交通事故の異議申立てで医師の意見書が効果的な理由

投稿日:2022年3月26日 更新日:

異議申立てでの医証の考え方

交通事故の異議申し立てでは、医師による意見書を添付することで等級が認定される可能性が高まると言われています。しかし実際には、医師が作成した意見書といっても、後遺障害等級が認定される可能性が高まるのは、ごく一部の意見書に過ぎません。ここでは、どのような意見書が等級認定可能性を高めることができるかについて説明したいと思います。

 

意見書は医師が作成する文書なので、広義の医証に該当します。交通事故の異議申立てでは、新たな医証の添付が無いと実質的には門前払いになると言われています。このため等級認定を目指すためには、何らかの新たな医証を入手して異議申立てすることになります。では、どのようにして新たな医証を入手すれば良いのでしょうか。

 

新たな医証は、主治医が作成する診断書を取り付けるのが一般的です。しかし、主治医は自賠責認定基準を全く理解していないので、単に取り付けるだけでは要領を得ない医証となってしまいがちです。つまり、主治医から新たな医証を取得するだけで、自動的に等級認定されるわけではないのです。

 

 

医学意見書の効用

ここで登場するのが、主治医以外の医師が作成する医学意見書です。しかし、一般的には被害者を直接診察していない医師が作成する意見書は、主治医が作成した診断書よりも信用力で劣ります。画像所見や診療録を精査して意見書を作成するだけなので、実際に被害者を診察している主治医との情報格差は一目瞭然です。やはり主治医が作成する診断書もしくは意見書が最も説得力があるのです。

 

それでも、主治医以外の医師が作成した意見書が効力を発揮する場合があります。それは、自賠責認定基準に基づいて論理的に被害者の病態を説明している意見書です。理詰めで後遺障害の存在を論じられると、審査側も認めざるを得ない状況に追い込まれます。このため、自賠責認定基準に準拠した医学意見書は、異議申立てにおいて効果を発揮するのです。

 

しかしよく考えると、もし意見書を作成する医師が自賠責認定基準をあまり理解していない場合はどうなるのでしょうか? 当然のごとく、主治医の作成した診断書を上回る効果を得ることはできません。もともと主治医ほどには信用力の無い医師が作成する意見書は、自賠責認定基準に準拠して後遺障害の存在を論ずることでしか、主治医の診断書を上回ることができないからです。

 

つまり、交通事故の異議申立てで医師の意見書が効果的なのは、作成する医師が自賠責認定基準を熟知している場合だけです。弊社では数千例の事案に取り組んできましたが、その中には主治医の診断書や第三者の医師が作成した意見書や画像鑑定報告書を添付して、異議申立てを行った事案が数多くありました。

 

しかし、残念ながらその多くは、自賠責認定基準を満たした内容とは言い難いです。このため当然のごとく結果は伴いません。単に傷病の内容を論ずるだけでは、交通事故の異議申立てで等級は認定されないのです。逆に言うと、自賠責認定基準に沿ったロジックで作成した意見書は、交通事故の異議申立てで極めて効果的です。

 

等級認定では自賠責認定基準に準拠した意見書が必須

このような事情を鑑みると、意見書を作成する医師が自賠責認定基準を熟知しているか否かが、後遺障害等級が認定されるうえで極めて重要なポイントであることが分かります。しかし、意見書を作成する医師が自賠責認定基準を熟知しているかは、外部からは伺い知ることはできません。残念ながら、ある程度交通事故の医学意見書を作成したことのある医師と言えども、自賠責認定基準はほとんど知らないです。

 

その理由は、自賠責認定基準はブラックボックスだからです。相当数の交通事故事案を精査しないと自賠責認定基準は理解できません。このため、世の中の医師の99%は自賠責認定基準を知らないと言っても過言ではないでしょう。交通事故の異議申立てで、医学意見書を添付したいと考えているのであれば、意見書を作成する医師の質も考慮することを強くお勧めします。

-ブログ

Copyright© メディカルコンサルティング合同会社 , 2022 AllRights Reserved.