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【むちうち12級】神経学的所見の推移について|交通事故

交通事故で頚椎捻挫(むちうち)や腰椎捻挫を受傷して後遺症が残った際には、後遺障害12級13号や14級9号に認定される可能性があります。しかし、12級13号に認定されるハードルは極めて高いです。

 

むちうちや腰椎捻挫が後遺障害12級13号に認定されるためには「神経学的所見の推移について」という書類が極めて重要な役割を果たします。

 

本記事は、むちうちや腰椎捻挫の後遺症が12級13号に認定されるために必須である「神経学的所見の推移について」を理解するヒントとなるように作成しています。

 

 

最終更新日: 2024/5/13

 

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「神経学的所見の推移について」とは

 

「神経学的所見の推移について」とは、頚椎捻挫(むちうち)や腰椎捻挫で、自賠責保険が医師から取り付ける書類です(下の画像)。

 

自賠責保険は、むちうちや腰椎捻挫の全ての事案で「神経学的所見の推移について」取り付けるわけではありません。

 

「神経学的所見の推移について」を取り付けるのは、後遺障害12級13号に認定される可能性のある事案だけです。

 

 

 

 

<参考>
【医師が解説】後遺障害が12級に認定されるポイント|交通事故
【医師が解説】頚椎捻挫が後遺症認定されるポイント|交通事故
【医師が解説】腰椎捻挫が後遺障害認定されるポイント|交通事故
【医師が解説】頚椎捻挫・腰椎捻挫の症状の推移について|交通事故

 

 

「神経学的所見の推移について」のポイント

腱反射

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「神経学的所見の推移について」は、上図のように身体所見を時系列で記載する体裁です。専門的な記載内容となるため、一般の方には難しいかもしれません。

 

自賠責保険から記載を求められた医師は、診療録(カルテ)を参照して、神経学的所見の推移についてを埋めていきます。

 

その中で最も大きなポイントは腱反射です。「神経学的所見の推移について」では、4行目の人型のシェーマが記載されている部分です。

 

むちうちや腰椎捻挫などの神経障害で12級13号が認定されるためには、障害領域の深部腱反射が消失もしくは減弱していることが必須です。

 

この部分で「正常」と記載されると、後遺障害12級13号に認定される可能性はゼロです。「未施行」なら、少なからず12級13号に認定される可能性があります。

 

 

<参考>
【医師が解説】深部腱反射は12級の後遺症認定のポイント|交通事故
【医師が解説】腱反射亢進する原因、後遺障害への影響は?|交通事故

 

 

知覚障害

Changes in neurological findings2

 

 

「神経学的所見の推移について」において、腱反射と同じぐらい重要な部分は知覚障害です。デルマトームが記載されており、医師は知覚障害のある部分を塗り潰します。

 

実際の書類は極めて小さく、正確に知覚障害が存在する部分を塗り潰すことは意外なほど難しいです。

 

この部分で画像所見のある神経高位と異なる部分が塗り潰されると、後遺障害12級13号に認定される可能性が極めて低くなります。

 

 

<参考>
【医師が解説】デルマトーム一致は12級認定の必須条件|交通事故
【医師が解説】頚椎捻挫の後遺症にマッチしたデルマトームの文献

 

 

 

nikkei medical

 

 

【弁護士必見】「神経学的所見の推移について」の問題点

腱反射

実臨床では、腱反射はほとんど重要視されていません。その理由は、検者間の差が大きいため、客観性を全く担保できないからです。

 

腱反射は、MRI検査などの画像検査が無かった数十年前の遺物と言えます。自賠責保険が、過去の遺物を現在でも重要視し続けている理由は不明です。

 

しかし、ほとんどの医師が重要視していない腱反射が、12級13号に後遺障害認定される要件になっているため、さまざまな矛盾が発生します。

 

むちうちや腰椎捻挫などの神経障害で12級13号が認定されるためには、障害領域の深部腱反射が消失もしくは減弱していることが必須です。

 

「神経学的所見の推移について」で正常と記載された場合には12級13号に認定される可能性はゼロです。

 

腱反射以外の後遺障害認定基準を満たしている事案では、自賠責保険での後遺障害認定を諦めて、訴訟提起を検討する必要があります。

 

一方、「神経学的所見の推移について」で未施行の場合には、後遺障害に認定される可能性があります。

 

 

<参考>
【医師が解説】後遺障害が12級に認定されるポイント|交通事故

 

 

知覚障害

「神経学的所見の推移について」で知覚障害を記載する部分は非常に小さいため、正確に知覚障害の範囲を塗り潰すのは簡単ではありません。

 

また、医師は必ずしも画像所見と対比して知覚障害の部分を塗り潰す訳ではありません。その理由は、実際の知覚障害は教科書的なデルマトーム通りに出現しないからです。

 

しかし、自賠責保険は古典的デルマトームを基準にして、画像所見と知覚障害が一致しているかを判断します。

 

知覚障害の不一致が原因で14級9号になった事案では、脊椎外科医師による医師意見書を添付して異議申し立てすることが望ましいでしょう。

 

 

<参考>
交通事故の医師意見書が後遺障害認定で効果的な理由|異議申し立て
【医師が解説】頚椎捻挫・腰椎捻挫の症状の推移について|交通事故

 

 

「神経学的所見の推移について」の記載内容でお困りの事案があれば、こちらからお問い合わせください。

 

 

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まとめ

 

むちうちや腰椎捻挫が後遺障害12級13号に認定されるためには「神経学的所見の推移について」という書類が極めて重要な役割を果たします。

 

「神経学的所見の推移について」のポイントは、腱反射と知覚障害の部分です。特に腱反射で正常と記載された場合には、12級13号に認定される可能性はありません。

 

 

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