交通事故で頚椎捻挫(むちうち)や腰椎捻挫の後遺症が残ると、自賠責保険に後遺障害申請を行います。その際に、「頚椎捻挫・腰椎捻挫の症状の推移について」という書類が重要な役割を果たします。
本記事は、頚椎捻挫や腰椎捻挫の後遺症が14級9号に認定されるために必須の書類である「頚椎捻挫・腰椎捻挫の症状の推移について」を理解するヒントとなるように作成しています。
最終更新日:2024/1/20
Table of Contents
「頚椎捻挫・腰椎捻挫の症状の推移について」とは
「頚椎捻挫・腰椎捻挫の症状の推移について」とは、頚椎捻挫(むちうち)や腰椎捻挫で、自賠責保険が医師から取り付ける書類です(下の画像)。
自賠責保険が「頚椎捻挫・腰椎捻挫の症状の推移について」を取り付けるのは、後遺障害14級9号に認定される可能性のある事案です。
<参考>
【医師が解説】後遺障害が14級に認定されるには?ポイントを紹介
【医師が解説】頚椎捻挫が後遺症認定されるポイント|交通事故
【医師が解説】腰椎捻挫が後遺障害認定されるポイント|交通事故
「頚椎捻挫・腰椎捻挫の症状の推移について」のポイント
1. 自覚症状の推移
「頚椎捻挫・腰椎捻挫の症状の推移について」の「1. 自覚症状の推移」では、上図の赤丸の「初診時(症状出現時)から終診時までの推移」の選択内容が重要です。
選択肢には「消失」「軽減」「不変」「増悪」がありますが、「消失」「軽減」が選択されると非該当になる可能性が高まります。
実務では「軽減」が選択されることが最も問題になります。私の経験でも、ほとんどの患者さんの症状は受傷時よりも軽減します。
このため、多くのは医師は「軽減」を選択します。しかし、受傷時の痛みを10として、症状固定時の痛みが7であっても「軽減」となります。
皆、この「7」の痛みで困っているのですが、自賠責保険は「軽減」しているのなら後遺障害には当てはまらないと判断します。
ほとんど言葉尻を捕まえただけの屁理屈に思えますが、残念ながら自賠責保険の運用は上記の通りです。非該当通知書に上記理由が明記されている場合にはこの問題に対する対策が必要です。
後遺障害の対象になる症状
「1. 自覚症状の推移」の症状のうち、後遺障害の対象になるのは「頭痛」「項頚部痛」「腰痛」「上肢しびれ/放散痛」「下肢しびれ/放散痛」です。
「背部痛」「めまい/ふらつき感」「悪心/嘔気」「頚椎運動制限」は、ほとんど後遺障害の対象にならないので、「消失」「軽減」であっても問題ありません。
【弁護士必見】「頚椎捻挫・腰椎捻挫の症状の推移について」の問題点
「頚椎捻挫・腰椎捻挫の症状の推移について」の最大の問題点は、前述のように「1. 自覚症状の推移」で「軽減」が選択されやすいことです。
医師にとって「軽減」は当然の選択ですが、自賠責保険は「軽減」の場合には後遺障害に認定しない運用をしています。
「軽減」が選択されても全例が非該当になるわけではありません。しかし、14級9号認定の当落線上に居る事案は、高確率で非該当になるのが実情です。
<参考>
交通事故の医師意見書が後遺障害認定で効果的な理由|異議申し立て
【画像鑑定】交通事故の後遺障害認定で効果的な理由|異議申し立て
「軽減」が理由で非該当になった事案では、それなりの対策を講じる必要があります。「頚椎捻挫・腰椎捻挫の症状の推移について」の記載内容でお困りの事案があれば、こちらからお問い合わせください。
まとめ
「頚椎捻挫・腰椎捻挫の症状の推移について」とは、頚椎捻挫(むちうち)や腰椎捻挫で、自賠責保険が医師から取り付ける書類です。
「頚椎捻挫・腰椎捻挫の症状の推移について」の問題点は、「1. 自覚症状の推移」で「軽減」が選択されやすいことです。「軽減」が理由で非該当になった事案では、対策を講じる必要があります。
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