頭を強く打った経験があると、「今は大丈夫でも、何年も後に突然症状が出たり、命に関わることが起きるのでは…」と不安になる方も多いのではないでしょうか。
特に交通事故や転倒などで頭部に衝撃を受けた後、しばらく異常がなくても、その後の体調の変化が気になるものです。実際に、頭部外傷は時間が経ってから症状が現れるケースも存在します。
本記事では「頭を打った数年後に死亡する可能性はあるのか?」という不安に対して、医学的な見地から正確な情報をお伝えして、遅れて出現する後遺症やリスクについても詳しく解説します。
最終更新日: 2025/4/21
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頭を打った数年後に死亡することはあるのか?
頭を打った数年後にいきなり死亡することはない
頭部外傷から数年が経過した後に、予兆なく突然死亡するケースはほぼ無いと考えてよいでしょう。
ただし、過去の外傷が引き金となり、遅発性の後遺症が現れることがあります。例えば、外傷性てんかんが数年後に発症するケースが報告されています。
頭を打った数日後に死亡することはありうる
頭部外傷後、数日以内に死亡するリスクは存在します。特に注意が必要なのが、急性硬膜下血腫や急性硬膜外血腫です。
これらは頭部への衝撃により脳内で出血が起こり、血腫が脳を圧迫することで意識障害や神経症状を引き起こします。
頭部外傷で数年後に現れる後遺症は?
遅発性脳障害
交通事故などで強いケガをすると、数年から数十年後に進行性の神経変性疾患を併発する可能性があります。これを「遅発性脳障害」と呼びます。
遅発性脳障害の原因は、外傷によって脳内にタウが過剰に蓄積することだと言われています。タウオパチーの一種であることが分かっています。
外傷性てんかん
頭部外傷から数年後に、外傷性てんかんなどの遅発性脳障害が現れる可能性があります。
数ヶ月後なら慢性硬膜下血腫もある
頭部外傷後、1〜3ヶ月の間に慢性硬膜下血腫が発症する可能性があります。慢性硬膜下血腫は、脳を包む硬膜の下に血液が徐々に溜まり、脳を圧迫した状態です。
症状としては、頭痛、手足の動かしづらさ、ろれつが回らない、物忘れの進行などが見られます。診断にはCT検査などの画像検査が用いられます。
治療は血腫の量や症状の程度に応じて、薬物療法や穿頭術と呼ばれる手術が行われます。早期発見と治療が重要であり、放置すると認知症や寝たきりの原因となることもあります。
交通事故で受傷した頭部外傷の後遺障害等級
交通事故で受傷した頭部外傷による後遺症は、自賠責保険から後遺障害に認定される可能性があります。後遺障害等級の詳細は、こちらのコラム記事を参照してください。
頭部外傷の後遺障害認定ポイント【弁護士必見】
交通事故で受傷した頭部外傷の後遺障害認定ポイントは、原因となる後遺障害や傷病毎に異なります。以下のそれぞれのコラム記事を参照いただければ幸いです。
交通事故で受傷した頭部外傷の後遺障害認定でお困りの事案があれば、こちらからお問い合わせください。
交通事故による頭部外傷の後遺障害認定で弊社ができること
弁護士の方へ
弊社では、交通事故で受傷した頭部外傷の後遺症が、後遺障害に等級認定されるために、さまざまなサービスを提供しております。
等級スクリーニング®
現在の状況で、後遺障害に認定されるために足りない要素を、後遺障害認定基準および医学的観点から、レポート形式でご報告するサービスです。
等級スクリーニング®は、年間1000事案の圧倒的なデータ量をベースにしています。また、整形外科や脳神経外科以外のマイナー科も実施可能です。
等級スクリーニング®の有用性を実感いただくために、初回事務所様は、無料で等級スクリーニング®を承っております。こちらからお気軽にご相談下さい。
<参考>
【等級スクリーニング®】後遺障害認定と対策を精査|医療鑑定
医師意見書
医師意見書では、診療録、画像検査、各種検査、後遺障害診断書などの事故関連資料をベースにして、総合的に後遺障害の蓋然性を主張します。
医師意見書は、後遺障害認定基準に精通した各科の専門医が作成します。医学意見書を作成する前に検討項目を共有して、クライアントと医学意見書の内容を擦り合わせます。
医学意見書では、必要に応じて医学文献を添付して、論理構成を補強します。弊社では、2名以上の専門医によるダブルチェックを行うことで、医学意見書の質を担保しています。
弊社は1000例を優に超える医師意見書を作成しており、多数の後遺障害認定事例を獲得しています。是非、弊社が作成した医師意見書の品質をお確かめください。
<参考>
交通事故の医師意見書が後遺障害認定で効果的な理由|異議申し立て
画像鑑定報告書
交通事故で残った後遺症が、後遺障害で非該当になったら異議申し立てせざるを得ません。その際に強い味方になるのが画像鑑定報告書です。
画像鑑定報告書では、レントゲン、CT、MRIなどの各種画像検査や資料を精査したうえで、後遺障害診断書に記載されている症状との関連性を報告します。
画像鑑定報告書は、画像所見の有無が後遺障害認定に直結する事案では、大きな効果を発揮します。
弊社では事案の分析から医師意見書の作成、画像鑑定にいたるまで、社内の管理医師が一貫して取り組むことで、クライアント利益の最大化を図っています。
<参考>
【画像鑑定】交通事故の後遺障害認定で効果的な理由|異議申し立て
交通事故による頭部外傷の後遺障害認定でお悩みの被害者の方へ
弊社サービスのご利用をご希望であれば、現在ご担当いただいている弁護士を通してご依頼いただけますと幸いです。
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頭部外傷で後遺障害認定されると損害賠償金を請求できる
交通事故による頭部外傷の後遺症が、後遺障害に認定されると、後遺障害慰謝料と後遺障害逸失利益を請求できます。
交通事故による頭部外傷の後遺症の後遺障害慰謝料とは
交通事故による頭部外傷の後遺症が残った精神的苦痛に対する補償金です。後遺障害慰謝料は、下の表のように後遺障害等級によって異なります。
後遺障害等級 | 後遺障害慰謝料 |
1級 | 2800万円 |
2級 | 2370万円 |
3級 | 1990万円 |
4級 | 1670万円 |
5級 | 1400万円 |
6級 | 1180万円 |
7級 | 1000万円 |
8級 | 830万円 |
9級 | 690万円 |
10級 | 550万円 |
11級 | 420万円 |
12級 | 290万円 |
13級 | 180万円 |
14級 | 110万円 |
交通事故による頭部外傷の後遺障害慰謝料の相場は?
交通事故による頭部外傷の後遺障害慰謝料は、後遺障害等級によって異なります。例えば、9級の場合は約690万円、7級は約1000万円、5級は約1400万円、3級は約1990万円、2級は約2370万円、1級は約2800万円となります。
また、近親者の慰謝料として数百万円程度が加算されることがあります。さらに、1級や2級の場合には将来の介護費として数千万円から1億円を超える額が認められることがあります。
このように、交通事故による脳の後遺症の後遺障害慰謝料は等級によって大きく異なり、適切な後遺障害等級を獲得することが重要です。
交通事故による頭部外傷の後遺障害逸失利益とは
交通事故による頭部外傷の後遺症が残ると、労働能力が低下してしまいます。労働能力が低下したために失うであろう収入の不足分に対する補償金です。
後遺障害逸失利益は、交通事故被害者の年収、年齢をベースにして、後遺障害等級に応じた労働能力喪失率と労働能力喪失期間で決まります。後遺障害逸失利益は、以下の計算式で算出されます。
基礎収入×労働能力喪失率×労働能力喪失期間に対するライプニッツ係数
頭部外傷の後遺障害逸失利益の相場は?
逸失利益は、後遺障害等級によって異なります。一般的に、後遺障害等級が高いほど逸失利益の金額も高くなります。
例えば、1級の後遺障害の場合、逸失利益は約1億円前後となる可能性があります。一方、9級の場合は約1000万円程度のケースが多いです。
後遺障害逸失利益の金額は、被害者の年収や年齢、労働能力喪失率などによっても大きく変動します。
まとめ
頭を打ったあと、数年後に急に亡くなることはほとんどありません。ただし、頭のケガが原因で「遅発性脳障害」や「外傷性てんかん」などが時間をかけて出ることがあります。
また、数ヶ月後には「慢性硬膜下血腫」が起きることもあります。これは血がたまって脳を押して、頭痛や物忘れなどの症状が出る病気です。
放っておくと重くなるため、早めの検査と治療が大切です。交通事故でのケガでは後遺障害が認められ、補償を受けられる場合もあります。
交通事故で受傷した頭部外傷の後遺障害認定でお困りの事案があれば、こちらからお問い合わせください。
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