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【医師が解説】頚椎捻挫の後遺症にマッチしたデルマトームの文献

古典的デルマトームの一部は実臨床と異なる

頚椎捻挫(外傷性頚部症候群)や頚椎椎間板ヘルニアの事案で、神経根のデルマトーム(皮膚感覚の支配領域)が問題になる事案が多いです。

 

最もよくみかけるのが、C6/7に椎間板ヘルニアがあるため椎間孔狭窄をきたしている事案です。

 

 

C6/7椎間孔狭窄では C7神経根障害をきたしますが、古典的なデルマトームでは中指から前腕伸側の疼痛や知覚障害をきたすとされています。

 

このため、後遺障害診断書に上肢外側の痛みとして図示されている場合には「C7神経根障害にもかかわらず上肢外側の痛みがあるのは医学的に説明できない」と後遺症を否定されてきました。

 

たしかに、古典的デルマトームではそのとおりです。しかし実臨床では C7神経根障害だからと言って、綺麗に中指から前腕伸側の疼痛のみを訴える患者さんは多くありません。

 

むしろ最も強い痛みは中指であるものの、上肢全体が痛いと表現する方も多いのが実情です。

 

各頚髄神経根は単独で上肢外側の疼痛をきたす

実臨床ではC7神経根障害があっても、デルマトームどおりの疼痛となるわけではありません。

 

肌感覚では分かっているものの、古典的デルマトームに合致しないからと言って治療方針が大きく異なるわけではありません。

 

このため、臨床の現場ではあまり古典的デルマトームの正確さが検証されることはありませんでした。

 

ところが2017年に従来のデルマトームとは少し異なる部位に上肢痛を発症することを示す文献が報告されました。

 

この文献では、C5~8の各神経根症では、それぞれ単独で上肢外側全体の疼痛をきたすことが示されています。これはまさに私たち臨床医の日常診療の感覚に一致します。

 

臨床医にとっては肌感覚では、各頚髄神経根は単独の障害であっても上肢外側全体の疼痛をきたす症例が多いです。

 

しかし、このことを学術的に裏付ける文献がなかったため、古典的なデルマトームから外れた疼痛部位が記載されているとして後遺障害を否定されてきました。

 

今後はこの文献を引用して、特に上肢外側全体の痛みが残存する事案においても後遺障害を主張できるようになります。古典的デルマトームには実臨床に即していない部分があることを覚えておいて損はないでしょう。

 

2020/9/9 追記

一般の方から、上記文献を販売してほしい旨の連絡が何件かありましたが、非売品なのでご要望にはお応えいたしかねます。

 

また、本文献を引用できるか否かの判断は、医師もしくは弁護士でなければ難しいです。ご要望がある場合には、必ず弁護士を通じてご依頼お願いいたします。

 

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