かを判断して後遺障害の審査をします。

 

一方、医師は限られた時間しか被害者と会話できません。また普段の生活状況を知る手段があまり無いので、家族からの具体的な情報提供が重要です。

 

しかし、高次脳機能障害の自賠責認定基準を踏まえずに、やみくもに受傷後の変化を医師に伝えても、効果的な「神経系統の障害に関する医学的意見について」は作成されません。

 

したがって、高次脳機能障害の自賠責認定基準を踏まえたうえで、弁護士が「医師に伝えるべき情報」を家族に説明する必要があります。高次脳機能障害の自賠責認定基準については、以下の記事を参照いただければ幸いです。

 

<参考>
【医師が解説】高次脳機能障害が後遺症認定されるポイント|交通事故
【日経メディカル】交通事故における曖昧な高次脳機能障害の定義
【日経メディカル】定量化が難しい交通事故による高次脳機能障害
【日経メディカル】脳挫傷による多様な後遺症を適正に評価するには
【日経メディカル】交通事故後の高次脳機能障害を見逃すな!把握しにくい2つの理由

 

 

 

nikkei medical

 

 

「1.画像(脳MRI、脳CTなど)および脳波」のポイント

受傷時の画像所見はもちろんですが、受傷後3~6ヵ月以降の慢性期の画像所見も重要です。慢性期の画像検査では、脳挫傷痕や脳萎縮を確認します。

 

特に、びまん性軸索損傷の事案では脳萎縮の記載が漏れている例を散見します。びまん性軸索損傷では脳挫傷痕を認めない例が多いので、脳萎縮の有無が後遺障害認定のポイントになります。

 

<参考>
【医師が解説】びまん性軸索損傷が後遺症認定されるヒント|交通事故

 

 

「4.身の回り動作能力」のポイント

この項目は医師が被害者の様子を思い浮かべて記載しますが、完全に日常生活を反映しきれない可能性があります。家族の目から見た身の回り動作能力を医師に伝えるべきでしょう。

 

 

「6.認知・情緒・行動障害」のポイント

「>4.身の回り動作能力」以上に、医師には正確な記載が難しい項目です。家族の目から見た認知・情緒・行動障害を医師に伝えましょう。

 

 

「7.上記6.の症状が社会生活・日常生活に与える影響」のポイント

前述のように、家族が具体的な認知・情緒・行動障害を医師に伝えましょう。

 

 

「8.全般的活動および適応状況」のポイント

こちらの項目も、高次脳機能障害の後遺障害認定基準を踏まえたうえで、家族の目から見た具体的な障害を医師に伝えましょう。

 

 

まとめ

 

高次脳機能障害の後遺障害認定では、3つの書類と画像検査で審査されます。3つの書類の中でも最も重要なのは「神経系統の障害に関する医学的意見」という診断書です。

 

「神経系統の障害に関する医学的意見」では、「1.画像(脳MRI、脳CTなど)および脳波」「4.身の回り動作能力」「6.認知・情緒・行動障害」「>7.上記6.の症状が社会生活・日常生活に与える影響」「8.全般的活動および適応状況」の5つの項目は、医師に対して家族がしっかり状況を伝える必要があります。

 

高次脳機能障害や「神経系統の障害に関する医学的意見について」でお困りの事案があれば、こちらからお問い合わせください。

 

 

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