高次脳機能障害の後遺障害認定審査では、主治医が作成する「頭部外傷後の意識障害についての所見」が極めて重要です。
「頭部外傷後の意識障害についての所見」に記載されている意識障害の程度で、高次脳機能障害が認定されると言っても過言ではありません。
本記事は、「頭部外傷後の意識障害についての所見」のポイントを知ることで、高次脳機能障害が後遺障害認定されるヒントとなるように作成しています。
最終更新日: 2024/5/13
Table of Contents
「頭部外傷後の意識障害についての所見」とは
「頭部外傷後の意識障害についての所見」とは、受傷直後~1ヶ月前後までの意識障害の有無や程度を知るための医証です。
「頭部外傷後の意識障害についての所見」を記載するのは、急性期病院の医師です。医師は診療録の内容を確認したり、当時の状況を思い出して作成します。
「頭部外傷後の意識障害についての所見」が高次脳機能障害の認定に重要な理由
ほとんどの高次脳機能障害の被害者は、受傷時に意識障害があると言われています。このため自賠責保険は、受傷直後の意識障害の有無や程度を精査して、後遺障害認定審査を行います。
高次脳機能障害では、医師が作成する神経系統の障害に関する医学的意見や、被害者の御家族や親族が記載する日常生活状況報告書と同列に扱われています。
<参考>
「頭部外傷後の意識障害についての所見」の注意点
「頭部外傷後の意識障害についての所見」で問題になるのは、特に受傷直後の意識障害の有無や程度です。
多発外傷の場合、救命が最優先されます。救命における最重要課題は、血圧などの循環動態を保つことです。
例えば、腹部外傷による失血で外傷性ショックをきたしている場合、頭部外傷よりも腹部外傷が優先されます。
このため、診療録に意識障害の記載が抜け落ちていたり、研修医などの経験の浅い医師が記載するケースがあります。
経験が浅いとJCSやGCSを充分に理解していない可能性もあり、意識障害が正確に記載されていないケースも存在します。
意識障害の程度や持続時間と高次脳機能障害の程度に整合性が無ければ、主治医に問い合わせる必要があります。
<参考>
【弁護士必見】高次脳機能障害の後遺障害認定ポイント
後遺障害認定で必要な3つの要件
自賠責保険では、高次脳機能障害が後遺障害に認定されるための要件は、以下の3つだと言われています。
- 脳外傷の診断名がついている
- 症状固定時に脳実質損傷の画像所見が存在する
- 受傷直後に意識障害があり、それが一定時間継続している
この3つの要件が全てそろっていると高次脳機能障害が残っていると判断され、次のステップである等級の決定に進みます。
意識障害は必ずしも必要ではない
一般的には、高次脳機能障害が認定されるためには、前述の3つの要件を全て満たす必要があります。
しかし弊社では、意識障害が無かった、もしくは軽度だった事案でも、高次脳機能障害に認定された事案例が蓄積されてきました。
これらの事案の分析結果から、他の2要件が十分に存在すれば、意識障害が無くても高次脳機能障害に認定される可能性はあると考えています。
<参考>
【医師が解説】高次脳機能障害が後遺症認定されるポイント|交通事故
まとめ
「頭部外傷後の意識障害についての所見」とは、受傷直後~1ヶ月前後までの意識障害の有無や程度を知るための医証です。急性期病院の医師が診療録の内容を確認したり、当時の状況を思い出して作成します。
ほとんどの高次脳機能障害の被害者は、受傷時に意識障害があると言われています。このため自賠責保険は、「頭部外傷後の意識障害についての所見」で受傷直後の意識障害の有無や程度を精査します。
高次脳機能障害の後遺障害認定でお困りの事案があれば、こちらからお問い合わせください。
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