交通事故は、誰にとっても突然訪れる予期せぬ出来事です。その中でも、意識不明という状態に陥ったら、家族や関係者は混乱して、適切な対処法が分からず不安を感じるでしょう。
本記事では、交通事故で意識不明の状態になった際に考えるべき重要なポイントを網羅的に解説しています。
さらに、意識不明の原因や回復の可能性、回復後の後遺障害リスク、保険会社への対処法まで、専門的な視点で分かりやすくまとめています。
最終更新日: 2025/1/4
Table of Contents
交通事故で意識不明になったらどうなる?
意識不明が6時間以内なら回復する可能性が高い
交通事故による頭部外傷で意識不明となっても、6時間以内に意識が戻れば、回復する可能性は高いと考えられています。
6時間以内に意識が回復すれば、後遺症が残らない、または比較的軽度である可能性が高く、日常生活への復帰が期待できます。
意識不明が3ヵ月続くと回復は困難
意識不明の状態が3ヵ月以上続くと、回復は非常に困難になります。この状態は「遷延性意識障害」とも呼ばれ、脳の広範な損傷が原因です。
遷延性意識障害の患者は、自力での移動や摂食ができず、意思疎通も困難です。意識の回復が見込めず、全面的な介護が必要となるケースが多いです。
交通事故で意識不明になる原因
脳挫傷
脳挫傷は、交通事故などで頭部に強い衝撃が加わり、脳組織が直接損傷を受けた状態です。損傷部位によっては、言語障害や運動機能の低下など、さまざまな後遺症が現れる可能性があります。
<参考>
脳挫傷の後遺症と後遺障害認定ポイント|交通事故の医療鑑定
脳出血
脳出血は、頭部への外力により脳内の血管が破れ、出血が起こる状態です。出血による圧迫で脳機能が障害され、意識不明や麻痺などの症状が現れる可能性があります。
<参考>
脳出血の後遺症と後遺障害認定ポイント|交通事故の医療鑑定
びまん性軸索損傷
びまん性軸索損傷は、交通事故などで頭部に回転性の外力が加わることで神経線維が広範囲に断裂した状態です。
CT検査では異常が見られないことが多いですが、重度の意識障害を引き起こします。治療法は確立されておらず、対症療法が中心です。
<参考>
びまん性軸索損傷の後遺症と後遺障害認定ポイント|交通事故の医療鑑定
遷延性意識障害(植物状態)
遷延性意識障害は、3ヵ月以上続く重度の意識障害を指します。脳の広範な損傷が原因で、自力での移動や摂食ができず、意思疎通も困難です。
一生意識を回復しないケースも多く、全面的な介護が必要となります。この状態は、後遺障害等級で1級に該当します。
<参考>
【日経メディカル】遷延性意識障害では住宅改修費も補償の対象に?!
遷延性意識障害(植物状態)における医師意見書の有効性|医療鑑定
意識不明になれば誰が保険会社と交渉するのか?
成年後見人の選任申立
意識不明になった場合、成年後見人の選任申立が必要です。成年後見人は、家庭裁判所に申立てを行い、本人の財産管理や法律行為を代理します。
申立てには多くの書類が必要で、手続きには時間と費用がかかります。成年後見人には親族や弁護士が選ばれることが多いです。
成年後見人は、被害者に代わって財産管理や法律行為を行う権限を持ち、保険会社との示談交渉や損害賠償請求を適切に進める役割を担います。
未成年では親(親権者)
被害者が未成年の場合、親権者である親が法定代理人として保険会社との交渉や損害賠償請求を行います。
親権者は、未成年者の利益を守るために必要な手続きを代行する法的権限を有しています。
交通事故の意識不明で考えられる後遺障害
意識不明の症状固定時期は?
症状固定は、治療を行ってもこれ以上の回復が見込めない状態です。交通事故の意識不明(遷延性意識障害)では、症状固定時期は1年以降が多いです。
症状固定後は、保険会社からの治療費支払いが終了し、後遺障害としての賠償金請求が行われます
遷延性意識障害の後遺障害
1級1号
神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、常に介護を要するもの
高次脳機能障害の後遺障害
高次脳機能障害は、くも膜下出血などによる脳の損傷が原因で発生し、記憶障害や注意障害、言語障害など多岐にわたる症状が現れます。
これらの症状が後遺障害として認定されるためには、一定の基準を満たす必要があります。
後遺障害等級は、労働能力の喪失度合いに応じて1級から14級までの等級に分類され、等級が高いほど重度の障害と認定されます。
等級 |
認定基準 |
具体例 |
1級1号 |
高次脳機能障害のため、生命維持に必要な身のまわり処理の動作について、常に他人の介護を要するもの |
|
2級1号 |
高次脳機能障害のため、生命維持に必要な身のまわりの処理の動作について、随時介護を要するもの |
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3級3号 |
生命維持に必要な身のまわり処理の動作は可能であるが、高次脳機能障害のため、労務に服することができないもの |
|
5級2号 |
高次脳機能障害のため、きわめて軽易な労務のほか服することができないもの |
|
7級4号 |
高次脳機能障害のため、軽易な労務にしか服することができないもの |
|
9級10号 |
通常の労務に服することはできるが、高次脳機能障害のため、社会通念上、その就労可能な職種の範囲が相当な程度に制限されるもの |
|
12級13号 |
通常の労務に服することはできるが、高次脳機能障害のため、多少の障害を残すもの |
|
14級9号 |
通常の労務に服することはできるが、高次脳機能障害のため、軽微な障害を残すもの |
|
1級1号
高次脳機能障害のため、生命維持に必要な身のまわり処理の動作について、常に他人の介護を要するもの
- 重篤な高次脳機能障害のため、食事・入浴・用便・更衣等に常時介護を要するもの
- 高次脳機能障害による高度の認知症や情意の荒廃があるため、常時監視を要するもの
1級1号の障害程度と症状の目安
高次脳機能障害の1級は、神経系統の機能または精神に著しい障害を残し、常に介護を要する状態です。高度の認知機能障害があり、生活維持に必要な身の回り動作に全面的な介護が必要です。
2級1号
高次脳機能障害のため、生命維持に必要な身のまわりの処理の動作について、随時介護を要するもの
- 重篤な高次脳機能障害のため、食事・入浴・用便・更衣等に随時介護を要するもの
- 高次脳機能障害による認知症、情意の障害、幻覚、妄想、頻回の発作性意識障害等のため随時他人による監視を必要とするもの
- 重篤な高次脳機能障害のため自宅内の日常生活動作は一応できるが、1人で外出することなどが困難であり、外出の際には他人の介護を必要とするため、随時他人の介護を必要とするもの
2級1号の障害程度と症状の目安
2級は、神経系統の機能または精神に著しい障害を残しているため、随時介護を要する状態です。判断力の低下や情動の不安定があり、一人で外出することができず、日常生活は自宅内に限定されます。
3級3号
生命維持に必要な身のまわり処理の動作は可能であるが、高次脳機能障害のため、労務に服することができないもの
- 4能力のいずれか1つ以上の能力が全部失われているもの
- 4能力のいずれか2つ以上の能力の大部分が失われているもの
3級3号の障害程度と症状の目安
3級は、神経系統の機能または精神に著しい障害を残しているため、終身労務に服することができない状態です。記憶や注意力、新しいことを学習する能力に著しい障害があり、一般就労が困難です。
<参考>
高次脳機能障害3級の後遺障害認定ポイント|交通事故の医療鑑定
5級2号
高次脳機能障害のため、きわめて軽易な労務のほか服することができないもの
- 4能力のいずれか1つの能力の大部分が失われているもの
- 4能力のいずれか2つ以上の能力の半分程度が失われているもの
5級2号の障害程度と症状の目安
5級は、神経系統の機能または精神に著しい障害を残しているためし特に軽易な労務以外の労務に服することができない状態です。単純繰り返し作業に限定すれば一般就労も可能ですが、新しい作業を学習することが難しいです。
<参考>
高次脳機能障害5級の後遺障害認定ポイント|交通事故の医療鑑定
7級4号
高次脳機能障害のため、軽易な労務にしか服することができないもの
- 4能力のいずれか1つの能力の半分程度が失われているもの
- 4能力のいずれか2つ以上の能力の相当程度が失われているもの
7級4号の障害程度と症状の目安
7級は、神経系統の機能または精神に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができない状態です。一般就労を維持できますが、作業の手順が悪い、約束を忘れる、ミスが多いなどの問題があります。
<参考>
高次脳機能障害で7級が後遺障害認定されるポイント|交通事故
9級10号
通常の労務に服することはできるが、高次脳機能障害のため、社会通念上、その就労可能な職種の範囲が相当な程度に制限されるもの
- 高次脳機能障害のため4能力のいずれか1つの能力の相当程度が失われているもの
問題解決能力の相当程度が失われているものの例:1人で手順とおりに作業を行うことに困難を生じることがあり、たまに助言を必要とする
9級10号の障害程度と症状の目安
9級は、神経系統の機能または精神に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限される状態です。一般就労を維持できますが、問題解決能力や作業効率に問題があります。
<参考>
高次脳機能障害で9級が後遺障害認定されるポイント|交通事故
12級13号
通常の労務に服することはできるが、高次脳機能障害のため、多少の障害を残すもの
- 4能力のいずれか1つ以上の能力が多少失われているもの
実務上は、高次脳機能障害として認定される等級の下限は12級13号と言われています。臨床的な症状が無くても、症状固定時のCTやMRIで脳挫傷痕や脳萎縮などの所見を認めれば、12級13号が認定されます。
12級13号の障害程度と症状の目安
12級は、神経系統の機能または精神に軽度の障害を残し、日常生活や労働に支障がある状態です。具体的な症状としては、軽度の記憶障害や注意力の低下が見られます。
<参考>
高次脳機能障害が12級に後遺障害認定されるポイント|交通事故
14級9号
通常の労務に服することはできるが、高次脳機能障害のため、軽微な障害を残すもの
- MRI、CT等による他覚的所見は認められないものの、脳損傷のあることが医学的にみて合理的に推測でき、高次脳機能障害のためわずかな能力喪失が認められるもの
14級9号の障害程度と症状の目安
14級は、神経系統の機能または精神にごく軽度の障害を残し、日常生活や労働に軽微な支障がある状態です。軽微な記憶障害や注意力の低下が見られますが、日常生活には大きな影響はありません。
麻痺(身体性機能障害)の後遺障害
1級1号
身体性機能障害のため、生命維持に必要な身のまわり処理の動作について、常に他人の介護を要するもの
- 高度の四肢麻痺が認められるもの
- 中等度の四肢麻痺であって、食事・入浴・用便・更衣等について常時介護を要するもの
- 高度の片麻痺があって、食事・入浴・用便・更衣等について常時介護を要するもの
2級1号
身体性機能障害のため、生命維持に必要な身のまわり処理の動作について、随時介護を要するもの
- 高度の片麻痺が認められるもの
- 中等度の四肢麻痺であって食事・入浴・用便・更衣等について随時介護を必要とするもの
3級3号
生命維持に必要な身のまわり処理の動作は可能であるが、身体機能性障害のため、労務に服することができないもの
中等度の四肢麻痺が認められるものが該当します。(第1級、第2級に該当するものは除きます。)
5級2号
身体性機能障害のため、きわめて軽易な労務のほか服することができないもの
- 軽度の四肢麻痺が認められるもの
- 中等度の片麻痺が認められるもの
- 高度の単麻痺が認められるもの
7級4号
身体性機能障害のため、軽易な労務以外には服することができないもの
- 軽度の片麻痺が認められるもの
- 中等度の単麻痺が認められるもの
9級10号
通常の労務に服することはできるが、身体性機能障害のため、社会通念上、その就労可能な職種の範囲が相当程度に制限されるもの軽度の単麻痺が認められるものが該当します。
12級13号
通常の労務に服することはできるが、身体性機能障害のため、多少の障害を残すもの。
運動性、支持性、巧緻性及び速度についての支障がほとんど認められない程度の軽微な麻痺を残すものが該当します。また、運動障害は認められないものの、広範囲にわたる感覚障害が認められるものも該当します。
外傷性てんかん(症候性てんかん)の後遺障害
外傷性てんかんに係る等級の認定は発作の型、発作回数等に着目し、以下の基準によることとなります。
なお1ヶ月に2回以上の発作がある場合には、通常高度の高次脳機能障害を伴っているので、脳の高次脳機能障害に係る第3級以上の認定基準により障害等級を認定することとなります。
5級2号
1ヶ月に1回以上の発作があり、かつ、その発作が「意識障害の有無を問わず転倒する発作」又は「意識障害を呈し、状況にそぐわない行為を示す発作」(以下「転倒する発作等」という。)であるもの
7級4号
転倒する発作等が数ヶ月に1回以上あるもの又は転倒する発作等以外の発作が1ヶ月に1回以上あるもの
9級10号
数ヶ月に1回以上の発作が転倒する発作等以外の発作であるもの又は服薬継続によりてんかんの発作がほぼ完全に抑制されているもの
12級13号
発作の発現はないが、脳波上に明らかにてんかん性棘波を認めるもの
交通事故で意識不明になった事案のポイント【弁護士必見】
遷延性意識障害の争点への対処法
遷延性意識障害では、一般的な交通事故事案とは異なり、後遺障害等級は争点になりません。遷延性意識障害の主な争点は、以下の3つです。
- 症状固定時期
- 平均余命期間
- 在宅介護の可否
遷延性意識障害の争点への対処法を詳しく知りたい方は、こちらのコラム記事を参照いただければ幸いです。
<参考>
遷延性意識障害(植物状態)における医師意見書の有効性|医療鑑定
高次脳機能障害の後遺障害認定ポイント
意識不明に続発した高次脳機能障害が後遺障害として認定されるためには、東部外傷による脳組織の損傷が原因であることが証明されて、日常生活や社会生活に支障をきたしていることが必要です。
具体的には、記憶障害や注意障害、遂行機能障害などの認知障害が残り、生活に支障をきたしているケースです。被害者家族ができることとしては、日常生活状況報告において、事故前と後の生活状況の変化を具体的に示すことが重要です。
高次脳機能障害が後遺障害に認定されるポイントを詳しく知りたい方は、こちらのコラム記事を参照いただければ幸いです。
<参考>
交通事故で意識不明になった事案で弊社ができること
弁護士の方へ
弊社では、交通事故で意識不明になった事案が、後遺障害に認定されるために、さまざまなサービスを提供しております。
等級スクリーニング
現在の状況で、後遺障害に認定されるために足りない要素を、後遺障害認定基準および医学的観点から、レポート形式でご報告するサービスです。
等級スクリーニングは、年間1000事案の圧倒的なデータ量をベースにしています。また、整形外科や脳神経外科以外のマイナー科も実施可能です。
等級スクリーニングの有用性を実感いただくために、初回事務所様は、無料で等級スクリーニングを承っております。こちらからお気軽にご相談下さい。
<参考>
【等級スクリーニング】後遺障害認定と対策を精査|医療鑑定
医師意見書
医師意見書では、診療録、画像検査、各種検査、後遺障害診断書などの事故関連資料をベースにして、総合的に後遺障害の蓋然性を主張します。
医師意見書は、後遺障害認定基準に精通した各科の専門医が作成します。医学意見書を作成する前に検討項目を共有して、クライアントと医学意見書の内容を擦り合わせます。
医学意見書では、必要に応じて医学文献を添付して、論理構成を補強します。弊社では、2名以上の専門医によるダブルチェックを行うことで、医学意見書の質を担保しています。
弊社は1000例を優に超える医師意見書を作成しており、多数の後遺障害認定事例を獲得しています。是非、弊社が作成した医師意見書の品質をお確かめください。
<参考>
交通事故の医師意見書が後遺障害認定で効果的な理由|異議申し立て
画像鑑定報告書
交通事故で残った後遺症が、後遺障害で非該当になったら異議申し立てせざるを得ません。その際に強い味方になるのが画像鑑定報告書です。
画像鑑定報告書では、レントゲン、CT、MRIなどの各種画像検査や資料を精査したうえで、後遺障害診断書に記載されている症状との関連性を報告します。
画像鑑定報告書は、画像所見の有無が後遺障害認定に直結する事案では、大きな効果を発揮します。
弊社では事案の分析から医師意見書の作成、画像鑑定にいたるまで、社内の管理医師が一貫して取り組むことで、クライアント利益の最大化を図っています。
<参考>
【画像鑑定】交通事故の後遺障害認定で効果的な理由|異議申し立て
交通事故で意識不明になった親族でお悩みの被害者家族の方へ
弊社サービスのご利用をご希望であれば、現在ご担当いただいている弁護士を通してご依頼いただけますと幸いです。
また、弊社では交通事故業務に精通している全国の弁護士を紹介することができます。
もし、弁護士紹介を希望される被害者の方がいらっしゃれば、こちらのリンク先からお問い合わせください。
尚、弁護士紹介サービスは、あくまでもボランティアで行っています。このため、電話での弊社への問い合わせは、固くお断りしております。
弊社は、電話代行サービスを利用しているため、お電話いただいても弁護士紹介サービスをご提供できません。ご理解いただけますよう宜しくお願い申し上げます。
交通事故で意識不明が続くと損害賠償金を請求できる
交通事故で意識不明が続くと、後遺障害慰謝料と後遺障害逸失利益を請求できます。
後遺障害慰謝料とは
交通事故で遷延性意識障害や高次脳機能障害が残ってしまった精神的苦痛に対する補償金です。後遺障害慰謝料は、下の表のように後遺障害等級によって異なります。
後遺障害等級 | 後遺障害慰謝料 |
1級 | 2800万円 |
2級 | 2370万円 |
3級 | 1990万円 |
4級 | 1670万円 |
5級 | 1400万円 |
6級 | 1180万円 |
7級 | 1000万円 |
8級 | 830万円 |
9級 | 690万円 |
10級 | 550万円 |
11級 | 420万円 |
12級 | 290万円 |
13級 | 180万円 |
14級 | 110万円 |
遷延性意識障害や高次脳機能障害の後遺障害慰謝料の相場は?
遷延性意識障害や高次脳機能障害の後遺障害慰謝料は、後遺障害等級によって異なります。例えば、9級の場合は約690万円、7級は約1000万円、5級は約1400万円、3級は約1990万円、2級は約2370万円、1級は約2800万円となります。
また、近親者の慰謝料として数百万円程度が加算されることがあります。さらに、1級や2級の場合には将来の介護費として数千万円から1億円を超える額が認められることがあります。
このように、高次脳機能障害の後遺障害慰謝料は等級によって大きく異なり、適切な後遺障害等級を獲得することが重要です。
後遺障害逸失利益とは
遷延性意識障害や高次脳機能障害が残ると、労働能力が低下してしまいます。労働能力が低下したために失うであろう収入の不足分に対する補償金です。
後遺障害逸失利益は、交通事故被害者の年収、年齢をベースにして、後遺障害等級に応じた労働能力喪失率と労働能力喪失期間で決まります。後遺障害逸失利益は、以下の計算式で算出されます。
基礎収入×労働能力喪失率×労働能力喪失期間に対するライプニッツ係数
遷延性意識障害や高次脳機能障害の後遺障害逸失利益の相場は?
遷延性意識障害や高次脳機能障害の逸失利益は、後遺障害等級によって異なります。一般的に、後遺障害等級が高いほど逸失利益の金額も高くなります。
例えば、1級の後遺障害の場合、逸失利益は約1億円前後となる可能性があります。一方、9級の場合は約1000万円程度のケースが多いです。
後遺障害逸失利益の金額は、被害者の年収や年齢、労働能力喪失率などによっても大きく変動します。
交通事故の意識不明でよくある質問
意識不明がどのくらい続くと危ないですか?
一般的に、意識障害が6時間以内に改善しない場合、回復の可能性は低下します。特に、意識不明状態が数週間から数ヵ月続くと、永続的な脳の損傷が残るリスクが高まります。
頭部外傷による意識不明が3ヵ月を超える状態は、遷延性意識障害と定義されており、回復の見込みはさらに厳しくなります。
意識不明から回復するまでの時間は何日ですか?
意識不明からの回復時間は、脳の損傷の程度や原因によって大きく異なります。数時間で意識を取り戻す場合もあれば、数週間から数ヵ月かかることもあります。
頭部外傷の場合、意識不明が数週間続いても回復するケースはありますが、意識不明が3ヵ月を超えると回復の可能性は低くなります。
意識が戻らないと余命はどのくらいですか?
遷延性意識障害(植物状態)の場合、余命は個人差がありますが、一般的には数年から10年以上生存するケースもあります。
しかし、長期的な医療ケアが必要となり、感染症や合併症のリスクも高まります。具体的な余命の予測は難しく、医師の診断やケアの質によっても左右されます。
植物状態から回復する確率は?
植物状態からの回復率は、原因や期間によって異なります。外傷性脳損傷による場合、1年以内に回復する可能性がありますが、1年を超えると回復の見込みは極めて低くなります。
非外傷性の場合は、3ヵ月を超えると回復の可能性はほとんどありません。ただし、稀に長期間の植物状態から回復するケースも報告されています。
まとめ
交通事故で意識不明になる主な原因は、脳挫傷、脳出血、びまん性軸索損傷などです。6時間以内に意識が回復すれば後遺症が軽い場合が多いですが、3ヵ月以上続くと遷延性意識障害となり回復が困難です。
遷延性意識障害では、被害者が成人の場合には、成年後見人が被害者の保険会社と示談交渉を行います。
交通事故で意識不明になった事案は、病態によって争点が異なります。遷延性意識障害や高次脳機能障害でお困りの事案があれば、こちらからお問い合わせください。
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