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【医師が解説】脳震盪の後遺症と後遺障害認定ポイント|医療鑑定

交通事故で発生する頭部外傷の中でも頻度が多いのは、脳震盪(脳しんとう)でしょう。脳震盪とは、頭部を打撲してから一過性に精神機能や意識レベルが低下する病態です。

 

多くの事案は、受傷してから6時間以内に症状が軽快しますが、中には後遺症を残す例もあります。

 

これらの事案は、自賠責保険では後遺障害と認定されにくく、実務的にはMTBI(軽度外傷性脳損傷)やむちうち(頚椎捻挫)として扱われるケースが多いです。

 

本記事は、脳震盪の後遺症が後遺障害認定されるヒントとなるように作成しています。

 

 

最終更新日: 2024/9/8

 

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脳震盪(脳しんとう)とは

 

交通事故などで頭を強く打ったり、頭が強く揺さぶられると、一時的に精神機能や意識レベルが低下することがあります。

 

脳の組織に明らかな損傷はみられず、6時間以内に軽快する病態を脳震盪と呼びます。

 

 

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脳震盪(脳しんとう)の症状

受傷直後の症状

脳震盪では、頭部打撲後に以下のような症状が発生します。通常は6時間以内に症状が軽快します。

 

  • 精神機能の低下:放心したようになって反応が遅くなる
  • 記憶障害:事故の直前や直後を思い出せない
  • 頭痛
  • 平衡感覚障害:めまいや動きのぎこちなさ
  • 吐き気と嘔吐
  • 耳鳴り
  • 複視
  • 光に対する過敏性

 

 

脳震盪後症候群の症状

脳震盪後症候群とは、脳震盪の後にときどき認められる症状です。具体的には以下のような症状がみられます。
 

  • 頭痛
  • 疲労
  • 睡眠障害
  • 短期記憶障害
  • 集中力低下
  • 光に対する過敏性
  • 人格変化(易怒性など)

 

 

脳震盪後症候群は受傷してから1週間以内によく認められますが、受傷後2週目には軽快するケースが多いです。

 

しかし、数は多くないですが、中には数ヶ月から数年続く例もあると言われています。

 

 

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脳震盪(脳しんとう)の診断

 

脳震盪の診断は、前述の症状の有無で行います。画像検査も施行するケースが多いですが、頭部CT検査では、有意な所見を認めません。

 

 

脳震盪(脳しんとう)の治療

 

脳震盪では、まず安静にすることが優先されますが、できるだけ早い時期に病院を受診する必要があります。

 

一方、脳震盪後症候群の治療は症状の程度によって異なります。 基本は、安静と経過観察になります。

 

 

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脳震盪とMTBIの関係

 

本邦では、MTBI(軽度外傷性脳損傷)はあまり浸透しておらず、脳神経外科の成書(脳神経外科学など)にもMTBIの記載はありません。

 

2004年にWHO(世界保健機関)がMTBIの作業的定義を発表しましたが、臨床的には脳震盪とほぼ同じ定義です。このため、脳震盪を受傷した患者さんの多くは、MTBIに該当すると考えてよいでしょう。

 

臨床的に問題となるのは認知機能障害が長期間にわたって遷延する場合です。しかし、ほとんどの外傷後の認知機能障害は、3〜12ヶ月以内に回復するとされています。

 

また、MTBIが脳の器質的損傷によって高次脳機能障害を引き起こすという明確なエビデンスはありません。

 

 

<参考>
【医師が解説】MTBIの後遺症が障害認定されるヒント|交通事故

 

 

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Traffic accident patient

 

 

【弁護士必見】脳震盪後症候群の実務

実務的にはむちうちでの認定を目指す

脳震盪の定義は、脳の組織に明らかな損傷はみられず、6時間以内に軽快する病態です。したがって、脳震盪で後遺障害が認定されることはありません。

 

しかし、交通事故診療では、頭部打撲後に脳震盪後症候群の症状が遷延する症例を散見します。このような事案では、むちうち、MTBI、非器質性精神障害での認定を目指すことになります。

 

もっとも後遺障害に認定される可能性が高いのは、むちうちでの14級9号でしょう。その際には以下のポイントを押さえていることが重要です。

 

  • 頚椎捻挫や外傷性頚部症候群などの傷病名もついている
  • 頚部痛、頭痛、めまいなどのむちうち症状も続いている

 

 

むちうちで後遺障害に認定されるためには、いくつものポイントがあります。必要に応じて、以下のむちうち関係のコラムを参照してください。

 

 

<参考>

 

 

MTBIや非器質性精神障害での後遺障害認定は難しい

脳震盪の病態からは、MTBIでの後遺障害認定を目指すのが論理的です。しかし、実務上はMTBIで後遺障害に認定されるハードルは高いと言わざるを得ません。

 

<参考>
【医師が解説】MTBIの後遺症が障害認定されるヒント|交通事故

 

 

一方、交通事故診療では、高次脳機能障害、MTBI、非器質性精神障害は一連の病態として取り扱われる傾向があります。

 

<参考>

 

 

脳震盪では画像所見が無いため、高次脳機能障害には該当しません。このため、MTBIや非器質性精神障害になりますが、前述のようにMTBIはハードルが高いです。

 

そして非器質性精神障害に関しても、後遺障害に認定されるハードルは高いと言わざるを得ません。その理由は、自賠責保険は非器質性精神障害を治癒する病態と考えているからです。

 

<参考>

 

 

 

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<参考>
【等級スクリーニング】後遺障害認定と対策を精査|医療鑑定

 

 

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<参考>
交通事故の医師意見書が後遺障害認定で効果的な理由|異議申し立て

 

 

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<参考>
【画像鑑定】交通事故の後遺障害認定で効果的な理由|異議申し立て

 

 

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尚、弁護士紹介サービスは、あくまでもボランティアで行っています。このため、電話での弊社への問い合わせは、固くお断りしております。

 

 

Traffic accident patient

 

 

まとめ

 

脳震盪とは、交通事故などで頭を強く打ったり頭が強く揺さぶられた際に、一時的に精神機能や意識レベルが低下した状態です。

 

脳震盪では、脳の組織に明らかな損傷はみられず6時間以内に軽快します。しかし中には数ヶ月から数年続く例もあると言われています(脳震盪後症候群)。

 

しかし脳震盪後症候群の後遺症は、後遺障害に認定されません。実務的にはむちうち(頚椎捻挫)として後遺障害認定を目指すことになります。

 

脳震盪後症候群でお困りの事案があれば、こちらからお問い合わせください。

 

 

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