交通事故に遭い、命は助かったものの「もう以前のように歩けないかもしれない」と告げられたとき、多くの方が大きな不安と戸惑いを抱えます。
日常生活の中で何気なく行っていた「歩く」という動作が困難になったことで、経済的な補償について情報を求めている方も少なくありません。
本記事では、事故の後遺症によって走れない・歩けない状態に陥った場合に、どのような補償制度があるのかを分かりやすく解説しています。
適切な支援を受けて、前向きに今後を考えるための第一歩として、ぜひご一読ください。
最終更新日: 2025/4/16
Table of Contents
事故の後遺症で走れない、歩けない時はどうすればよい?
自賠責保険から後遺障害認定を受ける
交通事故で走れなくなったり、歩けなくなったら、しっかりと補償を受けることが大切です。走れない、歩けないような後遺症があるときは、後遺障害等級認定という手続きが必要です。
後遺障害は、ケガの場所や重さに応じて等級が決まるしくみで、重いと認められれば、その分もらえる慰謝料や賠償金も多くなります。
後遺障害等級認定の申請方法には、被害者自身が行う「被害者請求」と、加害者側の任意保険会社を通じて行う「事前認定」の2種類があります。
被害者請求では、必要書類を自ら準備し提出するため手間がかかりますが、透明性が高く、適正な等級認定を受けやすいとされています。
一方、事前認定は手続きの多くを保険会社が代行するため手間は省けますが、被害者にとって不利な結果となる可能性もあります。
走れない、歩けない時の後遺障害は何級?
歩行困難となる後遺障害の等級は、障害の程度によって異なります。具体的な等級は、医師の診断や検査結果に基づいて判断されます。
例えば、両下肢の完全な麻痺などで常時介護が必要な場合は1級、片下肢の著しい機能障害で補助具が必要な場合は7級、軽度の機能障害や痛みが残る場合は14級に該当することがあります。
後遺障害に認定される流れ
後遺障害等級認定の手続きは次の通りです。まず、治療を続けても症状の改善が見込めない「症状固定」と診断されます。
次に、医師に後遺障害診断書を作成してもらい、必要書類とともに自賠責保険会社へ提出します。その後、損害保険料率算出機構が審査を行い、等級が認定されます。
後遺障害等級認定の結果に納得できない場合は、異議申し立てを行うことも可能です。
事故の後遺症で走れない/歩けなくなる傷病は?
脳挫傷などの頭部外傷
交通事故による頭部外傷では、脳組織が直接損傷を受けてしまい、運動機能の低下や麻痺を引き起こす可能性があります。
<参考>
脳挫傷の後遺症と後遺障害認定ポイント|交通事故の医療鑑定
脊髄損傷
交通事故で脊髄が損傷を受けると、下肢の麻痺や感覚障害を引き起こして、歩行が困難になる可能性があります。脊髄の損傷程度によって、完全麻痺や不全麻痺などの症状が現れます。
<参考>
脊髄損傷の後遺症と後遺障害認定ポイント|交通事故の医療鑑定
下肢の関節が曲がりにくい(機能障害)
交通事故による下肢の関節損傷は、関節の可動域制限や強直を引き起こして、歩行や走行に支障をきたします。例えば、膝関節の機能障害は、歩行時の安定性を損なう原因となります。
<参考>
下肢の痛み(神経障害)
事故による半月板損傷や靭帯損傷では、下肢の慢性的な痛みを引き起こして、歩行能力を低下させる可能性があります。これらの症状は、後遺障害として認定されるケースがあります。
<参考>
下肢の変形障害
骨折後の偽関節や変形癒合を併発すると、正常な歩行が困難になる可能性があります。
<参考>
偽関節・遷延治癒の後遺症と後遺障害認定ポイント|交通事故の医療鑑定
下肢の短縮障害
骨折の治癒過程で骨の長さが短縮されると、左右の脚の長さに差が生じ、歩行時の不均衡や疲労を引き起こします。下肢の短縮障害は、後遺障害等級認定の対象となる場合があります
<参考>
短縮障害・過成長の後遺障害認定ポイント|交通事故の医療鑑定
後遺障害認定されると損害賠償金を請求できる
交通事故による脳の後遺症が、後遺障害に認定されると、後遺障害慰謝料と後遺障害逸失利益を請求できます。
交通事故による脳の後遺症の後遺障害慰謝料とは
交通事故による脳の後遺症が残った精神的苦痛に対する補償金です。後遺障害慰謝料は、下の表のように後遺障害等級によって異なります。
後遺障害等級 | 後遺障害慰謝料 |
1級 | 2800万円 |
2級 | 2370万円 |
3級 | 1990万円 |
4級 | 1670万円 |
5級 | 1400万円 |
6級 | 1180万円 |
7級 | 1000万円 |
8級 | 830万円 |
9級 | 690万円 |
10級 | 550万円 |
11級 | 420万円 |
12級 | 290万円 |
13級 | 180万円 |
14級 | 110万円 |
交通事故症の後遺障害慰謝料の相場は?
交通事故の後遺障害慰謝料は、後遺障害等級によって異なります。例えば、9級の場合は約690万円、7級は約1000万円、5級は約1400万円、3級は約1990万円、2級は約2370万円、1級は約2800万円となります。
また、近親者の慰謝料として数百万円程度が加算されることがあります。さらに、1級や2級の場合には将来の介護費として数千万円から1億円を超える額が認められることがあります。
このように、交通事故による後遺障害慰謝料は等級によって大きく異なり、適切な後遺障害等級を獲得することが重要です。
交通事故による後遺障害逸失利益とは
交通事故による後遺症が残ると、労働能力が低下してしまいます。労働能力が低下したために失うであろう収入の不足分に対する補償金です。
後遺障害逸失利益は、交通事故被害者の年収、年齢をベースにして、後遺障害等級に応じた労働能力喪失率と労働能力喪失期間で決まります。後遺障害逸失利益は、以下の計算式で算出されます。
基礎収入×労働能力喪失率×労働能力喪失期間に対するライプニッツ係数
後遺障害逸失利益の相場は?
逸失利益は、後遺障害等級によって異なります。一般的に、後遺障害等級が高いほど逸失利益の金額も高くなります。
例えば、1級の後遺障害の場合、逸失利益は約1億円前後となる可能性があります。一方、9級の場合は約1000万円程度のケースが多いです。
後遺障害逸失利益の金額は、被害者の年収や年齢、労働能力喪失率などによっても大きく変動します。
走れない、歩けない方の後遺障害認定で弊社ができること
弁護士の方へ
弊社では、交通事故で走れない、歩けなくなった方の後遺障害認定でお困りの事案に対応するため、さまざまなサービスを提供しております。
等級スクリーニング®
現在の状況で、後遺障害に認定されるために足りない要素を、後遺障害認定基準および医学的観点から、レポート形式でご報告するサービスです。
等級スクリーニング®は、年間1000事案の圧倒的なデータ量をベースにしています。また、整形外科や脳神経外科以外のマイナー科も実施可能です。
等級スクリーニング®の有用性を実感いただくために、初回事務所様は、無料で等級スクリーニング®を承っております。こちらからお気軽にご相談下さい。
<参考>
【等級スクリーニング®】後遺障害認定と対策を精査|医療鑑定
医師意見書
医師意見書では、診療録、画像検査、各種検査、後遺障害診断書などの事故関連資料をベースにして、総合的に後遺障害の蓋然性を主張します。
医師意見書は、後遺障害認定基準に精通した各科の専門医が作成します。医学意見書を作成する前に検討項目を共有して、クライアントと医学意見書の内容を擦り合わせます。
医学意見書では、必要に応じて医学文献を添付して、論理構成を補強します。弊社では、2名以上の専門医によるダブルチェックを行うことで、医学意見書の質を担保しています。
弊社は1000例を優に超える医師意見書を作成しており、多数の後遺障害認定事例を獲得しています。是非、弊社が作成した医師意見書の品質をお確かめください。
<参考>
交通事故の医師意見書が後遺障害認定で効果的な理由|異議申し立て
画像鑑定報告書
交通事故で残った後遺症が、後遺障害で非該当になったら異議申し立てせざるを得ません。その際に強い味方になるのが画像鑑定報告書です。
画像鑑定報告書では、レントゲン、CT、MRIなどの各種画像検査や資料を精査したうえで、後遺障害診断書に記載されている症状との関連性を報告します。
画像鑑定報告書は、画像所見の有無が後遺障害認定に直結する事案では、大きな効果を発揮します。
弊社では事案の分析から医師意見書の作成、画像鑑定にいたるまで、社内の管理医師が一貫して取り組むことで、クライアント利益の最大化を図っています。
<参考>
【画像鑑定】交通事故の後遺障害認定で効果的な理由|異議申し立て
走れない、歩けない後遺症の後遺障害認定でお悩みの被害者家族の方へ
弊社サービスのご利用をご希望であれば、現在ご担当いただいている弁護士を通してご依頼いただけますと幸いです。
また、弊社では交通事故業務に精通している全国の弁護士を紹介することができます。
もし、弁護士紹介を希望される被害者の方がいらっしゃれば、こちらのリンク先からお問い合わせください。
尚、弁護士紹介サービスは、あくまでもボランティアで行っています。このため、電話での弊社への問い合わせは、固くお断りしております。
弊社は、電話代行サービスを利用しているため、お電話いただいても弁護士紹介サービスをご提供できません。ご理解いただけますよう宜しくお願い申し上げます。
事故の後遺症で走れない/歩けないでよくある質問
事故で足が後遺症になるのはどんな症状ですか?
交通事故による足の後遺症は多岐に及びます。すべてを網羅するのは難しいですが、例えば以下のような症状が挙げられます。
骨折や脱臼
骨折や脱臼が適切に治癒しない場合、関節の可動域が制限され、歩行が困難になることがあります。
神経損傷
事故の衝撃で神経が損傷されると、足のしびれや痛みが持続し、歩行能力に影響を及ぼす可能性があります。
半月板損傷
膝関節内の半月板が損傷すると、膝の痛みや可動域制限が生じ、歩行に支障をきたすことがあります。
車椅子の費用は認められる?
交通事故による後遺症で歩行が困難になり、医師が車椅子の使用を必要と判断したら、その費用は損害賠償の対象となる可能性があります。
まとめ
交通事故で走れなくなったり歩けなくなったら、まず「後遺障害等級認定」を受けることが大切です。この手続きで認められると、慰謝料や逸失利益といったお金の補償がもらえます。
等級はケガの重さによって1級から14級まであり、重いほど補償額が高くなります。認定の申請方法には、自分で書類を出す「被害者請求」と、保険会社が代わりにやる「事前認定」の2つがあります。
また、足のケガには、脳や脊髄の損傷、関節や神経の障害などがあり、症状が残ると歩行に大きな影響を与える可能性があります。
交通事故後の走れない、歩けないなどの後遺症の後遺障害認定でお困りの事案があれば、こちらからお問い合わせください。
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