認知症の初期症状には、物忘れ、記憶力の低下、判断力の低下などがあります。他にも注意力散漫や人の言葉を理解しづらくなるなどの症状が見られます。
本記事は、初期症状について詳しく解説して、早期発見のためのポイントをお伝えします。認知症の初期症状について知りたい方必見の内容です。
最終更新日: 2024/6/29
Table of Contents
認知症の初期症状とは
認知症は個人差が大きいので人によって異なりますが、主に以下のような初期症状があります。
記憶の問題
身近な人や物の名前を思い出せないだけではなく、最近の出来事も覚えられなくなります。同じことを何度も尋ねたり、言ったりするようになります。
性格の変化
怒りっぽくなったり、以前は社交的だったのに人付き合いが悪くなるなど性格が変化することがあります。身だしなみに無頓着になるケースも多いです。
言語の障害
適切な言葉がとっさに出てこないなどの症状が現れます。
時間や場所の混乱
日付が分からなくなるケースも珍しくありません。認知症が進行すると、季節も分からなくなります。
物事の見落とし
大事なものをなくしたり、置き忘れることが多くなります。また、調理の手順が分からなくなることもあります。
認知症の初期症状の具体例
物忘れの頻度が増す
認知症の初期症状として記憶障害が有名です。具体的には以下のような症状が多いです。
- 数時間前のことを忘れる
- 同じことを何度も繰り返す
- よく忘れ物や紛失をする
- 人や物の名前を忘れる
予定やスケジュールの忘れ
理解力や判断力が低下して、予定やスケジュールを忘れることが多くなります。具体的には以下のような症状です。
- 仕事の段取りが悪くなって時間がかかる
- 以前できていた仕事が正しくできなくなる
言葉の選択や理解に困難を感じる
会話の中で人や物の名前が出なくなったり、テレビ番組の内容や人の話が理解できなくなったりします。
身の回りの整理整頓ができない
季節や状況に合った服装の選択ができなくなったり、食事中に食べ物をこぼすことが増えたりするケースもあります。
性格が変化する
性格が変化して、活動的だった人が抑うつ状態になったり、幻覚、持ち物を盗まれたという妄想が生じることがあります。
<参考>
【医師が解説】認知症のテストと自己チェック法|遺言能力鑑定
認知症の初期症状と他の病気の区別方法
アルツハイマー型認知症が認知症で最も多い
認知症の原因として、アルツハイマー型認知症、血管性認知症、レビー小体型認知症などが挙げられます。認知症で最も多いのは、アルツハイマー型認知症です。
うつ病との違い
うつ病の初期症状として、不眠、食欲低下、体調不良があります。認知症でも同じ症状が出ることがありますが、うつ病と比べると認知症では記憶障害が顕著です。
うつ病でも物忘れや集中力低下が起こりますが、そのことで悩みます。一方、認知症は病識に乏しいため、物忘れを否定するケースが多いです。
普通の老化(物忘れ)との見分け方
認知症は、高齢者によく見られる「物忘れ」とは異なります。物忘れでは朝食で何を食べたかを忘れますが、認知症では朝食を食べたこと自体を忘れてしまいます。
他の脳疾患との比較
認知症の症状をきたす疾患には、アルツハイマー型認知症、血管性認知症、レビー小体型認知症以外にも、以下のような脳疾患があります。
- 特発性正常圧水頭症
- 慢性硬膜下血腫
- 脳腫瘍
- 大脳皮質基底核変性症
- 進行性核上性麻痺
- クロイツフェルト・ヤコブ病
症状だけでアルツハイマー型認知症と見分けることは難しいので、画像検査などで診断する必要があります。
<参考>
【医師が解説】認知症の画像所見とは?|遺言能力鑑定
認知症の初期症状の見逃しやすいポイント
自己評価や自己概念の変化に注意
認知症の初期症状は、注意しないと気付かない程度の変化であるケースも珍しくありません。
自分を卑下して気分が落ち込んだり、以前楽しんでいた活動に興味を失って家に籠るなどの兆候があれば、認知症の初期症状である可能性があります。
身体的な変化の影響も留意
身だしなみが乱れてきたり、食べ物をこぼす量が増えるなど食事が下手になってきたら、認知症の初期症状である可能性を念頭に置きましょう。
人間関係の変化に敏感になる
認知症の初期症状には、話の流れを追いきれなかったり、人や物の名前を思い出せなくてイライラするケースがあります。
このため人間関係が悪くなってしまい、過度に反応してしまうことも珍しくありません。
日常生活の変化を観察
認知症を発症すると、これまで述べたような変化が日常生活で現れます。これらの変化のサインを見逃さないようにしたいものです。
医療機関受診の重要性
認知症の診断技術が進歩したおかげで、初期の段階でも診断が可能になりました。認知症かもしれないと思ったら、迷わず医療機関を受診することが重要です。
認知症の種類によっては、薬や手術で進行を遅らせたり、症状を改善したりすることができます。
早期発見・早期治療は、認知症の進行を遅らせ、患者さんの生活の質を向上させる効果があります。また、家族の負担軽減にもつながります。
認知症の初期症状の改善・予防方法
認知リハビリテーションの実施
認知リハビリテーションとして、計算ドリルやパズルなどに取り組むことや、音楽やガーデニング、創作活動などのレクリエーションも推奨されます。
適度な運動や食生活の改善
認知症を発症するリスクとして、糖尿病や高血圧などの生活習慣病があります。適度な運動やバランスのとれた食生活で糖尿病や高血圧を予防することで、認知症を発症するリスクを低下できます。
社会的なつながりの維持
人と会話したり、趣味の活動を通じて社会との接点を保つことは、認知症の改善・予防方法として有効と言われています。
定期的な健康チェックの受診
認知症を発症させやすい糖尿病や高血圧を治療することは、認知症の改善・予防方法として有効です。定期的な健康チェックのために、医療機関を受診しましょう。
早期の診断と治療の重要性
ここまで説明してきたように、認知症では早期の診断と治療がとても重要です。認知症かもしれないと思ったら、迷わずに医療機関を受診しましょう。
認知症と診断されて相続対策で困ったら
もし、認知症と診断されると、相続対策で困るケースが多いです。深く考えずに資産移転すると、相続争いが発生するかもしれません。
そのような時には、医学的に親の遺言能力が充分にあったのかを鑑定できる遺言能力鑑定が有用です。遺言能力鑑定については、以下のリンクを参考にしてください。
まとめ
認知症の初期症状には、物忘れ、記憶力の低下、判断力の低下などがあります。他にも注意力散漫や人の言葉を理解しづらくなるなどの症状が見られます。
認知症の初期症状の具体例として以下が挙げられます。
- 物忘れの頻度が増す
- 予定やスケジュールの忘れ
- 言葉の選択や理解に困難を感じる
- 身の回りの整理整頓ができない
- 性格が変化する
認知症の初期症状を見逃さないためには、記憶障害以外にも、性格の変化、人間関係の変化、日常生活の変化にも注意する必要があります。
認知症が進行して相続争いになってしまったら、遺言能力の有無を客観的に主張するうえで、遺言能力鑑定が有効な手段となり得ます。お困りの事案があれば、お問合せフォームからご連絡下さい。
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