高次脳機能障害とは、交通事故などの外傷や脳卒中などの病気で脳組織を損傷してしまい、思考・記憶・行為・言語・注意などの認知機能が障害された状態です。
高次脳機能障害は、日常生活に大きな支障を及ぼすので、症状が回復したり悪化する可能性があるのかを知りたい方は多いことでしょう。
本記事は、高次脳機能障害が回復したり悪化する可能性について、理解するヒントとなるように作成しています。
最終更新日: 2024/6/30
Table of Contents
高次脳機能障害とは
高次脳機能障害の原因は?
交通事故などによる頭部外傷や、脳梗塞や脳出血などの脳卒中で脳組織が損傷して、思考・記憶・行為・言語・注意などの脳機能が障害された状態です。
<参考>
【医師が解説】高次脳機能障害が後遺症認定されるポイント|交通事故
高次脳機能障害の4大症状とは
高次脳機能障害では、以下のような4大症状をきたしやすいです。
- 記憶障害
- 注意障害
- 遂行機能障害
- 社会的行動障害
<参考>
【医師が解説】高次脳機能障害の4大症状は?|交通事故
高次脳機能障害は悪化するのか?
頭部外傷後の高次脳機能障害は悪化しない
高次脳機能障害をきたす頭部外傷には、以下のような傷病があります。いずれの外傷も、受傷直後の症状が最も重度で、少しずつ軽快していくケースが多いです。
一般的に、高次脳機能障害では傷病そのものによって症状が悪化することは無いと言われています。もし高次脳機能障害が悪化すれば、認知症などの合併が疑われます。
しかし、実臨床では経時的に悪化する高次脳機能障害の症例を散見します。その理由として、繊維連絡による代償効果の剥落が考えられています。
<参考>
【医師が解説】高次脳機能障害と認知症の併発は要注意|交通事故
脳卒中後の高次脳機能障害は悪化したように見えることがある
高次脳機能障害は、基本的には悪化しません。しかし、脳梗塞などの脳卒中は、表面的には高次脳機能障害が悪化したように見える可能性があります。
その理由は、血管性認知症が進行して、高次脳機能障害が悪化したように見える可能性があるためです。
<参考>
【医師が解説】交通事故後に認知症を発症するのは珍しくない!
高次脳機能障害は回復するのか?
高次脳機能障害は、リハビリテーションすることによって、少しずつ回復するケースが多いです。しかし、完全に回復することはありません。
非常に残念ですが、高次脳機能障害では、ほとんどのケースで何らかの障害が残る可能性が高いです。
【弁護士必見】高次脳機能障害が悪化した事案の注意点
高次脳機能障害と認知症を併発している可能性がある
高次脳機能障害は、症状が不変もしくはある一定程度回復します。基本的には、原因となった傷病のために症状が悪化することはないと考えられています。
しかし高齢者では、高次脳機能障害が悪化したように見えるケースが珍しくありません。その理由は、高次脳機能障害のために活動性が落ちると、認知症を発症してしまいがちだからです。
<参考>
【医師が解説】高次脳機能障害が後遺症認定されるポイント|交通事故
保険会社は高次脳機能障害は悪化しないと認識している
自賠責保険や損保会社は、高次脳機能障害は悪化しないと認識しています。このため、経時的に症状が悪化する高次脳機能障害は争いになりやすいです。
保険会社は、認知機能が低下するのは、交通事故による高次脳機能障害が原因ではなく、加齢による認知症のためだと考えているからです。
交通事故後に高次脳機能障害を発症して経時的に症状が悪化したのだから、被害者家族は交通事故が原因だと思いがちです。
このため、交通事故による高次脳機能障害と、加齢による認知症進行を切り分けて考える必要があります。
症状悪化のため否認された高次脳機能障害はガイドラインで反論可能
自賠責保険や損保会社と同様に、医学的には高次脳機能障害は悪化しないと考える脳神経外科医や脳神経内科医が多いです。
しかし実臨床では、経時的に悪化する高次脳機能障害もそれほど珍しくありません。経時的に悪化する理由として、繊維連絡による代償効果の剥落が考えられています。
また意外にも、経時的に悪化する高次脳機能障害の存在は、ガイドラインにも記載されています。
このため、経時的に症状が悪化したため保険会社に高次脳機能障害を否定された事案では、ガイドラインを引用して反論することが可能です。
まとめ
高次脳機能障害では、傷病そのものによって症状が悪化することはありません。高次脳機能障害が悪化したように見えるケースでは、認知症などが合併している可能性が高いです。
一方、高次脳機能障害はリハビリテーションすることによって、少しずつ回復するケースが多いです。しかし、完全に回復することはありません。
高次脳機能障害が悪化するケースは、保険会社と争いになりやすいです。しかし、ガイドラインに記載されている内容を引用して反論可能です。
症状が増悪したために高次脳機能障害を否定されてお困りの事案があれば、こちらからお問い合わせください。
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